+LycorisーNEXUS JUDGEMENTー   作:ワンホットミニット

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
もちろん、このSSは終わらせるつもりではおりますので、よろしくお願いいたします。

少しお待たせしました。第5話です。

ここから少し八神というか、ジャッジアイズのキャラがメイン回となります。
なので、これまでもそうですが、タイトルは少しずつその作品に寄せたタイトルにしております。
(ジャッジアイズの場合はチャプターとなりますが)


もちろん本編中も関連人物やワードは出てきますが、原作リコリス・リコイルとはいったい(ry


今回ですが、あるキャラを出しております。
この小説を書く上で、どうしても出したかったキャラの一人です。
そこについては後書きでも書きます。




ジャーナリスト

東京─────某出版社

 

「ここか、まーたでっけーところだなぁ。」

 

八神と海藤はこの日、神室町からほど近い、とある出版社へと来ていた。

八神探偵事務所としては久しぶりに、ペット探しなどではない依頼だったので、いつも以上に気合を入れていた。

最も、どんな依頼でも全打席フルスイングが八神探偵事務所のモットーであるため、そういったペット探しにも手を抜いているつもりは毛頭ないのだが。

 

だが、今回は依頼人からの指定で、珍しくこちら側から出張し話を聞くということとなり、こうして依頼人がいる会社が入っているビルまで足を運んだというわけだ。

早速、エントランスに入り受付に要件を言うと、八神と海藤はその会社の会議室へと通され、少しの間依頼人を待つ。

 

そして暫くした後、今回の依頼人が入ってきた。

 

見た目だけではあるが依頼人は、こういった出版社の人間とは思えないようなワイルドな雰囲気を醸し出している。

また、着ているジャケットからチラッと見えた程度だったが、右腕~右手にかけて包帯を巻いている。ケガをしているというのは誰が見ても理解出来るが、それと同時に、もしかしたらこのケガが今回の依頼と何か関係があるのか・・・?そう八神は一人考えを巡らす。

 

そんな中、依頼人がジャケットから名刺入れを取り出したので、それにつられて急いで八神もオフィスチェアから立ち上がると、名刺入れから名刺を一枚取り出す。

 

「はじめまして。八神探偵事務所の八神と申します。隣にいるのは、同じく八神探偵事務所の海藤です。」

「海藤だ、よろしくな。」

 

八神は名刺を渡すと、今回の依頼人もまた名刺入れから一枚名刺を取り出し、お互い名刺交換をしながら、依頼人もまた、自身の名前を名乗る。

 

 

 

「はじめまして八神さん、海藤さん。株式会社東日の姫矢と言います。」

 

 

 

今回の依頼人である姫矢が対面に設置されているオフィスチェアに座ると同時に、八神も再び座り姫矢と向かい合う。

早速、今回の依頼内容についてのヒアリングを始めていく前に、念の為確認をしてみることにした。

 

「今回ですが、源田先生からご連絡があり、私どもに依頼したいとのことでしたが、こちらはお間違いないでしょうか?」

 

源田先生とは、八神が弁護士をしていた頃に勤めていた法律事務所の所長である。

弁護士を辞めた今でも深い繋がりがあり、仕事の依頼が少ない八神探偵事務所としても、時折だが、源田法律事務所に来る依頼の調査を代理で引き受ける、もとい仕事がないかと頼ることが多い。

 

そんな中、今回は源田法律事務所に来た連絡ではあったが、八神探偵事務所にお願いしたい依頼ということで、こうして引き受けたわけである。

八神自身、その連絡を貰った時、源田法律事務所を介して自分に依頼するのは珍しいと思ったが、その理由は姫矢の口から語られた。

 

「ええ、そうです。すみません、あなた方のサイトやSNSもなかったので直接連絡を取ることが難しく。それで以前、大久保新平の事件があった時に在籍していた、源田法律事務所のことを思い出し、そこならば繋がるのではないかと思い、ご連絡させていただきました。」

 

さすがは週刊誌とか色んな雑誌を出版している会社だけありますね。と相槌を打ち、その連絡の取り方に良くも悪くも感心している中、確認が取れたところで、では、今回の依頼内容は?と八神が姫矢に尋ねると、姫矢の依頼内容は意外なものだった。

 

 

「実は・・・アドデック9の事件の解決や京浜同盟の銃の件など、様々な危ない事件を解決したあなた方の腕を見込んでなのですが・・・私をつけ狙っている者が誰かを調べてほしいんです。」

 

 

