銀座に現れた門から現れた軍勢。彼等はこの日本と言う異界の地にて突然現れ周囲の住民を殺戮、蹂躙し異界の国に宣戦布告を行おうと集まっていた。
その数は将兵達だけで約6万人。亜人であるゴブリンやオークを含めれば更に軍勢は膨れ上がる。その数に軍の上層部はこの戦争を容易く我々が勝つだろうと。
いかに異国の地の者達が抵抗しようとも随時門から兵士が供給され続けいかに知略を活かして防衛しようとも数の暴力ですり潰せるだろうと。そう慢心していた。
だが現実は違った
本来ならば門が開かれ殺戮が始まった瞬間、住民共は悲鳴を上げながら泣き叫び、言葉も伝わらないにも関わらず命乞いをしながら殺されていくだろう。
そして屍の山を築きあげその上に我ら帝国の旗を掲げ征服と領有を宣言をする筈だった。
しかしそれが今では謎の見た事も無い魔術を扱うたった1人の男に侵攻を妨げられていた。
帝国軍の進攻を妨害するその男は紺色の外套を羽織り、太陽の如き真っ赤な髪と宝石かと見間違う程の綺麗な翡翠色をした瞳で帝国軍を睨み付けている。
最初は何やら謎の魔法を扱い兵士を何人か殺した様だが、我々の数を前に一人抵抗しようとする無知で馬鹿な男だと軍の先頭部隊を率いる指揮官は嘲ていた。
しかしその評価は直ぐに引っくり返る事になる。先ず指揮官は歩兵と騎乗兵で轢き殺してしまおうと、魔法に怖気付いている兵士共に怒号を上げ突撃させようとする。
兵士達が走り出そうとすると今まで何も無かった道に我々の進攻を阻むように様々な大きさの壁が所狭しと地面から生み出され大勢の数の兵士による突撃で生まれる破壊力と突破力を塞がれ兵士達は壁と壁の隙間を縫うように進むしか無くなる。
そして兵士の幾人かが壁の群れを通り抜ける。どうやら魔法使いの男の周りには壁は出来ていないようで広くなっているようだ。壁を抜けた一人の兵士は男を殺そうと走り出した。
以下に魔法を扱おうとも近距離まで近付かれれば魔法を使う間も無く斬り伏せられるだろうと考えていたが、男は突如兵士へと走り出したかと思えば男の足元から物凄い速さで柱が兵士へと伸びていき剣を握っていた腕へと吸い込まれるように向かっていき兵士の腕に当たる。
兵士は突然の痛みに怯み剣を取り落とした瞬間、首を掴まれたと思えば直ぐに顔が破裂し死んでしまう。
男は死んだ兵士をまるでゴミを捨てる様にわざとらしく投げ捨て死体を他の兵士に見せつける。殺された兵士の顔は皮膚が内側から破裂しており肉が見え、眼球は破裂した衝撃で何処かに飛んでしまったのか無くなっていた。
そして顔の穴という穴から血を垂らし、顔から煙を出しながら時折ビクビクと痙攣するその惨たらしい姿は周りの兵士を恐怖へと染上げるのか容易に想像できた。
「さて…次はどこのどいつが相手だ?」
男が何か喋っているが言葉が通じない為何を言っているのか理解することは出来ない。しかし先程まで直ぐ側に居た同僚が無惨な姿に一瞬で変えられた恐怖から兵士達は顔を返り血で染め上げ、真っ赤な髪と翡翠色の瞳で睨み付ける男がまるで悪魔かナニカに見えてしまっている。
兵士達が怖気づき少しずつジリジリと後退しようとしていると指揮官が喚き散らす様に叫ぶ。
『何を怖気づいてる貴様ら!それでも帝国兵士か!!どんなに魔法を扱おうとも数には勝てん!!囲い込んで袋叩きにせんかぁ!!』
指揮官に怒鳴られた兵士達はハッとする。そうだいかに恐ろしくてもこの数ならば抵抗されはするだろうが直ぐに殺せるだろう!と。そしてほんの少し恐怖を紛らわせた兵士達は男へと一斉に襲いかかろうと足を踏み出した。
その瞬間兵士達は皆地面から生えた棘によって体を貫かれ宙釣りのオブジェクトと化してしまった。
地面から生えた棘による攻撃を運良く当たらなかった兵士は悲鳴を上げながら男から逃げようと未だ壁の中から出ようとしている兵士達を押し退け逃げようとする。
『ぐっ…!ならば飛龍をけしかけろ!!例え地面を操ろうとも空からならば何もできん筈だ!!』
まさか一瞬にして兵士を簡単に殺されてしまうとは思わなかった指揮官は焦りながらも歩兵ではどうにも出来ないと判断し、今も空を飛び逃げ遅れている住民を襲っている飛龍に男を襲わせるように指示をだす。
