+LycorisーNEXUS JUDGEMENTー   作:ワンホットミニット

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先週あげたその翌日に某魔女でネクサス第1話みたいなことが起こるなんて思わんやん???
人間とビーストでこんなに違いが出るとは・・・やっぱりネクサスは皆のヒーローウルトラマンだったね。いいね?



というわけで、第6話となります。


正直、ここまでオリ主が影も形も出てこないSSなんてそれもうオリ主つける意味ある?と思われるかもしれませんが、ウチはこうだと割り切っていただければと思います。
もちろん、後々、しっかり活躍してもらいますが、まだ、メインにはならないとだけ。


そして、相も変わらず長いですが、ごゆるりとお楽しみください。




リコリス

「先輩、この命令いくらなんでも変じゃないっすかー?なーんであんなおっさんの尾行なんかしなきゃなんないんすかね?」

「余計なこと言うな。司令からの緊急命令ってことは、よっぽどのことなんだろうから黙ってろ。」

 

神室町を歩き回る八神の後方を、相手の視界に入らないようつけていく2人組のリコリス。

以前、千束とたきなが着ていたものと同じ、赤い制服を着た春川 フキと、紺の制服を着たそのパートナーの乙女 サクラは、今回のターゲットである八神隆之にバレないよう、尾行を続けていた。

 

突如司令部より連絡が入り、今から神室町へ行き、この男を追跡しろ。という命令があり、こうして尾行をしているのが事の経緯だ。

その理由については特に聞かされてはいなかったのだが、ただ、司令からの緊急命令ということだったので、よっぽどのことだと思い、フキ達もすぐに承諾した。尤も、司令からの命令を断るなど、リコリスとしてあり得ないのだが。

 

「まぁそりゃ、私だって八神隆之があのアドデック9の一連の事件の解決者くらいは知ってますけど、にしたってリコリス、しかも先輩みたいなファーストが対応とか、ただの探偵にそこまでする必要あるんすかね?」

「サクラ、それ以上言うな。グダグダ言ってないで、さっさと終わらせるぞ。」

 

サクラの軽口をフキが流す、というこの2人のコンビになってからしばらくが経ち、2人にとっても当たり前となったやり取りをしつつ、フキとサクラはバレないよう、八神の尾行を続けていく。

 

と言いつつ、実際のところ、口には出さないがフキも少しだけ疑問に思っていた。

 

今現在追跡している八神隆之は犯罪者やテロリストというわけではない。ただの探偵であり、テレビのニュースなどの知識として知ってはいたが、前職は弁護士だった。

むしろ、そういった人物から被害を受けた人を守る立場だ。そして、これから犯罪などを起こすわけでもないという。

 

そして、今回の依頼内容を聞いていた中でDAが先に狙っていたというターゲットも、出版社の人間だという。

この人物もまた、現状大きな犯罪を起こす計画もなければ、それこそDAやリコリスの名前を世間一般に公表するわけでもないとのこと。

 

つまるところ、両者共に、自分達が守るべき対象の存在と言える。

 

そんな民間人に、そこまで厳重な警戒や対応を取る必要性がわからず、ファーストを長年努めているフキからしてみても想定外の、前代未聞の出来事だった。

正直、DAや司令の目的が見えてこないのだが・・・それでも命令とあっては仕事をこなす他ない。そう思い、思考するのを一度止める。

 

一方、その八神は辺りをウロウロしつつ、時にスマホを見る。時には、すれ違う人物が知り合いだったのか、立ち止まって気さくに話し合っていた。おまけに、その後もすれ違う何人かに手を挙げて軽く挨拶を交わしており、この神室町における八神隆之の人脈の広さのようなものも見て取れるが、当の本人は一向にどこかへ立ち止まるということはない。

 

むしろ─────先程降りてきた源田法律事務所から、ゆっくりと離れているかのように歩き回っていた。

 

「(まさか・・・)」

 

八神の行動にフキは若干の疑念を抱きつつも、視界に入らないよう尾行を続けていく。

 

自分達だけでなく、他のリコリスを向かわせるか念のため確認をしてみたところ、八神隆之に関しては2人だけで対処しろとのことだった。

 

ただ、元々DAが狙っていたターゲットである出版社の人間が現在いる源田法律事務所の方では、相手が気付くか気付かない程度の距離で、自分達の下のクラスのリコリスであるサード・リコリスが常に監視を行っているとのことで、つぶさにその状況は司令部、そして自分達にも通信機を通して行き届いている。

 

理由としては、ただでさえ人通りの多い神室町という場所で、この時間帯に同じ制服が何人もその街にいるのは探偵という相手故、目に留まる可能性がある。

 

おまけに、言う必要もないが、神室町はそこまで治安のいい街ではない。

言ってしまえば、リコリスは良くも悪くも真面目な外見ばかりの者が多いため、時間も遅い今の神室町という街では目立つ恐れもある。

なので、リコリスに関しては、必要最低限の人数のみを今回は配置させていた。

 

そんな中、八神はだんだんと東の方へ向かっていき、チャンピオン街とアーケードの入り口に大きく書かれた、まるでスナック街のような所にへと入っていく。

 

「うーわこういうとこ行くんすかあの人!引くわー。おっさんってこういうとこホント好きっすよね~。」

 

スナック街になど行ったことは当然ないが、イメージとしてこういう所に行くのは、いわゆる中年の男性だけだと思っており、まさに八神も同じようにこのスナック街に入っていったことにサクラが軽口を叩きながら小馬鹿にしていると、突然八神は勢いよく走り出した。

その様子を見て、2人もまた、八神を追うために走り出す。

 

このチャンピオン街というのは狭い路地であり、店の前に置かれている業務用の青い大きなゴミ箱やビール瓶のケース。加えて通行人もちらほらいるがそれらを何とかかわし、八神を見失わないようにしていく。

 

そしてとある所で八神は曲がったため、フキとサクラもそこを曲がると、そこは一本道となっており、罠だと思いつつもその道を走り抜ける。

 

抜けた先に広がっていたのは、この神室町では珍しく、ビルとビルの間にたまたま出来たような、大きく開けた空き地であり、よく見るとドラム缶を半分に切ってあるものも置かれている。ゴミ箱にしているのか?とも思うが、それもあるだろうがおそらく、ホームレスが焚火台・・・にでもしているのだろう。

一見すると、どこかのスラム街にしか見えない状況に、ここが本当に東京の新宿か?と一瞬疑わざるを得ないような光景だった。

 

 

「・・・あのさ、俺に何の用?」

 

 

その一本道からこの空き地に入るちょうど入口の死角となるところで、八神は腕を組みながら、フキとサクラに話しかけた。それに一瞬驚くも、慌ててサクラが八神に声を掛ける。

 

「あー、えーっと、そう!猫がいたんで、ここに入り込んでいったんっすよ!でも見えなくなっちゃってー!」

「そりゃ嘘だね。俺はさっきから歩いてたけど、野良猫は一匹も見えなかった。ここにも入ってこなかったよ。おまけに、この一本道はどっか途中で猫が入れるような隙間もない。」

 

サクラのその場しのぎの嘘に対して八神は真っ向からこの目で今まで見てきた状況を並べて否定をすると、その八神の反論に対し、チッ、と小さくフキは舌打ちをする。

 

「・・・てめぇ、いつから気付いてた?」

「源田法律事務所から出て直後くらいかな。伊達に探偵やってないからね・・・でもまさか、姫矢さんを狙ってたのが、こんな女子高生とは、ね。で、単刀直入に聞く・・・君達の狙いは何だ?」

