嵐を呼ぶぼっち・ざ・ろっく!   作:tatararako

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15話を投稿させて頂きます。

そういえば、今話でふたりの過去話は終わるということを言うのを忘れてました。……すいません。
多分、ちゃんと思い付いたらえんぴつしんちゃんのちほちゃんと此処のふたりちゃんを引き合わせてみたいとは思っています。


あと、しんちゃんって同年代の子に好かれやすいんだよなぁ……。
   
   


走れ、ぼっちちゃんだゾ

    

     

私がSTARRYに来て、虹夏ちゃん達と話していたとき、

 

「えー諸君。お待ちかねの給料だぞ。」

 

STARRY店長こと、星歌さんが私達に給料袋を引っ提げていた。……それを聞いた虹夏ちゃん達は、

 

「「「やったー!」」」

 

と言って喜んでいた。……それに私も遅れて、且つ虹夏ちゃん達の声よりも少し小さな声で「や、やったー。」と言っていた。

……私に、給料という物が貰えるとは思っていなかったので内心ウキウキしていた。

 

そうして、虹夏ちゃん、リョウさん、喜多さんの順に給料が渡され、最後に私の番となって、

 

「はい。…ぼっちちゃんの分。」

「あ、ありがとうございます。」

 

星歌さんから、給料袋を貰う。……そして、自分の席に戻って、その給料袋の中身を……見てしまう。

その中には、一万円。……諭吉さんが一枚入っていた。

 

…………い、一万円。……私の汗と涙の結晶!

 

何に使おう?新しいスコア?漫画大人買い?…あっ!お母さん達にケーキとか買って驚かせ……あ!でも、その前に一日だけだけど、それでもしんちゃんに手伝わせた訳だから、その分はちゃんと支払わなきゃ「じゃあ、折角の所悪いんだけど、ライブ代徴収するね?」

 

「……聴いてください。新曲『さよなら諭吉』。」

「ごめんねー!私だって心苦しいんだよー?」

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

………そういえば、ライブのノルマのためにバイトしてるんだった。

まぁ、毎月ここで頑張れば、結束バンドが活動できるんだし、これでいっか「え!アルバム作るのって、そんなにお金かかるんですか?」

 

……え?

 

「うん。折角ならライブの物販で置いてみたいし。それに、ミュージックビデオの撮影とかするのも結構お金かかるんだよ~。」

「じゃあ、夏休みは別のバイトも増やさないとですね!」

「だね。みんなで海の家とかでバイトしちゃう?」

「いいですね海!」

 

うぅ~みぃ~!?

 

「遊園地でバイトとかもいいですよね!」

「それ楽しそう~!」

 

あの陽の結界が貼られている海の家にバイトへ行くことになることを聞いた私は、即座にスマホを開くとバイトを行かなくても済む方法を探していた。

………あーダメだ。カ〇カウファイナンスとか見てきたけど、やっぱり未成年には貸してくれない。いや、もっと闇に潜ればもしかしたら、例えば、SNSとかで個人間融資をやっている人を見つけて融資して貰うとか……いや、肝臓を売りに行こう。そう、決断すると、

 

「ぼっち。」

「う、え?……あっ、あ、ああっギ…ギギギギギターを担保にすれば借りれるはずなのでババババイトを増やすのだけは!海とか遊園地とかだけは何卒~!「いや。曲作って来たんだけど……。」

「……え?」

 

え?……新曲ですか?

 

 

 

――――♪

 

「……え?かなりよくない?」

「はい!とっても!」

 

リョウさんが作った曲が入ったスマホをゴミ箱を横にして置くと、スマホの再生ボタンを押して聴いていた虹夏ちゃんと喜多さんはとても良いと言って、とても気に入っているようだった。

 

「ぼっちの書いた歌詞見てたら浮かんできた。」

 

それを聞いたリョウさんは、私の歌詞を見て、思い浮かんだといってくれたので、私は「やったじゃん!頑張った甲斐あったね!」といって励ましてくれた虹夏ちゃんの声が頭に入らないぐらいに感動していた。

……だって、今まで家族とかすかべ防衛隊しか褒められたことなかったから。

 

「褒めて遣わす。よしよし。」

「えへ…えへえへえへえへぇ~……。」

 

