【カオ転三次】DRUG FATE 作:石は転がる
飛ばしてしまったホワイトグリントでの初戦闘シーンを短く。
目標選定から何まで安全重視(ガチ)だったのでサラッと終わっちゃいます。
それは星の良く見える夜だった。
半終末、そう呼ばれる日を境に、世界中の夜空はそれまでよりも明るくなっている。
文明の火。それが消えたからだ。
嘗てとは違い、夜は人間のものではない。
煌々と光を溢れさせていた都会は闇と瓦礫に呑まれ、人々は明かり一つない寝床で明日も知れぬ不安と共に眠りにつく。多くのシェルターでは悪魔を先に見つけるために光で照らすことも無く、悪魔に見つからないために深く静まることを選択していた。
例外は隠しきれない大規模シェルターだろうか。
往年の繁栄を偲ばせる都市の明かりは戦力を蓄えたシェルターの特権だ。地平線の先に見えるヒューストンの明かりは、闇に閉ざされた世界では酷く目立っていた。
それは悪魔を誘う誘蛾灯か。或いは人類の抗いの灯火か。
遠くに望む光は見るモノによってその色を変えるのだろう。
「9S、そろそろ到着する。」
「――了解。おはよう、2B。」
感じるに任せ、閉ざしていた思考が動き始めるのを感じる。
暗く狭い操縦席に居る自分と大空を流れる自分。その二つの自分を取り戻していく。
――ここは何処だろうか?
その思考によって意識をせずとも天測を開始した視界が、星々の輝きをつぶさに見つめ現在地を割り出していく。経度緯度、どちらも目的地に近いことを示していた。
「目標到達まであと五分と言ったところですか。」
「そうだ。操縦を変わるか?」
「そうですね。変わっておきます。」
「了解。You have.」
「I have.」
切り離していた操縦系に接続し体を取り戻す。
脆弱な生身と違う強靭な体躯。音の壁を越えているのにその肌を叩きつける風を感じない。
「2B、戦闘記録の録画開始。」
「了解。録画を開始する。」
「よしっ……ミサイルへの概念付与開始。選択概念:硫黄と火の雨。」
「書き込み機構正常作動中、書き込み完了まで五秒。」
「右ライフルへの属性付与開始。選択属性:神の悪意。」
「ライフリングに呪詛属性展開完了。」
「左ライフルへの概念付与開始。選択概念:ジェリコの壁。」
「ライフリングに貫通概念展開完了。」
天空でただ一機、戦闘態勢を整えていく。
多大な負荷を掛けながらも弾頭に概念を詰めていく肩部コンテナに、燐光放つ銃身。
そのままでは物理属性でしかない攻撃に順に万能・バットステータス・貫通を与えているのだ。天使相手なので呪殺属性でも良かったのだが、天使召喚プログラムによる耐性付与を考え確実性を取った。
武装は事前の想定通り、ごく短時間でその機能を発揮する。
――まず一つ、問題なし。
「目標上空まであと二分。」
「了解。上空到達時にシステムを戦闘モードに切り替える。上空から目標にパワーダイブ、対地高度5㎞にてミサイルを発射。その後機体を起こし2㎞先で着地するぞ。」
「了解。ターゲティングを補助する。」
事前にインストールしていた地図に軌道を表示させ意思を統一する。
上空からの急降下に出力任せの減速。2㎞という距離も減速にかかる時間を考慮すればぎりぎりの距離だ。それでも、2Bは私を信じやれると判断し、その補助に回ることを宣言してくれる。
沈黙。
ほんの少しの余白。開始地点はすぐそこだ。
「目標上空!」
「ダイブするぞ!」
【メインシステム 戦闘モード 起動します】
急降下。巡航から戦闘に切り替わったOBが景気よく推力を吐き出す。
「捕捉!」
「発射!」
雲を突き抜けるまで時間にして十秒ほどか。あっという間にもやが晴れれば暗い大地が目に入る。が、それに気を取られる時間はない。
事前情報が少なかった敵の拠点は半終末前には無かった荘厳な教会だ。四方を塀に囲まれ、宿舎やブドウ園と共に一際大きな礼拝堂が見える。気配の多くは宿舎で静まっているが一部が礼拝堂に集中している。
