始解がモロ滅却師な席官さん   作:K+#ガソ林

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22話/エピローグ

 ユーハバッハが器子(現世でいう原子)と霊子の変換機能を持った人間化義骸に封印され、現世への送還が行われた後の事後処理の話をしよう。

 

 まず、親衛隊…ジェラルド・ヴァルキリー。

 彼は一撃で倒さなければどんどん復活すると言う桁外れの能力を持っている。

 そのため───ウルキオラの腕と融合し、彼が持っていた超再生能力を得たヤミーがなんとか抑えているような状態だった。

 

 彼に勝つには…意識外からの一撃で意識を刈り取る。それぐらいしか勝ち目はないだろう。

 

 その役目を担ったのは、持ち前の高い霊圧と、運命を跳ね除ける能力である双天帰盾によって復活したコヨーテ・スターク。

 虚閃の上位互換───王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)を数十発、ジェラルドの頭部に放って粉砕。

 

 ヤミーとウルキオラ、バラガンでは、この攻撃力は出せまい…そう判断していたジェラルドは、聖文字の力の発動が遅れて復活が出来ず、破面側の勝利となった。

 

 

 エス・ノトとハッシュバルトだが、こちらは零番隊相手に辛くも引き分ける。

 

 ハッシュバルトの『The Balance(世界調和)』の能力は、受けた幸運と不幸を等量にすると言う物だ。

 

 この能力により、兵主部一兵衛が放った『しら筆一文字』の効果を互いに分散。

 本来であれば、自身に向かう不幸を受け止める…『身代わりの盾(フロイントシルト)』により、ハッシュバルトへの不幸は無くなるはずだったが…そちらの効果はしら筆一文字により、名を塗り潰されていたので使用ができなかった。

 

 簡潔に結果を言うと相打ちだ。お互いに『蟻』になってしまった。

 

 しかし、相打ちとは言えど無力化はできたので…周囲の死神達が起きるまで、能力を解かない兵主部一兵衛。

 

 事実上の敗北を感じ取るハッシュバルト達であった。

 

 

 

 死神達が起き上がり、滅却師達は霊力を封じられて牢に入る。

 エス・ノトとユーグラム・ハッシュバルトは、双殛での処断が四十六室から下された。

 兵主部一兵衛の能力こそ解除されたが、霊子の収束を阻害する牢に入れられては何もできない。

 

 

「…陛下ガ、死ンデシマッタね。」

 

「……。」

 

「ネェ、ユーグラム・ハッシュバルト。君ハ…ドウ思う?」

 

「…私は、陛下に拾われた。」

 

 

 ハッシュバルトはユーハバッハと同じ、不全の滅却師だった。

 しかし、能力を奪い取ることまではできない。

 ハッシュバルトは、能力を分け与えることしかできない滅却師だったのだ。

 

「陛下に力を授けられ、その力を使いこなし…陛下の役に立てるように身を粉にした。」

 

「ヘぇ。」

 

「力を与えてもらった分、働こうと思ったのだ。…ただ、それだけだ。陛下がいなければ、今の強き私はいない。故に、陛下に忠誠を誓うのだ。」

 

「イイジャナイか、ハッシュバルト。」

 

「…陛下の理想を、叶えることはできなかったが。」

 

 それきり、ハッシュバルトは黙り込む。

 ユーハバッハがいない今、彼が従う神もまたいない。

 

 しかし、彼にもまた、人間へと還るべき時がやってきた。

 

 

「ハッ、フゥッ、ハッ…オイ!ロバートのおっさん!ここなんだな!?()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「ええ…京楽殿に聞いた情報です。間違いはッ、無いかと…っ!」

 

「に、しても…こんなに走ることって…ある…!?」

 

「皆さんスタミナが足りてないんじゃないんですかぁ〜?」

 

「ミ、ミニーがおかしいだけだろ…。」

 

「まったくだぜ…ッ。こんな可愛い年寄りに…ゼーッ…運動させんなよな…。」

 

「欲しいよ…ジジの…。」

 

「おっ!見えたぜ…あそこか!」

 

 牢の中を駆ける、滅却師一行。

 彼らは仲間である…いけすかない金髪の優男と、黒髪の根暗男を助けに来たのだ。

 

「バーナーフィンガー、4。ちょっとどいてろ、ユーゴー!エス・ノト!」

 

「…バズビー…!?」

 

 滅却師達が、牢を襲撃。

 

