NTR要素有りのTS短編詰め合わせ   作:あへんちんき(毒入り)

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NTRされないTSっ娘

 

 

 

俺の名前は三井友季。特に何の変哲もない男子高校生だ。

 

親友が、性転換したことを除けば。

 

 

 

俺の親友の名前は天成根 虎。ちょっと単純なところがある憎めないやつだ。

 

他人と距離を置いていた俺の心に、ズケズケと土足で踏み込んでくるようなやつで、でも、そのおかげか、俺は他人と壁を作ることをやめた。

 

 

 

だから、こいつがもし困っていたら、今度は俺が助けるんだって、そう、決めていたんだ。

 

 

 

 

親友が性転換した。その話を聞いて、はっきり言って情報を飲み込むことができなかった。

 

性転換病については知ってる。最近ニュースで話題になっている、誰にでも発症しうるが、基本的に超低い確率なので発症することはないだろうと思われている症状だ。

 

 

 

その病に、親友が侵された。

 

今こそ、親友を助ける時だ。そう思って、俺は親友のことを全力で助けに行こうと思った。

 

 

 

でも、現実はそんなに甘くない。

 

親友が学校に通い始めて、俺は親友が孤立しないように、なるべく親友の側にいるようにした。

 

 

 

『なぁ、友季。お前は、ずっと親友のままでいてくれるよな?クラスの奴らみたいに、おれを腫れ物みたいに扱ったりしないよな?』

 

 

 

『ああ。当たり前だ。俺はお前の親友だからな』

 

 

 

この時、俺は嘘をついた。

 

俺はもう、既に彼、いや、彼女のことを親友として見れなかった。

俺は異性として、彼女を意識してしまっていたからだ。

 

俺の心を救ってくれたからだろうか、いつしか、俺は彼女のことを好きになってしまっていた。あわよくば付き合いたい、結婚したい。そんな欲求が湧いて出てきていた。

 

 

 

でも、もし、彼女のことが好きだということがバレたら?

 

 

 

『親友でいてくれるって言った癖に………嘘つき』

 

 

 

嫌われるに決まっている。

 

だから俺は親友として振る舞わなきゃいけない。この想いは隠し通さなきゃいけない。

 

じゃないと、側にいられないから。

 

 

 

*

 

 

 

けれど、そんな俺の想いは、決意は、すぐに揺らぐことになる。

 

俺の親友が……虎が、男と話していたのだ。

 

基本的に虎は、俺以外の男と話すことはない。というか、クラスでほとんど孤立している。男も、女も、皆虎に近寄ろうとしないのだ。

 

だから、俺が側にいてやろう。俺だけが虎の側にいてやれるんだって。そう思ってた。

 

 

 

虎が男と話している。それだけなら、まあまだ許せたかもしれない。だって、ようやく虎がクラスに馴染め出したってことなんだから。

 

でも、その相手の男が、最悪だった。

 

そいつは、女遊びが激しいって噂が立ってる金髪でチャラい、馬音 鳥尾という男だった。

 

そしてそいつは、明らかに虎のことを狙っていた。

 

俺も虎のことが好きだからわかる。あいつの虎を見る目は、そういう目だ。

 

 

俺は虎がその男と話しているのを見るうちに、心の中にドス黒い何かが現れてくるのを感じた。

 

 

今すぐにでも話を中断させてやりたい。

 

虎を引き離して、俺しか目に入らないようにしてやりたい。

 

虎の隣は俺だけのもの。

 

そこはお前のいていい場所じゃない。

 

 

醜い感情だっていうことは、わかってる。

俺はこの強い衝動を、抑えるので精一杯だった。

 

 

 

*

 

 

 

それでも俺は、親友であることを貫こうとした。でも、そんな俺の決意を踏み躙るように、虎はどんどんあいつと関係を深めていく。

 

段々と仲良くなっていく二人。楽しそうに話す虎の姿。

 

俺はその二人を見ていられなかった。

 

 

 

何であいつと仲良いんだって、聞いたこともあった。そしたら、信じられないようなことを虎は言った。

 

『あー。なんだ、下着選びとか、あと、あれ、女の子の日、あるだろ?あれ関連のこととか手伝ってもらったりとか、あと、まあ色々世話になってるんだよ。言わせんな。恥ずかしい』

 

下着選び?女の子の日?俺には何の相談もなかったじゃないか。

 

確かに、男にそんなことを話すのはどうかっていうのはある。だから、今までは俺に話さないことも納得できた。

 

でも、じゃあ何であの男には話したんだ?

