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第一話:愚地独歩vs獅子尾龍刃【挿絵有り】
1.
太い空気を放っている。
この、愚地独歩という男は。
剃りに剃った禿頭。
切れ目のようで、実はくりくりと丸い眼。
潰れた鼻に、沸いた耳。
唇が太い。大きな口をしている。
視線が、力を持っている男だった。
華があった。
斗羽正平に近いか──人の眼を集める力の塊。
リングに上がり、対峙している。
愚地独歩、自己主張が激しいな。
軽妙な表情を浮かべながらも、刺すような視線をむけてくる。
強いのだろう、と龍刃は思う。
自信に溢れている。
その自信が、決してハッタリでないことを、
その太い四肢が伝えてくる。
並々ならぬ修練を積んだ首、手、腕、腹、腰、脚、足。
おれは、これほどの修練を積んだんだ。
おれは、やり遂げているんだ。
自負が、連綿と愚地独歩の肉体を満たし、心身を強靭なものに仕上げている。
じっ、と愚地独歩を観る。
空手道と言うと、龍刃には真っ先に松尾象山が浮かぶ。
あっちも、バカげて太い男だ。
笑い顔の、妙な童顔さはよく似ていると思える。
いや、実際に愚地独歩の体躯や筋肉のつき方は、松尾象山と良く似ている。
身体つきや、表情だけでなく、纏う雰囲気すら似ているのだ。
ああ──こいつも、ケンカが好きなんだな。
「どしたい? 獅子尾さんよ」
に、と白い歯を見せて、愚地独歩は笑う。
「胸が痛くて、構えがとれねえかい?」
やはり、愚地独歩。
先のサクラ戦を観ている。
龍刃の胸骨は、肋骨は、サクラの渾身の一撃で折れていた。
骨折は、立っているだけで痛みが生じる。
折れた部分が目に見えて腫れ上がり、熱を持つのだ。
他にも、ドロを這いずるようなグラウンド勝負をやった結果、関節、靱帯は伸びて捻れて、龍刃の身体の節々には、傍目で見るより深いダメージが残っていた。
「愚地さん。おれは、元とはいえ……プロレスラーだぜ?」
しかし、龍刃が浮かべたのは不適な笑みである。
プロレスラーにとって、打撲、捻挫、ヒビ、骨折など故障のうちに入らない。
力剛山のプロレス興行は基本、一年を通していつ、どこでやるか全てを決めている。
もちろん飛び入りがごとく、力剛山のワガママで急に興行を差し込まれることはあるが、だからと言って、プロレスラーが怪我を理由に興行を休むことなど許されないのだ。
獅子尾龍刃も、範馬勇一郎のアメリカ興行に付き人として参じた時、チンピラと喧嘩しようがナイフで刺されようが、ピストルで撃たれようが、応急処置を施して無理やりにでも身体を動かし、興行は一度として休まなかった。
血を流しながらでも、乱闘に喧嘩に、興行をこなしてきた。
獅子尾龍刃の身体はまた普通人とは別格であることを除いても、力剛山門下のプロレスラーにとって、この意識は普遍的なものであった。
よしんば怪我をしているなら、それを興行に利用する。
腕が折れたのなら、大袈裟にギプスをつけて入場し、試合の途中でギプスを壊すパフォーマンスをしてみせる。
折れているはずの腕で思い切りパンチを打ち込み、観客を驚かせる。
怪我に負けない肉体──プロレスラーの超人っぷりをアピールするのだ。
客の前では、プロレスラーはいつだって無敵で素敵でなければならない。
怪我をしているから──
風邪をひいているから──
そんなことは、プロレスラーには関係がない。
例え肉体がボロボロでも、その時にできる全力でパフォーマンスを敢行し、ゼニを取れる仕事をやりきるからこそ『プロ』レスリングなのだ。