予想外の依頼内容に、八神は思わずえっ?と驚き、聞き返した。

 

目の前にいる姫矢は男性であり、年齢的には自分よりやや少し下くらいに見えるが、それでも決して自分で何も出来ないような病気やケガなども外見からは見えない。むしろ、外見だけで言えば、ワイルド、という印象を受ける。正直、ナヨナヨしたところは一切見えない。

 

強いて、今ケガをしているのは右腕だけであるが、それでも決して動かせないというわけではないため、骨折ではないというのは見て取れる。加えて、足は問題なく動いている。

だからこそ、何かあっても逃げ出せるのでは・・・と、楽観的な考えも浮かんできた。

 

あるいは、つけ狙っている相手というのは、いわゆる暴力団などで、そういった暴力沙汰に巻き込まれる可能性を鑑みて、自分へ依頼をしたのか・・・など、あれやこれやと思慮を巡らす。

 

ただ、そういったものは最悪のパターンであり、その考えは一旦隅に置き、こういったつけ狙っているという依頼でよくある、女性問題で話を持ち掛けてみようと決めた。

そうであるならば、交際している相手や浮気相手からストーカーでもされている・・・という、これまでの経験から想定される定番パターンも通用し、加えて、その対策も経験から練ることが出来る。

一旦はそう決め、八神は姫矢に今回の依頼内容の全体像を把握するための質問をしていく。

 

「えっと・・・まず、姫矢さんすみません。一体誰に狙われているんでしょうか?例えばですが、浮気とかでその交際相手や今お付き合い、もしくは結婚している方から狙われている・・・とかでしょうか?」

「いえ、そういった女性問題では一切ありません。」

 

女性問題ではない・・・とすると、お金のトラブルか?まさか、今考えた最悪のパターンで、これはまたお決まりのパターンになるやつか・・・と、悪い意味で最悪の結末を想像している中で、海藤も同じようなことを考えていたのか、一足先に姫矢に質問を投げかけていた。

 

「じゃああんた、何かやったとかか?例えば、ギャンブルとかで大きく借金とか?あるいは、暴力団とかから命を狙われてるとかか?」

「いえ、そういったことも仕事が忙しいということもありまして一切していません。お金関係でもありません。加えて、取材で暴力団を追うこともありますが、今はないです。」

 

女性問題でもお金問題でもない。いわゆるこういったストーカー問題でよくある原因の2つではない、と依頼人はハッキリと言った。加えて、先程少し考えていた、暴力団でもないと言った。

 

だとしたら、じゃあ何だ・・・?と、2人揃って皆目見当がつかなくなっている中で、姫矢は部屋に入る時に持ってきたクリアファイルの中から1枚の写真を取り出すと、八神と海藤に手渡す。

 

「・・・何だ、こりゃ?」

 

そこに映っていたのは

 

 

─────まるで何か昆虫のようなビジュアルをした、二本足で立つ怪物が写っていた。

 

 

「あの・・・これ、何ですか?映画の撮影とかですか?」

 

写真の中に写る怪物は、まるで映画やそれこそヒーロー作品に使われるような悪役のスーツとも言えるようなビジュアルをしていた。

依頼の概要がわからない中で、いきなりこのような写真を手渡してきたため、2人も一体どういうことなのかわけがわからなくなってくる。

 

「八神さん、海藤さん。冗談だと思われるのは重々承知しているのですが・・・それでも、どうか真剣に聞いてください。この写真は映画でもドラマの撮影でも、CGでもなんでもないです。現実の光景です。」

 

八神も海藤も、こんな所に依頼として呼び出すことは真剣な依頼だと承知しており、言っていることも冗談だとは思っていなかったが、それでもやはり、信じられない・ふざけているのか、というのが正直なところだった。

 

だが、この写真は空想でも撮影でも、CGでもなんでもなく、現実の光景だと釘を刺した上で、姫矢はこの写真を撮影した日のことを語り始めていく。

 

「この写真を撮影したのは3週間ほど前になります。前々からなのですが、私はとある都市伝説を追っていたんです。」

「都市伝説?」

「"政府に反抗する凶悪犯罪者を殺して回る処刑人"・・・って、聞いた事ありませんか?」

 

突然出てきた都市伝説に対し、そういったものに対しての知識が乏しい八神はなんだそりゃ?というような態度を取ったが、海藤には思い当たる節があった。

 

「あー・・・なんか松金組にいた頃に、そんなの聞いたことあるな。」

 