そんなことを考えていると、リョウさんが顎を撫でて褒めてくれました……えへ…えへえへえへえへ……。

 

「せせせせ先輩!私も頑張ってるんですよ!見てください!こんなに弾けるようになりました!!」

「すごい。」

「すごいですか!じゃあ私にもよしよしくださ~い!!」

「よしよし。」

ウェヘヘ……キャー♡」

 

そうして、喜多さんもリョウさんによしよしされたかったのか、リョウさんに喜多さんの努力の結果を見せていました。すると、リョウさんはそれに喜んだのか喜多さんをよしよししていました。……それを虹夏ちゃんは遠巻きに見ていると、あははと小さな子供達を見守るお母さんみたいに小さな声で笑いながら、

 

「あたしの夢……叶っちゃうかもな。」

 

小さな声で夢が叶うかもと呟いていました。

 

「よし!来月ライブできるようお姉ちゃんに頼んでくるね!」

 

……え?まだ言ってなかったんですか?と私は心の中で呟くと、

 

「え?まだ言ってなかったんですか?」

「大丈夫~。この前もすぐ出させてくれたもん。……ね、お姉ちゃん?」

 

喜多さんも同じことを言っていました。

 

……虹夏ちゃんは大丈夫というけど、本当に大丈夫なのかなぁ?星歌さんも客商売だし、それに店長という立場もあるから、もしも虹夏ちゃんを自分の妹だからと特別扱いし過ぎると、他のバンドグループからやっかみを受けて虹夏ちゃんが大変な立場に立たされたりする訳だし、そこはシビアになるんじゃあないかなぁ……?

 

と、思ったけど私は声に出すことなく、心の内に留めていた。……だって、下手なことを言って虹夏ちゃんと軋轢を生みたくないし。

 

「あ?出す気ないけど?」

 

う~ん、虹夏ちゃんにどう言えば良いだろうと考えていると、星歌さんが私達をライブに出す気は無いと言っていた。……え?ライブに出す気は無い?

 

「「……え?」」

 

星歌さんのライブに出す気は無いという言葉に虹夏ちゃんと喜多さんも動揺し、「……え?」という声を同時に出すのであった。

 

「え?何で?オリジナル曲もできたのに?」

「それはこっちに関係ない。」

 

頭の片隅でそ、そういう想定をしていたけど、どう言えば良いのか分からない。……そ、それに、……なんだか空気が…やばい………。

 

「あ、ああ、集客できなかった時のノルマなら払える…よ?」

「お金の問題じゃなくて、実力の問題。」

 

虹夏ちゃんがノルマなら払えると言うと、星歌さんはお金じゃなくて実力の問題と返していた。……それを聞いた私は、虹夏ちゃんとリョウさんの二人と初めて合わせの練習をしたときに「ド下手だ。」と言われたことを思い出してしまっていた。

……そ、そうだよね。……星歌さんもライブハウスを経営している立場である以上、私のド下手な物を聴かせる訳にはいかないし……。

 

「……この前は出してくれたじゃん?」

「あれは思い出作りのために特別にな。」

 

……この前のは思い出作りのために特別に出してくれたんだ。……ん?でもそれは何かひっかかるような?

 

「思い出作りって……。」

「普段はデモ音源審査とかしてんの知ってんだろ?」

「そう、だけど……。」

「悪いけど、5月のライブみたいなクオリティなら出せないから。」

 

困惑する虹夏ちゃんを他所に、私は普段はデモ音源審査とかをやっているのに前の時は思い出作りのために特別に出してくれたことに何かが引っかかっていた。……う~ん?何にひっかかっているんだろう?