「そんなこと、教えるわけねぇだろ?」

「あっそう。ちょーっと、言葉遣いとかあれだから、どっかから注意とかされた方がいいんじゃない?とはいえ、女子高生を俺は殴らないから、まぁそれ相応な方法で・・・」

 

全ての言葉を言う前に、フキは八神に向かって殴りかかったが、それを八神はいなし、少し距離を取って構えた。

 

「おいおい・・・ちょっと教育がなってないんじゃない?」

「うるせぇ。黙って聞いてりゃ偉そうにしてんのが尚のこと腹立つんだよ、おっさん。」

 

おっさんって・・・と八神は呆れながらも、再び構えた。

それを見たフキもまた、ニヤリと口角を上げ、交戦体制を取り構えたが、一人、その様子にサクラのみ理解が出来ていないようだった。

 

「ちょ、先輩いいんすか!?」

「言われただろ。もし何かあれば、場合によっては交戦もやむを得ない、ってな。」

 

なるほど!とすんなり納得し、サクラもまた交戦体制を取る。

 

「(・・・この子達、何者だ?それに、この格好・・・まさか・・・?)」

 

目の前の女子高生2人が言った言葉に疑問を抱きつつ、彼女達の服装を見て、自身の記憶の引き出しを開けていた中で思い出した。

 

それは以前、九十九から、延空木のテロの映像やスクリーンショットを見せてもらった際に見た、赤や紺、ベージュの制服の女子高生程度の年齢の女学生。

そしてまさに今日、姫矢との会話の流れでふと話題に上がった、例のテロリストがこの日本の真実だと言って見せた存在─────

 

 

「(彼女達が例の・・・リコリス・・・!?おいおい、本当にいんのかよ!?つまり、姫矢さんを狙っているのは・・・リコリスってことか!?)」

 

 

そんなあれこれを考えている中で、八神に向かってきたフキとサクラの攻撃に対し、考え事をしていたこともあり、一瞬判断が遅れたが八神は何とか防いだ。

 

その後も立て続けにフキとサクラのパンチとキックが八神に向かって次々と降りかかってくるが、なんとか腕や足など、体全体を使ってそれを全て防いでいきつつ、時には間一髪のところでかわしながら、その攻撃を受け流している。

 

その、防戦一方・・・いや、あえて殴り返さないその八神の態度に、尾行されていることに気付いていたこと、そしてそれを指摘されたことに元からイラついていたフキは更に頭に血が上っていく。

 

「おいどうした!女だからってなめてんのかてめぇ!?なめてんじゃねぇぞおっさん!!」

 

怒りに任せ、挑発するように言ってくるフキの言葉にも一切口を動かさず、八神はそれら全てを受け流し、2人の攻撃を防ぎながらなんとか距離を取ると、2人に向かって慌てて話しかけた。

 

「おいおい、靴になんか仕込んでのかよ!?明らかにただのローファーじゃねぇだろそれ!?」

「へぇ、よく気付いたっすね!そうこれは「バカ、サクラ!余計な事こいつに言ってんじゃねぇ!」

 

八神もすでに感じていたが、今の話で確信した。

 

彼女達が履いているローファーには、何かが仕込まれている。

 

鉄か、鉛か、その中の構造を知ることは現状出来ないが、それでも明らかにただの女子高生の蹴りとは思えないほど、一撃一撃に重さがある。

下手に体に入れば、骨折も間逃れないほどだと思っていたため、ローファーに何かが仕込まれているとは感じていたが、この話でそれを確信したため、より慎重に構えを取る。

 

とはいえ、実際のところ、八神自身も防ぐので手一杯なのが正直なところだった。

 

ただでさえいつも普段相手をしている大柄の男達と違い、小柄な女子高生が相手ということで、隙を見せないよう、常に腰を少し落とした状態で相手に向き合わなければならないというハンデも背負っていた。

短時間ならまだしも、長時間ともなると、余計な部分に力を入れなければならないため、結果普段の喧嘩ではいつも使わないような体の部分にも気を回し続けなければならないというのが、八神にも初の経験だった。

 

更に、繰り出されるパンチなどが想像以上に早く、それでいて的確に相手の急所を狙ってくる。その戦闘スタイルに、八神も肌で感じていた。

 

彼女達は、ただ格闘技を習って技を繰り出しているわけではない。

もっと・・・そう。

 

 

"人を無力化、ないしは殺すための武術だ、と。"

 

 

自分がよく相手にしているチンピラは、良くも悪くもそういった急所などを知らない。

故に、顔や体など、相手のどこかに当たればいいという具合に大振りになることがあるため、隙が生まれやすい。

 

なのだが、彼女達には無駄がない。一発受けるだけで動きが止まってしまうような急所目掛けて的確に攻撃をし続けている。

もし、一発受けて動きが止まったのならば、その後に連続で攻撃を受けることも考えられる。

 

だからこそ、一発でも受けたらまずいと、八神もこれまでの経験から察し、今は全く気が抜けない状況下にあった。

 

これまで、とある警察官・・・いや殺人鬼や、依頼と称して戦いを挑んできた、謎の男など、様々な修羅場を潜り抜け、命懸けの戦いを何度も経験したからこそ、八神は確信した。

 

おまけに、ポリシーとして、女子には手を出さない、というのも八神のポリシーとしてある。

なので、リコリスとはいえ、目の前にいる彼女達を出来れば殴らず穏便に済ませたいところだ・・・そんなことを思いつつ、先程から立ち回っていた中で、紺の制服の子がいない、と八神が思った刹那─────

 

「後ろががら空きっすよ!」

 

八神の後ろからサクラが飛び掛かり、今にも八神を殴りかかろうとする。

 

しかし、八神はその手と腕を掴むと、まるで社交ダンスでもするかのようにクルクルと周り、その遠心力を利用し、サクラを投げ飛ばす。

 

「サクラ!」

 

それにすかさず反応し、フキはサクラが投げ飛ばされる方向へと走り、地面に落下しそうなサクラを体全体で受け止めると、その反動で思わず倒れ込んだ。

 

「す、すんません先輩!」

「バカ!早くどけ!」

 

フキの上に乗っているサクラは慌てて退き、同じく下で地面への衝突を防ごうとしたフキもまた立ち上がり、体制を立て直す。

 

ただ、一方の八神は腕を組み、2人が立ち上がるのを待っていた。

 

「あのさ、もうやめない?穏便に話し合いで済まさない?」

「うるせえ!黙ってろてめぇ!」

 

その、余裕があるとでも言わんばかりの態度と声を掛けてきたことにフキは余計イラつき、立ち上がると同時に殴りかかるが、相変わらず八神は全て防ぐか、あるいはひらりと受け流すかしている。

 

大分時間が経ったが、一向に埒が明かないような膠着状態となっており、思わず互いに距離を取った。

 

「ハァ、ハァ・・・なんなんすか先輩、八神隆之、めちゃくちゃ強くないっすか・・・?この人、本当に元弁護士だったんすか・・・?」

「あぁ・・・おまけに、さっきからあいつ、一発も殴ろうとしねぇ・・・なめてかかってんのが余計イラつかせやがる・・・」

「そっちこそ・・・ハァ、ハァ・・・何なの君達?はっきり言って、そこら辺の警察よりはるかに強いよ・・・それが、リコリスの能力ってやつ・・・?」

「言うわけ・・・ねぇだろうが・・・」

 

ドラム缶で出来た焚火台を挟んで、両者互いににらみ合い、お互いどちらが先に動くかをじりじりと待ち、一歩踏み出せばすぐにまた一触即発というような状況となっていた。

おそらく、向こうが先に動くとは思うが、このままでは埒が明かない・・・何とかして上手く落としどころを見つけないと・・・口には出さないものの、八神は一人頭の中で考えを巡らすが、一向に解決策や、イラついているこの2人との和解案は現状思い浮かばない。