「何故…助けに来た!」

 

「決まってんだろ───仲間だろうが!」

 

「…ヤレヤれ、泣カセルね。」

 

 その後、ユーグラム・ハッシュバルトとエス・ノトは、彼ら滅却師達と共に───()()()()()()()()()穿界門を抜けて脱出。

 

 また、脱出に合わせたが如く、…()()()滅却師達の処分が緩和し、現世での監視処分となった。

 

 

「…やれやれ、政治の真似事はもうこりごりだヨ。()()()()()。」

 

「殺しちゃったら、秀忠隊長と黒崎一護君が黙ってないでしょ?なに、彼らは人間だ。死ねばまた、尸魂界に来る…。善人か悪人かを決めるのは、その後でも遅くはないよ。」

 

「悠長だネ。奴らはあの首魁が死んだことで珍味なる力…聖文字をほとんど失っていると言えど、戦闘能力は格段に高い。」

 

「まぁまぁ、…こう言う時は、どしっと大きく腰を据えて…大局を見るものさ。」

 

 

 破面達は虚圏へと送還された。

 身体に欠損がある者こそいれど、十刃が全員無事というとんでもない状況であったが…彼らは、尸魂界へと攻め込む気はないらしい。

 

 四十六室は残滅命令を下そうとしたが、被害予測を見て断念、送還処置を実行した。

 

「おぉい銀城!テメー後でまた俺と勝負しろよな!黒崎も!」

 

「誰がオメーの相手なんかするか!俺ぁ戦うのは不本意なんだよ!」

 

「黒崎に相手してもらうのは難しそうだな、グリムジョー。フッ…クク…!」

 

「!…テメェから先に殺す!死ねぇ銀城ォーッ!!」

 

「上等だ!最後の組み手といこうぜ!」

 

「お、おい!やめろお前ら!穿界門の近くで戦うんじゃねぇーッ!!」

 

 虚圏が尸魂界の良き隣人となるかは、また別の話だが…それは、今後の死神達の努力次第だろう。

 

 

「…浦原さん。ありがとうございました。」

 

「いえいえ、秀忠さんが諦めなかったからですよ。良き未来を、ね。」

 

 浦原喜助と松井礼司秀忠は穿界門の近くで別れの挨拶をしていた。

 

 思えば、きっかけは浦原喜助であった。

 浦原喜助を調査せよという任務が、いつのまにか…尸魂界を守るという、強大な因果へと繋がっていったのだ。

 

「アタシ達は、そろそろ…。」

 

「はい。お疲れ様でした。…しかし、尸魂界に帰投してもよくなったのに、まだ現世に残るんですね。」

 

「滅却師の人たちの世話と、あのユーハバッハの面倒を見なきゃいけませんから。」

 

 ユーハバッハはすでに、浦原商店へ鉄裁と共に移動している。

 順当にいけば、普通の高校一年生として一護達と生活することになるだろう。

 

「秀忠さんも、たまに彼の様子を見に来てくださいね。結構アナタのことも気に入ってるようですから。」

 

「わかりました。…それじゃあ、さようなら。」

 

「ええ、また会いましょう!」

 

 浦原喜助は穿界門を抜け、現世へ。

 秀忠は、隊長として───尸魂界へ。

 霊王宮を天空へ戻すことや、さまざまな設備の復旧など───まだまだ、やることは大積みだ。

 

 

 無間。

 真央地下大監獄最下層の、第8監獄。

 

 藍染惣右介の投獄されている場所だ。

 

 

「私も驕りが過ぎたな。まさか…私の力を抑えることができる鬼道を、浦原喜助が開発していたとは。」

 

 藍染惣右介は本来、死刑になるはずだった。しかし、崩玉と融合した彼は…双殛を何千本使ったとしても処刑は不可能。

 そのため、何重にもおける縛道によって拘束され…二万年の禁錮刑を言い渡された。

 

「…霊王は死も、生もなく…輪廻の中に還らず、か。」

 

 楔である霊王は、輪廻の中に戻るべき───。

 そのような考えが、藍染惣右介の内にはあった。

 

「霊王よ。理想郷を眺め続ける気分は、それは悲しいだろうな。」

 

 

「それでは───隊首会を開催するよ。」

 