 

「出せないって…え、じゃあ私達は……?」

「一生仲間内で仲良しクラブやっとけ。」

「……。」

「まだ何かあんの?」

 

そうして、星歌さんに色々言われた虹夏ちゃんは押し黙っていたことに、星歌さんは「まだ何かあんの?」と尋ねると、

 

「結婚してるみさえさんと同い年なことを気にしてる割りに、いまだにぬいぐるみ抱かないと寝れないくせにーーーー!!!」

 

「……何だ?今の捨て台詞は……?」

 

虹夏ちゃんの捨て台詞を聴いた私達は固まっていただけでなく、星歌さんはすこし涙目になりながらもそうツッコんでいました。

 

「……ぬいぐるみって、このヨレヨレのうさぎとパンダのこと?」

「あらかわいい。……店長、みさえさんのことを気にしてるのは、やっぱり同年代の子連れ見てると胸が締め付けられる「それ以上言うなっ!!…それとリョウはその画像を消せ!今すぐに!!」

 

リョウさんとPAさんは何やら星歌さんに言っているようでした……。リョウさん達が、そんな話をしていると喜多さんが、

 

「何してるんですか!追いかけますよ!!」

「えー。」

「面倒そうにしないでー!」

 

と大きな声で虹夏ちゃんを追いかけようと言われたので、私はパニックを起こし、アタフタとしていました。

 

「ほら後藤さんも!行きましょう!」

「は、はい…!」

 

アタフタしていた私は、喜多さんの声のお陰で現実に戻ると私も虹夏ちゃんを呼び戻すべく動くのですが……、

 

「……待ってぼっちちゃん。」

ハ、ハイ!?

 

……え?なになに?なになになに!?

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

あ……あの……はぁ……はぁ……………

「……ぼっちちゃん?」

 

星歌さん……から……伝言を………頼まれた私は……ゼェ…ハァ……久しぶり……全速力で走った……ゼェ……せいか……ハァ……息も……絶え絶えだった。

 

さっき……はぁ……はぁ……店長さんが……っ!!

「ぼっちちゃんまず息しよう!」

 

 

 

 

 

……こうして、虹夏ちゃんのお陰で呼吸を整えることができた私は、虹夏ちゃんがくれた飲み物で水分補給もできた。

 

「はい。ぼっちちゃん。大丈夫?」

「あ、ありがとうございます……。」

 

そのため、私は一度落ち着くことができ、星歌さんが言いたかったことを虹夏ちゃんに伝えるのでした。

 

「えっと……店長さんがさっき言ってました。」

 

 

 

 

 

 

 

『虹夏に伝えて。ライブに出たいならまずオーディション。一週間後の土曜日に演奏見て決めるから……って、え?何してんの?』

『せ、精一杯服従心を表現しようと……。』

『早く追いかけないと見失うんじゃないの?』

『ワ……ワン!』

 

ライブに出たいなら一週間後の土曜日にオーディションに合格すること。

星歌さんにジミヘンを飼うために勉強したお腹を見せるポーズで精一杯服従心を見せたこと。

私がお腹を見せるポーズをしていると星歌さんがスマホで写真を撮っていたこと。

 

といったことがあったことを虹夏ちゃん達に私が伝えると、

 

「犬がお腹を見せるポーズ、服従っていうより戦闘的なサインを現してる説あるらしいよ。」

「リョウ先輩物知り~!」

ヒィ!?

 

リョウさんが『犬がお腹を見せるポーズは服従っていうより戦闘的なサインを現してる説』を聞いた私は、震えていた。

何故なら、過去に私はみさえさんに『犬がお腹を見せるポーズ』を何回かやらかしたからである。

 

「……ってそうじゃなくて、つまり!」

「オーディション!!」

「それに合格したらライブに出られるってことね!」

「なーら最初からそう言えばいいのにぃ~。……お姉ちゃんの意地悪。」

 

……いや、だって、シロが居るから伝わるかな?と思って……それで……お腹を見せるポーズを必死で……あの……その……ど、どうしよう!!?

この時の私は、虹夏ちゃんと喜多さんがオーディションの話をしているにも関わらず、そればかり考えていました。

 

「あ~。うん。そうだね……。(ぼっちちゃんと喜多ちゃんが一番不安なんだけど……そんなこと言えないしな。)」

「明日、二人のパートはオケ流しとくから、アテフリの練習だけしっかりしてくるように……ぼっち?」

 

そうして、リョウさんにアテフリの練習をしっかりやるようにということを聞いてなかった私は、

 

「う、え?……あっ、あ、ああっみさえさん!お腹を見せるポーズをしたのは戦闘的なこととかじゃなくてその、ふ、ふふふ服従の意味合いの方が強くて「……ぼっち?何の話をしているの?」

 

……あ、しまった。

こうなってしまっては、正直に話そう。

 

