ありふれてないミュータントは世界最強 作:アメコミ限界オタク
次の日、早速戦争に備えて訓練が始まる。
まず、集まった俺たちに騎士団長のメルドという男から銀色のプレートが配られる。
勇者様と愉快な仲間達の訓練だから手は抜けないようだ。
メルド本人も、「むしろ面倒な雑事を副団長に押し付けられる!」と豪快に笑っているくらいだから大丈夫なんだろう。
その副団長とやらは、アクアや八重樫と同じ匂いがするな。苦労人の匂いだ。
「このプレートはステータスプレートと呼ばれているアーティファクトだ。
名前の通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれる便利なものだ。
トータスにおける身分証明書でもある。
大事なものだから失くすなよ?」
要点だけをまとめてくれる有能メルド。
彼はヒョウカと同じく豪快お気楽な性格なようで、部下の騎士にも俺たちとは仲間として対等な立場として接するように命令していた。
アクアとヒョウカは既に彼のことを気に入ったようだ。
最も、焔は……。
「zzz……戦争だるい……」
立ったまま寝るという、かなり器用な真似をしている。
しかもバレないように俺の真後ろに陣取ることでメルドからは完全に死角となっている。
コラ、起きなさい。
「アーティファクトってなんだ?」
誰かが質問する。
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。ステータスプレートはその中でも量産されたありふれたものだから唯一、一般人にも気軽に使える代物だ」
ちなみに、使い方は血を一滴垂らすだけのお手軽なもののようだ。
DNAを個人の識別に使うだけじゃなく、能力値まで測定できる道具ってのは便利だな。
さっそく試してみる。
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ハク 17歳 男 レベル:1
天職:■■■■■
筋力:■■■■■
体力:■■■■■
耐性:■■■■■
敏捷:■■■■■
魔力:■■■■■
魔耐:■■■■■
技能:発電・電気操作・電波操作・電波吸収・
高速飛行・ヒーリングファクター・メガモーフ・・肉体生体金属化・環境適応・テレキネシス・テレポート・テレパス・能力キャンセラーブロック・オプティックブラスト・エネルギー吸収・エネルギー増幅・エネルギー操作・フォースフィールド・物質変換・物質創造・現実改変・確率操作・認識改変・時間操作・空間操作・重力操作・分子操作・原子操作・量子操作・言語理解
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表示……されないじゃないかッッッ!!
正確には技能はちゃんと表記されてるのに、他のステータスと天職の欄は黒潰しになってる。
壊れてんじゃね?と思い、プレートをあれこれ弄ってみるがどうにも違うようだ。
お使いのプレートは正常です。
メルドからステータスの説明がされるので注意して聞く。
「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初にレベルってのがあるだろ?
それはステータスの上昇と共に上がる。
上限が100で、それがその人間の成長限界だ!つまりレベル100は人間が到達できる領域の現在値だ。
最も、限界まで強くなったやつなんてそうそういないがな」
説明的に考えて、地道に筋トレや戦闘に励んで腕を磨く必要があるみたいだ。
「ハジメ、お前のはどうだ?ちゃんと表記されてるか?」
「僕のはこんな感じだよ」
ハジメのステータスは、
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
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うん、ちゃんと表示されてる。
やっぱり俺のが壊れてたんだろうか。
「メルドォォォォォォ!!!アタシの壊れてるのかぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
「うおぉぉっ?! ヒョウカか!急に叫ぶなぁ!!」
メルドもアホのヒョウカのいちいち叫ばないと会話できない洗礼を受けている。
自我が芽生えた瞬間からこれだから俺も最初はビビった。
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ヒョウカ 17歳 女 レベル:1
天職:■■■■■
筋力:■■■■■
体力:■■■■■
耐性:■■■■■
敏捷:■■■■■
魔力:■■■■■
魔耐:■■■■■
技能:大規模氷結・大規模冷却・氷操作・冷気操作・氷分子操作・水分子操作・絶対零度・絶対零度耐性・超怪力・超耐久力・ヒーリングファクター・環境適応・言語理解
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ヒョウカがメルドにプレートを見せると、メルドはんんっ!?と首を傾げ、見間違いか?とでも言うようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。
そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをヒョウカに返す。
技能欄はともかく、ステータスと天職の部分が全部黒塗りになってんのはおかしいもんな。
「すまん、壊れてるみたいだ」
「やっぱりかああああ!!!!」
ヒョウカには新しいプレートを後日用意されるとして、他のクラスメイトも順番にメルドにプレートを見せに行く。
「メルド、俺のも壊れてる」
「わたしも~」
「私の壊れてるっぽいです」
焔とアクアもそうらしい。
あ、さては俺たちのステータスがステータスプレートだと測れないからか?
