はぁ・・・はぁ・・・
なぜだ、どうしてこうなった・・・
《夜の世田谷区は眠らない。そこは煌煌と灯りで照らされた街。
仕事終わりにふらりと立ち寄ったその街で、行き交う人々に奇異な目で見られながら男は、行く当てもなくただ背後に忍び寄る脅威から必死の思いで逃げていた。》
こんな・・・こんなはずでは・・・
どうしたらいい・・・
《男は疲れ切っていた。
興味本位で訪れた世田谷区だったが、今はまるでその土地から追い立てられるようにして駆け回っている。男は、現在自分がどこにいるのか分からなかった。》
た、助けてくれ・・・
頼む・・・来ないでほしい・・・
《男の必死の懇願は聞き入れてもらえない。
それはもはや隠そうともせず、歓喜に震えた声を上げながら足早に近づいてくる。》
はぁ・・・はぁ・・・
階段・・・ここを下ってみるか
なっ、行き止まりだ・・・
《わずかな時間振り切ることができたが、脅威は舌なめずりをして男の痕跡を辿ってくる。
匂い、呼吸音、かすかな物音・・・それはどんな手段を持ってしてでも男に迫ろうとした。》
扉がある・・・『STARRY』?
こ、ここに賭けてみよう・・・
《男はドアノブを回して中へ入る。
脅威は男を見失う。しかし、泉のように湧き上がる執念は容易に枯れることはなかった。》
「あれぇ?どこにいったのかしら。
出ておいでー!
ミッちゃー------ん!!」
10月某日 某夜間時間
世田谷区 某ラーメン屋内
「「「「カンパーイ!!」」」」
そこそこに賑わう店内で、僕たちは食事前の挨拶をグラスで交わした。
目の前に出された味噌ラーメンに手をつける。
スープがからんだ麺をすすると、マイルドな味噌の香りと旨みが口内に広がる。
うん、うまい。
初見であるにも関わらずここにいくべきだと催促した真宵ちゃんの勘と嗅覚に間違いはなかったのだと、ここで確信を持った。
僕らは今日『STARRY』に行ってきた。
メンバーは、僕と真宵ちゃんと御剣に矢張の4人である。
矢張は裁判のあった後日、後藤さんに頼んでライブチケットをもらっていたらしい。
すでに僕らがチケットを持っていることを彼女から聞いて知ったやつは、僕らに『俺も一緒に連れていってくれ。』と頼み込んできた。
後藤さんのバンドである『結束バンド』は、最初に舞台に立った。
まだ、結成して数か月と真宵ちゃんが言っていたが僕にはそう思えないほど、心をゆさぶるような演奏を彼女たちはしていた。
普段の生活では味わえないような刺激を与えてもらい、いい思い出となった。
そんな考えに浸りながら、もう一口麺をすする。
咀嚼して呑み込んだ後、ビールを飲んでのどの奥へと流し込む。
ラーメンももちろんだが、キレのあるビールもうまい。
飲み物についてだが、矢張と御剣もビールを飲んでいる。
真宵ちゃんは未成年のため、お冷にしてもらっている。
「あたしも早くお酒のんでみたいなぁ。」
そう言ってグラスをあおり机に置いた真宵ちゃんが、仕事帰りに呼んだ2人を見て口を開く。
「イトノコ刑事と亜内検事はいつの間にかもう2杯目なんですね。
そんなにおいしそうに飲まれると、あたしもそそられちゃうな。」
真宵ちゃんがもの欲しそうに彼らのグラスへと手を伸ばす。
さすがに振りだろうけど。
イトノコ刑事が朗らかに笑いながら、真宵ちゃんの手の届かない所にグラスをよける。
「ははは、ダメッスよ。
未成年の飲酒を警察が許すわけにはいかないッスから、もう数年我慢するッス。」
「ふっふっふ。
お酒の飲めない年だからこそ楽しめることもあるものですよ。」
「そッスね。
酒でやなこと忘れて人生楽しむには、アンタはまだ早いッス。
苦い経験も時間が経っていい思い出として処理できる内は、手を出さない方が良いッス。」
それを聞いて頬を膨らませる真宵ちゃん。
「大人が講釈たれる~。」
「ははは。
大人の特権ッスから。」
真宵ちゃんとイトノコ刑事が話している様子を見て微笑んだ亜内検事が御剣へ顔を向ける。
「しかし、御剣くん。
私も若者の集いに御呼ばれしてよかったのですか?」
「ええ。
亜内検事にも以前の裁判で協力して頂きましたから当然です。
どうぞ、お酒が空いていますよ。」
御剣はビール瓶を傾けて、亜内検事の持つグラスへと注ぐ。
その途中でハッとして、ビール瓶を半回転させた。
「ふっふっふ。
別にラベルを上にしなくても構いませんよ。
この場は無礼講でいきましょう。」
「お、お心遣い感謝します。」
「ところで御剣くん。
私が以前話したはげを治すスタンドについてですがー--。」
「あ、亜内検事!