飛龍の背に乗っていた兵士は直ぐに命令を遂行しようと飛龍を操り猛スピードで男へと接近する。いかに地面から棘を出そうと硬い鱗を持つ飛龍には突き刺さらず、触れて破裂させようにも猛スピードで来る飛龍を触れる前に吹き飛んでしまうだろう。
さらにもし仮に飛龍の突撃を避けたとしても直ぐに歩兵が近付き魔法を発動する前に殺す算段だ。
だが飛龍がどんどん男へと近付いて行くが男は避けようとする動作も地面を動かす魔法を発動する訳でも無く、ただ右手を飛龍に向かって伸ばす。
飛龍と男の距離が近付き、飛龍が男へと噛み付こうと口を開けた時、男が飛龍へと伸ばしていた右手の指をパチンッ!と指を鳴らした瞬間飛龍の顔が爆発した。
「グギァアァア!?」
顔が爆発した衝撃で飛龍は叫びながら飛行バランスを崩し男の側を通り抜けて行き地面へと衝突する。飛龍の背に乗っていた兵士は衝突した衝撃で吹き飛んでいき建物の壁にぶつかって首の骨を折って死んだ。
飛龍はなんとかまだ生きており立ち上がろうと藻掻くが飛龍の首へと地面が動き出しスルリと首を囲うとそのままゆっくりと輪を縮めて行き飛龍の首を少しずつ、しかし確実に締め上げていく。
己の首の異変に気づいた飛龍は首に出来た岩製(コンクリート)の己を殺そうとする首輪から逃れようと暴れるが逃れることは出来ず首を締め上げられ死ぬ間際にか細い鳴き声を鳴いた後首の骨を折られて、その後二度とそこ飛龍は動き出すことは無くなった。
一連の光景を見た指揮官は数分前まで男に向けていた評価が全て崩れ去り男に向ける感情は唯一つ、恐怖だけになってしまっていた。
「流石にドラゴンだから棘じゃ鱗を通らないと思って首の骨を折ったけど蘇ったりしないよな…?」
飛んできたドラゴンを焰の錬金術を発動し、ドラゴンの顔面、というよりは眼球で爆発させ墜落させた後、ドラゴンの首を折って殺した俺は誰にも聞こえない大きさの声でそう独りごちる。
流石にドラゴンなんてファンタジーな存在と初めて戦う…いやファンタジーな存在って言うならエンヴィーとかグラトニーとかもう何回か戦ってはいるんだけども。
全く初見な相手な為警戒したが恐らく大丈夫だろう。
「さて、相手方の反応は…?」
先程から俺が残虐な方法で敵兵を殺しているがこれには訳が有る。別に残虐な方法で殺すことに性的欲求が有るとかではなく俺に対し恐怖を、それも並々ならぬ恐怖を抱かせることで少しでも侵略のスピードを停滞させる。つまり足止めの為にしているのだ。
そしてその成果だが
『こっ…殺せぇ!早くあいつを殺すんだぁ!!』
なんて言っているかは分からないが指揮官らしき少し派手な格好をしたおっさんが周りの目を気にもせずに俺に対し指を指しながら喚き散らしている。どうせ殺せ!とか何とかしろ!とか言っているのだろう。
だが指揮官の恐怖は周りの兵士にも伝播しており、周りの兵士は動こうともしない。狙い通りの展開に大分助かる。これで援軍はまだしも少しは民間人の避難の時間稼ぎは出来るはずだ。
「俺的にはこのまま何時間でもお見合いしてたいけど…そうも行かないみたいだな」
兵士達は恐怖で動けていないが魔物達は違うらしい。ゴブリンやオーク、あとはトロールだろうか?外見的特徴で勝手にそう読んでいる為本当の名称は分からないがそれら魔物は余り怖がってくれていないようで、作り出した壁を破壊しながらどんどん近づいてくる。
矢張り魔物なだけあって恐怖という感情が薄いのだろうか?厄介にも程がある。このままだと敵の軍勢はまだ有るようだから恐怖で動けない者を下げて新しい兵士達を補充されるだろう。どうやら魔物達は兵士よりもパワーはあるらしく中身がスカスカな張りぼての壁なんて簡単に壊せるらしい。
壁を簡単に壊せてしまうと騎馬兵に突破されてしまえば民間人の避難がまだ収まっていないにも関わらず騎馬兵が追いついて被害が出てしまう。
「これは…一回退いて何処かで罠を仕掛けて待ち伏せするか…?」
一度作戦を考え直しながらも迫りくる魔物を錬金術で迎え撃つ。どうやら魔物達はパワーは有るようだが耐久力は兵士と同等か少しあるぐらいのようで今はまだ抑え込めてはいる。
だがいずれ突破されるのは時間の問題だろうし、大通りとはいえ左右に建物が有ると破壊力のある錬金術を扱うと建物に被害が出てしまう為、少しの間敵を抑えながら考えた結果一度退く事に決めた。
