これはスター団の一般団員のちょっとした話

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星と書いて、ヒーローと読む



スカーレットストーリークリア記念にちょっと書いてみました。
ストーリーのスターダスト・ストリートの微ネタバレがあるのでご注意ください。


イジメられっ子の星

 

 

 

 

 

僕は声が小さくて臆病で弱虫なイジメられっ子だった。

僕は臆病でポケモンを捕まえるのも怖くて、親から貰ったパモしか持っていない。

僕としては別にそれだけで十分だった。パモと一緒に遊ぶのは楽しいし、バトルは別に好きじゃなかったから。

パモと一緒に過ごせるだけで良かった。

毎日が楽しかった。

 

でも、アカデミーに入学してからは毎日が苦痛に変わった

 

僕の弱虫で臆病な性格とついでに頭が悪い事を揶揄ってクラスのみんなが僕をイジメるようになった。

 

「お前といても楽しくねぇんだよつまんねぇな」

「虫ポケモンよりも小さい根性してるクセに一丁前にポケモン持ってんじゃねぇよ」

「キモいんだよ。近寄るな」

「なんで今日も生きてんの?速く自殺しろよ」

 

学校の教室に行くと、みんなが嫌な視線を送ってくる。

みんなが僕に悪口を言ってくる。

みんなが僕をバカにしてくる。

 

言い返しても向こうが大声出して脅してくる。酷い時には殴られる。もっと酷い時はお金も盗られる。

 

このままじゃ駄目だと思った

 

ある日、僕は思い切って反撃しようと思って殴られた時に殴った相手を殴り返した。

 

「ヤりやがったな?」

 

そしたら今度はイジメっ子達は僕を囲んで一斉に暴力を振るわれて袋叩きにされた。

 

その日から僕へのイジメは加速した

 

教科書は隠される。

椅子や机は別の教室に移動させられる。

筆箱の中身も殆ど盗られる。

みんなの前で服を脱がされて恥をかかされた事もあった。

 

毎日が苦痛だった

 

担任の先生にも僕へのイジメを報告した事もあった。

 

「みんな君を揶揄ってるだけだよ」

「揶揄われる様な成績をしてる君が悪いんじゃないの?もっと勉強してみんなを見返しなさい」

「学生ではよくある事だよ。みんな経験してるんだ。弱音を吐かないの」

 

そう言って先生は僕を相手にしなかった。そしてしばらくして僕は理解した。

先生は僕へのイジメを容認していたんだ。

 

その日、授業中でよく僕を指名して、問題を出された。

問題を間違えると「こんな事も分かんないの?ちゃんと授業聞いてる⁉︎」とみんなの前で僕を叱責した。

 

先生がイジメに参加していた。その事実が僕を更に絶望させた。

叱られて落ち込んで自分が恥ずかしくなった僕の様子を見てみんなは笑っていた。

 

いっそ学校を辞めて、家に帰ろうと思った事もある。

けど、僕が学校でイジメられてる事を親に伝えると、

 

「それはお前が悪い所があるからイジメられるんだ。もっとしっかりしなさい」

「勉強出来ないからって他人のせいにしないの」

 

他にも色々と説教されたけど、もう覚えてない。覚えていたくない。

 

ただただ毎日が苦痛だった

 

そんな生活でも僕には支えはある。

その心の支えはパモだった。

こんな落ちこぼれの僕をパモはいつも慰めてくれた。

寮の部屋でパモと居るが僕の唯一の癒しだった。

パモは僕の唯一の味方だった。

 

でもイジメっ子達はその唯一の味方すら取り上げようとしていた

 

イジメっ子達は勝手に僕の部屋に入って、パモの入ったモンスターボールを勝手に持ち去って、何処かに隠したんだ。

 

僕はいつもパモを寮の部屋に置いていた。

一緒にいるとパモもイジメに巻き込まれると思ったからだ。

 

だが、それが(あだ)になった。

 

僕は必死にアカデミーを探した。

何度も知らない人に尋ねて探した。

たまに「大事なポケモンのボール無くしたの?バカだねぇ~」てバカにされる事もあったけど無視した。

 

僕は必死にアカデミー中を探したけどいつまで経っても見つからなかった。

 

疲れ果ててアカデミーのグラウンドで座り込んでしまった僕の目の前にイジメっ子達が現れた。

 

イジメっ子達は「ギャハハハ」と笑っていた。

何か言っていたが、どうでもいい。

ヤツ等はパモを持っていた。

 

「返せ!」

 

僕はイジメっ子達に拳を握って飛び掛かった。

もうどうなってもいい。なにがなんでも返してもらう。

僕は唯一の味方を助ける為にヤツに初めて自分から喧嘩を売った。

 

結果はボロ負けだった。

 

殴られた。蹴られた。頭突きされた。

 

痛くて痛くて泣きそうになる。

というかもう泣いてる。

 

当然の結果だった。僕は体を鍛えてもいないんだ。

喧嘩も当然に弱い。

それでも僕は諦めきれない。

既にボコボコにされてるけど、僕は足に力を入れて立とうとする。

するとイジメっ子達が、笑いながら更に僕に追い撃ちをかけてきた。

足払いされて、また倒れ込む。

 

「返せ…返せ…」

 

うまく立てない。それでも立ち上がってやる。

 

「パモを…返せ」

 

僕の唯一のパートナーだけは諦めきれない。

何故なら僕はパモのトレーナーだから。

 

イジメっ子達は、そんな僕を見てまだ笑ってる。何が面白いのかは分からないし分かりたくもない。

 

