+LycorisーNEXUS JUDGEMENTー   作:ワンホットミニット

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変身 -トランスフォーメーション-【2/2】

そして少し時間が経ち、そういえばさ・・・と光輝は切り出すと、千束とたきなにどうしても聞きたかったことを尋ねた。

 

「あのさ、どうして2人はウルトラマンって名前知ってたの?」

「いやいや、それこっちのセリフ。どうして光輝がウルトラマンって言葉知ってるの?」

 

「・・・んっ?」

「「えっ?」」

 

お互いそれを知りたかったのだが、同じ質問をただ重ねただけになり、3人がほぼ同じタイミングで疑問の声が出た。

さっきのザ・ワンの時のように、何かお互いに認識の祖語があるのか?と思い立つと、光輝はすぐに2人がその名前を知った経緯を確認しようと決めた。

 

「ちょ、ちょっと待って。順を追って話そっか・・・まず、千束とたきなは、どうしてウルトラマンって名前を知ってるの?」

「知ってるも何も、これは私と千束で決めたコードネームですから。超人、って言葉から取って、それを基に千束が考えた・・・答えになってますか?」

「おいおいまさか私達を盗聴したのかー?盗聴したってことで八神さん宛に訴えてやろ・・・光輝?どしたの?」

「・・・えぇ・・・マジで・・・?そんな偶然、ある・・・?」

 

千束のジョークに何も反応することなく、顔の上半分を手で抑えながらひとしきりうわ言のようにひとり言を呟いており、さすがにこの様子に2人も怪訝な顔をした。

そして整理がついたのか、はぁ・・・と一つ大きくため息を吐くと、2人の顔を見て、今度は光輝がその名前を知っている理由を話し始めた・・・のだが

 

「まずさ、言っておきたいんだけど、千束、たきな、2人ともやっぱ凄いよ本当に・・・」

 

いきなり説明ではなく、2人を褒めだしたため、どういうこと?と両方がピンと来ていなかったが、その答えは光輝の口からすぐに出た。

 

 

 

「あのね・・・彼の名前・・・本当に、ウルトラマンなんだよ・・・」

 

 

 

光輝がウルトラマンの名前を知っている、もといそれが本当の名前だということを伝えると

 

 

・・・何を言われているのかわからず、千束とたきなの表情が固まった。

 

 

「あ、あのー、千束、たきな・・・だ、だいじょ「「えええええええええええっ!!?」」

 

その言葉をようやく理解すると、両耳からサラウンドのように2人の驚きの声が聞こえてきたため、耳が若干キーンとなっている中で、それぞれから片方ずつ肩を捕まれると同時に、思いっきり揺らされはじめる。

 

「え!え!?本当の本当にウルトラマンって名前なの光輝!嘘じゃないよね!?」

「本当なんですか!?それって本当なんですか!?冗談じゃないんですよね!?」

 

仮称で決めた名前が、まさかの大正解だということに驚いた千束とたきなは詰め寄り、思いっきり肩を揺らし、それが本当かどうかをウルトラマンである当人に確かめようとする。

が、そのあまりの勢いに光輝の首はぐわんぐわんと縦横無尽に振られてしまいまともに喋ることすら出来ないが、その手は止まらない。

 

「ああああええええっふた、ふたりとと、しゃ、しゃべ・・・て、とめて・・・」

 

なんとか手を止めてほしいというその言葉が通じたのと、今まで自分達がやっていた行動をようやく理解すると、あっごめん!と2人は慌てて手を離す。

落ち着いて呼吸が出来るようになったと同時に、光輝はやって来た目眩と同時に、むせてせき込んでいた。

 

「ゲホッエホッぎぼぢわる・・・驚くのはわかるけど激しすぎ・・・後すんげぇ目回った・・・そうなんだよ。本当の本当に、彼の名前は、ウルトラマンって言うんだよ。」

 

ウルトラマンに変身する本人がそう言うんだから間違いないと確信出来、千束とたきなは正解の喜びを分かち合った。

そうして喜んでいる2人を横目に、ただね、と切り出すと、光輝は更に大事なことを話し始めた。

 

「ウルトラマンなのは間違いないし、大正解だから2人とも凄いんだけど・・・実は、その後に来るもう一つの名前があるんだ。」

「その後に、来る・・・?」

「もう一つの名前?ウルトラマンだけじゃなくて?」

 

もう一つの名前と言われ、千束もたきなも理解が出来なかった。

彼の名前はウルトラマンだということはすでに確定しているが、その後に来る名前があるという。

であるならば、ウルトラマンというのは、人で言うところの苗字に相当するのか・・・?と考えていたものの、そこに対してイマイチピンと来ていなかった。

 

「そう。彼の本当の名前は・・・」

 

その本当の名前を今から言うことに対し、千束とたきなは固唾を飲んだ。

 

 

そして、光輝は口にする。

このウルトラマンの、真の名前を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネクサス・・・ウルトラマンネクサス。それが、彼の本当の名前。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルトラマン・・・ネクサス?」

「そう。絆・・・って意味の、ネクサスから。」

「というか、さっきから気になってたんですけど・・・彼って?」

 

ネクサス。それは関係や繋がり、という意味を持つ英単語であるが、絆という意味もある。

なので、今言ったように、ウルトラマンネクサスをあえて訳せば、絆の超人、という意味になる。

だが、ウルトラマンだけでなく、何故ネクサスという言葉が付いているのか、千束もたきなも全くもって謎だった。

 