そして何処か広い十字路の交差点で万全に罠を用意してそこで徹底的に時間稼ぎすることにする。
「そうと決まれば早速行動開始!置き土産やるから少しの間楽しんでくれ!」
そう言って腰のポーチからあるモノを取り出す。それは球状の拳程の大きさをした物。これはお手製の手榴弾で中にはたっぷりの火薬と釘の破片や鉛を入れてあり、爆発したら周囲に飛び散るようにしてある。
それを敵の頭上へと投げ込み、焰の錬金術を発動するために手袋から手榴弾へと火花の軌道を作り指を鳴らす。すると敵のど真ん中で手榴弾が爆発を起こし敵は混乱を起こした。
この混乱のうちに踵を返して真っ直ぐダッシュで逃げ始める、当然敵の進攻を食い止めるために壁を大量作りながら。
しばらく後退していくと所々で民間人の遺体が見えてくる。その体は皆、体の何処かを大きく欠損してあるもので恐らく俺がスルーしたドラゴンに襲われたものなのだろう。
「っ…!済まない…!」
大群の兵士を押しとどめる為にも自由に空を飛べるドラゴンを放置するという選択をした結果、少なからず被害が出るのは予想していたし覚悟もしていた。
恐らく俺が下した判断は軍人としては間違いではないと思う。大を救う為に小を切り捨てるのはよくある事ではある。がそれでも矢張り殺されてしまった民間人を見てしまうと、俺の判断は正しかったのだろうか?という疑問と共に胸が痛くなるのを感じる。
「俺を恨んでくれて構わない…だからせめて安らかに逝ってくれ」
俺の下した判断が正しかろうが間違っていようが彼等を死なせてしまった責任はある。緊急事態の為、立ち止まる事はしないがそれでも顔が無事な遺体の顔をじっくりと目に焼き付け、せめてもの弔いとして彼等があの世で幸福になる事を祈る。
そうして祈りを捧げながら走っているとどうやら避難しようとする民間人とそれを襲おうとするドラゴンが視界に入った。
「俺の目の前で死なせるか!」
せめて俺の目が届く範囲の人だけでも死なせない様にしようと錬金術を発動しようとすると、拳銃を構えた警官が放った弾丸がドラゴンの背に跨がる兵士を掠ったようで兵士が落ちてドラゴンは上空へと逃げていく。
警官は銃を構えたまま呆然と棒立ちしていると落ちた兵士が立ち上がりナイフを取り出して警官の元へと走り出す。
そしてナイフを警官に突き刺そうと腕を伸ばした瞬間、兵士と警官の間に入り込むようにオレンジの服を着た男性が現れ兵士の腕と肩を掴み、兵士の走ったスピードを利用して兵士を地面に叩きつけた。
そして流れるように兵士の首を締め付け、取り落としたナイフを拾い上げなんの躊躇もなく兵士の首に突き刺して絶命させる。
一連の流れるように兵士を殺す姿に俺は直ぐに彼が何かしらの軍事関係者なのを見抜く。普通の民間人なら戸惑うこともせずに人を殺すことも出来ないのだから。
オレンジ服の男性は警官に無事か確認していると主を殺された怒りからなのか先程上空に逃げたドラゴンが男性の元へと向かって行く。
男性は汗を垂らし、悪態をつきながら逃げようと動き出すがドラゴンの飛行スピードからして直ぐに男性の元に辿り着くだろう。
「させん!!」
俺は靴裏の錬金術を発動させ男性の周りから先端を拳の形をした柱をドラゴンへ向けて何本も伸ばす。
柱に真正面から勢い良く殴られ柱が体に食い込んだドラゴンは当たりどころが良かったのか堕ちていく。そして地面に衝突した瞬間、先程やったようにドラゴンの首へとコンクリートを巻き付け勢い良く縮めて一気に首を折って即死させた。
男性は目の前で突然起こった現象に驚いているのか呆然としてしまっている。
「ご無事ですか?何処か怪我などされましたか?」
「あ、あぁ…ありがとう。怪我は何処もしてない」
男性の元に駆け寄り、心配しながら手を差し伸べる。この彼との出会いが後ほど、俺のこれからを大きく動かす事になる出会いだった。
今後の展開において、GATE世界の日本にハガレンの漫画がある世界線と無い世界線、両方を考えて居るのですがどちらを書くか決めかねているのでアンケート致します。
-
GATE世界にハガレン漫画がある展開
-
GATE世界にハガレン漫画が無い展開