……み、みさえさんに、犬のお腹を見せるポーズを何度かしたことがあって……その………。

「いや、みさえさんと普段何してるのぼっちちゃん。」

 

虹夏ちゃんに普段何してるの?と言われた私は、みさえさんとどんなことをしているか思い出していた。

……犬のお腹を見せるポーズ以外は、

 

陰キャ(顔を逸らす等)を発動させてたり、

俯いて吃りながら近づいたり、

言い方を間違えたら必死で逃げたり、

ストレスで吐いたり、

仮装(ギタ男「ヒッピーみたいな恰好だよ!!」)しているのを見られたり、

 

 

 

……アレ?碌なことしかしてないんじゃあ?(ギタ男「ひとりちゃんは知らないけど、かすかべ防衛隊のみんなと一緒に撮った写真を壁一面に貼っているところをみさえさんに見られたりしたよ!!」)

 

「……それはそうとして、エアバンドじゃないんだからアテフリはダーメ!!」

「一週間しかないから、今回は頑張らなくても……。」

「へたっぴでも頑張れば熱意は伝わるって!」

「「……へたっぴ。」」

 

リョウさんのアテフリという提案を虹夏ちゃんはダメと言って禁止にするのでした。すると、リョウさんは一週間しかないから今回だけでもと言うと、虹夏ちゃんは『へたっぴ』でも頑張れば熱意は伝わると言うのでした。

 

……でも……へたっぴ。

 

「ああごめん、でも二人共最初より全然うまくなってるし。…ね、リョウ?」

「うーん」

「私が言うのもなんだけど、ちょっとはフォローして!!」

 

……私はへたっぴ。

 

「ああぼっちちゃん!?土管の中ひきこもらないでー!」

 

……私はへたっぴ。

さ、作詞してまたちょっと調子に乗ってすみません…。私のような人間はこの土管のような薄暗くジメジメ湿めぼったい場所「ああ、ぼっち節が響いて……。とにかくほらーでておいで?」

 

こうして、私こと後藤ひとりは土管の中にひきこもったことで、虹夏ちゃんは私をそこから出すことに苦労したそうです。

 

(あれ?私はともかく下手?後藤さんが?……前学校で聴いた時は、素人の私でも上手いって思えたのに、前のはまぐれだったのかしら?)

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

「リズム帯が上手ければなんとかなるよ。」

「そうでしょうか……?」

「うん!全員リョウ並に演奏できるようになってることを求めてるわけじゃないと思うし。」

「じゃ、じゃあ何を求めて?」

「うーん……熱量?バンドとしての成長?」

 

私はそんな会話を思い出しながら、家路に着くため駅に居た……。

 

「……成長。」

 

バンドとしての成長……成長とは何だろうか?

そんなことを考えていると風間くんから電話がかかってきた。……それを見たとき、そういえば風間くんは英会話アプリを入れるためにスマホを持ってるんだっけ?とかを思い出していた。

 

そうして、何かあったのだろうかと不安を抱いた私は、即座にスマホの着信ボタンを押すのだった。

 

「……もしもし。」

『もしもし!ひとりお姉さん!しんのすけとふたりちゃんがしんのすけの家の前でケンカしてるから早く帰って来てください!!』

 

すると、風間くんがしんちゃんと私の妹のふたりがケンカしていると聞いて、ああ子供だなぁと思っているとファッ!!?

 

…え?……え?……しんちゃんとふたりが……ケンカ?

 

それを聞いた私はダッシュするのだった。

ふたり!ダメだよ!!ふたば幼稚園でひとりになった時とても苦しかったのに、そんな窮地を救ってくれた友達を失うようなことは絶対にしちゃダメ!!……そう思って私は全力のダッシュをしていた――――。

 

 

 

 

 

――――そうして……ゼェ…ハァ……ゼェ…ハァ……しんちゃんの家に着くと………ゼェ…ハァ……そこには………風間くんと……かすかべ防衛隊の……みんなが居て………ゼェ…ハァ……ふたりとしんちゃんが………庭の縁側に居た。

 

「ウェヘ、ウェヘヘ、ウェへへへ。」

 

しんちゃんと顔をふにゃふにゃとさせたふたりがチョコビを食べていた……。なお、食べているチョコビは私が買ったロイヤルチョコビ。

 

……ゼェ…ハァ……ゼェ…ハァ……あ、アレ?……ふ、ふたりは……?