まさか隣にそれを知っている人間がいるとは・・・海藤が知っているようなので八神は興味を持ち、どんな都市伝説なの?と海藤に尋ねてみると、うろ覚えだけどな・・・とあらかじめ伝えた上で、その都市伝説について説明をしていく。

 

「ヤクザや極道、あるいは犯罪者とか誰でもいいんだけどよ、とにかくどっかの誰かが人殺しとか強盗とかの悪事を計画して、いざ実行に移そうとしたら一向に起こらなくて・・・で、少ししたら、その実行犯が殺されてる。ただ、その死体なんかは一切出てこない・・・みたいな話だ。松金組にいた頃に組の奴がそんなこと言ってたんだけどな。でも姫矢さん、まさか本当にそんな奴探してんのか?」

「はい。元々なのですが、社会に隠されている真実を暴きたいという想いが常にありまして、それでこの会社に入社し、裏社会の実情や、隠された真実を追うことをメインで行っています。その中で色々と取材や調査を重ねていくうちに、多くの人の口からその都市伝説が出てきまして、それで前々から調べるようになったんです・・・それに、"あの延空木の一件"もありましたから、尚の事それが都市伝説ではないと思っているんです。」

「例の、あの事件か・・・」

 

姫矢から話の流れで振られたとある事件。

それは半年程前に起きた、新たな平和の象徴として建設されたランドマーク、"延空木"の完成記念セレモニーの時に起きたとある事件・・・正確に言うとアトラクションのPRになる。

 

だが、八神も海藤も、姫矢から振られたその事件に対して、一つ、確信していることがある。

 

 

あれは・・・PRなどではない。

正真正銘の、”テロリズム”だったと。

 

 

去年末、その延空木の完成記念セレモニーが行われている中、突如様々なテレビや該当ビジョンがジャックされ、緑色の髪の男が突然現れたと思いきや、この日本の真実だと言い、制服姿の女の子が銃を持って延空木に立てこもるという映像が長時間に渡り流れ続けていた。

 

しかし、放送から数時間が経った後、全てこの延空木で運行予定のアトラクションのPRだという映像が差し込まれ、それを見た全員がなんだPRかと納得し、結局それはそこまでで終わった。

その後、東京都知事がその件について説明をし、半年程が経った今では延空木の人気アトラクションとして現在も稼働している。

 

しかし、あの時の緑色の髪の男の所在はどの芸能事務所も関係を否定しており、ネット上でも未だに、あれは本当だったのでは?という噂が少なからず出ているが、その都度、まるで仕組まれているかのように、”燃えるようで燃えない”、というのがほとんどなのだが。

 

その事件を踏まえた上で、姫矢は死線を多く潜り抜けてきた目の前の2人に、依頼とは関係ないが、どうしても聞きたかったことを質問してみる。

 

「あの、お2人は京浜同盟、それに、アドデック9の事件等でそれなりにそういったものも見てきましたよね・・・?私も大久保新平さんのドキュメンタリーは読ませていただきました。これは事件とは関係ないですが、その上で、お2人から見て、あの延空木の一件は・・・どう見えましたか?私は・・・あれがPRなわけはないと思っています。」

 

依頼とは関係ないが、ひょっとしたらこれが何かに繋がるかもしれないという期待や、依頼人の信頼を得るためにも、姫矢の問いに対し、少し考えた上で、自分達の見解を話していく。

 

「俺らもそん時の映像を直接見ていたわけじゃないんですが・・・姫矢さんと同じで、アトラクションのPRなワケがないだろ、ってのが、一個人としての正直な感想です。あんなゲリラ的に流れた映像が、PRのはずがない・・・俺はそう考えてます。それに、俺もそこまで詳しくはないですが、広告会社も噛んでないって話ですから・・・もしPRをやるのであれば、広告会社を通さないなんてありえないと。あんな大規模なものなら尚更です。だから、俺はあれは本当に、あの緑色の髪のテロリストが起こしたテロだと思ってます。」

「あぁ。俺もター坊の考えと同じだ。それに、あのチャカ・・・俺も昔極道やってたからわかるけどよ、あれは遊びじゃねぇ。マジもんだ。だから、ひょっとしたらあの・・・リスリスだっけ?」

 

そのテロの中で言われていた、銃を持った制服姿の女の子。その緑髪の男曰く、"リコリス"と、彼女達は呼ばれていた。

それを八神は思い出し、リコリスね、と訂正すると、そうそうそれだそれだ。と海藤は八神を指さし、一つ咳ばらいをし改めて話し始めた。

 