そんな中、たきなは先程からずっと話に上がっていた、彼、という第三者な言葉が気になっていた。その説明を聞いていると何となく予想はついたが、それでも聞かずにはいられなかった。

 

「あぁごめん、そうだよね。彼じゃわからないもんね・・・彼ってのは、ネクサスのこと。」

「ネクサス?光輝がウルトラマン・・・じゃなくて、ウルトラマンネクサスじゃないんですか?」

「確かに俺はネクサスなんだけど、ちょっと違って、実はネクサスも一つの生命体として生きてて、自我があるんだよ。だから、俺は彼と一心同体になっている・・・が、正しい状態。」

「自我?一心同体?」

「そう。そもそもネクサスは・・・」

「3人とも、ちょっといい?」

 

ここからネクサスのことについて話をしようとしていた中で、いつの間にか近づいていた八神から声を掛けられ、それに気付いた全員は大きく驚く。

その中で、八神さんどうしました?と代表して光輝が尋ねてみた。

 

「あのさ、話すのはいいんだけど、せっかくならリコリコ行こうか?多分、他の皆も聞きたいだろうし。」

 

リコリコに?と思っていると、八神は光輝の目の前に自分のスマホを手渡した。

その画面を覗いてみると・・・

 

『全く、いつまで青春やってんだ。早くこっち来て全部話しに来い。』

「クルミさん?」

 

目の前には、リコリコの店内に居るクルミとミズキ、そしてミカの3人の顔が映っていた。ビデオ通話が繋がっていることにも驚いている中で、後・・・と、クルミは歯切れの悪そうな声で呟いた。

 

『・・・この前は悪かった。リュックに発信機入れて動きを調べてたこと、謝らせてくれ・・・お前の力になりたいとはいえ、ごめんな、光輝。何度も嫌な想いさせて。』

「・・・いえ、気にしないでください。というか、あれ、クルミさんのなんですね・・・」

『まぁ入れたのは私なんだけど・・・ごめんね光輝君。』

「あぁ、ミズキさんなんですね・・・驚きましたし怒りましたけど、もう何も気にしてないですから。俺の力になってくれるためにやったことなんだってのは、もうわかってますので。」

『・・・いい子ね、君は本当に。それに、前よりもいい顔になったわね。本当に、今まで一人でよく頑張ってきたわね。お疲れ様。後はこっち来て、ゆっくり話しなさいな。』

『あぁ。温かい飲み物を用意して、待ってるよ。』

 

クルミに続いてミズキとミカからも話しかけられ、改めてリコリコへ来るようにと言われたことで光輝は驚き、喜びが内から湧いて出てくるものの、少し表情を曇らせた。

もちろん、それはこのお店への疑念から来るものではなく、この世界で今、ビーストに次いで、いやそれ以上の危険な存在と言える、ウルトラマンネクサスになる・なれる人間を匿ってもらうことへの不安だった。そのため、大丈夫だとは思うが、それでも本当にいいのかと不安を覚え、念のために質問をしてみた。

 

「あの・・・本当にいいんですか?俺は・・・ウルトラマンネクサスなんですよ・・・?危ないとか思わないんですか・・・?皆さんの身の安全の方が心配なんですけど・・・」

『んなこと知るか。いいからさっさと来い。そう簡単にリコリコ6人目の店員を手放してたまるかってんだ。』

「・・・6人目?えーとあの、何を言ってるんでしょうか・・・?こちらリコリコで働く気は・・・一昨日もヘルプで・・・」

『いやいや、そこをどうか!どうか!私の休みのためにも!未来の旦那を見つけるためのシフト調整人材として!』

「あのーミズキさん、それ僕をうまいように使おうとしてません・・・?学生なので土日しか空いてないんですけど・・・というか別のバイトもあればこちら自営業で・・・てかそもそもウルトラマンネクサスが・・・」

『ウルトラマン免罪符にして逃げようとしてんじゃないわよ!普通にバイトしてんだから一個も二個も変わんないでしょ!それに、高給取りは基本土日休みなのよ!だからちょうどいいぎせ・・・人材なのよ!』

「今犠牲って言おうとしてませんでした!?」

『みみっちいこと気にしない!固いこと言わないの!・・・とりあえず、そっちよりは全然いいと思うわよ。プライバシーもしっかりしてるし。』

『あぁ。こちらも秘密を抱えた人間ばかりだ。今更、秘密を抱えた者がたかが1人増えたところでどうということはないさ。それに・・・ウルトラマンであっても、君は君だろう?何も心配などしていないよ。』

「皆さん・・・」

『だから、待っているよ、光輝君。』

 

まさかのクルミからの喫茶リコリコ6人目の店員呼びに少し驚いたが、その後のミズキの、そうとは言っていないが、その裏に秘められた、緊張しないようにしてくれた心遣い。そして、ミカから言われた、ウルトラマンだろうが、君は変わらない、という言葉にまた心が温かくなり、改めて八神探偵事務所・喫茶リコリコの全員が、自分の味方だと素直に思え、心の底から全幅の信頼を置くことを決めた。

 

ありがとうございます。と画面越しだが頭を下げ、それじゃ、後はそっち行って全部話しますね。とだけ言うと、画面の向こうの3人もまた、笑顔を向ける。

それを見て光輝もまた笑顔を返すと、スマホを八神へと返し、それじゃまた後でとだけ言い残し、八神はビデオ通話を切った。

 