だから、胸骨が折れているから戦えないなどと、獅子尾龍刃は口が裂けても言いっこない。
愚地独歩は、今日ここで、たまたま出会ったわけではないだろう。
サクラとの試合を観ていたのだろう。
だから、龍刃のダメージは承知の上だ。
その上で、龍刃がひとりになるタイミングを見計らった。
なんと、ウマいやつだろうか。
しかし愚地独歩は、龍刃に不意打ちはしていない。
堂々と正面から声を掛けて、堂々とリングの対面に立ち、
なんてケンカがウマい男だ、愚地独歩。
「例えばよ、愚地さん。街のチンピラが金欲しさにナイフを出してくる。おれはその時興行で怪我をしてる──で、チンピラが『怪我が治るまで待っててやる』って、引き下がるのかい?」
「あらま……元プロレスラーのくせに、
そうさ。
と愚地独歩は頷く。
おれたちは、言い訳をしちゃあいけない。
ある日、道を歩いていたら、突然襲いくる脅威。
全く謂れのない暴力。
無辜の人々に、ある日襲いくる非日常。
そいつらを鎮圧するために、武道ってモンはある。
だから──戦うって決めてンなら、怪我をしているとか、体調がワルいとか、言い訳をしちゃあいけねぇ。
相手は待ってくれない。
おれの意図なんて、ソイツらは汲んじゃくれないからな。
「だとしたら、おれの胸が折れてるから、なんだってんだ?」
「けェーっ! そこまで言わせちまったらよォ。おれも、もう、引っ込みつかねえぜ?」
「いいんだよ、愚地さん。おれも、あんたを見た瞬間、思ったから」
「思った?」
「うん──『こいつ、めちゃくちゃ強いな』って」
愚地独歩が嬉しそうに眼を見開く。
心の底から楽しそうで、獰猛なんだけど愛嬌があって、見ているこっちもワクワクしてくる顔だ。
「一応、言っとくけどよ」
愚地独歩は言った。
「力剛山に制裁を──」
愚地独歩の言葉は途切れた。
言葉の途中で、獅子尾龍刃が左ジャブを放ったからだ。
呼吸に合わせるように打ち出されたパンチ。
愚地独歩は口から息を吐き出したタイミングであり、故に、対処がコンマ一秒遅れる。
「チィッッ!」
二発が、愚地独歩の顔を叩いた。
鼻っ柱に一発と、頬に一発。
鼻が潰れて、鼻汁と血がたらりと垂れる。
ジャブとはいえ、打っているのは獅子尾龍刃。
並みの重さではなかった。
下手な相手なら、この二発で沈めているかもしれない。
だが、今日の相手は愚地独歩である。
く、と顔を向き直して、やはり、独歩は笑っている。
「たまンねェなあ。イっちまうぜ、マジで」
天地上下。
愚地独歩が構えを変えた。
左手を伏せて臍下に、右手のひらを龍刃に開いて顔より上に構えた。
腰を落としている。
右脚が前に出ていた。
いっけん、胴体がガラ空きである。
誘いか──?
相手を戸惑わせる構えか?
両の手が身体の中心から遠い。
この構えから、身体のど真ん中を狙われた場合、いったいどんな攻撃を、どんな防御を出せるというのか?
知らない。
わからない。
だが、知る方法はある。
「しゃあっ!!」
龍刃は大股で踏み込んだ。
左の拳──強く握り込んだ大振りのパンチ。
ワザとである。
ワザと、大きく踏み込み、対処の容易いテレフォンパンチを打つ。
愚地独歩の技を、味わうためだ。
どんな技でも耐えてみせる。
空手家の愚地独歩に関節技はないと思うが、仮にグラウンドや関節の取り合いを仕掛けられたならむしろこちらの土俵である。
自身の肉体と技術、培ってきた経験に絶対の自信を持つのは、獅子尾龍刃だってそうだ。
さあ、ワザをかけてこい、愚地独歩ッ!
どんなモノを見せてくれるんだッ!?