「だから、ひょっとしたら、姫矢さんが追ってる処刑人の正体ってのは、そのリコリス・・・なのかもしれねぇな。まぁ、ヤクザでも持たせてもらえねぇ奴がほとんどなのに、女子高生にチャカをホイホイ渡すような組織がいるとは思えねぇけどな。それこそ、京浜同盟がバックにでもついてんのかもな?」

 

以前、知り合いである、コンピューターに強く、時にはその能力を使って自分達の依頼も手伝ってもらったこともある"九十九"という自分達の仲間から、その時の映像やスクリーンショットを八神も海藤も見せてもらったことがある。

 

その時に見た映像から感じたことだが、良くも悪くも、他の探偵よりも銃やドスなど、明らかに法に引っかかるものもそれなりに見てきた。だからこそ、確実に言える。

 

─────あの銃は、モデルガンでもなんでもない。紛れもない、本物だった。

 

なので、あれはPRではなく、本物のテロだと2人は確信しており、そして、本当にリコリスという存在もいると思っている。と言っても、実際に遭遇したことはないのだが。

 

これらの考えから、あれは本当にテロだと伝えると、かもしれませんね・・・と、神妙な面持ちで姫矢は相槌を打ち、2人も自分と考えていることが同じだということに少しホッとする。

 

そこでふと、依頼内容のことを思い出し、話が脱線したことに失礼しましたと謝罪を入れ、改めて、本題なんですが・・・と切り出し、今回の依頼に繋がるきっかけとなった、自身の身に起こったとある事件の話にへと入っていく。

 

「改めて、3週間ほど前になりますが、何かをするということまではわからなかったんですが、郊外のとある廃ビルで、これから悪事を起こそうとしている集団がいるという噂を聞きつけた私は、ひょっとしたらそこにいけばその処刑人が撮影出来るのではないかと思って、単身向かっていました。その敷地内に入る少し前、そのビルの方から、悲鳴のような声が聞こえたんです。それに気付いて慌ててそのビルに入ると、この怪物がいたんです・・・」

 

その表情から、それが冗談じゃないということは2人もわかっている。

だが、いかんせん現実離れしすぎたその内容は、まるで何かパニック映画のあらすじを聞いているかのようだった。

ただ、それでも一向に話が終わる気配はなく、姫矢は話を続けていく。

 

「幸いにもその怪物は私に気付いていなかったので、物陰に隠れながらですが、その時に撮影したのがこの1枚です。ですが、撮影したその直後に私に気付いた怪物がすごい勢いで向かってきて切りかかってきたんです。それでカメラが壊されてしまいまして・・・実は、この右腕のケガはその時に受けたものなんです。」

 

チラリと目線を右腕に向ける姫矢に、もちろんそれを口にすることはなかったが、やっぱりそうか・・・と、姫矢が部屋に入って来た時から想像していた通り、このケガは今回の依頼に繋がっていたと八神は心の中で合点がいった。

とはいえ、まさかこのケガがそんな怪物から受けたものだというのは、想像もしていなかったが・・・

 

目線を改めて八神と海藤に向けた後、姫矢はさらにその後自身に起こっていた状況を事細かに話し続けていく。

 

「スマホはあったのですが、撮影をしている場合ではなかったため、私もやっとの思いでビルから脱出しました。ただ、逃げていた中で個人的に感じたことなのですが・・・すぐ殺すのではなく、私が怯えて逃げ回っているその時間までも怪物は楽しんでいたようでした・・・もうダメかもしれないと思ったその時に・・・彼が現れたんです。」

「彼?」

 

彼、と、突然出てきた謎の単語に、誰か助けてくれた人。おそらく彼という呼び方からして、助けてくれた男性が来てくれたのかと八神は思った。

 

 

しかし、次に姫矢の口から飛び出したのは、全くもって予想外の言葉だった。

 

 

 

 

「・・・銀色の巨人が、怪物を倒して、私を助けてくれたんです。」

 

 

 

 

「「・・・ん?」」

 

 

・・・なんつった?