 

 

『フキ、聞こえるか?』

「!?司令!?」

 

 

その膠着を破るかのように、フキの耳に装着していた通信機から、楠木の声が聞こえてくる。

 

突然耳を抑えて誰かと会話を始めたその様子に何だ?と一方の八神は怪訝そうな表情をし、警戒を緩めることはなかったが、それでも少し構えを軽くした。

 

『もういい。その八神という男と話をさせろ。』

「なっ!?」

 

急に戦いの手を止めさせ、八神と話し合うこととなり、加えてその話し相手はDAの司令である楠木が直々に、だという。

そのまさかの指令に驚き、フキは反論を言おうとするが

 

『これは命令だ。代わりの通信機を持ってきているだろう。それをそいつに貸せ。指示があるまでは待機だ。これ以上の手出しもするな。』

 

言いたいことはあるが、司令からの命令ということで逆らうわけにも、口を出すわけにもいかず、了解・・・と苦虫を潰したような顔をし、渋々納得する。

 

一方の八神も、その話の内容を聞くことは出来ないが、突然始まった電話か何かのやり取りに終始怪訝そうな態度を示すものの、警戒は緩めようとはしなかった。

 

そして話が終わったのか、八神の方にまで突如近づいてきたフキに対し警戒をするが、殴りかかるなどはせず、背中に背負っていたカバンを降ろし、その中から耳につけるであろう通信機のようなものを渋々・・・という様子ではあるが、目の前に差し出した。

 

「・・・司令がてめぇと話がしたいそうだ。いいか、余計な事は一切言うなよ。」

 

殴り合いでもなんでもなく、まさかの彼女達の上司、先程彼女は司令とその人物を呼んでいたが、その司令から自分宛に会話をしたい・・・ということで驚いたが、先程まで怒鳴り散らかし、殴りかかってきた目の前の彼女が戦う手を止めたということは、それが冗談ではないことを物語っていた。

 

その通信機を恐る恐る八神は受け取り、片耳に装着し、一つ深呼吸をする。

 

「・・・もしもし?」

『貴様が八神隆之か?』

 

あぁそうだ。と返すと、通信機越しに、そいつらの司令、DAという組織の司令の楠木だと簡単に自己紹介をした。

 

「どうも、楠木さん。あんたらが例の、政府に反抗する凶悪犯罪者を殺して回る処刑人・・・か?あるいは、以前の延空木の事件でこう言われてたからそう呼んだ方がいいか?・・・リコリス、って。」

『随分物騒な単語だな・・・まぁ、好きに呼ぶがいい。』

 

その噂を否定はしない。そしてリコリスという名も否定はしない。つまりは、そういうことなんだな・・・と内心合点を付けつつ、早速こうして自分宛てに話をしたいと提案した理由を探り始める。

 

「で、こうしてわざわざ俺と会話をするなんて、一体何が目的だ?それに、何でこの2人を俺に向かわせた?」

『単刀直入に言えば、貴様の力がいかほどか確認したかったからだ。だが、これでもう十分理解した。その点については謝罪をさせてもらおう。』

「そりゃどうも・・・ただ、女子高生に人を殴らせるような組織が、いい組織とは思えないけどな。」

「おいてめぇ!余計な事言うなっつったろうが!」

 

軽口を叩くと、すぐにフキが声を荒らげ注意したため、これ以上言うと再び殴り合いに発展しかねないと考え、とりあえず軽口を叩くのはここまでにした。

 

自分の力を確認したかったということは、自分はリコリスからターゲットにされ、それこそ命を狙われる対象になったのか・・・?など、あれこれと思慮を巡らせていると、楠木は全く予想だにしていなかった意外な言葉を口にした。

 

 

 

『結論から言おう。八神隆之、我々と協力関係を結べ。』

 

 

 

飛び出したのは、まさかの提案だった。

命を狙われるのではなく、むしろ仲間になれという提案に、その場にいた全員が驚く。

 

「司令!どういうことですか!?なんでこんなやつと!?」

『黙っていろ。余計な口出しは不要だ。待機だと言ったはずだ。』

 

流石に今の今まで戦っていた八神とDAが協力関係を結ぶ。そのまさかの内容にフキも驚き慌てて口を挟んだが、楠木はまるで意に介していないようにサラリとその話を流し、口を挟むのを止めるよう注意した。

 

司令からの命令ということや、慌てていたとはいえ、今の自分の態度を省みて一つ謝罪をすると、納得はいっていないようだったが、渋々ながら口を閉じた。

 

失礼したと、楠木から軽い謝罪の言葉を貰った後、八神は改めて尋ねた。

 

「あんたらと協力関係を結べ・・・ってのは、どういうことだ?順を追って説明してもらいたいね。」

『言葉通りの意味だが、仕方がない。まず、お前達が匿っている姫矢という男がいるだろう。彼を追っているのは他ならない我々だ。』

 

やっぱりそうか・・・と八神は思いながら、何の目的でそんなことをした?と尋ねると、まず、誤解しないでもらいたいが・・・と付け加え、楠木は自分達のポリシーを話し始めていく。

 

『我々は彼の殺害はもちろん、普通に生活している一般人を殺すことは絶対にしない。それは約束しよう。むしろ、そういった人々の生活を、犯罪者達から守ることが我々の仕事だ。狙いはむしろ、彼が撮影したあの写真に写っている怪物・・・我々はビーストと呼んでいるが、そいつらを抹殺することだ。』

 

抹殺?ビースト?と尋ねると、楠木はそうだ。と同意し、ビーストについて現状わかっていることの説明と目的を八神に話し出す。

 

『最近、このビーストという存在が頻繁に目撃されており、犯罪者や一般人を襲っているという情報が数多く出ている。我々はその脅威を1秒でも早く消すために行動しているのだ。』

 

本当のことも言っているのだが、その中に少しの嘘も交え八神を説得していこうとするが、そんな中で八神はじゃあ、と切り出す。

 

「そんな組織がどうして姫矢さんを狙うんだ?隠蔽か?」

『・・・有り体に言えば、そうなるな。今情報を不用意に世間に出されてもらうのはこちらとしても困るのだ。だから姫矢を追っており、ヤツらを完全に抹殺するまで、出来れば情報公開の一時停止、可能であればデータの削除を依頼したかったのだ。』

 

なるほど・・・と八神は目的について理解しつつ、その話を聞いて、ある一つの考えに至った。

 

「じゃあ、発行直前の雑誌を発売中止にしたのも・・・あんたらか?」

『そうだ。あの雑誌を発売中止にしたのは我々主導だ。とはいえ、真実を追い求めるジャーナリストにデータの削除を依頼したところで、はいそうですかと素直に従ってもらえるとはこちらも思ってはいなかった。なので、こちらの計画としては一度連行し、説得を考えていた。もし従ってもらえない場合には、最悪軟禁も考えていたがな。』

 

その目的や方法論について説明されたが、従ってもらわない場合、最悪軟禁をするという、人々の生活を守ると言っておきながら、先程と言っていることとやろうとしていることが真逆なことに驚き、怒りをあらわにする。

 

「なっ!あんた、どういうつもりだ!?それじゃさっき言ってたことと真逆じゃねぇか!」

「おいてめぇ!立場をわきまえろ!」

 

通信機越しに強い口調で八神は楠木に問いただすと、すぐにとフキから再度声を荒らげ注意されるが、そちらには一切気にも留めず、楠木からの回答を待つ。

 