愚地独歩の右腕が動く。
打ち下ろされる龍刃の左拳を内側面から薙いで受けた。
相応の重さで顔に捩じ込まれるように向かって落ちる龍刃の拳を、愚地独歩はなんなく捌いてみせた。
と、同時に、左腕が動いている。
全くの同時。
左腕が折りたたまれ、拳が作られて、打ち込まれている。
それを、龍刃もまた、右手のひらで受け止めた。
──ッッ!?
右手のひらから衝撃が走る。
その衝撃は、龍刃の手のひらを貫通し、筋骨を伝導し、全身を軋ませた。
手のひらを打たれたのに、全身の奥の奥までダメージが入っている。
破壊力そのものは、サクラの拳より小さい。
拳の重さ自体は、記憶している松尾象山ほどではない。
しかし、愚地独歩の拳は不可思議なダメージを龍刃の肉体に刻んだ。
拳の種類が違う。
破壊力ではない。
重さでもない。
不思議な疾さとしなやかさがある。
拳の打突面から、伸びるように破壊力が浸透する。
岩のような握り拳なのに、仏の掌のような柔らかさがある。
これは、人間の内外を同時に破壊する拳だ。
「──ッ!」
「ちぇあッッ」
胸骨に痛みが響く。
龍刃はそれに耐える。
だが、愚地独歩ほどの達人となれば、コンマ一秒の緊張は即ち隙に他ならない。
左右の拳での連続正拳突き。
全て、狙いは胸部。
捌けない!
龍刃は背を丸めて、腕をクロスさせて胴体を包み隠す。
そこに、愚地独歩の拳が容赦なく突き刺さる。
一撃ごとに、龍刃のバランスがズレていく。
防御ができない。
防御姿勢が続けられない。
撃たれるたびに、身体の芯がズレていく。
小さく固めた身体を、少しずつ少しずつ解いていく拳。
そうか、この拳には、そういう効果もあるのか。
まともに当たれば一撃。
まともに当たらなければ、まともに当たるように、攻撃全てが次の攻撃への布石となる。
龍刃は前に突っ込んだ。
退がらない、距離を潰す。
退がれば、愚地独歩は畳み掛けてくる。
そうなったら終わりだ。
体勢を整える暇もなく、乱打に晒されて動けなくなる。
かと言ってこのままでは、どのみち、全身のダメージが吹き出してきて、まともに身体が動かせなくなる。
勝ちの目は短期決戦──攻撃あるのみ。
「ぐあっ!」
「ぐうっ」
筋肉を固めて、腕をクロスさせ、愚地独歩に頭から突っ込む。
拳をもらいながら、龍刃は懐に飛び込んだ。
ご、と頭頂部に鈍い音。
脳が揺れる。
愚地独歩が肘を振り下ろしてきた。
だが、地に足のついていない手打ち。
それでは、獅子尾龍刃を倒すには至らない。
愚地独歩はコーナーポストに背中からぶつかった。
獅子尾龍刃は独歩の懐の中で、さらに下に潜り込み、愚地独歩の上体を立たせるように動く。
地に足を踏ませない。
身長は言うまでもなく龍刃の方が高い。
踏ん張りがなくなり、腰が回せなくなれば、愚地独歩の拳は手打ちしかない。
「ちえいッッ!!」
それを、誰よりも
独歩は左膝を突き上げた。
龍刃の目の前に、岩のような独歩の膝が伸びてきて、そのまま顔面に潰れ込んだ。
龍刃の身体が跳ねる──が、身体の力は抜けない。
連打されるが、耐える。
目に見える攻撃なら、覚悟を持って受け止められる。
プロレスラーとしての覚悟が、龍刃の意識を踏みとどめた。
カチ上げられた独歩の左膝に、掬い上げるように右腕を回す。
上からは、相変わらず肘を落とされている。
愚地独歩の意識は下に向いている。
ご、と音がした。
愚地独歩の顎が、下からはね上げられた。
龍刃の左掌底だ。
意識の外からの奇襲。
たまらず、独歩がうめく。
龍刃は左手を引かない。
愚地独歩の顎に掌底をくっつけたまま、手を倒して独歩の顔を叩く。
その指が、虎爪を作っていた。
狙いは眼か──ッ!!