今起こっている事件の真相を全て知っているキーマンから話を聞くため、ベンチから立ち上がり、車に乗り込もうとその場から歩き出した矢先─────

 

 

-ドクン、ドクン、ドクン-

 

 

「!?・・・まさか!?」

 

例の、エボルトラスターから発せられる、自分にしか聞こえない鼓動と、"あのビーストの反応"を感じ、後ろを慌てて振り返って数歩戻った光輝は空を見上げ、睨んだ。

4人もまた、これまで見たことがない光輝の表情に驚き、慌てて空を見上げた様子に全員も釣られるように空を見上げ、それぞれが警戒態勢を取る。

 

「おいどうした坊主!?」

「皆早く逃げて!アイツが、アイツが来る!!」

 

アイツ・・・?そんなことを全員が思っていた矢先、突如空中から落ちてきた青い光の玉が地面にぶつかった。

その衝撃から巻き起こる砂煙に全員が腕で顔を覆うが、その砂煙が収まった後、光輝が言っていたアイツと呼んでいた一人の男が立っていた。

 

それは、以前千束とたきなを殺そうとした存在であり、2日前光輝が追っていた存在─────

 

「ザ・ワン!?」

「なんでここに!?」

 

上半身が裸で、その皮膚にはビースト独特の肌の兆候がいくつも浮かび上がっているザ・ワンは、5人を、正確に言うと、たった一人を睨みつけていた。

 

「こいつが!?」

「おいなんか、様子が変だぞ・・・!?」

 

予てより話に上がっていたビースト・ワン、いやザ・ワンを初めて見た八神と海藤も驚くが、海藤は第六感で、何か異変を感じ取っていた。

 

話に聞いていたザ・ワンは、会話も出来ていたそうで、話を聞く限りは狡獪なイメージがあった。だが、今のザ・ワンはその様子がまるでなく、狩りをする直前の獣のように静かに呻き声を上げており、人間のような知恵が回る様子はまるで感じられなかった。

 

そして、何よりも・・・"ザ・ワンの男の目は、真っ赤に染まっている。"こんなのは、聞いてはいなかった。

 

この異常な様とその姿を見て、千束とたきなは背負っていたカバンから愛用の銃を素早く取り出し、ザ・ワンの男に向けて銃を構えようとするが、目の前に居た光輝はそれを腕で遮った。

それは撃つのを止めさせたというわけではなく、2人をザ・ワンの元に行かせない。というよりも、近づかせないようにさせていた。

 

「2人とも下がって!アイツはもう、前までのザ・ワンじゃない!」

「どういうことですか・・・?」

 

全く話が読めないたきなに対し、話は全部後!と慌てて会話を終わらせると、一人、更に数歩近づいていくと、ザ・ワンの男に向かって話しかけた。

 

「・・・俺を追ってきたんだろ?ザ・ワン。俺を、殺すために・・・デビルスプリンターまで取り込まないと、俺を倒せないってか?」

 

ザ・ワンの狙いが光輝、だということは誰もが理解したが、デビルスプリンターという、全く聞き慣れない単語が光輝の口から飛び出した。他の4人もそれについて疑問に思うが、この空気の中ではそんなことを聞いている場合ではないことを誰もがわかっていたため、口を挟めずにいた。

また、いつもの優しく穏やかな口調と違い、少し煽るように、それでいて強気な口調で話す光輝にも驚いているが、その表情には若干の焦りも見える。

 

ただ、一方のザ・ワンは、以前までであれば会話によるコミュニケーションが取れていたが、今目の前にいるザ・ワンの男は何も答えることなく、グゥゥゥゥ・・・と、先程から終始ずっと呻き声を出し続けている。

その様子に、奥歯をぐっと噛み締め、光輝は目の前の天敵を睨みつけた。

 

「・・・やっぱり、暴走してるか・・・!来いよザ・ワン!お前は、俺が・・・ウルトラマンネクサスが、お前を倒す!!」

 

一呼吸入れ、ザ・ワンに向かって光輝は叫び、ウルトラマンネクサスとして倒すことを宣言すると、ウルトラマン、という天敵の名前に微かに意識が戻ったのか、ザ・ワンは目の前の光輝に視線を向けると、突如興奮し始め、絶叫のような叫び声を上げながら、目の前にいる天敵を殺すための準備に入る。

 

「グゥゥゥゥ!ウルトラマン!ウルトラマン!コロス!殺ス!殺シテヤル!!死ネエエエエエエエエエ!!」

 

その言葉を待っていたかのように、ザ・ワンは青白い光に包まれ変化していく。なのだが、前回現れたザ・ワンは10メートル大だったのだが、今のザ・ワンはもはや何十メートルあるのだというほど、その背丈は前回よりもはるかに大きくになっていた。

 

大きさも異なるが、顔なども明らかに以前とは異なっており、前回が怪物だとしたら、今のザ・ワンは、いわゆる怪獣・・・いや、それよりももっと酷い。例えるならば、そう。

 

 

「この、悪魔が・・・!」

 

 

思わず光輝が怒りを込めて呟いた、悪魔、という言葉がぴったり当てはまるようなビジュアルになっていた。

 

背中に生えている棘は更に増え、加えて、手の爪は前よりも鋭く、一本一の爪がそれぞれ鉤爪のように変化しており、以前よりもはるかに凶悪な見た目となっている。

それ以上に、前回のザ・ワンは青などの色もあったが、今のザ・ワンは全身が黒くなり、かつ、所々に赤い線のようなものまで体に浮かび上がっている。見ようによっては、それはまるで、血管が表面に浮き出ているかのようにも見える。

