ありふれてないミュータントは世界最強   作:アメコミ限界オタク

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第六話

 

今日は月曜日。

ほとんどの学生にとっては憂鬱な1週間でいちばん憂鬱な1日になるだろう。

 

俺の友人のハジメにとってもそういう日だ。

 

「ようハジメ、元気かー?」

 

「うん、眠くて元気ない……」

 

今日も遅刻ギリギリで教室に来たこの男は南雲ハジメ。

俺が始めて学校に通い始めた頃、ぼっちだったハジメを見て話しかけたのが始まりだ。

 

まあその辺は話すと長くなるから割愛だ。

 

中学でも周囲からの評判は悪く、周りの人間には止められたが実際に話してみると人当たりは良く、気さくなやつだった。

 

俺の知らない面白いことをいっぱい知ってる面白いやつでもある。

 

世間ではそういう作り話にどっぷりハマってるやつのことを『オタク』と呼ぶらしく、世間体は悪いんだとか。

なんでオタクが悪いことなのかは興味がないので知らん。

 

「おハジメ~」

 

「おはようハジメくん」

 

「おはよおおおおお!!オラアアアア!!気合い注入じゃオラアアアアアアア!!!!」

 

上から順に動画投稿者みたいな独特な挨拶をする焔。

普通に挨拶するアクア。

騒がしいのがヒョウカだ。

 

やる気のないハジメを脇でがっちりホールドして気合い注入と称したグリグリ拳骨による儀式を行っている。おいやめろ死ぬから。

 

もちろん手加減はしているようなので、ハジメの頭が潰れるようなことは起きない。本気だったらハジメはもう、死んでいる。

 

「やめなよ、ハジメくん困ってるでしょ」

 

「これがあたし式の挨拶だ!」

 

ヒョウカはこうやって気に入った相手に少々乱暴なスキンシップを行うのが好きだ。

まさに肉食女子の鑑。

 

「ていてい、怒った?」

 

苦笑いを浮かべるハジメが面白いのか、頬っぺたを引っ張る焔。コラやめなさい。

 

「ふたりとも止めなよ、ハジメくん困ってるよ」

 

姉妹のハジメ弄りを見かねたアクアが止めに入る。

 

「「はーい」」

 

アクアに胃袋を捕まれているふたりは、素直にハジメから離れる。

 

落ち着いたところでもうひとり、他の少女がハジメに話しかける。

 

「おはよう、ハジメくん。 みんな今日も賑やかだね」

 

白崎香織。

この学校の6大女神にして、南雲ハジメに最も強く好意を持つ女だ。エンパシーを使うとやべえくらいの好き好きオーラが出てるのが分かる。前が見えねえとか、そういうレベル。

 

「おはしらさき~」

 

「白崎さんもおはよう」

 

「おはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

約1名、テンションが若干おかしいやつをスルーして俺も会話に加わる。

 

「おはようさん」

 

周囲からハジメと俺に対して嫉妬と殺意と羨望が籠った視線が向けられているが、それを露骨に態度に出すような間抜けはいない。

 

檜山を中心にしたチンピラ4人組は隅っこから睨むだけでなにもしてこない。

なにかしたらその瞬間俺を敵に回すことになるのが分かってるからだ。

 

中学時代、まだ学校に馴染めていなかった妹たちにヤンチャ()しようとしてた連中が高校に入学できたのが不思議でしょうがない。

 

まだ過去に俺と妹たちにボコボコにされたトラウマが抜けていないのか、睨むだけに留まっている。ふははは!強いやつとは喧嘩できねえか!雑魚どもめ!!

 

それはただひとり、例外レベルでガッツのあるやつを除いてだが。

 

「南雲君。おはよう。毎日賑やかね」

 

「香織、焔にアクアにヒョウカも、また彼らの世話を焼いているのか? 本当に、皆は優しいな」

 

「全くだぜ。 ヒョウカもそんなやる気ないヤツにゃあ何やっても無駄と思うけどなぁ」

 

八重樫雫。

六大女神最後のひとりらしい剣道の達人。

アクアとは苦労人同士で気が合う友達らしい。

少女趣味なとこも気が合うらしく、休日にはふたりでお菓子を作ったりしてるそうだ。

学校ではそんなとこ全く見せないから意外だな。ギャップがすごい

 

 

天之河光輝。

例外的なガッツがある男。

良いやつだとは思うが、俺としては性善説信奉者で個人的にはあんまし好きじゃない。また、人の話をほぼほぼ聞かずに暴走する悪癖持ちなので手綱を握ってる八重樫には同情するぜ。

過去に檜山をボコボコにした件について、檜山たちから一方的な話(内容は檜山たちに都合良く改変してる)を聞いただけで俺を悪者だと決めつけてるので質が悪い。本当は正義の味方ぶっただけの自己中なんじゃないかと思う。

 

まあ良くも悪くも面白いやつだ。

……見てるだけなら。

 

 

最後のひとりは坂上龍太郎。

背が高く、大柄な体格をしていて熱血漢な性格であり、同じく熱血なヒョウカとは気が合うが友達以上、恋人未満の関係であり、始めの頃は俺のことも天之河からの影響で気に入らなかったらしい。今ではヒョウカからの話で大分イメージが改善されているようだ。

 

因みにヒョウカ曰く、生粋のロリ○ンでベッドの下に隠してある叡知の本はロ○コン本ばかりだとか。

……妹よ、お前に情けはないのか?