口には出さないものの、2人の心の中の言葉は、見事にシンクロした。

 

その言葉に八神も海藤も全く理解が出来ず、もう一度言ってもらってもよろしいですか?と確認の意味を込めて尋ねたが、やはり姫矢の口から出てきたのは、自分を助けてくれたのは・・・銀色の巨人、だということ。

 

助けてくれたのは人、ではなく・・・巨人、というその状況に、時間が経っても全く理解出来ず、次の言葉を言わなければならないが、あまりにも意味不明な存在を表すその言葉に脳の処理が追い付かず、数分、この場に沈黙の空気が流れる。

 

「えっと、姫矢さん・・・依頼人にこんなことを言うのは大変失礼だということは承知しているのですが・・・決してふざけているわけではないんですよね?」

 

その目が冗談を言っているわけではない、というのは長年探偵をしてきてわかってはいる。

なのだが、にしたって銀色の巨人なんて流石に現実離れしすぎている。フィクションの話としか思えないため、失礼を承知で八神は質問をしてみる。

 

「確かにお気持ちはわかります。ただ、決してふざけてなどいません!私は、彼に助けてもらったんです!」

 

自分がバカにされているわけではないというのは理解しており、今している話自体、夢のような話だというのも姫矢も重々承知している。ただ、それでもこれは本当の出来事だということを伝えるためにも、姫矢は声を大にし、八神に反論した。

 

それに対して2人も驚くがすぐに、失礼しました。と感情的になったことを謝罪し、姫矢はその銀色の巨人が現れた時の様子を話し始めていく。

 

「先程の話の続きになるのですが、私がもうダメだと思ったその時、その怪物に対して、空から突如赤い光が落ちてきたんです。で、しばらくしてその光が止み目を開けたら、その怪物を大きな拳が潰していたんです。その腕を辿って視線を移したら・・・銀色の巨人がそこにいて、私を見下ろしていたのです・・・見立てですが、50メートルはあったと思います。そのビルの何倍も大きかったので・・・」

「ご、50メートル!?」

「デカすぎんだろおい・・・」

「ただ、すぐに巨人は消えてしまったのですが・・・ジャーナリストとしてとてもお恥ずかしいのですが、私も巨人の姿に呆然としてしまい、撮影するのを忘れてしまっており、その姿を残すことは出来なかったのですが・・・」

「いや、そんなん現れたらそりゃ撮影も忘れますよ・・・」

 

怪物だけでも現実離れしている話の中で、銀色の巨人が現れてその怪物を拳で潰したという。しかも、見立てではあるが、50メートルはあったという。

もはや、怪獣映画の話でもしてるのか・・・?としか思えないような内容だったが、変わらずその目は本気であり、探偵の経験上、嘘は言っていないことはわかる。

 

だが、詳細に話を聞いてみても、やはり現実の話だとは到底思えず、2人は理解どころか、内容把握に努めるだけで精一杯だった。

 

「その後、消えた銀色の巨人と、廃ビルの中も少しだけ探してみたのですが、辺りには誰もおらず、ビルの中には血痕のみありました。おそらく、その怪物が・・・捕食したのではないかと・・・」

「ほ、捕食だあ!?なんだそりゃ!?おいそりゃゲームとかの話じゃねぇのか・・・?」

「死体もなかったので、おそらくその怪物が食べたと私は思っております。それに、また怪物が現れる可能性もありましたし、私が撮影したこの写真を一刻も早く伝えなければという使命感から、一旦はその場を後にしました。」

「・・・なるほど・・・にしても巨人なんて・・・そんなもんいるのか?宇宙人・・・か?」

 

一連の怪物、そして巨人の話を聞いても、やはり八神はまだ理解出来なかった。

ネス湖に現れたネッシーですら空想と呼ばれ、そして昔ではノストラダムスの大予言と言われていたことも外れ、未だに世界は続いている。

つまり、そんな大掛かりな話、大抵が嘘・作り話ということがほとんどだ。

 

ただ、この口振りは紛れもなく本当のことを言っていて、そして嘘偽りがない本当の目をしている。ましてや、こうして探偵に依頼をするということは、今回の依頼はよっぽど切羽詰まっているということなのだろう。

 

ならば、自分が知らないだけで、本当にいるのだろう─────そのような、人知を超えた存在が。

 

だとしたら、その銀色の巨人は初めてこの世界にやって来た宇宙人ということになるのかもしれない・・・それこそ、映画によくある、宇宙人が地球を侵略しに来たのかもな・・・と、あまりにも突飛な話に少し現実逃避していると、八神に代わって海藤が、姫矢に今回の依頼内容である、つけ狙っている誰かということについて質問をしていた。

 

「・・・で、姫矢さん、まさかとは思うが・・・ひょっとして、つけ狙ってるのって・・・まさか、その怪物か?それとも巨人か?」

 