 

加えて、その目は先程と同様真っ赤に染まっており、どこからどう見ても、ビーストという言葉が相応しい、怪物にへと変化していた。

 

「これが、ビースト・・・!?」

「でけぇ・・・!?」

 

何度も何度も口にしていたビーストだったが、いざこうして実物を目の前にすると、その大きさや迫力に押され、様々な修羅場をくぐってきた八神と海藤も驚き、たじろいでしまう。

 

一方、千束とたきなもまた、前回とは明らかに異なるビースト・ワン、いやザ・ワンのフォルムや大きさに驚き、一瞬呆然としてしまうが、すぐに気持ちを切り替え改めて銃をザ・ワンに向けて構える。

 

「千束、たきな。コイツには弾の無駄だから、早く八神さん達と一緒に安全なとこまで逃げて。」

「でも!」

「頼む!逃げてくれ!アイツは、俺が狙いだから!」

 

一歩前に出ているため何も見えていないはずなのに、さもその様子がわかっているかのように光輝は2人に声を掛け、銃をしまうよう提言した。

確かに、こんな大きさの怪物に銃弾なんて効くのかどうか。というより、ダメージなんて与えられないのはわかっている。だからこそ、あれを持ちに行きたいのだが、今はそのチャンスがない。だから、それでも・・・と、構えた銃に対し、目の前にいる光輝はその行為を止めさせた。

 

それが何を意味しているのか、頭ではわかっていたが、心では申し訳なさと無力さを感じていた。

それだと、結局、また・・・!

 

そう思っていると、ザ・ワンの口から以前にも放った青い火球が放たれ、全員に向かってくる。

光輝以外の4人が腕で顔を覆った瞬間、青い光のバリアのようなものが目の前に展開されるとその火球を弾き、逆にザ・ワンの体に直撃すると、その衝撃で後ろへと倒れ込んだ。

 

「今のは・・・!?」

「なんだ!?何が起こった!?」

 

突然何が起こったのか理解出来ない4人の前には、いつの間にか手に持っていた白い剣、エボルトラスターを目の前に掲げていた光輝がいた。おそらく、今のバリアのようなものはそれから放出されていたのはわかるが、一切の説明はなく、黙ってザ・ワンをじっと見ていた。

 

そして、その目は・・・これまでに見たことがないほど真剣で、冷酷な目をしていた。

 

「光輝・・・まさか、それが・・・!?」

 

何も言わず、コクリと軽く頷くと、握っていたエボルトラスターを左腰に構えた。

他の4人から見たら、それはまるで、武士が抜刀する前のようにも見える。

 

 

「光輝、行っちゃダメ!!」

 

 

これから目の前で何が起こるか、その後に何が行われるか、そんなことはとうにわかっている。

 

姿も大きさも以前とは比べ物にならないほどに変化したザ・ワンを見た瞬間から感じたことだったが、あんなのを相手にしたら・・・光輝が死んでしまうと直感で感じた。

だからこそ、行ってしまうことが嫌で、この前と同じように、いや今回は尚のこと、行ってしまうのを止めたいと思った。叫びはしなかったが、たきなも同じ気持ちだった。

 

思わず叫んだ千束に気付き振り向くと、この前とは違い

 

 

─────いつも通りの、穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

その顔を見て、一筋、千束の目から涙がこぼれた。

 

 

「・・・下がってて。」

 

 

穏やかな表情から打って変わって、これまで見たことがないほど真剣で、覚悟に満ちた表情に一瞬で切り変わると、左腰に構えていたエボルトラスターの鞘の部分を抜き、その本体を目の前に掲げる。

 

そして、一人、ザ・ワンに向かって走り出していく。

 

「坊主!!」

「光輝君!!」

「「光輝いいいいいいいいいいい!!」」

 

 

 

「おおおああああああああああっ!!!」

 

 

 

絶叫とも言える叫び声と共にエボルトラスターを握っていた右腕を一回転させ天に掲げると、それに呼応するかのようにエボルトラスターから光が溢れ出した。

 

その光にザ・ワン以外の全員が手で目を覆うが、光が止んだ次の瞬間には光輝はいなくなっていた。

 

「嘘だろ・・・」

「これが・・・」

 

その代わりに立っていたのは、50メートルはあろうかという大きさの、銀色の、光の巨人。

左腕を曲げて顔の部分まで近づけ、右腕は伸ばした状態で、4人をザ・ワンから守るかのように目の前に悠然と立つ。

 

 

彼らが追っていた、この世界に来ることがなかった、虚構のような存在。

 

そして、光輝のもう一つの姿。

 

 

「ウルトラマン・・・ネクサス・・・」

「・・・光輝・・・」

 

 

ついに全員の目の前で、あの日、千束とたきなを助けた存在、ウルトラマン、いやウルトラマンネクサスへと変身した光輝は、立ち上がったザ・ワンと対峙する。

それを見た全員は一瞬呆然とするものの、その様子に同じく覚悟を決め、4人は八神のハイエースに向かって走り出した。

 

早速ネクサスはザ・ワンと組み合うが、その瞬間に明らかに感じたことがあった。

 

「(ザ・ワンのパワーがめちゃくちゃ上がってる・・・!?これがデビルスプリンターの力か!?)」

 