 

 

そんな訳で、俺の中では面白3人組と呼んでいる彼らのリーダー、天之河光輝は俺とハジメのことが心底嫌いだ。

俺はお前のこと結構好きなんだけどな、見てる分には面白いから。

 

「私はハジメくんとお喋りしたいから話しかけてるだけだよ?」

 

「私はお菓子をお兄ちゃんとハジメくんに食べてほしいからね」

 

「ハジメんの背中、枕にちょうどいいからね~」

 

「元気ねえやつには元気注入じゃコラアアアアア!!」

 

そんな彼女たちを見て天之河をなにを思ったか、ため息をつく。

 

「ああそうか、本当にみんな優しいんだな」

 

エンパスで感情を覗くと、俺とハジメへの嫌悪と妹たちや白崎への好意がダイレクトに伝わってくる。

 

なんだぁ……?テメェは……?人様の妹に色目使ってんじゃねえぞ……!

 

俺が天之河に怒りを覚えると、くいくいっと誰かが俺の服の裾を引っ張った。

 

「おはよ、ハク」

 

中村恵里。

六大女神最後のひとり。

小柄ではあるが胸はやべえくらいデカイ。

そして俺の彼女である。

俺が嫉妬と羨望と殺意を向けられている最大の理由は恐らく恵里だろう。

 

「おはよう恵里」

 

妹たち同様に頭を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細める。猫かな?

 

自由を得たあの日、恵里と父親の命を救ったことを覚えていた彼女はずっと覚えていた。

そしてこの高校に入学してから俺と再開してすぐに告白したのが馴れ初めだ。

俺としてはそんな昔のことなど、とっくに忘れたものだと思っていたが、恵里にしてみれば一生ものの恩人らしい。ちなみに父親との親子仲は今でも良好だそうだ。

良かったじゃん。

 

まあ、そのまま付き合うことになったのだから人生分からないもんだ。

 

 

 

 

 

騒がしい朝と退屈な授業も過ぎて、お昼の時間。

 

「ハジメ、飯食うぞ」

 

「ハクにぃ~、飯食わせろ~」

 

「お弁当いっぱいあるから皆で食べようね」

 

「オッシャアアアア!!腹減ったぁぁあああ!!」

 

俺がハジメの元に向かうと妹たちも自然と集まってくる。

 

「ねえねえ、私も混ざって良いかな?」

 

「私もハクと一緒にお昼食べたい」

 

そこに白崎と恵里も加わり、さながらのエリア51のような混沌地帯の完成となる。

 

「い、いやぁ、僕はもう食べたから……」

 

「そんなんで食ったことになるのか。お前の燃費すげえな」

 

ハジメの手に握られているのは空になった栄養ゼリーの袋。それじゃまだ腹が減ってるだろ。

 

「はい、私のお弁当分けてあげるね」

 

「私のお弁当もあげる!」

 

アクアと白崎が弁当を分けてやると、ハジメも観念して差し出されたおかずを食べる。

ちなみに箸を持って無かったのでふたりから直接食べさせて貰ってる。

 

これにはアクアと白崎に惚れてる男子からの殺意と嫉妬のボルテージはうなぎ登りに上昇する。クソウケる。

 

「皆、それにハジメ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいか?」

 

「なに?」

 

「え?なになに?」

 

「なんだぁあああああ!!」

 

「なぁに?」

 

「んー?」

 

殺意の嵐でげっそりとした表情をするハジメ、それに妹たちと恵里と白崎に、俺は問う。

 

「お前ら、海外旅行とか興味ないか?」

 

「あたしはあるぞ!!!美味いもん食いてえええ!!!」

 

「南の国でお昼寝したーい」

 

「外国のお菓子いっぱい食べて、海も泳ぎたいね~」

 

「僕は別にいいかな、家がいちばん」

 

「南雲くんと一緒にパリとか行ってみたいなぁ」

 

「わたしはハクと一緒ならどこでもいいよ」

 

暖かい国で昼寝したい焔。

外国のお菓子と海で遊びたいアクア。

グルメに興味ありのヒョウカ。

インドアなハジメ。

白崎はハネムーンな妄想が零れ、恵里は俺に着いてくる。

 

南雲以外全員が興味あるようだ。

 

良かった、なら避難しなくても平気そうだ。

 

「よーし、なら全員そこから動くなよ~」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

俺が警告したその瞬間、教室に出現した魔法陣により、教室内にいた人間は全員神隠しの如く姿を消すことになった。

この事件が世間を賑わすことになることも、未来予知で知っている。

 

 

 

 

 

 

真っ白い空間。

 