「ひとりお姉さん説明するから落ち着こう?」

 

……ゼェ…ハァ……ゼェ…ハァ……と息を荒げていると………風間くん達が説明してくれた――――。

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

今日のふたりちゃんの様子がおかしいとネネちゃんから聞いた僕等はふたりちゃんの後を追うと、ふたりちゃんはしんのすけの家の前まで来ていた。

そうして、しんのすけの家の前に着くと、チャイムを押してしんのすけを呼んでいるようだった。

 

……正直に言うと、ふたりちゃんの様子がおかしいというネネちゃんの言葉は間違っていなかったと僕等は直ぐに分かった。

 

何故なら、今のふたりちゃんの目は虚ろな目で瞳孔は開き切っていた。それを見た僕こと風間トオルは……いや、マサオくんもボーちゃんもネネちゃんも同じことを思ったと思う……。

 

((((こ、怖い!……いつものふたりちゃんじゃない……!))))

 

正直に言えば、めちゃくちゃ怖いので此処から逃げたかったけど、しんのすけが心配だったから逃げる事もできなかった……。とはいえ、このままだとマズイから、僕はスマホを取り出すとひとりお姉さんに連絡していた。

 

「もしもし!ひとりお姉さん!しんのすけとふたりちゃんがしんのすけの家の前でケンカしてるから早く帰って来てください!!」

 

僕がスマホの向こうに居るひとりお姉さんにふたりちゃんに聞こえないよう小声でそう言うと、ひとりお姉さんの声からダッシュで戻って来てくれているのが分かった。これで、ひとりお姉さんが来てくれたらどうにかなるだろうと思っていたら……。

 

「ほーい!」

 

運が悪いことに今日に限ってみさえさんは居ないのか、しんのすけが出て来た。

 

「おおっ!ふたりちゃんどったの?」

ねーえしんちゃん?……この前チョコビを上げたあの人だーれぇ?

 

そして、しんのすけはいつもの調子で話しかけると、ふたりちゃんは瞳孔が開き切った虚ろな目で一つも瞬きすることなくしんのすけを見ていた。……ていうか、何でしんのすけはいつもの調子で話しかけられるんだ?

 

「チョコビー?チョコビー……おおっ!リョウちゃんのことですかな?「へぇー"リョウちゃん"ってうんだー。……何?何時の間にそんなちゃん付けで呼んだり、チョコビ上げるくらい仲良くなったの?好きなの?(※字が変わっているのは音程が安定していないからだよ!)」

 

すると、ふたりちゃんはしんのすけの"リョウちゃん"という言葉に反応したのか、ふたりちゃんは"リョウちゃん"という部分だけ語気を強めてしんのすけに詰め寄っていた。……というか、ふたりちゃんの表情がひとつも変わっていない!!

 

そのふたりちゃんの姿を見た僕こと風間トオルと……いや、僕以外のみんなはこう思っただろう。

 

((修羅場だ……!))

「……これは、リアルおままごとに使えるかしら?」

 

修羅場だと……。でも、ネネちゃんはリアルおままごとに使えるかもと言っていた……。そこなの?

 

「う~ん、リョウちゃんはお子様だしな~。オラ、お子様に興味ありませんし~「ハイハイまたまた出ました出ましたー。リョウちゃんリョウちゃんって、ちゃん付けで呼べる仲ってことだよね?……何?何で?リョウとかいうのより私としんちゃんの方が付き合い長いし、いつもしんちゃんのピーマンを食べたりしてあげたりしたのに……私は一個もチョコビすら食べてないんだよ?……私ってそんな程度にしか思っていないってことなの?……ねぇっ!!?

 

ひっ、ひえぇ……コ、コレどうやって止めれば良いんだろう?というか、しんのすけも5歳だろ!?

そんなことを考えてると、

 

「ほうほうそういうことですか……なら、ちょっと待ってて~。」

 

しんのすけは家の中に入って行った……って、いやいやいやいや!そんな状況じゃないだろ!?何やってんだよしんのすけ!!先ずはふたりちゃんをどうにかするのが先決だろ!?