『考えてもみろ。こんな怪物が日常生活に出ます、だから皆さん気を付けてください・・・などと言って信じる者がいるか?もし仮に全員を信じさせ、行動を抑制させたとしても、ビーストを全て抹殺するまでいつまでかかる?人々の生活はどうするつもりだ?そんな余計な不安を与えるくらいならば、人々には日常生活を行ってもらい、我々が秘密裏にそれを駆除する・・・その方が人々の生活のためにも良いとは思わないか?』

「・・・確かに気持ちはわからなくもない。それも一理あるとは思う。俺だって最初あんなもん見せられて現実だとは到底思えなかったし、未だに疑問を持ってるところもある・・・ただ、そうやって都合が悪いことを隠すなんて、お前ら本当に正義の組織か!?」

 

より更に声を荒らげて罵る八神に我慢が出来なくなり、フキは殴りかかろうとするが、命令ですから抑えて!と、サクラは羽交い絞めにし、何とかフキを抑えている。

 

対して、反論をするでもなく、そうだな・・・と楠木は小さく同意し、一つ小さくため息をついた後、改めて八神に向け、DAとして考えていることを伝えていく。

 

『気持ちはわかる・・・だが八神隆之。もしその情報を公に出して、それで普通に暮らす人が今以上に襲われたら誰が責任を取る?それが原因で生活に影響が出たら?お前はそれらの責任を取れるのか?むやみやたらに普通に暮らす人々を危険に晒すことが、お前は正しいことだと思っているのか?それに、お前もそれなりに人には言えないことも行っているだろう・・・不法侵入・盗聴・脅迫・・・お前もまた、叩けば埃が出る身だということも知っている。偉そうなことを言える身分か?』

 

八神もまた、自分にとって痛いところを突かれたのか、言葉が詰まり、次の言葉が出てこなくなるが、更にだ、と付け加え、楠木はDAが持っているある一つの重要な情報を話し始めていく。

 

『これはまだ一部のものしか知らない極秘事項だが、上層部からの承認も得たため話す。このことは他言無用だ。誰かに話したその時には、目の前にいるフキとサクラに貴様の心臓を撃ち抜かせる。』

 

おいおいマジかよ、銃まで持ってんのかよ・・・と、その話を一瞬冗談かと思ったのだが、目の前の2人の顔を見たら、むしろそれを望んでいるような顔をしており、それが冗談でもなんでもないことを物語っていた。

この場で何かを起こされるのも現状不利と考え、冷静に、楠木の話に耳を傾ける。

 

『今現在、ビーストだが、主にテロリスト、犯罪者が複数人いるような場所に出没する可能性が高い。中でも、民間人がそこにいた場合に出る確率は、現状100%だ。』

「それが、どうした・・・?むしろ、それならあんたがたにとってもいいんじゃないのか?」

 

それだけならいいがな、と呆れたように呟くと、更に話を始める。

 

『ヤツらは、人間を捕食する・・・というのは知っているか?』

「あ、あぁ。確か、姫矢さんがそんな想像を言ってたが・・・まさか、本当なのか・・・?」

『そうだ。ヤツらは、人間を捕食する。誰であろうと、関係なくな。加えて、日本全国の様々な場所の過去のデータを調べていくと、ヤツらは犯罪者達のいないような場所にも現れていることがわかった。つまり、ヤツらはどこにでも現れる可能性が高いということだ。』

 

なんだよそれ、ゴキブリかよ・・・と八神は心の中で苦笑いを浮かべていると、更にだが・・・と付け加え、楠木は先日起きたある事件を話し始めた。

 

『以前、リコリスでビーストに襲われた者がいた。当初は混乱していたようだったが、体調も回復し、再びリコリスとしての任務で犯罪者を追っていた中で・・・再びビーストが現れた。まるで、一度見られたからには、今度こそ証拠隠滅のために捕食しよう・・・とでも言わんばかりにな。』

「・・・そのリコリスは、どうなった?」

 

ビーストに再び襲われた、という展開に八神も固唾を飲んで聞くと、楠木は呟くように言った。

 

 

 

『助けられたようだ・・・銀色の巨人にな。』

 

 

 

「銀色の・・・巨人だって!?」

 

銀色の巨人、それは今日姫矢も話をしていた存在だ。

ビーストだけでも常識外れだったが、銀色の巨人というもっと奇妙な存在に疑問を浮かべていたが、楠木からもその言葉が飛び出した。

 

自分も正直、フィクション・虚構のような存在だと思っていたが、このリコリス、そしてDAという裏社会で暗躍し、秘密裏に日本の治安を維持する組織のトップが言うということは、その存在が本当にいると裏付けているようなものだ。

 

なので、これで確信した。

 

本当に・・・"銀色の巨人は、現実にいる、ということを。"

 

『実は以前もそのリコリスは、ビーストに襲われていたところをその銀色の巨人に助けられたそうだ。今回も再び、その巨人がリコリスと、そして犯罪者も助けたそうだ。ただ、不思議なことに、巨人はビーストだけを倒し、犯罪者には何も手を出さず、終わったら早々に消えたそうだ。だが、犯罪者も呆然としておりその後何も出来ず終わったそうだがな。』

「そうなのか・・・なら良かったな・・・で、これがどう情報の隠蔽に繋がるんだ?」

 

ここまで聞いてきて、現状隠蔽する理由というのがイマイチ見えてこず、八神が疑問の言葉を投げかけると、これは現状の我々の予測だが・・・と付け加えた上で、DAが出したとある持論を語る。

 

『我々もビーストを捕獲し調査出来たわけではないが・・・ビーストは、秘密裏に暗躍している。誰にも見られないように、人間を捕食し続けている。そんな中、ビーストを一度見た人間であれば、よりターゲットにされるのではないか・・・と、我々は現状考えている。』

「・・・だとしたらまさか、姫矢さんも再び狙われる可能性が高いってことか・・・!?」

『こちらもあくまで推測の域の話にはなるが、その可能性は高い。もし、今この状況でビーストの情報を公にされたら、今以上に多くの民間人が狙われる可能性も考えられる。』

「・・・だから、情報の隠蔽をしようとしているのか?人々にビーストへの恐怖心を生み出させないようにさせて、ビーストに、襲われないように・・・?」

 

そうだ、とそこまで言うと、楠木は再度一つ小さくため息をつくと、改めて、語り掛けるように八神に話しかけていく。

 

『・・・我々もまた、人々の生活を守るということを第一に行動している。そこについては、弱き者のために戦うお前と同じだ。探偵であり、弁護士なら、ここまで聞いてきて、わかっていただけるだろう?』

 

おそらく、その言葉に嘘はないというのも八神も直感で感じた。

同じように、はぁ・・・と一つため息をついた後、八神は確認の意味も込めて尋ねた。

 

「・・・重ねて聞くが、お前達DA、そしてリコリスは、人々の生活を守るために動いてるんだよな?」

『もちろんだ。それが我々のやるべきことであり、我々の存在理由だ。ここについては、どんなことがあっても揺らぐことはない我々の信念だ。』

 

その言葉に嘘偽りは無いことはわかっており、その点については納得出来る箇所もあった。

 

だが、同時に、自分自身のポリシーに反するとも思っていた。

真実の隠蔽などあってはならない、自分はそれを許してはならないというスタンスでいた。相手が誰であろうが、真実を隠している悪人達を、自分は暴いてきた。

 

だが、今相手にしているのは人間ではない怪物、ビーストだ。

すでに人間の想像の範疇に及ばない存在だということを八神も重々承知している。そんな相手を放っておくわけにもいけない。

 