泡の量はこれぐらいでしょうか?」
「ふっふっふ。
ええ、実に良いバランスですよ。」
「そ、それを聞いてホッとしました。
ささっ、ラーメンが冷めてしまいます。
食べましょうか。」
御剣はこのあと、どうやってしのぐのだろうか。
そう思いながら、僕は矢張と話をしていた。
「なぁ、矢張。
前のコンビニの仕事って結局どうなったんだ?」
「んぁ?
ああ、色々あっただろ?
色々大問題になっちゃってさ。
と言っても、捕られた金も返ってきたし経営的には問題はないんだけどよ。
ただ、やらかした分形だけでも責任は負ってほしいって言われてさ。
今、上層部で『左遷』の話も出ているみたいなんだよね。」
「左遷って、どこに?」
「うーん、ちらっと聞いた話だとブラジル南部沖にある毒蛇だらけの無人島に新店舗を建てるからそこの店長をやってほしいんだってよ。
無人島って言っても軍の人や学者が入るみたいだから、その人達相手に接客するらしいぞ。」
あれ?それもう間接的な死刑なんじゃない?
「危ないんじゃないか?」
「そうなんだよな。俺英語話せねぇから今からでも勉強しないとだよな。」
そういう問題じゃない。
何でこんな余裕なの?
こいつってすべてのタンパク質性の毒に対して抗体でも持ってるのか?
僕は矢張の肩に手を置いた。
「ありがとな、矢張。
たくさんの出来事があったけど、お前無しの未来を考えると寂しいよ。」
「なんだよ、急に。
連休もらえば帰国できるんだから、根性の別れってわけでもないだろ。
大体、その話は草案みたいな段階だからまだはっきり決まったわけじゃねぇよ。
そんなことは置いといてよ、後輩ちゃんのライブ良かったよな。」
矢張は両腕を組んで目をつむり、さっきまでの演奏風景に思いをはせている。
「ああ、みんな活き活きして楽しそうだったな。」
真宵ちゃんが後藤さんに手をふると、パフォーマンスなのか急に歯でギターを引き始めたときには驚いたな。
あそこまで活き活きするとは思わなかった。
その後、後藤さんはドラムの金髪の子に注意されていた。
「俺も高校のとき、ちょっとだけギターさわった頃を思い出したなぁ。
短い期間とはいえ、やり始めたときだけは熱意を持って練習したもんだ。
後輩ちゃんたちは、人前に出れるぐらい頑張ったわけだから、俺の話と比べるのはアレだけどよ。
そういう初心を思い出すような情のこもった良い曲だらけだったな。
後輩ちゃんバイト辞めたのは残念だったけど、これからも音楽頑張ってほしいわな。」
矢張にしては、珍しく感傷に浸っている。
そんな話をしていると、御剣が僕らに声をかけてきた。
「珍しく矢張とは気が合うな。
確かに、感情のこもった素晴らしい曲だった。
ライブハウスに行って良かったよ。」
「おうおう御剣、分かってくれるか?」
奥の席では、真宵ちゃんがイトノコ刑事と亜内検事にお酌をしている。
二人とも酔いが回ってきたようで、顔がほんのりと紅潮していた。
僕はふと気になることがあり、御剣に聞いてみた。
「そういえば御剣。
どうして、ライブハウスに行こうと思ったんだ?
