始解がモロ滅却師な席官さん   作:K+#ガソ林

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第2話

「地下にこんな空間を作るなんて…。」

 

「驚きました?」

 

 ここは浦原商店の地下空間…勉強部屋と呼ばれるところである。地下であるのに、天井は青空。鬼道などに長けていない秀忠には、衝撃的な空間であった。

 

「じゃ、まず秀忠サンの始解…やってもらっていいっすかね?」

 

「わかりました。」

 

 秀忠は斬魄刀を抜く。解号を口にし───その力を解き放つ。

 

「…浄(きよ)めよ───染影(せんえい)。」

 

 秀忠の斬魄刀の形が変化していく。彼の始解は、老齢の死神達や、死神達に指令を出す組織である四十六室にとって、滅却師をイメージさせるもの。

 

 故に、表には出ない二番隊にしか席を置けなかった。…その斬魄刀の形は、弓であった。刀が複数合わさった形状をしており、持ち手と弦の部分以外は刃で出来ている弓であった。

 

「ふつーの死神みたいな刀状じゃないのは残念ですけど…この通り、影を操れるんです。」

 

 秀忠は自分の影を自在に操ってみせる。

 

「影を操る能力…流石っスね。隠密機動らしいス。」

 

 染影の能力は、影を操り───影に潜むことができる能力だ。過去、死神は滅却師が使用した似たような能力によって混乱させられたと言われている。

 

「出しましたが、どーすんですか?」

 

「これに刺してください。」

 

 浦原喜助が出したのは、転神体と呼ばれる物だ。

 

「そ、それって…隠密機動の最重要特殊霊具の一つじゃないすか?一体どこで…。」

 

「この人形に斬魄刀を刺すことで斬魄刀を強制的に具象化することができるっス。」

 

 卍解に必要なのは、具象化と屈服…。つまり、斬魄刀に宿る魂を現実世界に放出し、それを屈服させなければならない。

 

「秀忠サンは具象化した染影を屈服させちゃってください。」

 

「へ、へー…。わかりました。頑張ります。」

 

 転神体に斬魄刀を刺す秀忠…。その頬には、汗が一筋垂れていた。浦原喜助は胡散臭すぎる。安直に言えば、不安だった。

 

「───久しぶりだな。秀忠。」

 

「お久しぶりです。染影…。」

 

 斬魄刀が転神体に飲み込まれ───次の瞬間、彼の背後に現れたのは、黒髪の長髪に、黒いロングコートを羽織った老人。秀忠は見知った顔が出てきたことに安堵した。

 

(…え?)

 

 秀忠の安堵の影で、浦原喜助は驚愕する。浦原は後学のため、一護の卍解修行の資料を夜一から送信してもらっていた。

 

(染影の姿が───斬月の姿と、同じ…!?)

 

 その資料の中にあった斬月の姿が、今ここに立っている染影の姿と一致していたのだ。

 

「秀忠。私を屈服させたいのだな?」

 

「ええ。」

 

「早速始めようか…。」

 

 突然呼び出されたことに対して、全く狼狽を見せずに染影は、指先に一つの霊子の塊を浮かばせる。ハンドボール並みの大きさだ。

 

「これを…粒にしろ。」

 

「粒…?」

 

「可能な限り小さく濃縮するのだ。私の力の本質は細やかさにある。リソースの消費を抑えろ。万物をお前の手の内にするのだ。」

 

「…わかりました。」

 

 そこから、6時間が経った。だが…霊子の塊の大きさは全く小さくなっていなかった。むしろ結束が緩み、少し膨張すらしていた。秀忠の霊子を操作する能力が未熟であることを表している。

 

「…ぐぬ…ぬ…。」

 

「お、まだやってますね〜。」

 

 浦原が様子を見に来た。やはり、秀忠の斬魄刀は興味深い。弓のような形も、その上で影を操ると言った特性も。浦原は染影に揺さぶりをかけてみることにした。

 

「染影サン。これ、どう言う修行なんスか?」

 

「私の力の真髄を教えてやっているのだ。霊子の収束と発散をな。」

 

 浦原はここでようやくピンと来た。霊子とは、死神の肉体や、尸魂界の空間を構成する…いわば、あの世を構成する原子のようなものだが…霊子の収束、発散を得意とするその様は、滅却師(クインシー)のあり方によく似ている。

 

(…なぜ、死神の力が、こうも滅却師に似る…?)

「染影サン…あなた、何者なんですか?」

 

「滅却師であれとされた斬魄刀だとも。」

 

 絶句する浦原喜助。

 語り出す染影。

 

「斬魄刀とは、使用者の魂を練り込んで織り重なるものだ。私もそれと変わらない。重要なのは、私の力が霊王を源流としていることなのだ。私は主人の身を守るため、滅却師の力を全て斬魄刀へと練り込んだ。」

 

「…ま、まさか、そこまで語っていただけるとは…太っ腹ですねぇ…。」

 

(霊王を、源流…。…。)

 

 受け答えは自然に、尚且つ考え込む浦原喜助。

 

「そうすれば主人ではなく、私が狙われるようになる。浦原と言ったな。お前は危険だ。故に、このことを話したのだ。狙うなら私にしておけ。」

 

「や、やだな〜。滅却師の力がそのまま入った斬魄刀なんてめちゃくちゃ珍しいから研究したいな〜とか思ってないっスよ!?」

 

 そこから10時間が経った。休みなく霊子の収束に勤しんだおかげで、秀忠はコツを掴んだようで、霊子を半径5mmのスーパーボール並みに収束させることができていた。

 

「…良いだろう。秀忠。だが、私の力を使う上で伝えることがある。」

 

 最後に染影は言う。秀忠は息も絶え絶えで、今にも倒れそうだった。

 

「お前はまだ未熟だ。故に…この霊子の収束を決して怠るな。元々の影の力…霊子で空間を作る力も、お前の技術に依存している。」

 

「…ぐっ…。」

 

「受け取れ。お前の刀だ。」

 

 秀忠は染影から2mはあろう丈の斬魄刀を渡される。その形は…やはり、弓であった…。一般的に言われる刀を想像していたので、不満をこぼす秀忠。

 

「刀じゃ…ないじゃん…。」

 

「分離できるのだ。二刀にもなるぞ。」





誤字報告、ありがとうございました。

誤:お前はまだ未熟だ。故に…この霊子の収束を【消】して怠るな。元々の影の力…霊子で空間を作る力も、お前の技術に依存している。

正: お前はまだ未熟だ。故に…この霊子の収束を【決】して怠るな。元々の影の力…霊子で空間を作る力も、お前の技術に依存している。

 現在は修正済みです。
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