おまけに、それを追っているのが、例の延空木の事件のリコリスだというのなら、もっと話は複雑になってくる。

立ち位置としては非常にグレーなところではあるが、人々を守るという点については理解出来る所もあった。

 

ただ、現在は悪人ではなく、ビーストという、人類外の存在から人々を守るという目的がリコリスにはある。

今楠木から聞かされたその言葉が紛れもない真実だというのも、八神もすでにわかっている。

 

自分はまだビーストに遭遇したわけではないが、もし目の前でそんなことが起きたら、自分だって同じように襲われている人を守るはずであり、その点については完全に同意見だった。

加えて、先程楠木から聞かされたビーストの習性によって、日本の多くの人の命を危険に晒す可能性がある。その中でも、今回の依頼人である姫矢は、現状よりビーストから狙われている可能性が高くなっているかもしれないという。

 

そして、同時に、自分の経験から基づく、ある一つの考えも八神の中に浮かんでいた。

 

仮に記事を公開などした際、もし、その習性が本当だとして、人々がビーストに狙われたのならば、ビーストだけでなく、多くの人々から姫矢は罵声や殺害予告などを受ける可能性も大いに考えられる。

自身が以前、それを身をもって経験したからこそ、あの辛さは痛いほどわかっている。それこそ、自殺も考えたほどだ。

 

だからこそ、同じ気持ちを味わわせるわけにはいかなかった。

依頼人の心も守る。それは、あの経験をしたからこそ、自分が大切にしていることの一つでもあった。

 

依頼人の命と心、そして、多くの人の命。それと自分のプライドを天秤にかけた時、選んだものは─────

 

 

渋々ではあるが、八神は楠木に伝えた。

八神探偵事務所の、今後のDAとの関わり方について。

 

 

「・・・わかった。とりあえず、現状は、あんたらと協力関係を結ぼう。姫矢さんだけじゃなく、多くの人がビーストに狙われるなんて・・・俺も望んじゃいないからな。」

 

 

八神が選んだものは、大勢の人の命、そして、姫矢の命と心を守るということだった。

こんな異常事態に、自分のプライドを優先するほど、人間としても落ちぶれてはいない。

この瞬間から、八神探偵事務所とDAは協力関係となった。

 

『やっとわかっていただけたようで、こちらも嬉しいよ。』

「ただ、DAもリコリスも完全に信用したわけじゃない。悪事を働いていないとはいえ、あんたらのやっていることは俺らに近いレベルでグレーだ。だから、もし何かあったら、あんたらのことをあの延空木のテロリストのように、どんな手を使ってでも世間に公表する。それは今から言っておく。それと、一つお願いがある。姫矢さんのボディーガードを頼む。協力するからには、そのくらいはしてくれ。」

『もちろんだ。彼の身の安全と今後についても約束しよう。それが我々の仕事だ。もちろん、彼には見えないようにするがな。』

 

この少しの間で八神のことをある程度わかった楠木もまた、その言葉が本気であることを受け止め、世間に公表することについても納得し、八神から言われた姫矢のボディーガードについても承諾した。

で、何を俺はすればいい?と八神は次の行動について尋ねてみる。

 

『まず、あの姫矢というジャーナリストが持っている写真のデータ、あれの公開の一時停止。可能であればデータの削除についても依頼しろ。もちろん、我々の事は一切口に出すな。それさえ済んでくれれば、今後彼を狙うことはしない。約束しよう。』

「・・・もし、それに従わなかったら?」

『その時には、我々が姫矢を捕らえて依頼させる。すでに住所はもちろん、今居るところもとっくに判明している。依頼人と貴様の元仕事場を危険に晒すか、探偵?』

 

平和守るっつってるのにやってること脅しかよ・・・と内心では思いつつ、八神は依頼人の命と安全には代えられないと思い、わかったと承諾をする。

通信機を片耳に付けた状態で、もう片方の耳にスマホを当て、海藤に電話を掛ける。

 

『おうター坊、どうした?』

「あの、姫矢さんいる?替わってほしいんだけど・・・」

 

わかった。と承諾し、海藤はスマホを姫矢に渡し、姫矢に電話を替わった。

 

姫矢が電話に出たことを確認すると、八神はリコリスとDAの名を出さず、姫矢をつけ狙っていた人物と会い、一応の妥協点を見つけたと話した。

ただ、そのために姫矢が今持っている写真の公開の一時停止・データの削除、加えて、それ関連の記事の公開停止について、電話越しに依頼する。

 

しかし、八神も電話を掛ける前からすでに予想していたことではあり、そうなるのは目に見えていたのだが、やはりその依頼内容に姫矢は怒りだした。

 

事件解決に向かい、犯人がわかった。しかしその正体を口には出すことが出来ない。加えて、情報を隠蔽しろなど、もはや犯人の脅しに従っていると捉えられても仕方ない。

その点について八神も電話をしながら心苦しい気持ちになるが、なんとかそこに持っていけるように話を続けていく。

 

『何故ですか八神さん!せっかく撮影したこの写真をどうして!』

「・・・その追ってた奴らとの約束なんです。もしそれをしないと姫矢さん、あなたの命が危ない。それだけじゃなくて、その写真がキッカケで、多くの人の命が危険に晒されるかもしれないんです・・・」

『その人達についても、データを削除することの詳細についても言えないんですか・・・?』

 

確認の意味を込めて、姫矢は怒りを込めて言ったものの、申し訳ありませんが・・・と、先程同様、苦々しい態度で八神は答えると、姫矢は電話越しに、より口調を荒らげ、捲し立てていく。

 

『だったら、真実が隠蔽されるくらいなら私は命など惜しくはありません!それでも「姫矢さん!」

 

捲し立てて反論してくる姫矢に対し、八神は強い口調で呼びかけ制止させると、その八神の言葉に姫矢も電話越しだが黙り込み、八神の次の言葉を待つ。

 

「お願いします・・・俺は、依頼人の命が失われるところなんて、もう見たくないんです・・・きっと、いつかそのことを伝えられる時が来ます・・・だから、どうか今は、お願いします・・・従ってください。」

 

八神の心からの言葉とお願いに、姫矢も動かされたのか、苦々しく、といった様子ではあるが、わかりました・・・と受話器越しに承諾した。

とはいえ、頭では理解しつつも、心では納得出来ていない様子だったことも電話越しだがそれはヒシヒシと感じているため、八神もまた、同じように心苦しい気持ちとなる。

 

小さく、パキッという音が電話の向こうでした。おそらく、SDカードに何かしたのだろう想像していると、しばらく経った後、姫矢が再び電話に出た。

 

『たった今、データの入っているSDカードを折りました・・・これで、このSDカードは使い物になりません。』

『ター坊、海藤だ。俺も見てたから、それは間違いないぞ。』

「ありがとうございます。そこまでしていただき本当に申し訳ありません・・・ちなみに、社内にはまだデータは残ってますか?」

『えぇ。まだ会社のPCにはあります・・・』

「だったら、そちらも可能であれば削除していただければと思います。よろしければ明日、私も伺って確認してもよろしいでしょうか?」

 

わかりました。と渋々ではあったが、姫矢もそれを承諾し、とりあえず今日のところはもう帰っていただいて大丈夫です。では、また明日改めてお伺いさせていただきます。と自宅へ帰る許可と明日再び会社へ赴くことを伝え、電話を切ると、通信機越しに再び楠木に話しかけた。

 

「・・・お前達の指示通り、削除してもらった。明日会社に残っているPCのデータの削除も確認してくる。これでいいか?」

『助かる。もし残っていた場合には、こちらからその会社のデータを削除する。』

 