 

色々って何なんだ。何に世話になってるんだ。

 

やめろ。やめてくれ。

 

俺の中で、醜い嫉妬の思いが湧き上がる。

 

もう俺は、この想いを抑えられそうにない。

 

だから、俺は、虎に。

 

 

 

告白することにした。

 

 

 

*

 

 

 

「んで、なんだよ、急に話があるって、こんなところまで呼び出してさ」

 

 

 

「あぁ。まあ、ちょっとな」

 

 

 

「ふーん。ま、いいけど。で、話したいことってなんだ?鳥尾との約束があるから、早めに終わらしてほしいんだけど」

 

 

 

鳥尾。また、その男の話か。

 

 

 

「鳥尾、鳥尾、鳥尾。最近のお前はそればっかだな。そんなに鳥尾ってやつのことが好きか?」

 

 

 

「はぁ?いきなりなんだよ。鳥尾には世話になってるんだ。そんな言い方ないだろ」

 

 

 

「うるさい。お前は、女として見られるのが嫌だって言ってた癖に、自分のことを女として見るような男とつるむのかよ!?俺は…‥俺だって………俺だってお前のことが好きなんだよ!?わかるか?お前に、親友としていてくれって言われた時の俺の気持ちが!!俺は、俺はお前のために、親友であり続けようとしたんだ。それなのに………」

 

 

 

「友季…………。いつから…………いつから、おれのこと……」

 

 

 

「最初だ。お前が、性転換病にかかってすぐの頃だ」

 

 

 

「そうか、じゃあ、ずっと、おれのこと、騙してきたんだな……」

 

 

 

「あぁ、そうだよ!お前のために!俺はお前の親友であろうとしたんだ!!お前が悲しまないように!!俺は!」

 

 

 

「おれはそんなこと頼んでない!!!おれは、おれは、別にお前に親友でいることを強制したわけじゃない!!お前は…‥…お前はずっとおれを騙してきたんだ!!おれのことを、“そういう目”で見てきて、そのくせずっと黙ってきたんだろ!!」

 

 

 

「仕方ないだろ!!好きになっちまったんだ!!どうしようもないだろ!!なんで、なんで分かってくれないんだ!!俺は、俺は……!」

 

 

 

「もう、絶交だ」

 

 

 

「は……?」

 

 

 

「絶好だって言ったんだよ。おれのこと、ずっと騙してきたんだろ?もう、お前とは一緒にいれない。じゃあな」

 

 

 

恐れていた、最悪の事態。

 

わかっている。俺が悪い。鳥尾のことばかり話してる虎に対して、醜い嫉妬の感情が湧いてきた。抑えられなかった。もっと冷静に、話を進めていれば、また違ったはずなんだ。

 

それに俺は、嘘をついた。

虎のため、なんて言ったけど、そうじゃない。

本当は、俺は、俺が虎の側にいるために、虎の親友でいようとしたんだ。

 

最悪だ。俺は、ここまで、最悪な人間だったのか。

 

 

 

「ふむ、先程から様子を伺っていたけど、君、酷いね」

 

 

 

「誰だ!?」

 

 

 

「正体は教えられないけど、このままじゃ君は悲惨な結末を迎えることになる」

 

 

 

そう俺に話しかけてくるのは、全身真っ白で儚げな、同い年くらいの少女だった。

 

 

 

「どうかな?私と契約する気はないかな?悪魔との契約を、さ」

 

 

 

*

 

 

 

あれから三ヶ月。

虎との関係は、修復できていない。虎は前よりずっと鳥尾とかいう男といる機会が多くなった。

 

 

『なぁ、お前ってなんだかんだ勉強できるんだな』

 