デビルスプリンターの中に含まれているベリアル因子とビースト細胞。それが異常なまでに共鳴し合い、前に戦った時よりもザ・ワンははるかにパワーが上がっており、組み合ったもののネクサスは段々と押されていき、ザ・ワンが体を大きく横に振った瞬間に離されると、その隙を見逃すまいと、体を回して尻尾を振り回しネクサスに打ち込むと、その場から吹き飛ばされる。

 

その隙を見逃さないかのように、追い打ちとばかりにザ・ワンは口から火球を発射するが、ネクサスは両腕を前に突き出して発生させた青く輝くバリア、サークルシールドでそれを防ぐ。

それでもザ・ワンは怯まずに何発も火球を撃ち続けていくものの、何とかネクサスもそれを防ぎ続け、火球が止まった一瞬のスキを見計らい、そのバリアと火球のエネルギーを右腕に装着している手甲、アームドネクサスに吸収すると、拳を握って一気に目の前に突き出すと同時に放たれた青い光弾、ナックレイジェネレードがザ・ワン目掛けて発射され、ザ・ワンに直撃すると同時に大きな爆発が起きた。

 

まだ爆発による煙が立ち昇り、ザ・ワンの姿が確認出来ないため、油断は禁物だと思っていたが、それでも伸ばしていた右腕を下ろしたと同時に、突如煙の中から赤黒い色のビーム状の熱線が放たれる。

それに対して一瞬反応が遅れたネクサスの体に直撃すると、叫び声と共にはるか後方へとネクサスは吹き飛ばされた。

 

「光輝っ!!」

「まさか!?」

 

たった今長方形の長いケースを持って戻って来た4人も、そのネクサスの様子に驚き、大声を上げた。

煙の中から姿を現したザ・ワンは、口周りに先程発射したであろう赤黒いビーム状の熱線の余剰エネルギーが出ており、この口から先程の熱線を発射したことを物語っていた。

 

ザ・ワンもダメージは負っているようだが、外見上は一切ダメージは見られず、むしろこれで火が付いたのかネクサスの方へと走り出し、先程の熱線のダメージからようやく立ち上がったネクサスの体を、前よりも鋭利になった手の爪で大きく切り裂いた。

その威力は凄まじく、前回のザ・ワンのようにネクサスの体からも火花が上がるほどであり、そのまま立て続けに両手の爪で次々とネクサスの体を切り裂いていく。

 

その一部始終を見ている4人は絶句し、千束はあのウルトラマンがダメージを受け続けている驚きもあるが、何よりも、光輝が自分達を守るために戦っている中、今まさに目の前で傷付いていくその状況にショックを受け、両手で口を覆い隠し続けている。

 

何発目かの爪の攻撃でついにネクサスは吹き飛ばされ倒れると、倒れたネクサスを逃さないよう、ザ・ワンはネクサスを踏みつけ、両手で腕を抑えて、身動きが取れないようにさせる。

そして、ザ・ワンがネクサスの胸に輝くシンボルであるエナジーコアに顔を近付けると、エナジーコアから光が溢れ出し、ザ・ワンにその光が次々と捕食されていく。

苦悶するネクサスの声が聞こえてくると、それに伴い、エナジーコアが点滅を始めた。

 

「なんだ!?ヤベぇぞおい!!点滅してるぞ!」

「点滅してる?・・・!もしかして、危険信号ってことか!?もしあれの点滅が終わったら、まさか・・・!?」

 

八神と海藤は今起きている現状を踏まえ、点滅しているということは、何らかの危険信号を表しているものだと察した。

もし、あの点滅が終わったら、ウルトラマンネクサス、そして光輝はまさか・・・!?と、最悪のことを想定する。

 

そんな中、一発の銃声が轟くと、ザ・ワンはネクサスを押さえつけていた両手を離し、その両手で自身の左目を押さえた。

 

その銃弾が撃たれた方をチラリと見ると、先程持ってきたケースから取り出したスナイパーライフルを構えたたきながそこにはいた。

 

 

「光輝から離れろ!!離れろ!!近付くなザ・ワン!!」

 

 

それだけ言うと、更にもう1発スナイパーライフルをザ・ワンに向けて発射した。

そして更に

 

 

「光輝から離れろよザ・ワン!!私達の大切な友達に、何してんだよ!!」

 

 

いつの間にかネクサスとザ・ワンの元まで走って駆け寄っていた千束が、手に持っていたグレネードのピンを抜き、ザ・ワンの口目掛けて投げると、綺麗な放物線を描きながらそこまで届いたと同時にカッと閃光が走り、爆発を起こした。

 

 

 

遡ること少し前─────喫茶リコリコ

 

今から光輝の元に向かうことを伝えると、千束とたきなはミカと共に喫茶リコリコ内の地下にある専用の倉庫に居た。

棚に数多くの箱が並んでいる中、ミカの指示でとある2つのケースを引っ張り出すと、軽く埃を払っていく。

 

「先生、これって?」

「スナイパーライフル、それとショットガンだ。もし、2人と光輝君を狙ってビースト・ワンが現れるかもしれない。ヤツにはいつもの銃ではダメージを与えられないことは既にわかっている。不要かもしれないが、護身用として持っていきなさい。」

 

それと・・・と、一つ深呼吸を入れ、ミカは2人に伝えた。

彼女達に、大人として大切なことを。

 