ロックに興味があったとは知らなかった。」
御剣は僕の言葉を聞くと、遠い目をしだした。
おもむろに口を開く。
「私が『STARRY』に行ったのは初めてではない。」
「え?」
「2回目なんだ。1回目は意図しないときに訪れた。」
「どういうことだ?」
僕がそう聞くと、御剣は自嘲するようにフッと笑った。
「私はな、成歩堂。
追われていたんだ、世田谷区で。
あの・・・大場カオル夫人に・・・。」
「オバチャンに・・・追われていた?
どうして?」
御剣は苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「会っただけでそうなった。
あとは、察してもらいたい。」
大場カオル・・・、僕や真宵ちゃんは『オバチャン』と呼ぶ年配の女性である。
いくつか僕が携わった事件に関わっており、自然とその愛称で呼ぶようになった。
気が強く、よくしゃべる長生きしそうな人だ。
御剣はそんなオバチャンのことが苦手だ。
なぜかというと、彼女が御剣のファンであり裁判中でも熱烈なアピールをしてくるからである。
隔てるものがない街中で御剣に会ったのならば、オバチャンはどんな奇行に走るだろうか。
考えただけでもゾッとする。
御剣は続けて話す。
「私は世田谷区内を必死に走り逃げ回っていた。
しかし、夫人の脚力は恐ろしいもので振り切ることが出来なかった。
いや、一度は追いつかれた。
何とか、距離を置いた隙にある場所で階段を降りたんだ。
階段の先は行き止まりで、左側には扉があった。」
「もしかしてそこが・・・。」
御剣が頷いた。
「今日行った『STARRY』だ。」
「けど、ライブハウスに入るにはチケットが必要だろ?
すぐに戻ったのか?」
御剣が今度は首を振った。
「私も青い短髪の受付嬢にその話を聞いて困惑した。
今すぐに引き返せば、また夫人に見つかるかもしれない。
逡巡していると、その受付嬢が席を外した。
戻ってくるとチケットをくれたんだ。」
どうやら、その受付嬢から温情を頂いたらしい。
外見の特徴からして、恐らく『結束バンド』のベースの子だろう。
「どこから持ってきたんだ?」
「近くに酒瓶抱えた女性が横たわっていた。
知り合いなのか、その女性に声をかけてチケットをもらったようだ。
受付嬢は、『悪酔いしたせいで間違えて2枚買ったみたいだから・・・、1500円です。』と言ってくれたんだ。」
それでライブハウスで音楽を聞きながら、オバチャンをやり過ごしたわけか。
「『結束バンド』も聞いたのか?」
御剣は頷いた。
「夫人によって摩耗した心が浄化されたよ。
何かお礼がしたいと思ったんだ。
あの時は、手ぶらで帰ってしまったが今日再びあの受付嬢と会うことができた。
お礼も言えたし、物販購入をしてバンドの支援もできた。
私は満足だ。」
僕は御剣の手首を見た。
青い色をした結束バンドがはめられている。
確か、1本500円だったろうか。
店で買えば、サイズによるが100本400円もしない値段で買える。
ぼったくり価格もいいところだが、ファンは少しでも支援したい気持ちがあるから買うわけでそれとこれとは同列に扱うものではないのだろう。
「そっか、よかったな。」
「ああ。
それと成歩堂。
話は変わるが、事件前に花京院典明が実家の両親に顔を合わせた話は聞いただろうか?」
それは、確かイトノコギリ刑事が控え室で言っていたな。
「聞いてるよ。
何かあったのか?」
「そのことについてだが、イトノコギリ刑事。
少しいいだろうか?」
御剣がイトノコ刑事に声をかける。
「ウッス!
なんスか、御剣検事。」
「花京院典明の両親と犯人についての話を成歩堂にしてほしい。」
両親と犯人?
なんの関係があるんだろうか。
「ウッス。
そういえば、アンタにはまだ話していなかったッスね。
自分が控え室で話した、『花京院典明が先日、両親に会っていた』という話ッスけど。
その花京院典明は、変装したオインゴだったッス。」
「え、オインゴですか?