ホラッ!今も……って、ヴェエエエ!!?ふ、ふたりちゃんがお前が居た方をずっと…ずっとガン見してる!!?普通に怖いぃっ!!

 

そんなことを考えていると、しんのすけがふたりちゃんの前に出て来てある物を口に入れた。

 

そのある物は、ロイヤルチョコビだった……。

それに気付いたふたりちゃんは、

 

「……。」

 

無言でしんのすけがくれたロイヤルチョコビを口に含んで、咀嚼しながら食べていた。そして、ふたりちゃんはしんのすけがロイヤルチョコビをくれたと知った瞬間、

 

(……あのリョウっていうおねーちゃんのギターと似てるけど地味な方の奴は普通のチョコビを貰ったけど、私は普通のチョコビよりもお値段が高いロイヤルチョコビ……これって、つまり!!)

 

と思ったかどうか知らないけど、多分そんなことを思っていたと思う。……だって、しんのすけがくれたロイヤルチョコビを食べ終わったふたりちゃんの次の表情が……。

 

「えへ…えへえへえへえへぇ~……。」

 

恍惚に満ちた表情を浮かべていたから、そうとしか思えなかった。

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

――――ということが、ふたりとしんちゃんとの間に起こったことを私こと後藤ひとりは風間くんから聞きました。

……な、なるほど、ふたりはロイヤルチョコビをしんちゃんがくれたから喜んで、それで元通りになったのか。

 

「……し、しんちゃん。……ありがとう。ふたりのチョコビを食べたいというワガママを聞いてくれて。」

 

それを聞いた私は、涙を流しながら歓喜に打ち震えていた。……どうしてかは知らないけど、ふたりのチョコビが食べたいという突然のワガママを聞いてくれるなんて。そうだ!今度しんちゃんに会ったらロイヤルチョコビをもう一個買ってあげよう。ふたりのワガママを聞いてくれたお礼に……。

 

「この前、しんちゃんにロイヤルチョコビを買ってあげて良かったよ……。」

「えっ!?アレ、ひとりお姉さんが買ったのなんですか!?」

「?…うん?この前、アー写撮影を手伝ってくれたから……。」

 

私が、この前アー写撮影を手伝ってくれたしんちゃんにお礼としてロイヤルチョコビを買ってあげたことを風間くん達に話すと、ガックリと肩を落としていた。

 

「あ、あの~おねえさん?……ふたりちゃんが何でチョコビを欲しがったか分かります?」

「……そういえば何でだろう?」

 

マサオくんにふたりがどうしてチョコビを欲しがったかと問われた私は、どうしてだろうとしか答えられなかった。

 

「とりあえずひとりお姉さん……しんちゃんのチョコビはひとりお姉さんが買った物だということは内緒ね?」

「え?……何で?「どうしてもよ!」……ハイ。」

 

それを聞いたネネちゃんの一言で、私はしんちゃんがふたりにあげたロイヤルチョコビは私が買って来た物だということは内緒にするということになりました。

 

「……とりあえず、しんのすけはひとりお姉さんが買ったロイヤルチョコビをふたりちゃんが欲しかったんだなとしか思ってないよ。アレ。」

「屈折した愛」

 

風間くんはしんちゃんが私が買ったロイヤルチョコビをふたりが欲しがったと言っていたけど、そうじゃないの?……それに、ボーちゃん。屈折した愛って何!?

 

「酢乙女あいにべた惚れしてるマサオくん並みに報われない園児よね。……今のふたりちゃんって。」

「えっ!?ボクはあんなに酷くないよ?」

「殆ど一緒じゃオニギリ!」

 

……そして、ネネちゃんはふたりのことをあいちゃんに好かれようと必死なマサオくんのように報われない園児だと言っていた。

え?何でそんな話になってるの?

     

    




   
   
その後、ふたりちゃんからしんちゃんにロイヤルチョコビを貰った話を小一時間聞かされたぼっちちゃんの承認欲求は満たされていったとさ。


原作者様の水虫設定に便乗して、こちらはヤンデレ+ストーカー+チョロイン+脳破壊という設定で行こうと思います。


最後に、桜木メイさん、ジェチュポスポリタさん、オトマルききさん、高評価ありがとうございます!
    
   
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