海藤はその話から、まさかその怪物、もしくは巨人が姫矢をつけ狙っているのか?と予測したが、先程までの話を聞く限り、そんな大きさの巨人が出たら街は大パニックになり、すでに世界中で報道されていたはずだ。なので、そこについてはないだろうと高を括っていた。無論、怪物もだが。

 

ただ、いいえ。それらではありません。と姫矢は返し、さらにここからまだ続きがあると言わんばかりに、話を続ける。

 

「カメラは壊れていましたが、この写真のデータ自体は無事でしたのでこうして発行出来たため、このことを上司に提案し、熱量を持ってプレゼンしたことで、時間はかかったんですが掲載許可を貰え、それでウチで発行している雑誌に掲載するということが決定したんです。ただ・・・その写真が掲載される予定だった本誌が発売直前で突如、発売中止となったんです。」

 

発売中止?と八神が疑問に思うと、姫矢はその雑誌が発売中止になった経緯を説明し始める。

 

「その理由を上司に聞いたんですが、俺は良いんだが、上から改めて、このような映画みたいな嘘くさいネタのような記事を載せるなんて、ウチの看板に泥を塗る気か・・・というような理由で、ナシになってしまったんです。それに納得もいかず、話にも行ったのですが取り次いでも貰えずで。そして、その直後・・・一昨日からです。誰かにつけられているような気がしてるんです。」

「誰か?」

 

その経緯を説明している中でついに、例のつけ狙っている人物が誰か、という今回の依頼に繋がった。

 

しかし、話を聞く限り、その誰かというのが現状、全くもって該当する人物がいないと八神は感じていた。

 

もし、巨人や怪物が姫矢を狙っていたとしたら、一瞬で街がパニックになり、誰だって気付くはずだ。

だが、そのような話題は一切出ておらず、姫矢もそうではないと結論付けた。つまり、その2つは候補からは外れている。

 

だとしたら、同じ会社の人間か・・・?と、別の予想を立ててみる。

確かに、これを自分の利にしたい、というジャーナリストも中にはおり、自分が上げようとしたネタを取られてたまるか・・・となれば一応筋は通るかもしれない。

 

ただ、もしそうだとしても、一見するとこんな映画か何かのネタとしか思えない写真に、自分の立場を犠牲にしてまでも、そこまでこのネタに命を賭けるか・・・?とも八神は考えていた。

そんな様々な可能性を考えている中、一方の姫矢は更に話を続けていた。

 

「ええ。ただ、後ろを振り向いたりしたのですが、怪しい人物はいなかったためその誰かがわからず・・・なので実は昨日から家に帰っておらず、無理を言って会社に泊まっていたんです。会社にいれば、警備の方やウチの会社だけでない大勢の方も出入りしていますし、監視カメラもありますので、少なくともその誰かが来れることはないと判断したんです。」

「なるほど・・・だから、ウチにも直接訪問することが出来ず、源田先生のところへ・・・」

 

ええ。と姫矢が相槌を打ち、八神と海藤もまた、今回の依頼内容についてようやく把握することが出来た。

 

「ありがとうございます。状況はわかりました。その、つけ狙っている誰かを調べればいいというわけですね。」

「えぇ。本来であれば私で対処したいのですが、いかんせんこの腕なので誰か来たとしてもおそらく何も出来ないと考え、かといって社内の人間を危険に巻き込むわけにはいかないので。ひょっとしたら、ですが・・・この真実をもみ消そうという意思を持った組織が、私を消そうとしている可能性も考えたんです。」

「なるほど・・・そういった真実を消そうとしている組織がいるかもしれない・・・と。確かに、真実を隠したいという組織なんて、どこにもいますからね・・・」

「はい。おそらく警察だと相手にしてもらえないと考えていました。なので、危険なことに巻き込んでしまい申し訳ないとは思っているのですが、様々な事件を解決してきた八神探偵事務所さんのお力をお借りしたいと思ったんです。この写真を公開するまで、私は死ぬわけにはいきませんので!」

 

姫矢のジャーナリスト魂に感化され、八神と海藤もよっしゃ、と一つ気合を入れ、今回の依頼、承りました。と、改めて今回の依頼を承諾し、早速依頼の早期解決を目指すための行動を考え出す。

 

まず、今回の依頼内容はその姫矢を狙う誰かを見つけなければならないということだ。

なので、この会社にずっと居続けるのも、姫矢にも苦痛であるだけでなく、その相手の正体を掴めないということも意味していた。

 

ならば、こちらから動くしかない─────そう考え、八神は頭の中で考えた計画を話し出す。

 