独歩は目潰しを躱せない。
目つきを防ぐためには顎を引き、額を向かってくる指先に額をぶつけて指を壊したり、眼底に打ち込ませて外す。
だが、龍刃の手によって、愚地独歩の首は下から固定されている。
顎を引けない。
独歩は、龍刃の指が目にかかる瞬間、顔を素早く左右に振った。
スリッピングアウェイに近い。
わずかでもいい、とにかく威力を削ぎ、着弾点を目からズラす苦肉の策だった。
同時に、鉤打ち(フックのこと)を打ち込んでいる。
顎関節を狙っていた。
顎の噛み締めを緩ませて、全身の力を抜かせる狙いだ。
攻撃中の龍刃に躱す術はない。
そもそも、視界の外からの攻撃である。
独歩の拳は龍刃の顎関節を打ち、見事に力を緩めて見せた。
そのままの流れとして、リングに足をつけた瞬間に前蹴りを打つ。
ダメージを与えるものではない。
距離を取るための前蹴りだ。
それが鳩尾に刺さり、龍刃はぐ、と身体を歪めた。
愚地独歩はコーナーを脱出する。
目元からつう、と血の滴が流れていた。
「やばいな、獅子尾さん。めちゃくちゃ強いじゃねェの」
「げほッ……愚地さんも、容赦なさすぎない?」
「まぁネ」
距離が空く。
すなわち、ひと呼吸分の間が空く。
互いの心の間であり、己の心身に問いかける間である。
龍刃は笑っていた。
全身はもうボロボロだ。
力が入らない、思うように動かない。
だが、これこそがいちばん気持ちいい瞬間の手前だ。
自分のヘンタイ性がイヤになる。
もう、愚地独歩を好きになっている。
身体が万全でないことを申し訳なく思う。
愚地独歩も、この戦いを楽しんでいる。
そこに、ふたつの影。
リングの下から歩み寄る、大きな影があった。
「やめなさい」
その声は、静かな怒りをはらんでいた。
音源は、愚地独歩の正面で、獅子尾龍刃の背面である。
龍刃は振り返らない。
声の主はわかっていた。
「斗馬さんに……へッ、『
並び立つ大きな男。
仁王立ちする斗馬正平と、サクラだった。
ふたりとも、普段着である。
戦うための服ではない。
だが、その気構えはゴングと共に飛び出せる鋭さを担っている。
「おふたり揃って、獅子尾龍刃に加勢する気かい?」
「このままきみがヤるつもりなら、おれはそのつもりだ」
「けどよ、斗羽さん。この勝負を受けて立ったのは、獅子尾さんなんだぜ?」
「それでも、おれはヤるよ」
斗羽の眼が据わっていた。
覚悟と、怒りの色である。
サクラが前に出た。
斗羽とは違う。
その振る舞いに、怒りの色はない。
「ミスター・カラテマン、そこまでです。ここはわたしのナワバリなのですよ。どこの馬の骨に、好き勝手されては困りますねェ……」
「おほッ! だったら──いいぜ、おれは、ふたりがかりでもよ? 三人がかりでもよ。3Pだろうが4Pだろうが、望むところさね」
「旺盛なのは構いませんがね、カラテマン。わたしにはアナタの臆病さが手に取るように視えています」
「……さすがは怪物、『
あーあ、と独歩は言った。
その言葉と共に、覇気が抜けていく。
ふ、と肩の力が緩んだ。
「じゃあしょうがねぇか。おれは引かせてもらうぜ」
「無事に帰れると、ミスター?」
「帰してくれると思ってるぜ、サクラさんよ。あんたら相手に4Pやろうってンなら、おれも
「…………」
武術には、存在してはならないワザがある。
相手の命を奪うことを目的とし、仮に生きていたとしても、その後の人生など知ったことではないとするワザ。