それはどうして・・・。」
「ラバーソールは、オインゴと結託したのちに変装する能力の精度を確認するため、花京院典明のふりをして両親に会うようにさせたみたいッス。
仲間にするかそこで判断したようッスね。」
花京院さんの両親が歓喜したのかは分からないが、人の気持ちをもてあそんでまですることだろうか。
どうにもいけ好かないな。
僕は疑問をイトノコ刑事に口にする。
「それはオインゴが話したんですか?」
「そうッス。
御剣検事が推測した話をオインゴにしたらベラベラ喋ったッス。」
「御剣が・・・?何を推測したんだ?」
僕は御剣を見た。
「成歩堂、別に揚げ足を取るわけではないが・・・。
きみが見つけたコンビニの店外の壁にあった黒いシミだが・・・あれは焦げ跡だ。」
オインゴの指紋付きの手形に見える黒いシミが・・・焦げ跡?
僕が少し驚いた顔をしていると、御剣が続けて話した。
「後日、焦げ跡を見て私は推測したんだ。
ラバーソールのスタンドには、電気を吸収する能力はなかったとな。
やつが監視カメラの電源ケーブルを切断した際、流れた電流をイエローテンパランスにまとわせた。
しかし、どこかに電気を逃がさなければならなかった。
一般人に視認できるやつのスタンドを常時発動して目立つわけにもいかないからだ。
それに、ラバーソールの履いていた靴の底は絶縁体である材質のゴムだった。
やむを得ず、コンビニの外壁に左手を置いてそこから電流を逃がしたんだ。
焦げ跡はその時にできたと思われる。」
「ちょっと待ってくれ御剣。
手のひらの跡は、オインゴが脅迫するときについたものじゃなかったのか?」
御剣の顔を見ると、フッと笑った。
「オインゴのスタンド能力は、変装だけだ。
焦げ跡をつける手段なんてないのだよ。」
「け、けどオインゴの指紋だって検出されたんだ。
それに、本人だって裁判中否定していなかっただろ。」
御剣に代わって、イトノコ刑事が返事する。
「オインゴのスタンド能力は、かなり精度の高い変装ッス。
姿だけでなく、においや”指紋”すらも本人のものに変えることができるッス。」
指紋も?
コンビニにいる時にオインゴは、花京院さんの姿をしていたはずだ。
その姿で壁ドンしたら、花京院さんの指紋がつくということ・・・。
つまりは・・・。
「オインゴは、脅迫する時に緊張していたようだったッス。
もしかしたら、手先だけスタンド能力が解除されて自分の指紋がついたのかもしれない、と考えたみたいッスよ。
裁判中に指紋のことを否定しなかったのは、それが理由ッス。」
御剣が当惑する僕に語る。
「成歩堂。
他人の指紋を採取することができる特殊なテープがある。
もし、ラバーソールがそれを持っていて事前にオインゴの指紋を採取していたとしたら?」
「それは・・・、電流を逃がして自分の手のひらの跡がついたことを恐れたラバーソールが、オインゴの指紋をつけて奴をおとりにしようとした、ということか?」
御剣が満足そうに頷いた。
「イトノコギリ刑事にそのことをオインゴに伝えさせたところ、やつは顔を真っ赤にして自供したようだ。
もちろん、ラバーソールが共犯者であることもな。
もう二度と、2人が手を組むことはないだろう。」
結果として良かったわけだが、自分の調査不足に内省せざるを得ない。
いや、御剣が気づいてくれて良かったのだけれども。
亜内検事と話をしていた真宵ちゃんが、御剣の手首を見た。
「あー、御剣検事!
結束バンド身につけてるんですね!
やっぱり好きなバンドが販売している物品ってかっこよく見えるなー。
あたしも音楽始めて物品販売してみたいな。」
真宵ちゃんが御剣の手首のバンドをキラキラした目で見ている。
矢張が真宵ちゃんの言葉に返答する。
「おっ、音楽始めるの?
いいねぇ、似合うと思うよ。
三味線。」
「違います!
さっき見たロックの話をしているのに、なんで和楽器になるんですか!?」
真宵ちゃんが頬を膨らませている。
そのまま彼女は僕のとなりに座った。
僕は彼女に声をかける。
「そういえば、真宵ちゃん。
後藤さんの動画のアカウントはいつ知ったの?」
「うん?