「姫矢さん。まず、とりあえず今日は会社から出ましょう。もちろん私達も常にそばにいます。」

 

そのことに姫矢は承諾しつつ、ただ、と八神は付け加えた。

 

「申し訳ありませんが、一旦家に帰るのはお控えください。現状、相手が何人いるのかわからないので、家という一人の環境では、経験上何が起こるかわかりません。」

 

なので・・・と付け加え、八神はこの後の行き先を伝える。

 

自身が今考えている中で、最も安全な場所を。

 

 

「源田法律事務所にこれから行きます。」

 

 

 

日本─────DA本部

 

管制室のようなところで、多くのオペレーターが作業をし、目の前の大型ディスプレイで様々な情報をチェック・サーチしている。

その最上段では、楠木が椅子に座り、大型ディスプレイに映し出されている様々な情報を眺めていた。

 

「・・・!司令!ターゲットが出てきました!今画面に出します!」

 

オペレーターの一人が声を掛け、大型のディスプレイにとある光景を映し出した。

そこは、まさに今八神達がいる、株式会社東日が入っているビルであり、そのビル付近の監視カメラ映像を映し出すと、今回のターゲットが映し出されていた。

 

「いました!姫矢です!」

 

DAが狙っていたターゲットというのは、まさにこの姫矢であり、姫矢を狙っていたのは、他ならないDAだった。

姫矢が会社から出てきたことを確認している中で、オペレーターの内の1人があることに気が付く。

 

「姫矢の他にも2人います。この2人は、同僚でしょうか・・・?」

 

姫矢の隣には、スーツを着た男性2人がおり、まるで姫矢を挟むかのように3人横並びで歩いていた。

拡大しろ。と楠木は命令をし、その画面を拡大し、3人の顔をより鮮明に見せるような処理を施すよう重ねて命令をした。

 

そして、拡大された両隣の人物の顔。少しぼやけているのだが、その内の一人の顔を見て、楠木は軽く驚いた。

 

 

「この男・・・八神隆之か?」

 

 

八神隆之、その名前を出したことで、八神隆之って、あの八神隆之!?なんで彼が!?と、オペレーター室はたちまち騒然となる。

もちろん八神はここの社員というわけではない。だとしたら、何故ここに・・・?オペレーターの誰も予想が付かなかった。

 

一方、騒然となる管制室の様子を気にも留めず、楠木はあるところに連絡を取り始めた。

しばらくの押し問答が続いた後、その会話が終わり、ふぅ・・・と一息つき、少し考えた後、楠木はある命令を下す。

 

 

「・・・フキを向かわせろ。大至急だ。」

 

 

 

神室町─────源田法律事務所

 

「すみません源田先生。急な連絡に加えて、こんなお願いをしてしまって。」

「何、心配するな。ところでどうした?スーツなんか着て?」

 

八神と向かい合う初老の男性。この源田法律事務所の所長である源田 龍造は、八神が弁護士だった時に所属していた事務所の所長であるため、彼にとっては弁護士としての育ての親、とも言える存在だ。

今でも探偵としての依頼がないか聞きに来るほど、弁護士を辞めた後でも関係が続いており、こうして八神探偵事務所の突発的な対応をすんなり受け入れるのも、源田法律事務所側としてもよくあることだった。

 

その連絡を事前に貰い、受け入れる準備を整えていたのだが、全員が入ってきた際に、その服装を見て驚いた。

 

珍しく、いつもの革ジャンにジーンズという服装ではなく、スーツを着用しているため、入ってきた瞬間にまるで弁護士時代のことを思い出し驚き、何故スーツを着ているのかについて尋ねずにはいられなかった。

一方の八神も、聞かれると思ったのか、服装を変えた理由を話し始める。

 

「実は、自分達が今姫矢さんのボディーガードをしてるんですけど、そのつけ狙っている誰かが服装を見て、あいつらが姫矢のボディーガードだと相手にバレたらまずいと考えたんです。だから、そうとは見せないように、スーツを俺も海藤さんも会社の方からお借りして。事情を説明したらありがたいことに納得していただき、他の方ので良ければと言って快く貸してくれたので助かりました。」

 

なるほど・・・と源田が思っている一方、源田法律事務所に所属している弁護士の星野 一生と城崎 さおりの2人は、姫矢が撮影・現像した、例の怪物の写真をまじまじと眺めている。

 