ハッキングかよ・・・じゃあ俺行く必要あるのか?と思いながら、八神は次に聞きたかったことを聞いてみた。それは、今後の自分達の動きにも直結するからだ。

 

「・・・で、その次に俺は何をすればいい?」

 

協力関係は結んだ。だとしたら次に行うことはビーストの捜索、もしくは駆除か?などと想像を働かせていると、楠木から八神探偵事務所への依頼が来た。無論、報酬は無いのだが。

 

『ビーストの捜索。それと、銀色の巨人の捜索を依頼する。』

 

やはり、というか、今までの話を聞いてきた上で、その両方の捜索が来るとは思っていた。

ここで断る理由もないため、八神もまた承諾したが、当然ながら疑問に思った。

 

ビーストも、巨人も、どうやって探せばいいんだ・・・?と。

 

ただでさえそんな大きさの巨人なら、誰かが見ていてもおかしくないのに、今日自分は姫矢からそのことを聞くまで、全くそんな話や噂を聞いたこともなかった。

だからこそ、今自分の頭で考えられる捜索手段をいくつか浮かべてみたものの、どれもこれもがピンと来ず、そんな巨大な巨人、そしてビーストを見つけるための最適解が一つも思いつかなかった。

 

「いや、ビーストはまだしも、巨人なんてどう探したらいいんだよ・・・?そいつ、めちゃくちゃデカいんだろ・・・?」

『探偵だろ。自分の頭で考えろ。足で情報を稼ぐのは得意だろう?』

 

完全に楠木は八神のパーソナルな部分をわかったのか、逆撫でさせるようなことを言うことで探偵としてのプライドに火を点けさせると、通話機越しに八神はチッと小さく舌打ちをした。

 

「・・・わかった。出来る限りやってやるよ・・・で、そのために、この目の前にいる子達と協力すればいいのか?」

 

八神がチラッと目配せする前にはぁ!?こんなやつと組むなんて私は嫌です!!とフキは声を荒らげる。サクラもまた、こんなおっさんと一緒なんてまっぴらごめんっすよ!と2人揃って激しく拒絶する。

 

先程理由がわからないままケンカという流れになり、こちらも何も理由もないまま殴るわけにはいかなかった。だからこそ受け流し続けていたのだが、とはいえそこまで否定しなくても・・・と八神は若干ブルーになるが、そんな気持ちは完全に無視されている。

 

『貴様らには別の任務がある。こいつの相手はしなくていい。』

 

その命令に2人はホッとする一方、こんな少しの間なのに俺もうそこまで嫌われてるのかよ・・・と八神は内心ではより傷つくが、すぐに切り替え、だったらどうすればいい?あんた達の指示待ちか?と尋ねてみる。

 

すると、楠木は、ある場所へ行くよう指示を出した。

 

 

『喫茶リコリコというところに行け。あそこには以前、ビーストと実際に戦い、そして巨人とも遭遇したリコリスがいる。そいつらと協力しろ。楠木がそう言っていたと言えば、話は早いはずだ。』

 

 

喫茶リコリコ・・・その名前、どこかで・・・?と八神は思っていたが、今それを思い出すことは出来なかった。

 

次の行き先や明日以降の動きが決まった中で、もう一点、どうしても確認したかったことを尋ねた。

 

「一つ確認したいことがある。お前達のことを俺の事務所のもう一人の人間に話してもいいか?一緒に動くことが多いから、今回の事件解決のためにぜひとも連れて行きたいところなんだけど。」

『・・・秘密にしておけ、とは言わん。今回の協力関係については、お前個人というより、八神探偵事務所と協力関係を結ばせてもらおうとしているからな。その程度ならばいいだろう。それに、どうせ言うつもりだったのだろう?』

 

さすがにお見通しか・・・と、質問をする前からすでに予測していた通りになった。

海藤にもこの件を伝える保証を得たものの、ただし、と付け加えられた。

 

『それ以外に話すのは厳禁だ。もしそれ以外の人間に漏らした場合、ビーストの次に貴様ら2人と、話した人間のことを処理させてもらう。殺しはしないが、それ相応な方法でな。』

 

その脅しが冗談ではなく、本当のことだというのはすでに八神も感じている。周りの人間を不用意に危険に巻き込まないためにも、渋々ではあるがそれに従うことを決めた。

 

『この通信機はフキに返せ。今後貴様に話がある場合は、喫茶リコリコを通して貴様に伝える。ではさらばだ。期待しているぞ、八神隆之。』

 

それだけを言い残し、通信は切れた。

 

通信が切れるとすぐにフキは八神に近づき、返せ!と強く言われたため、八神も耳につけていた通信機を外すと、フキは勢いよく奪い取り、カバンにしまった。

 

「・・・というわけで、一時的にだけど、俺も協力関係になったから、よろしく。」

「はぁ!?何がよろしくだ!なめやがって!」

 

フキの怒りにまぁまぁとサクラは宥めつつも、怒りが収まらないままではあるが、ここで行うことは全て終わったからか、帰るぞ!とフキはサクラを連れて帰ろうとする。

 

「あ、おい、ちょっと・・・待てよ!」

 

しかし、八神から突然呼び止められ、なんだまだ用あんのか!とフキはイラつきながら振り返ると、目の前の八神は手を差し出していた。その意外な行動に驚き、一瞬目を丸くした。

 

「さっきは悪かった。君達の素性もわからないままで戦うことは出来なかったから、受け流す程度にしてしまったことで君達のプライドを傷つけちゃって悪かったね。改めて、八神隆之だ。次は、ちゃんとした場所で、本気でやることを約束するよ。いつでも言ってきてくれ。いくらでも相手になるから。」

 

相手の素性もわからない中で女の子を殴ることが出来なかったという先程の戦闘の態度についての説明と、結果それで彼女達のプライドを傷つけてしまったかもしれないということについて、改めて八神は謝罪と、次やるときにはちゃんと本気で向き合うということを約束し、2人の方を見つめていた。

 

それに対し、2人は一瞬呆然としたが、フキはその手を握り返すこともなく、すぐに一本道の方を振り返った。

 

「・・・春川フキ。」

 

えっ?と八神は驚くが、それだけ言うとすぐにフキは一本道の方へと歩き出した。

 

「先輩、いっつもあんな感じなんで。あっ、自分、乙女サクラって言います!あんたのさっきの戦う時の態度はムカつきましたけど、まぁ謝ってくれたんでいいっすよ!しっかし、あんた本当に強かったっすね!ホントに元々弁護士だったんすか?」

「あぁ、まぁ色々な相手してきたからね。」

「うーわそんな経歴あるんすね、こっわ。まっ、いいっすけど。そんじゃ、次は本気でやりましょーね!」

 

軽く挨拶を済ませると、せんぱーい待ってくださいよー!と、サクラもまた一本道を走っていき、先に出て行ったフキを追いかけていく。

 

その後ろ姿を見ながら、八神は今起きていた事の整理をつけるため、タバコに火を点けた。

愛用しているタバコの煙を肺に入れ、夜空目掛けて煙を吐き出しながら、さっきの2人の態度を見て思ったことを、誰に聞かれるわけでもないが、ボソッと呟く。

 

 

「・・・なんだ、2人とも結構いい子じゃん。」

 

 

 

 

─────DA本部

 

一方、DA本部の管制室では、八神との電話が終わった後、楠木は少し緊張を解き、軽く息を吐く。

それに合わせるかのように、秘書がどうぞ、と水の入ったコップを手渡した。

助かる。とだけ言い水を口に含む楠木に、秘書はどうしても聞きたかったことを聞いてみた。

 