「私にはわかる。彼は絶対に謝る。もう二度と、2人に酷いことは言わないはずだ。彼はきっと、私達を巻き込みたくなかったんだ。だから、光輝君が謝ってきたその時には、許してあげて、仲直りをして、ここまで連れてきなさい。これは・・・喫茶リコリコの店長としての、業務命令だ。」

 

「・・・はい!」

「・・・わかってるよセンセ。光輝・・・絶対に連れてくるから!」

 

 

 

そして話は戻り現在

 

事実、ミカから持たせられたスナイパーライフルは役に立った。

とはいえ、まさかここまでの大きさにザ・ワンが変化しているとは思わなかったため、ショットガンでは効果が薄いと判断し、千束は先日再度DAから提供されたグレネードを、持ち前の身体能力と動体視力を使ってギリギリのところまで近づき、グレネードをザ・ワンの口目掛けて投げて起爆させた。目を押さえていたザ・ワンはそれに対処することが出来ず、思わぬ衝撃によってバランスを崩して後ろへ数歩よろけたことで、ネクサスを押さえつけていた足も離れたため、再びネクサスは体の自由が効くようになる。

 

「光輝!!」

「今だよ!!」

 

千束とたきなの呼びかけにそちらの方を向いて力強く頷き、ネクサスは右の拳を強く握り力を籠めると拳が光り出していく。そのまま光の拳、ジェネレードナックルをザ・ワンの胴体に叩き込むと、ザ・ワンは大きく吹き飛ばされた。

 

「よっしゃあ!」

「行け!やっちまえ!」

 

体の自由が取れるようになったネクサスは2度ほどバク転をし距離を取ると、気合を入れるかのように一度構えると、ザ・ワンに向けて走り出し、途中で踏み切ると、飛び蹴りをザ・ワン目掛け叩き込むと、そのままドリルのように回転していく蹴り技、スピニングクラッシュキックを決める。

その速さと摩擦から周囲には炎が立ち上り、それによってザ・ワンも大きく苦しみ出す。タイミングを見て、蹴っていた方と反対の足を体に叩き込み反転し、もう一度ザ・ワンとの距離を取る。そのダメージからか、ザ・ワンは立ち上がるのにも時間が掛かっていた。

 

そして、以前もザ・ワンに向けて撃った光線、クロスレイ・シュトロームを撃つため、左腰に手を構える。

が、撃とうと手を十字に組もうとする直前、エネルギーが限界を迎えたのか、ネクサスは片膝をついた。

 

「!?光輝!」

「どうしたんだ!?」

「まさか、さっき体から光が捕食されてたから・・・!?」

「あれがエネルギーだったってことか!?じゃあ、まさかもう・・・!?」

 

全員がそのネクサスの様子を不安視している中、片膝をついて動けなくなったネクサスを見たザ・ワンはこの機会を逃すまいと体を丸めると、その体は青い光に包まれる。そのまま一塊の青い光となったザ・ワンは、どこかへと飛び去って行く。

 

その様子を見て、待てと言わんばかりにネクサスも手を伸ばしたが、その手は届かず、再び地面に手を付くことになり、ネクサスもまた、一瞬全身が光ると、その姿は消え、ネクサスから光輝の姿へと戻った。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

肩で息をしながらもなんとか立ち上がろうとするが、体が思うように動かせず、そのままバランスを崩し倒れ込むが、慌てて駆け寄ってきた4人がその体を起こした。

 

「光輝!ねぇしっかりして!光輝!!」

「光輝君!おい!しっかりしろ!死ぬな!!」

「・・・ハァッ、ハァ・・・ッ、大丈夫・・・ちょっと・・・疲れただけだから・・・」

「バカ!何カッコつけてるんですか!それに、こんな傷まで・・・っ!」

 

たきなが胸に目をやると、先程まで戦っていた時のダメージがその体にも出ており、中でも先程多くのダメージを受けていた胸元からは血も出ており、服の上からではあるが、出血も酷く、すぐに手当てをしないと命に関わるほどの重症に見える。

 

あんな巨大なザ・ワンから、自分達を守るために必死に戦った結果、命からがらな状態となり、こんなケガまで負った・・・リコリスでありながら、守ってもらう立場にあったことに対する悔しさと、目の前で血を流しながらボロボロになっている友達の様子に、たきなの胸が締め付けられていく。

 

しかし一方、当の光輝はピンピン、とは言えないが、気丈にも笑顔を全員に向けていた。

それはまるで・・・もうすぐ死ぬ人が最後に笑顔を向けているかのようだった。

 

「ごめん、たきな・・・心配かけちゃって・・・でもこれくらい、大丈夫だから・・・」

「ふざけたこと言わないで!今手当をしますから!光輝が死ぬのは嫌なんですよ!だからもう喋らないで!!・・・お願いだから・・・」

「だから・・・大丈夫だって・・・」

 

それだけ言うと、着ていたブレザーの右の裏ポケットに左手を入れ、何かを取り出した。

千束にたきな、そして八神に海藤。裏社会と頻繁に関わり、銃もそれなりに見てきた彼らでさえも、それを見た瞬間、見たことがないと思った。

 

その、どこでも見たことがない白と銀の銃、ブラストショットを取り出し空に向けるが・・・

 

「おい坊主!何ふざけてんだ!」

「バカ!どこまでバカなんですか光輝は!?いい加減にしてくださいよ!!本当に死にたいんですか!?嫌だって言ってるじゃないですか!!話聞いてくださいよ!!」

 