「さおりさん、こんな怪物、本当にいるんですかねぇ・・・?ネッシーとかUFOレベルの都市伝説にしか僕は思えないんですが・・・」

「正直、ふざけてる。と捉えられても仕方ないと思いますが、ただ、今日電話を取った際の姫矢さんの口振りや、八神さんに依頼したいということだったので、この怪物は本当にいるんでしょうね。」

 

はぁ・・・と呆気に取られている星野を横目に、さおりは来客用の椅子に座り、窓の外を眺めている姫矢をチラリと見る。

 

その姫矢は、窓の外から誰か変な人物がいないか・向かってきていないかを、来客用のソファに座りながらではあるが、海藤と2人でじっと観察している。

 

 

姫矢を守るために、わざわざこの源田法律事務所に来たのはもちろんワケがある。

 

八神探偵事務所でもよかったのだが、もし相手が複数いた場合、八神探偵事務所だけだと依頼者に何かがあった際、100パーセントの安全確保が出来ないと八神は考えた。

 

ならば、かねてより探偵の仕事をする中で依頼者の安全を確保するために源田法律事務所に一時的に匿ってもらうことが何度もあり、この方が安全だということや、もし怪しい人物が来たとしても、八神探偵事務所よりも、源田法律事務所の方がはるかに社会的信用が高く、すぐに警察も駆け付けてくれるはずだと踏んだからだ。

 

そして何よりも、いくら姫矢を狙う相手の正体が誰かはまだわからないとはいえ、弁護士という、悪事を一から説明が出来、かつ、法律という、日本の絶対的なルールを基に根拠立てて言えるような立場の人物が居る場所に突っ込むなんて、はっきり言って、悪事を働いている人間からすれば、警察と同じレベルで突撃したくない場所だというのはバカでも理解出来るだろう、と。

 

その2点から、現状、八神が知りうる中でここが一番安全だと考え、こうして源田法律事務所に来たというわけだ。

 

取り急ぎ、八神は見えないところでスーツからいつものレザージャケットとジーンズに着替え、この後の方針を全員に話し始める。

 

「それじゃ改めてだけど、とりあえず俺はこの辺りで怪しい人物がいないかを探してみる。悪いけど、海藤さんは安全確保のためにここに残っておいてもらえると助かる。源田先生達の安全についても頼んだよ。」

「あぁ、任せとけ。まぁ、ここには星野君もいるから、ぶっちゃけ、俺の出番はないかもな。」

「ちょっと海藤さん!?」

 

慌てている星野と、それを見て更に茶化している海藤を横目に、八神は姫矢から先程の写真を少し貸してくれないかと相談を持ち掛ける。それに対して姫矢は少し困惑したようだったが、その理由を話した。

 

「もし姫矢さんを狙っている誰かが、ひょっとしたらこの怪物に関する情報を持っているかもしれません。なので、これを見せれば、何かしらの情報が出てくると考えたんです。だから、お願いします。悪用は一切しませんので。」

 

わかりました、それならば・・・と姫矢は承諾し、その写真を渡した。

その写真を受け取り、レザージャケットのポケットにしまうと、八神は入り口のドアへと向かっていく。

 

「そんじゃ、俺はちょっとこの周辺見回ってみるから。何かあったらすぐに連絡お願い。こっちも何かあったらすぐに連絡するから。」

 

それだけ言うと、八神はエレベーターを使い1階へと降り、とりあえずこの近辺を散策し、源田法律事務所に近づく怪しい者がいないかの調査を始めた。

 

 

 

そして、源田法律事務所から出てきた八神を見張る、赤い制服と紺の制服を着た、女子高生らしき女の子もまた、八神が動くと共に動き始めた─────

 

 




というわけで、ウルトラマンネクサスより、姫矢さん、いや姫矢を出しました。
もちろん、彼はご本人ではなく、この世界の名前も同じで、顔までそっくりの、別人、という設定です。

そして、姫矢が助けられたシーンですが、ネクサスを見ている方ならわかるかと思います。

あの1話と、真逆の構図で書きました。

またいつかこの裏設定などを踏まえたものを書く時があれば、ここについても触れられればと思っております。


そして皆大好きあの2人も登場です。あの2人もいいコンビですよね~。


そしてここからどうでもいい余談です。

まさに書いていた去年末に気付いたことなのですが、姫矢准役の桐島優介さんがSNSを始めており、俳優業を引退されてからどうしてるのか気にはなっていたのですが、現在の写真も載せており、今もお変わりないカッコよさで、一ネクサスファンとしてこんな嬉しいサプライズはなかったので、気になった方は、調べてみることをおススメします!
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