少し前だよ。
『トノサマン』のOP曲を『オーチューブ』で探していたら、たまたまその曲をギターで弾くアカウントを見つけたんだ。
何度も見ていたから、実際のひとりちゃんを見てすぐにピンと来たよ。
恰好も一緒だし、守護霊も一緒だったからね。」
「そっか、僕も今度見てもいいかな?」
真宵ちゃんは、ぱぁっと明るい表情になった。
「もちろんだよ。」
後藤さんがどんな曲を弾いているのか聞くのが楽しみだ。
そう考えていると、真宵ちゃんが服の袖口をつまんできた。
「ねぇねぇ、なるほどくん。
あたし、次は力になれるように頑張るからね。」
彼女は張り切ったように言う。
「どうしたの急に?」
僕が聞くと、真宵ちゃんはしゅんとした顔をする。
「なるほどくんの姿をしたオインゴに言われたの。
『霊媒師として少しは役に立ったらどうなんだ?』って。」
「あんなやつの言葉を真に受けなくてもいいよ。」
「でも、確かにあたし・・・なるほどくんの役に立てたか分からなくて・・・。」
「この前、御剣に聞いたよ。
真宵ちゃんが守護霊でオインゴを見破ったから早急に対処できたって。」
「それは・・・。」
もう一息かな。
そうだ、真宵ちゃんに”アレ”を突きつけよう。
「真宵ちゃん、これなんだけど。」
僕は彼女にそれを手渡した。
真宵ちゃんはそれをキョトンとした顔で見る。
「これは・・・勾玉?」
「うん。
ラバーソールのスタンドを暴くのに使った、ね。
千尋さんが言っていたよ。
『私だけの霊力では足りなかった』って。」
「そ、そうだったんだ?」
「うん。
だから、千尋さんは真宵ちゃんの霊力を借りたって、言っていたよ。
千尋さんだけじゃ、ラバーソールのスタンドの正体は明かすことが出来なかった。
千尋さんと真宵ちゃん、2人がいたから出来たことだよ。」
千尋さんが僕にそのことをわざわざ話したのは、この事態を予期していたのかもしれない。
「そっか・・・。」
「これからも頼りにしているよ。」
真宵ちゃんは、少しうるんだ瞳で笑顔を向けてくれた。
「うん、ありがとう。
なるほどくん・・・お姉ちゃん。」
二人の中にしんみりとした空気が漂うなかで、矢張が口を開いた。
「しかしよぉ、バンド見た後にラーメンってあんまロックじゃないよなー。」
それを聞いた御剣が、イトノコギリ刑事と亜内検事に声をかける。
「イトノコギリ刑事、すまないがすぐにでも”アレ”をやってはくれまいか。
出来れば、亜内検事にもお願いしたいのですが・・・。」
「おっ、”アレ”ッスね。」
「ふっふっふ。
いいでしょう。磨き上げた”アレ”を若者にお披露目しましょう。」
すっかり元気を取り戻した真宵ちゃんが、瞳を爛々と輝かせる。
「なるほどくん!
”アレ”だって!」
「うん。
”アレ”をやろうか。」
思えば、今回1度しかしていない気がする。
矢張がキョトンとした様子で僕らの顔をうかがう。
「え?
なになに?
何をするんだ?」
真宵ちゃんが声を張り上げる。
「みなさーん、いきますよー。
せーの!!」
僕らは矢張に向かって人差し指を突きつけた。
「「「「「異議あり!!」」」」」
終わり
動画機能を搭載したカメラ付き携帯が世に出たのが、2000年代の後半の頃だそうです。
同じく2000年代には、コンビニのスタッフルーム内もしくはバックヤード内には監視カメラが無い店舗も割とあったようです。
今では、あるのが当たり前みたいですが。
それらを踏まえると今回の話は2010年頃になるのかなぁ、と思います。
ただし、色んな時代の作品のキャラが出るため、その辺はあまり深く考えないようにしました。
(やや)昭和・平成・(ほぼ)令和の作品を1つの舞台にまとめ、物語を展開していくことは存外楽しかったです。
至らぬ点の多い文章でありながらも、ここまで文字を追っていただいた方々には感謝しております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。