さすがにこの行動の意味がわからなかったことや、何をするかわからなかったため、全員から腕を押さえつけられ、強制的に腕を下ろされる。

 

「いや、だからさ・・・?」

 

なんとか腕を抑えるのをやめてほしい。そうじゃないと・・・そう思っていると、頬に何か水のようなものが当たった感触があり、その方に目を向けてみる。

 

「・・・ちさ、と?」

「やだ・・・!やだ!!絶対いや!!嫌!!・・・やだよ、私、光輝が死んじゃうの、嫌だよ・・・いやだよぉ・・・」

 

目の前で息も絶え絶えな光輝の様子に我慢が出来ず、遂に千束は泣き出しており、その涙が自分の頬に当たったのだとわかると、何とか空いている右手を千束の目元まで持っていくと、その涙を指で拭った。

 

「千束、ごめん・・・泣かないで・・・ただ、俺、今から・・・自分の身体、治療するから・・・手、どかして・・・絶対、死なないから・・・」

「・・・えっ?」

「お願い・・・皆も、頼むから・・・」

 

それまでの悲しい空気から一転し、全員が何を言っているのかわからなかったが、さすがにこの切羽詰まった状況で嘘を言っていないことはわかったため、仕方なく全員が光輝の腕から手を放した。

 

ありがとう、と弱々しく言うと、改めて、ブラストショットを握っている左腕を空に向け、一度だけ引き金を引いた。

ブラストショットから放たれた弾は赤い光を放ち、一部分まで行くとまるで花火のようにその赤い弾は弾けた。

 

全員が今起きていることに全く理解が出来ておらず、呆然と空を見上げている中、立ち上がるだけの体力が戻ったのか、片手を支えになんとか光輝は立ち上がったものの、それを見た全員は慌てて肩を貸し、倒れないように支える。

 

「大丈夫?まだ無理すんなって・・・」

「ありがとうございます八神さん。ただ、もうすぐ来るんで・・・」

「来るって・・・何が?」

 

来る、と言ったが、何が来るのか。それを聞こうとしていた矢先

 

 

─────"空から急速な勢いでこちらに向かってくる何かがあった。"

 

 

それはぱっと見た限りでは飛行機のようだったが、それにしては小さい。

その何かは、空中で向きを変えると、今いる全員の方へと急速な勢いで向かってきたため、咄嗟に千束とたきなは銃を構え、その何かに向かって引き金を引こうとした瞬間─────

 

「2人とも、あれ俺の・・・」

「「はぁ!?」」

 

目の前にいる光輝がウルトラマンネクサスの正体であり、部屋の中を見てもそれらしきものが何もなかったのに、まさか変身するために必要なアイテムがあんな小さい剣だったとは。加えて、どこでも見たことがない銃まで所持していた・・・このたった数十分で何度も現実離れしたものを見てきて、そして光輝は先程の戦いでボロボロになってしまった。そのことで頭がいっぱいになっている中で、まさかこんな飛行機のようなものまでもが突如出てくるとは思ってもみなかった。

先程からの一連の流れを含めて、全てが理解出来ないことの連続に、全員の頭も理解が追いつかず、オーバーキャパシティ気味になってきていた。

 

そして、その飛行機のようなものが近くに停まると、その全容が明らかになった。

飛行機だと今まで思っていたものは─────

 

 

「・・・何これ?石?」

 

 

千束の言うように、"石"であった。

 

"石で出来た、飛行機のような何かが空を飛んでここまで来たのだ。"

 

翼のような形をした石が両端に2枚装着されており、真ん中には胴体とも言えるパーツがあり、ネクサスのエナジーコアを模した形も型取られている。更に特徴的なのは、その胴体と言えるパーツの後ろには、丸い球体上の石がくっ付いていた。

当たり前だが、こんなものが空を飛べるはずがない。だとすると、これもネクサスの何かなのだろう、というのは容易に想像がついていたが、誰もが口に出さないが思っていたことがあった。

 

この飛行機、いや石には─────"いわゆる、コックピットがない。"

 

そもそも、大きさだけで言っても、明らかに2メートル程度しかない。正直、大人どころか、子供でも乗るのがやっとなサイズ・・・というより、それ以前に、そもそもこれは石だ。当たり前な話だが、石に人が乗れるわけがない。だからこそ、一体、これをどうするのだろうか。そして、これでどう治療するのだろうかと、口には出さないが全員が疑問に思っていた。

 

そんな中、先程空へ向けて撃ったあの光の弾丸が、光輝の場所を知らせるための発信機になったのかもしれない。だとすると、あれは信号弾か何かなのかと千束は考えつつ、たった今目の前にやって来たこの石に興味本位から、恐る恐る触ってみようと手を伸ばす。

 

「千束!触らないで!」

 

すんでのところで触ろうとした千束に光輝が声を荒らげて触るのを止めさせると、その声に驚き、ひゃい!と素っ頓狂な声を上げ、触ろうとしていた手を下げた。

 

そして、八神から離れ、一人その石へと向けて光輝は歩き出し、目の前まで行くと全員の方を振り返った。

 

「それじゃ、すいませんけど、これからこのケガ治してきます・・・体のケガが治り次第リコリコへ向かうので、先に戻っていてください。」

 

言葉だけを聞くと、病院に治療に行くための患者なのだが、いかんせん状況が状況すぎて、全員が何を言っているんだ?と呆然としていた。

その中で恐る恐る、というより若干引きながら、千束が代表して質問をしてみた。

 