「じゃあバトルしようぜ。勝ったら返してやるよ」

 

するとイジメっ子達は、自分の手持ちのポケモンを次々と取り出した。

 

「あ、でもお前ポケモンねぇから生身で戦うか?それともその辺のポケモンを捕まえるか?」

「コイツもうボール持ってねぇから素手に捕まえるしかねぇんじゃねぇの?」

「ウケる!オイさっさと捕まえて来いよ!素手で!」

 

ギャハハハ!というイジメっ子達の煩い笑い声が聞こえる。

よかった。アイツが無駄に騒いでいるお陰で漸く立てた。

 

ポケモンがいない?知った事か

それよりも優先するべき事がある。

今すぐ僕のパートナーを助けてなければならない。

アイツ等の手元にあったらどんな目に合わせられるか分かったもんじゃない。

 

「うおおおおおおお!!!」

 

僕は拳を握ってアイツ等に殴りかかった。

勝てない事は分かってる。ボコボコにされる事も分かってる。

もしかしたら骨も折られるかもしれない。

もしかしたら怪我じゃ済まないかもしれない。

もしかしたら死んでしまうかもしれない。

 

それでも

 

弱虫でイジメられっ子な僕にだって

 

譲れないモノはあるんだ

 

 

 

威勢よく突撃したけど、すぐに腹を蹴られ、髪を掴まれてそのまま地面に叩きつけられた。

 

何とか目を開けてアイツ等を睨みつけるが、イジメっ子達の顔から笑みが消えていた。

どうやら気分良く笑っていた所を邪魔されて腹が立っているみたいだ。

 

多分、次の瞬間には先程とは比べ物にならないほどのイジメが行われるだろう。

 

イジメっ子達の攻撃はまだ大した事はないが、そのポケモン達の攻撃が厄介だ。下手したら本当に死んでしまうかもしれない。

 

勿論、死人を出せば流石に大事になるだろう。でもそんな事をその時に考えられるほど、怒りで湧き上がっているイジメっ子達の頭にそんな考えは過らないだろう。

 

イジメっ子達がポケモンに指示を飛ばした。

 

 

 

 

もう駄目かと思った。流石にポケモンの技に耐えられる自信はない。

 

その時、僕の命はここまでだと悟った。

 

これからパモは大丈夫だろうか?

イジメっ子達に酷い目に合わせられないだろうか?

 

最期だというのにパモの心配ばかりしてしまう。

 

こんなにも後悔を残す人生なんて、僕はなんて弱いんだろう…

 

僕は次に来るイジメっ子達の総攻撃を覚悟して僕は目を瞑った。

 

 

 

 

 

「いい根性してんじゃねぇか」

 

「大事なポケモンを助ける為に体を張るその勇気。我、感服いたした」

 

「オレとしてはさっさ逃げちゃえばいいのにとは思うけどね。でも気持ちは分かるよ」

 

「もう大丈夫だからね?後は任せなさい」

 

「こんな光景見せられたら、ボク達としちゃあ黙ってるワケにはいかないんでね。テメェら覚悟しろよ。レクイエム流してやるからよ」

 

 

その時は痛みで意識が朧げでその時にどんな事が起こったかは僕もよく分かっていない。

 

でも、あの時

 

 

僕は確かな(ヒーロー)を見たんだ

 

 

 

 

後日、僕はスター団に入団した。

 

僕を見つけてくれたスター団は僕を変えてくれた。

 

僕はスター団幹部であるビワ姉が率いる格闘組『チーム・カーフ』に所属させてもらう事になった。

訓練は厳しかったし、たまにちょっとだけ辛い事はあったけど、何よりもスター団にいる事が楽しかった。

だってスター団は「自分は此処にいて良いんだ」って安心出来るし、僕と似たような境遇の人もいて話が合う友達も出来た。

 

訓練は厳しいけど着実に強くなっていくのを感じられる。それに僕のパートナーだったパモはパーモットへと進化するくらいに強くなった。

 

スター団にいて僕は久しぶりに心から笑えるようになった。

 

最近ではスター団にカチ込みをかけては下っ端を全滅させては幹部達を倒して回ってる生徒がいるらしい。

 

絶対に護ってみせる。僕()の居場所を

そのスター団を護る為なら僕はなんだってやれる気がする。

 

ある時、僕の所属しているチーム・カーフの拠点で、いきなりアナウンスが流れた。

 

「一つ一つの星は小さくともみんなで光れば星座となる!」

 

「我らスター団最後の砦!負ける訳にはいかないぞ!」

 

どうやら噂のスター団の敵が遂に此方にも現れたようだ。

 

「行くよ、パーモット!」

 

「パモット!」

 

僕は相棒とカチコミをかけた生徒を迎え討つべく、共に走り出した。

 

イジメられて毎日に怯えて暮らしていた臆病で弱虫な僕はもういない

 

僕は強くなる。この居場所を護る為に

 




個人的な話ですが、私も昔はイジメを受けていた時期があったので、イジメられていた子の立場から言えばスター団は正にヒーローに見える事でしょう。

スター団の実態が明らかになるにつれていつのまにかスター団が滅茶苦茶好きになっていました。
ついでに個人的にSVで一番好きなのはペパー先輩です。あんなん見たら好きになるしかないじゃないですか…
ポケモンで泣いたのは子どもの頃に見たミュウツーの逆襲以来でした。

ぜひ皆さんも今作をプレイする事をおすすめします。ペットを飼った事のある人は、ペパー先輩関連のイベントは特にブッ刺さる事でしょう。

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