そして、当然のように歩哨に立つ気配――それは人間のものではない。
そこまでの判断でミサイルに諸元を入力。発射と同時に機体を仰がせ全力で減速を掛ける。
音速を越え、熱の壁にすらぶつかっていた速度が全力の減速で急激にその勢いを落としていく。と、同時に爆発音。背後からの衝撃波に機体が揺さぶられる。
OBの解除。閉じていく背部ブースターの代わりにメインブースターがその役割を担う。
着地。クイックターン。教会を正面に捉えながら、大地を削りながらも後ろに進む力を押し殺す。
「残存5!」
「――…っ!」
逡巡は一瞬。前進を選択。メインブースターが咆哮を挙げ機体が前に押し出す。
捉えた敵影はカメラには映らない。マグネタイト観測は瓦礫の中に埋もれていることを示している。
突撃射撃。拠点結界の残骸を貫き、放たれた弾丸は狙い通りに瓦礫を消し飛ばしていく。
「残存0。敵影にあたらない。」
「このまま上空を通り過ぎます。警戒厳に。」
一掃射で消えた気配を訝しみながら前進を続ける。
着地から十秒と経たないうちに教会跡地を通過。動態反応もマグネタイト反応も見受けられない。
「目標沈黙。」
「……拠点を探査します。」
ブースターの稼働を止め着地。機体の足で再び拠点へと近づいていく。
改めて走査してみれば、先ほどまであった教会は一片の欠片すら残さず吹き飛んでいる。
ミサイル二発。各ミサイルに詰め込まれた子ミサイルが8つずつ。計16発のミサイルが敷地全体に散らばるように設定したのだが、威力が高すぎただろうか。
近接信管を切って着弾信管にしていたのも悪かったかもしれない。教会があったはずの場所には深さ数mのクレーター場幾つも空き、上に建っていた建物はきれいさっぱり吹き飛ばされていた。
「……可笑しいな。主天使クラスを頂点に力天使クラスが十以上居るはずなのだが。」
「綺麗に纏めて消し炭だ。主天使ならそこに残留物がある。」
「あっけないですね。かなり警戒していたのですが。」
思わず機体の首をかしげてしまったが、確かに敵性反応が無い。目標はすでに達成されたとみて良い。
「感想も反省も後にしろ。ぐずぐずしていると何が来るか分からない。」
「――そうですね。主天使と力天使の残留物だけ回収したら帰還します。」
後々の解析のために主要な天使のものだけを回収して後は放置する。収容場所が無いのもあるがあまり時間を掛けて目撃者を出したくないからだ。
その後は回収を終わらせたら再びOBで天空へと上がり帰路へと着いた。
十分を切る現地での活動時間のために、掛かった往復の時間は約半日。あまりにも無駄な時間に肩を落としたが、これで戦闘テストはできたと言っても良い。
情報の精査をしてからだが、この程度の戦力相手ならこれからは過激派の情報収集が捗るようになる。
その事に、私は少しばかり胸を騒がせるのであった。
メキシコ当たりの過激派侵攻拠点への襲撃です。
規模的にはドミニオンLV60に率いられた天使約200柱ぐらいの想定です。当然、天使を維持するための“MAGタンク”も相応にいました。
事前情報だとLVは分かっていませんし、建物の構造の情報もないです。ただ、防御の結界が引いてあることと周囲に出てくる天使から凡その構成だけは把握していました。
全部吹き飛んじゃいましたけどね!
今回は奇襲でしたので一方的です。
大体マッハ5くらいで突っ込んでくる複数回中威力万能属性ミサイル×16が悪いのですが。
拠点規模としてはアメリカ大陸では中規模想定ですが、中華戦線だと小規模拠点になります。あそこだけ力の入れようが違うので地獄になっています。
LV30天使が無限ってことはそれ以上の天使も相応に地上にいるので、それが現地英雄&多神連合とバトルしている状態です。
メルカバーは海からやってくるマザーハーロットと遊んでいるので中華戦線に何時も居れるだけのMAGが無い想定です。そうでないと多神連合が頑張っても雑にひき殺される未来しか見えない……。