 

 

『ん?まあ、勉強できた方が女の子にモテそうだし?そういえば化粧品変えたでしょ?似合ってるよ。滅茶苦茶可愛い』

 

 

 

虎はおしゃれをするようになった。それに、最近は鳥尾とかいうやつに女扱いされても、特に怒ったりする様子はない。むしろ、可愛いと言われて喜んでさえいる。

 

 

 

『そ、そう?おれ、可愛い?』

 

 

 

『うん。可愛い。正直俺の好み』

 

 

 

『そ、そうか?ま、まあ当然だな!おれ、元がいいし!』

 

 

 

『うん、そうだね』

 

 

 

見ると、虎の顔は赤色に染まっている。照れているんだろう。もう、これ以上見せつけないでほしい。どれだけ俺が惨めな気持ちになるか。

 

俺の脳裏に、虎を襲えばいい、なんて考えが横切る。

 

やめろ。そんなことしても、誰も幸せにならない。

 

 

 

‥‥本当に?

 

 

 

どうせ、鳥尾とかいう男に取られるくらいなら、いっそのこと、無理矢理にでも虎を俺のものにしてしまったほうがいいんじゃないか?

 

 

馬鹿な考えが、俺の脳を段々と支配していく。

 

 

やめろ、馬鹿、やめるんだ。それ以上は………やめろ、やめろ。

 

 

いや、もう、どうでもいい。

 

 

どうせ虎と一緒に居れないのなら、俺の人生は終わったも同然だ。

 

なら、もう社会的に死んでも、虎の心に深い傷を残すことになっても、関係ない。

 

虎を襲う。

 

もう、俺は止められない。

 

 

 

*

 

 

 

虎の下駄箱にラブレターを入れて、虎を校舎裏まで誘き出す。今日は鳥尾とかいうやつも教師の手伝いで虎と一緒に帰れないらしい……。

 

好都合だ。

 

ほら、やってきた。昔からそうだった。虎は警戒心が薄い。多分、人のことを信じやすい性格だからだろう。

 

だから、人の悪意に気づけない。

 

あぁ、そうか。虎は、鳥尾とかいうやつに騙されてるんだ。

そうに違いない。

 

だったら俺が、助けてやらないと。

 

 

鳥尾という害悪から、俺が虎を守るんだ。

 

 

 

 

「んんっ!」

 

 

 

後ろから、虎を襲う。その際、叫ばれないように、虎の口元にハンカチを当てる。そのまま、壁際に虎を連れて行き、そのまま地面へと仰向けに寝かせる。

 

 

 

そうして、虎の上に馬乗りになって、それで………。

 

 

 

虎は、泣いていた。

 

 

俺の顔を見ながら、その瞳から雫を垂れ流していた。

 

 

 

その顔を見た時、俺は、何もできなくなった。

 

 

何をしているんだ、俺。

 

 

こんなことしても、虎は悲しむだけだ。

 

 

 

「虎……ごめん……俺………そんなつもりじゃ……」

 

 

 

「と……もき……その……とりあえず………退いて……ほしい」

 

 

 

「あ、あぁ」

 

 

 

虎の声は、震えていた。

俺は愚かだった。なんで、こんなこと。

 

 

 

「ねぇ、驚いた?」

 

 

 

瞬間、虎の姿が変わる。屋上で出会った、真っ白な少女の姿へと。

 

 

 

「なっ」

 

 

 

「これが本来の君の未来。三ヶ月後、君はこうやって天成根 虎のことを襲い、唇を奪う。さらにその先に進もうとしたところで、君は馬音 鳥尾に蹴り飛ばされ、学校を退学になる。これが本来の歴史。だけど、君は抗った。この決められた運命から。天成根 虎を襲うことは阻止できなくても、彼女、いや、彼か、の唇を奪うことはしなかった。覚えているかい?私との契約を」

 

 

 

「そうか、思い、出した」

 

 

 