「あの、司令・・・こんなことを言うのは失礼だと承知しているのですが、良かったのでしょうか?我々のことを外部に漏らすなんて・・・あのアドデック9の事件を解決した立役者でもある八神隆之とはいえ、今の彼は探偵です。そんな探偵という信頼出来るかどうかわからない職業の人物に・・・」

 

怒られることを覚悟の上で、秘書はどうしても先程の一連の対応について質問をしてみた。

実際、この秘書も楠木の秘書となってから、それなりに様々な事件を傍で見てきたため、今回の対応をずっと疑問に思っていた。

ここまで秘匿を貫くDA、それも組織のトップが民間人に自分達のことを伝えるなど前代未聞の事態である。少なくとも、自分が楠木の秘書を務めてからは初めてだ。

 

しかし、楠木は怒ることもなく、確かにな・・・と、意外にも同意を示した。

 

「というより、これは私個人の判断というよりも、私を含めた上層部の意見の総意でもある。」

 

まさかの楠木だけでなく、上層部の意見の総意だということにも驚き、どういうことですか?と尋ねる前に、楠木からあることを質問された。

 

「アドデック9の事件は知っているか?」

「ええ、はい。それはもちろん・・・それが、どうかしたんですか?」

「あの時、政治家・医療関係者・その他多くの利権に関わる者。界隈問わず多くの関わった人間が一斉に摘発されたが、その最大の立役者、つまり、あの事件を全て解決してみせた張本人。それがあの八神隆之だ。これはすでに知っているな?」

 

えぇ、と秘書は頷くと、更に、と付け加え、創薬センターの爆破事件のことは知っているな?と尋ねられ、重ねて秘書はえぇ。と答える。

 

「あの時、在籍していた生野という医師が結局全ての真犯人だったが、その生野の実験の手伝いをしていた警察官もまた、生野の死亡した近くで死亡したそうだ。名を黒岩と言う。ただ、奴には別の名前がある・・・”モグラ”だ。」

 

モグラ、その言葉に秘書は驚く。

 

1年前の大久保新平冤罪事件とアドデック9の事件が公表される少し前、世間では謎の殺し屋として、モグラというワードがニュースやSNSなどで取り出たされていたことがあった。

そのモグラの正体について、大久保新平冤罪事件とアドデック9の事件のことについてのニュースがメインになりだしてからは、メディアはそちらに割く時間がなくなったのか、特にその正体について報じられることもなく、時間が経つ毎にその件はうやむやになっていった。

 

なのだが、そのモグラの正体がまさか警官であり、おまけにその生野の実験の手伝いをしていたということにも秘書は驚いた。

 

「奴は元々汚職警官で、当時の上司から裏社会のイロハを教わり、それで裏社会ともネットワークを構築し、警察官としてそのネットワークを使って実績を上げていた。見事な汚職警官っぷりだ。一方その裏では生野の研究の手伝いをし、アドデック9を打たせたヤクザの処理を行っていたという。それですら中々なものだが、奴はそれよりも前に、当時創薬センターにいた副所長を、この一連の事件で逮捕された厚生労働省の一ノ瀬からの依頼で殺害した。これだけ聞けばただの都合のいい殺し屋と思うかもしれないが、黒岩は違う。」

「違う・・・というと?」

「奴はただの殺し屋とは違う。はっきり言おう。黒岩は、殺しの天才だった。おそらく、DAにいる誰よりもな。」

 

DAの司令がそこまで評価するなんて・・・?と内心思っていると、その続きを話し出した。

 

「それが奴の初の殺人依頼で対応した案件だったが、奴はさも、行きずりの喧嘩のように見せかけその場で殺すことなく気絶させた。しかし、気絶といっても永遠に目覚めることなく、後日完全に死ぬ、絶妙なバランスでの暴力だ。事実、その副所長は3週間後にひっそりと息を引き取ったそうだ。ちょうど、世間やメディアからも忘れ去られた頃にな。」

「そんなこと・・・!」

「出来たんだ、最初から黒岩には。その後も奴は警官を続けながら裏では依頼を受け、数多くの人間を殺していたそうだ。警官としては汚職警官で得たネットワークで次々裏社会の人間を検挙し、内部からは剛腕と呼ばれ、その裏では殺し屋としてもエリートという、悪の道を突き進んだ果てに生まれた化け物のような奴だった。加えて、奴自身の戦闘能力も相当なものだったそうだ。私も直接は見たことはないが、その証言だけを聞く限りでは、奴はDAにいる誰でも太刀打ちは出来ない。おそらく、あの千束でもやっとかもしれないな。」

 

その能力は秘書も知っているため、最強のリコリスと呼ばれている千束でもやっと・・・というのが、にわかに信じられなかった。

 

ただ、そこまで聞いてきて、一つ疑問に思った。

そんな殺人依頼を重ねた汚職警官ならば・・・すでにリコリスが対処に向かっていたはずでは、と。

 

「ですが司令、黒岩はそこまでしていたら・・・リコリスが対処していたはずでは・・・?」

「奴が殺人を行う時は必ず顔まで隠れる黒いフード付きのコートを着用していた。だから、こちらもハッキリとは正体が掴めなかった、というわけだ。それに、奴は殺人依頼においても、証拠をまるで出すことがなかった。加えて、奴は警官だ。殺人依頼を請け負っていたとはいえ、内部では剛腕と呼ばれていたエリート警官だった。もしそんな奴を下手に殺してみろ。警察が総動員で動き、我々のことが明るみに出る可能性もある。おまけに、奴自身化け物だ。リコリスを一人二人向かわせたところで、逆に返り討ちに遭うのが目に見えていた。」

 

その話を聞いて、秘書も納得しつつ、同時に、去年のことを思い出していた。

 

去年、DA、そしてリコリスは消えた1000丁もの銃の対応、そして、動き出した真島の対応で手一杯だった。

あの当時、そこまで手を割く余裕もなく、加えて、モグラが殺していたのは主にどこかの組に所属している、いわゆるヤクザだった。なので、ある意味では犯罪者やテロリストを始末している自分達と近しいことをしていたとも言える。

 

おまけに、今言われた黒いフード付きのコートを着用して殺人を行っていたとのことなので、その話から言えばフードも被っていたということだろう。

そして、さらりと言った証拠を出さない、ということ。そんな人間がいるというのにも驚きだが、司令が言うのならば、それは本当のことなのだろう。

それならば、正体がわからなくても仕方がない・・・そう秘書は妥協点を見つけ、それ以上の質問をするのは止めた。

 

その話が一段落すると、更に楠木から黒岩の説明が続いていく。

 

「その黒岩が一ノ瀬などから用済みと切られた後、奴は暴走し、一人創薬センターへ乗り込み多数の人間を殺した。医師、警官、患者、誰彼構わずな。あの日、創薬センターが爆破された理由の一つは、黒岩の暴走によるものだ。まるで、切り捨てられたトカゲの尻尾がその本体を殺しにかかってきたようなものだな。」

 

最後の言葉は皮肉を交えたジョークだとわかっているのだが、そのジョークは的を得ていると秘書は内心思っていた。

確かに、用済みと切られた後に行った殺人の様子を聞く限り、その例えもあながち間違いではなく、むしろ話だけを聞くと、尻尾の方が本体よりも強いと思えてしまうほどだ。

 

「ただ、その時突入した警官からの話だが・・・"その黒岩と対峙し、殺しはしないが、体を動かすのもやっとまでにした人物がいたそうだ。"」

 

これまでの話を聞き、まさか・・・と秘書はピンと来て、それが顔にも表れる。

その顔を見て、そうだ。と楠木はその人物の名前を言った。

 