相手の、人間としての全てを奪い去る非人道極まりない狂気の結実が。
愚地独歩の獰猛極まる笑みは、決してハッタリではない。
自身の──あるいは、愛するものの重大な危機にのみ解禁されるべき技は、今、達人三人に囲まれているこの瞬間にこそ、発揮されるに相応しいのではないか。
「いいでしょう。見逃して差し上げます」
「ありがてェ」
愚地独歩は龍刃、斗羽、サクラを視界の中に入れたまま、す、すと退がり、リングを降りた。
脱ぎ捨てたスーツを拾い、肩にかけ、変わらず三人に意識を向けたまま、会場を去ろうとする。
「ひとつ、いいですか」
その足を、斗羽が止めた。
なんだい、と独歩が聞く。
「力剛山先生のこと──」
「なんだい、そっから聞いてたのか。斗羽さん、デカい身体のくせに、気配を消すのもウマいんだなあ」
禿頭を人差し指で掻く。
愚地独歩は顔を上げて、
「おうよ。力剛に『制裁』を加えたのは、おれだよ」
「────そうか」
「なら、ヤるかい、斗羽さん?」
「いや、やらないよ」
「へェ……」
「あのひとは、いつか、こういうことになる……なっても仕方がないひとだからね……」
斗羽の表情は複雑であった。
いつもやりすぎる力剛山。
人間として、どこかブレーキの壊れた男。
人を利用し、平然と使い捨てる倫理観の無さは、多くの恨み辛みを買っている。
『昭和の巌流島』は、確かに力剛山の富と名声を確固たるものにした。
その裏で、多くの犠牲と贄が捧げられていたのは、プロレス興行について自身も首を突っ込んでいる斗羽には、薄々勘づいていることだった。
斗羽にとって、プロレス利権に絡む、人間の醜悪さは身近なことなのである。
に、と愚地独歩は笑った。
三人の方を向いたまま、十分な距離を取るまで後退る。
「じゃあな。獅子尾さん、斗羽さん、ミスター・サクラ。またどっかで逢おうゼ」
爽やかな笑顔で、愚地独歩は立ち去った。
見事な逃げっぷりであった。
2.
日本行きの飛行機に乗った。
隣の席にはワンダフル英樹がいる。
愚地独歩との戦いの後、十分な休息をとって、獅子尾龍刃は帰国することになった。
空港まで送ってくれたサクラと別れを惜しみ、わずかな手荷物を下げて、なごりおしくもアメリカから離れる。
いい出会いがあった。
いい戦いがあった。
楽しかった。
サクラも笑っていた。
ああ、おれ、よかったなぁ。
斗羽にこってりしぼられたワンダフル英樹は、日本までキチンと龍刃を送り届けるように斗羽に命ぜられている。
その左頬が、右頬に比べると倍の大きさに腫れ上がっていた。
おもいきりやったなあ、斗羽さん……。
と、いやに畏まった態度に豹変したワンダフル英樹を見て、しぼられっぷりを想像し、龍刃は苦笑いを浮かべた。
──あ!
いよいよ離陸という時に、龍刃が間抜けに声を出した。
びくりと、ワンダフル英樹の肩が跳ねる。
「ど、どうしたんですか……?」
「や、やべェよ……おれ、お土産買うの忘れてたーッッ!!」
「……は?」
「いや、勇一郎さんに『お土産楽しみにしてるぜ』って言われてたんだ。やべー! すっかり忘れてた……ちょ、今から降りて買ってくるってできるかな……!?」
「できるワケないでしょ!? もうこれ飛びますよ!?」
「しくじったーッ! な、なんとか東京土産で誤魔化せないかなァ……」
「誤魔化せるワケないでしょう……」
獅子尾龍刃の顔がさーっと青ざめた。
サクラや愚地独歩と戦う時にも見せないほどであった。