「そう。君には私の作った仮想現実で、三ヶ月ほど過ごしてもらった。現実の方では一秒すら経っていないけどね。そして、君に決定づけられた運命をもし、回避することができたのなら、君に訪れる破滅の未来を予め私から教える。ただし、もし運命に抗うことができなければ、君は、私に魂を奪われ、君の想い人である天成根 虎から存在すら忘れられ、そしてこの世界に最初から生まれ落ちなかったことになるってね」

 

 

 

「てことは、虎が鳥尾のことが好きになるのって、本当に起こることなのか?」

 

 

 

「うん。そうだね。このままいけば、天成根 虎は馬音 鳥尾に惚れる。あぁ、信じられないというのなら、未来の二人の情事の映像を流してあげてもいいけど?」

 

 

 

「そ、それはやめてくれ。俺の精神にくる」

 

 

 

「で、気持ちの整理はつきそうかい?」

 

 

 

「そうだな。俺は………今まで自分のことしか考えてなかった。虎のことが好き、虎に嫌われたくない、虎に他の男が近寄ることが許せない。どれも俺の身勝手で傲慢な思いだった。だから、俺は虎に謝らないといけない。冷静になって、もう一度、虎と話し合いたい」

 

 

 

「そうかい。なら、今すぐにでも追いかけた方がいいんじゃないのかい?」

 

 

 

「そうだな。ありがとう。誰だか知らないが、おかげでスッキリした」

 

 

 

「どういたしまして。まあ、私が介入しないと、天成根 虎と三井 友季をくっつけることは不可能だったからね。仕方ないさ」

 

 

 

 

*

 

 

 

 

「虎っ!!」

 

 

 

「……友季………言っただろ、絶好だって」

 

 

 

「ごめん。俺が悪かった。お前の気持ちを考えもしないで」

 

 

 

「……………………」

 

 

 

「俺、本当は、お前に嫌われたくなくて、お前のそばにいられないのが辛くて、それで、嘘、ついたんだ。ずっと、お前の親友でいるって。もうその時点で、お前のこと、好きだったのにさ」

 

 

 

「あぁ。だから、おれのこと裏切ったんだろ?その話はもう聞いた。話はそれだけかよ」

 

 

 

「あぁ。そう、かもしれない。俺は、本当に身勝手で、そのせいで、お前のことを、傷つけた。だから、謝りたかった」

 

 

 

「……………」

 

 

 

「でも、できれば、これからも俺と一緒に居てほしい。恋人になれなんて言わない。俺は、正直お前のことが好きな気持ちは変わらないと思う。でも、それでもいいなら、友達として、俺と一緒に居てほしい」

 

 

 

「おれも、意地になってた部分があるんだ」

 

 

 

「え…………」

 

 

 

「おれは、正直、親友であってほしいだとか、女として見られたくないだとか、そんな気持ちはもうなかったんだ。ただ、友季に、おれが鳥尾と関わることをよく思わないように言われたこととか、あと、ずっと騙されてたっていうのが、凄く、悲しかったんだ。友季は、おれのこと一番理解してくれてるやつだって、思ってたからさ」

 

 

 

「じゃあ………」

 

 

 

「正直、友季と恋人にっていうのは、今は考えられないけど。でも、前みたいに友達の関係に戻れるなら、おれは、それがいい。おれから絶交だって言っておいてなんだけど、おれたち、もう一度、やり直せないかな?」

 

 

 

「もちろん、一から、やり直そう」

 

 

 

「ん。そうだな!」

 

 

 

二人は手を取り合い、互いに微笑み合う。

 

 

 

「あぁ、だが、覚悟しておけよ、お前のこと絶対に俺に惚れさせてやるからな」

 

 

 

「ふんっ!やれるもんならやってみろよ!おれはそんな安い女じゃないからな!」

 

 

 

今回の出来事で、二人の絆はより深いものとなった。今後、どのようなことが起きても、二人の仲が切り裂かれることはないだろう。

 

 

 

「どれどれ、二人の未来を少し、覗いてみようかな」

 

 

 

真っ白な少女は、どこからか水晶を取り出し、そこに未来の姿を投影する。

 

そこには、二人の子供に恵まれた、仲睦まじい夫婦の姿があったとさ。

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