 総隊長兼一番隊隊長、京楽春水。

 二番隊隊長、砕蜂。

 三番隊隊長、松井礼司秀忠。

 四番隊隊長、虎徹勇音。

 五番隊隊長、平子真子。

 六番隊隊長、朽木白哉。

 七番隊隊長、狛村左陣。

 八番隊隊長、鳳橋楼十郎。

 九番隊隊長、六車拳西。

 十番隊隊長、日番谷冬獅郎。

 十一番隊隊長、更木剣八。

 十二番隊隊長、涅マユリ。

 十三番隊隊長、朽木ルキア。

 

 浮竹十四郎は体調の悪化により、引退。

 空いた隊には【仮面の軍勢】に所属していた元死神が入り、護廷十三隊はその機能を取り戻した。

 山本元柳斎がいない隊首会は───少々、朗らかさに欠ける。

 太陽が潰えた後も、彼らは進まねばならない。

 

 

「どんなもんです?星は見えました?」

 

「ああ。はっきりと。」

 

 東仙要と市丸ギンは、流魂街にて談笑していた。

 彼らはユーハバッハ討伐に貢献したので、恩赦として、本来の刑罰である死罪から減刑。護廷十三隊内での地位剥奪と、三年の観察処分とされた。

 

「昨日、斬魄刀取り上げられちゃいましたからな。残念や。東仙隊長、やっと目が見えるようになったばかりやのに。」

 

 東仙の帰刃、狂枷蟋蟀(グリジャル・グリージョ)は、簡潔にその能力を言い表すと…身体能力の強化と、視力の付与だ。

 

 東仙は帰刃している最中、目が見えるようになる。それを活かして…一昨日、狛村左陣と共に星空を見に行ったのだ。

 

「思っていたより、悪くはない。星空というのは…。」

 

「心境の変化があったみたいですなぁ。」

 

「私の目指すべき場所は、星空が良い…。そう思っただけだ。世界は変わるべきだと、ずっと思っているよ。」

 

「…三年後やろ?気が早いなぁ。」

 

「綱彌代時灘…奴が不穏な動きをしているらしい。ギン。君は字が読めるだろう?手伝ってくれないか。」

 

「別に良いんですが、日が暮れるまでには帰りたいですねぇ。」

 

「…女でもできたのか?」

 

「いやぁ。まぁ。そのぉ…。」

 

「話してみろよ。私と君の中だろう。」

 

「アグレッシブやなぁ…流石元編集長や…。」

 

「…そういえば…今の瀞霊廷通信編集長は…拳西か。」

 

(彼がやれる仕事じゃないだろうし、おそらくは檜佐木が実質的な編集長だろう。)

 

「よし…檜佐木に少し、声をかけてみるとするか。」

 

「ほっ…助かった。」

 

 綱彌代家を追う東仙の陰で、一息つくギンであった。

 

 

「…転校生の浦原 斬月(うらはら ざんげつ)です。よろしくお願いします。」

 

 空座第一高校では、謎の美青年の転入に学校中が大盛り上がりだった。

 

 他の高校でも、謎の海外系美少女や、金髪のドイツ系長髪イケメンが転入している珍事が発生、さらに帰り道にやたら足の長い月島さんがいるとの噂も拍車をかけ、空座第一高校では喧騒が絶えない。

 

「…一護、あれ、若いけど…ユーハバッハだよな…?」

 

「あ、言ってなかったっけ。ユーハバッハは人間にすることにしたんだよ。浦原さんの義骸を使ってな。」

 

「…黒崎くんらしいね!」

 

「いや井上さん流石にそれは思考を放棄しすぎだろ!」

 

 小さな石の波紋が、雨蛙を岩から飛ばせた。

 ならば…誰だって、何事もできる。

 小さな風穴が、きっと…空いている。

 

 

 【浄化】とは何も、色を削ぎ落とすことではない。

 色で染め直すことでもない。

 

 汚れを落とすことだ。

 へばりついた、その汚れを。

 

 汚れが見えぬ故に、人はそれを恐れ。

 浄化せんとするために、進むのだ。

 

 






 『始解がモロ滅却師な席官さん』の読了、お疲れ様でした。

 今回の小説も完走できて良かったと思います。ただ、タイトル詐欺な部分は申し訳なく思います。
 
 独自設定マシマシの今作ですが、どうだったでしょうか。
 独自設定の確認を行いたい方は活動報告欄を閲覧ください。
 よければ、評価、感想などいただきたく思います。

 応援してくださった方々、完読してくださった方々、ありがとうございました。
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