「いや、あの・・・ねぇ光輝・・・それでどうやって治療するの・・・?てか、それ、どうするの・・・?」

「後で全部話すから、今は先に戻ってて。」

 

それ答えになってないじゃん、と思いながらも、いつも通り優しい笑顔を浮かべた光輝に仕方ない、と千束は納得した。

 

「わかった。リコリコで待ってるから、絶対来てね。」

「うん。遅くならないように早めに行くから。」

「・・・今度は、逃げないでくださいね。」

「わかってるってたきな。もう、逃げないよ。」

 

その言葉にもう嘘はないとわかっている。だからこそ、互いに笑い合った後、再び石の方を振り返った光輝に、八神が声を掛けた。

 

「光輝君・・・俺達のことは気にしなくていいから、一度家に帰った方がいいと思う。親御さんも心配してると思うから、会ってきな。」

 

それは自身の経験から来る後悔もあったが、そんなことには絶対させないと思いつつも、ひょっとしたらこれが・・・家族に会える最後の機会になるかもしれないと、八神は思っていた。だからこそ、八神は光輝に一度親に会っておくことを薦めてみた。

 

「・・・ありがとうございます。だったら、ちょっとだけ会ってきますね。服も汚いので、ついでに着替えもしてきますね。」

 

全員の方を再び振り向き、はにかみながら笑顔を浮かべた光輝に、全員も心配させないように笑って返す。

 

それを見て、再び石の方を振り返ると、突如光輝の体が青白く光り出し、それに全員が驚いていると、光輝は青白い光となってその石の丸い球体の部分に取り込まれた。

 

「えええええっ!!?光輝が光って!?石の中にぃ!?はっえぇっ!?」

「ちょいちょいちょいちょおおおおおおい!!?いやどういうことなの光輝ーーーー!?」

「嘘だろ・・・!?」

「もうわけわかんねぇ・・・」

 

明らかに人が乗れるわけがないこの石でどうするのか?と思っていた中で、まさか光になって乗り込む。というより取り込まれた、という表現の方が正しいかもしれない。誰もが予想だにしていない方法に全員が驚いていると、その石は突如として光り出した。

 

光が止むと、先程の石、というような色合いから、白と赤に全体の色が変わり、それこそ飛行機のような見た目へと変化した。

 

色が変わった石、"ストーンフリューゲル"は、まるで自立しているかのように向きを変えると、そのまま急速な勢いで空へと飛び去って行った。

 

「・・・ウルトラマン、やっば・・・」

「もう私・・・言葉が出ないんですけど・・・」

「あいつ、やっぱ宇宙人なんじゃねぇの・・・?」

「・・・かもしんないわ、海藤さん・・・人を見る目はある方だと思ってたんだけど・・・あれ人間業じゃねぇって・・・」

 

残された4人は、その様に唖然としながら、飛び去って行ったストーンフリューゲルの方向を見ながら思い思いの感想を言っていた・・・

 

 




仲直り・正体バレ・名前判明・ウルトラマン が なかまにくわわった・戦闘、そしてボロボロ・・・と、詰込みに詰めました。まるで椎名先生版ネクサスみたいになりました(笑)
ナックレイジェネレードをアンファンスでも撃てるようにさせたのは独自設定ですが、ご容赦ください。

そんな中でも一つだけ言わせてください。
ネクサスなんだから、光喰われる描写なきゃダメだろ。

で、ここからはほんの少しだけ、事後解説をさせてください。

ウルトラマンという作品において、正体がバレる、いや明かすというのは、他のヒーロー作品にはない、ウルトラマンならではの非常に重要なシーンだと一特撮ファンとして思っています。
ネクサスだとそういうシーンの味付けは薄いのですが、ただ、ウルトラマンという作品を扱うのであれば、ここは一番熱を入れなければ・・・と思っておりましたので、前回の悲劇的な正体バレを上書き出来るよう、こだわりを持って書きました。
ただ、この作品ではちさたきの2人から言わせるパターンにさせてもらいました。
どちらもどちらで良さはありますが、読まれている皆さんは自分から正体を言うか、それとも誰かから言われるパターンのどちらが好きでしょうか。

そして、ようやく、ウチの子が仲間になりました。
というか、10話(閑話含めたら12話ですが)もかけて、ようやくオリ主が本当に仲間になる作品って・・・まぁーーー、ウチだけでしょうね(笑)
仲間になるまで20万文字もかかったでござる・・・

ちなみにタイトルですが、これはもう、ネクサス好きならば、言わずもがな、わかっていただけるでしょう。


それと、本文中にとあるバンドの曲の歌詞を引用させていただきましたので、以下楽曲情報と、使用楽曲コードとなります。


アーティスト名:ELLEGARDEN/楽曲名:ジターバグ
使用楽曲コード:109-7371-1


名前は出しませんでしたが、ウチの子の一番好きなバンドは、このバンドという設定です。
なので、本文中に出てきたCDというのは、ジターバグのシングルのことです。
ぼ〇ろに影響されたわけじゃないよ!だってあっちはアジ〇ンだから!後着〇恋に影響されたわけでもないよ!


それと、ここまで読んできてなんとなく思っている方もいるかもしれませんが、この作品、すでに後半まで差し掛かっています。
なので言います。

そう遠くないうちに、この小説、終わります。

なので、最後までお付き合いいただければと思います。
ではまた次回。
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