 

「その時黒岩を叩きのめした人物・・・それもまた、八神隆之だ。もちろん、奴は銃などは一切使用していない。ただの徒手空拳だけで、黒岩を無力化させた。」

 

 

思い描いていた人物の名前が出てきて、秘書は驚いていた。

探偵としての推理力や解決力だけでもさることながら、それ以前に、彼は元々弁護士だった。弁護士の資格が一朝一夕で取れるようなものではない。司法試験を突破したということはつまり、頭脳も明晰、ということだ。

 

それだけでなく、DAでも手に負えないようなレベルの殺人鬼までも叩きのめした。

おまけに、リコリスでも犯罪者やテロリストを相手にする場合、銃を使って動きを止めることがほとんどの中で、彼は銃も使わず、ただの徒手空拳だけだったという。

 

それに、だが、モニターを見る限り、彼はリコリスの制服に使われているような、最先端の技術が詰め込まれた服を着ているわけでもない。ただのレザージャケットにジーンズにスニーカーというラフな格好だ。正直、あれに最先端技術が詰め込まれているとは到底思えない。間違いなく、ただの洋服であると見て取れる。

つまり、元々の身体能力や戦闘技術がずば抜けている、ということを意味しているようなものだ。

 

それに、先程フキとサクラと交戦していた時も、彼は一切彼女達を殴らなかった・・・要は、手加減をしていた、ということだ。

その様子を見ていた時にも、あのファースト・セカンドリコリス相手に手加減が出来るなんて・・・と、口には出さなかったが驚きを隠せなかった。

 

弁護士であり探偵であり、そして格闘センスも抜群。文武両道、というのはこういう人間を言うのかもしれない・・・と秘書は内心思っていた。

 

その様子を見て、だからだ、と楠木は付け加えた。

 

「奴は探偵として日本、いや世界の希望となる象徴を全てひっくり返した実績と、それを実行した力がある。おまけに、黒岩だけでなく、数多くのヤクザ・半グレ・犯罪者を徒手空拳のみで叩きのめすという格闘能力まで持っている。銃を持っている相手でも、奴には関係ない。そして何よりも、奴は弁護士でもある。はっきり言って、敵にするのは我々としても非常に厄介だ。もし奴が敵に回ったら、真島のように我々の存在を再び公にされる可能性も十分あり得る。だったら、こちらの手の内を明かしてでも、ハナからこちらの味方に迎え入れた方が、我々としても都合が良い・・・それが、私や上層部が出した結論というわけだ。」

 

なるほど・・・と、八神を仲間に引き入れた理由について、ようやく腑に落ちた。

ただ、もう一点わからないことがあり、秘書は失礼を承知でもう一つ質問を重ねてみた。

 

「司令、度々申し訳ありません。でしたら何故・・・千束達に接触するよう指示を出したのでしょうか?」

 

まだ聞くか。と質問を続けてくる秘書に若干イラつき、申し訳ありませんと秘書は謝るが、すぐにまぁいい、と付け加え、その目的を話し出した。

 

「単純に、ビースト・ワンと接触した奴らと一緒にいさせた方が事件解決が早くなると考えたからだ。それに・・・」

 

それに?と重ねて尋ねると、楠木はフッと鼻で笑った。

 

 

「生意気なクソガキ共には、生意気なおっさんをぶつけるくらいでちょうどいい。」

 

 

アハハ・・・と秘書は苦笑いをしつつ、そういえばと、あることを思い出し、手に持っていた紙の資料が収納されたファイルから、ある一枚の紙を手渡した。

 

「司令、すみません。報告が遅れ申し訳ありませんが、先日になりますが、千束よりあの巨人のコードネームを決めたとの連絡がありましたので、ご報告させていただきます。」

 

貸せ、とだけ言われ、秘書はそのコードネームが載った一枚の紙を手渡す。

そして、その名前を見て、先程と同様、フッ、と鼻で笑った。

 

 

 

「・・・ウルトラマン、か・・・あいつが付けそうな名前だ。」

 

 

 

神室町─────八神探偵事務所

 

あの後、八神もまた事務所に戻り、先に事務所に戻っていた海藤と先程まであったことを話していた。

 

当初は海藤もリコリスに対し懐疑的なところがあったが、黒い部分はあるが人々の平和を守るということなど、要所要所では理解出来る箇所もあった。

というより、自分自身元々ヤクザという人に言えない職業だ。偉そうなことは言えないというのも重々承知している。なので、概ね納得をし、海藤もまたDA、そしてリコリスと一時的にだが、協力関係を結ぶことを決めた。

 

ある程度話がまとまったところで、八神と2人、タバコを吸いながら今後のことを話し合っていた。

 

「それでどうするよ?会社の方のデータも消さないと姫矢の命だけじゃなくて、日本中の人の命が危ねぇから消さねぇとなんねぇけど、そうしたら俺達そいつらの思うツボだぞ。それに、知りえた情報も全部なくなっちまうし本当にいいのかよ・・・?」

「・・・とは、言い切れないよ?」

 

そう言うと、八神はレザージャケットから小さなあるものを取り出しすと、海藤はあっ!と、そのあるものに驚き、一方の八神はニヤリとした。

 

「そう、姫矢さんが撮った写真。あの楠木って人はデータを削除しろとは言っていた。でも、"写真まで捨てろ"、とは言ってなかった。だから、これは返すべきなんだろうけど、俺達で使わせてもらおう。これについては明日、姫矢さんにも話しておこう。」

 

でかしたター坊!と、源田法律事務所を出る前にした八神の行動を賞賛しつつ、で、次なんだけど・・・と八神は次の行動について話を切り出す。

 

「その楠木って人から言われたんだけど、喫茶リコリコに行けば協力してくれるリコリスがいる、って話なんだけど、なんか俺そのお店聞いたことがあるような気がしてて・・・海藤さんなんか知らない?」

 

喫茶リコリコ?と、海藤もその名前に聞き覚えがあった。

ただ、そのお店がどこかピンと来ておらず、2人してなんだっけそれ・・・?と頭の中の引き出しを探し続けたが、全く出てこなかった。

このままでは埒が明かないため、仕方なくインターネットでその名前を検索をすることにした。

 

そして、検索結果が表示されてすぐ、2人同時にあっ!と驚きの声を上げた。

 

「おい、この店って!?」

 

そのお店は2人とも知っていた。それは何故なら・・・

 

 

「この前行った喫茶店だ・・・!てことは、あの店員も、リコリス・・・!?」

 

 

それぞれバラバラだったピースが集まり始め、事態は少しずつ動き始めていた・・・

 

 




少しだけ、物語が動き出しました。
というわけで次回、数話ぶりにリコリコの出番です。

そして、楠木さんに説明してもらうか少し悩んだのですが、秘書も当然知らないことでしょうから、あえて説明役になってもらいました。
ぶっちゃけ今回、楠木さん主役レベルで喋らせてる件。

そして、あの八神の台詞は・・・入れたいですよねそりゃ(笑)


ちょっと、ビースト弱くない?と思われるかもしれませんが、それも今作の仕様というか、それについては次回、書きます。


というわけで次回、一つ閑話を挟みます。
本編とも言えない、いわば、6.5話に相当する話です。

構想として、この後2話、閑話として書く予定です。
その回については、タイトルにインタールードと付ける予定です。

というわけで・・・ネクサスヤクザの皆様お待たせいたしました。
久しぶりにバッチリ、ウルトラマンの活躍をこれでもかと描きます。
というか、真面目に、ウルトラマンしか出しません。
なので言います。次回は原作:ウルトラマンです。
いや原作リコリ(ry
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