実体を持たない神が座する人工的?神工的?に作られた空間であることは時間操作による未来視と現実改変能力で無知と既知を操ることで既に知っている。

この空間に居座っている神を自称するエヒトという存在と、その正体は単なる魔法を極めた人間ということも知っている。

 

そして、エヒトが俺たちを異世界に召喚しようとしていることもだ。

本来なら最上位の魔法を持たない者では介入できないはずの空間に突然の訪問者が来たことにエヒトは動揺を隠さずに叫んだ。

 

「誰だ!?なんだ貴様は!?!?」

 

「ウエポンオメガ89号。お前をぶち殺すミュータントだ」

 

それだけ言うと俺は間髪入れずにエヒトの胸に拳を突き刺し、現実改変能力で魂を消滅させる。

 

哀れな神は断末魔すら残せずに存在諸とも消える。

 

エヒトの消滅を見届けると俺は魔法陣の流れに戻り、召喚された家族と友達に合流する。

 

魔法陣の光、すごく目がチカチカする。欠陥魔法だなこれは。

 

 

 

そんな目も眩むような光が晴れると、そこはどこかの国の大聖堂のような場所。

 

飾ってある絵画は、地球の美術館でも滅多にお目にかかれないような立派なものばかりだ。

 

特に目の前にあるでっかいやつは、ルーブル美術館とかじゃないと見られないだろう。

 

周囲には明らかになにかしらの宗教関係の服装をした紳士淑女。

 

呆気に取られているクラスメートたちに、正面にいる老人が口を開く。

 

「ようこそ、勇者様。 そしてその同胞方。私はイシュタル・ランゴバルドと申します。以後お見知りおきを」

 

さらば現世、ようこそ異世界。

 

生まれて始めての海外家族旅行1日目、スタート。

 

 

 

 

 

 

 




エヒト
ありふれ本編ラスボスで全ての元凶。
今回はハクの手によりサクッと消滅した。

ハク(89号)
本作の主人公。
人工的に造られた比類なきレベルのチートミュータント。異世界召喚を事前に察知し、家族で海外旅行するような感覚でトータスへ行くやべーやつ。
その気になれば召喚を防ぐことも回避することも出来たが、多数決の結果召喚されることにした。
その気になれば少し面倒だけど自力で地球に帰れる。

南雲ハジメ
原作主人公。海外旅行は興味ないが、多数決の結果召喚に巻き込まれた不憫な男。
ハクが描写外(中学時代or高校入学直後)で檜山たちを絞めたおかげで原作のように敵意は向けられても、虐めは受けずに済む。
ただ周囲の美少女率が上がってる上にスキンシップ(一方的)が激しいため、殺意は10割増し。

焔、アクア、ヒョウカ
全員美少女、故にモテるが告白は全部お断り。
ハジメの温厚で変にモテようとしない下心の無さを気に入ってるため、焔はオモチャ兼お昼寝用枕、アクアはお菓子や料理の試食役、ヒョウカは気合い注入儀式用としてそれぞれ好感度は高い模様。

中村恵里
ハクによって本編開始前に過去を変えられたため、重度のキャラ崩壊を起こしてる。
軽いファザコンでお父さんが好きな子。
ハクと付き合うことになった時は両親揃って祝福してもらえたため、幸せの絶頂にいる。おめでとう。
ハクとハクの兄妹がミュータントであることを知っているが秘密にしてくれる聖人。

白崎香織
本編ではメインヒロインの座をニート吸血鬼姫に奪われた負けヒロイン。今作では物語の内容がかなり変わる予定なので、運命が変わるかも知れない。

八重樫雫
剣道少女で苦労人。
アクアが友達になってから愚痴や趣味の理解者になってくれたため、ストレスが軽減されてる模様。
そのためアクアとその兄弟には感謝してる。
彼らがミュータントであることを知らないが、知っても、態度は変わらない。

天之河光輝
今のところ特に原作と変わりなし。
不真面目な態度のハジメと中学時代に暴力事件(檜山たちをボコボコにした)を起こしたという噂があるハクが嫌い。

坂上龍太郎
永遠の友達以上恋人未満の友人であるヒョウカにベッドの下にロリ系エロ本の山を隠していることがバラされた男。
オメガ兄妹以外はそれを知らないところが救い。
兄妹から性癖は人それぞれと、生暖かい目で見守られている。
ヒョウカのことは友達だと思ってる。
まあスタイル抜群は好みじゃないからね。


小悪党組
チンピラ。本編開始以前に描写外で妹たちに悪さしようとしてハクと妹たちにシバかれて以来、大人しくしてるが復讐のチャンスを待っている。

典型的な悪党なのでかませにする予定。


日本におけるミュータント
この世界の日本はミュータントは産まれてこない。
そのためミュータントについては浅く片寄った知識しかない。
日本に出回っている情報は海外のミュータントへの偏見と憎悪に満ちた情報ばかりであり、
ミュータント=悪という間違った結論になることが多い。
天之河やクラスメイトの多くも騙されてそう。
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