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焔 17歳 女 レベル:1
天職:■■■■■
筋力:■■■■■
体力:■■■■■
耐性:■■■■■
敏捷:■■■■■
魔力:■■■■■
魔耐:■■■■■
技能:パイロキネシス・熱伝播制御・分子運動制御・高速飛行・フレイムフォースフィールド・完全熱耐性・完全無酸素耐性・ヒーリングファクター・環境適応・言語理解
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アクア・ザ・サブマリナー 17歳 女 レベル:1
天職:■■■■■
筋力:■■■■■
体力:■■■■■
耐性:■■■■■
敏捷:■■■■■
魔力:■■■■■
魔耐:■■■■■
技能:水分子制御・肉体変化・肉体強化・液体操作・気体操作・水中呼吸・水圧耐性・超高温耐性・超低温耐性・環境浄化・ヒーリングパワー・人体再生・ヒーリングファクター・環境適応・言語理解
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「……」
メルドも言葉を失っている。四枚連続で壊れてるプレートを見て愕然としているが、多分これ壊れてない。
俺たち兄妹の能力とDNA構造が特殊だから、プレートもバグってるだけだ。
今ここで言うべきか迷ったが、テレパスで妹たちと相談した結果、黙っていることになった。
技能欄の項目については認識改変能力を使い、違和感を持たないように細工しておく。
根掘り葉掘り聞かれても面倒だからな。
気を取り直して俺たちの次に見せた天之河のステータスは……。
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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強いのか弱いのか、分からん。だが俺の次くらいには豊富な技能がある。
「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや~、あはは……」
メルドのレベルは62。
そして彼のステータス平均300。
この世界でもトップレベルの強さらしいが、光輝は強さはレベル1でもうその3分の1にいる。
ちなみに、技能=才能である以上、完全に先天的なものなので増えることはないそうだ。
通りでミュータントパワーばかりが並んでた訳だ。
そして光輝に及ばないが、他の連中も全員軒並みチートだったようだ。
プレートが壊れてたヒョウカ以外は全員チートだ。
……隣にいるハジメがすごく嫌な汗をかいている。心拍数も露骨に上がっていて、瞳孔も少し開いてる。
目に見えて狼狽えている。
ハジメのステータス、すごく低かったからな。
しかも技能も実質ひとつしかなかった。
とうとうハジメの番が回ってきた。
ホクホク顔のメルドにハジメはプレートを渡す。
「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。
その様子にハジメを目の敵にしてる檜山が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。
「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」
檜山が、実にウザイ感じでハジメに絡んでいる。
「ならハジメは戦う必要はない、そうだろ?メルドさん」
「あぁ、そういうことになるな」
昨日の約束についてもう忘れてんのか貴様は。
見れば柔道部のでっかいの名前は……永山だったな。
それにハジメを笑わなかった連中も俺の言葉に頷いている。
「戦闘に向いてないやつは戦わせなくていい、その約束は守って貰わないとな」
「ああそうだな。 訓練には参加して貰うが、ハジメは武器や防具の製作に回して貰えるように手を回して……」
「ちょっと待ってください!!俺は納得できない!
仲間がみんな戦場に行くのに南雲、お前だけ安全な場所にいるつもりか!?」
その人事に待ったをかけたのは天之河光輝だ。
おいコラ、テメーコラ。
昨日の話し合いで俺を睨んでたし、やっぱり不満があったか。
そういやこいつ、ハジメのこと嫌いだったな。
他のクラスメイトならともかく、大嫌いなやつが安全な場所にいるのがそんなに気に食わんか。
「しかしなあ天之河よ、ハジメはステータスも技能も戦闘に向いてない以上、無理に戦線に出せば死ぬだけだ。これは適性を考えた上での配置なんだから問題ないはずだ。 そうだろ、メルドさん」
「そうだ、なにも問題はない」
「でも……!」
パシン。
八重樫が天之河の頭を軽く叩いた。
姉が出来の悪い弟を叩くような光景に見えたのは俺の気のせいか。
「いい加減にしなさい。
地球にいた時から南雲くんは争いには向いてないし、武術だってやったことないんだからどう考えても戦争に出るのは無茶よ」
「雫!そんな!」
てかお前は南雲が嫌いだから戦線に連れだそうとしてだけだろう。
檜山たち小悪党4人組も天之河擁護に加わったので、強引に話を打ち切らせる。
『ていう訳で、ハジメの扱いはこれでいいな?』
声にテレパスとエンパスを乗せることで強引に反論を封じる。異論は認めない。
だって、ここで戦線離脱を認めて貰えなきゃ後々困るのは他のクラスメイトも同じだからだ。死にかけるような思いをして挫折した場合、こういう逃げ道が必要だ。
天之河とハジメのステータスを見て爆笑していた小悪党組がそれをどこまで理解しているかは知らん。
こうして俺は友人の南雲ハジメに安全な立ち位置を提供することに成功した。
勝手に連れてきた分の最低限の責任ってやつだ。
帰るまでは俺たちが全力で守ってやるから安心して武器製作に専念するがよい。
南雲ハジメ
原作主人公。本作ではオリ主の親友キャラ。
エヒトが秒殺されたため、魔王化しなくても良くなった。
多分二次創作のハジメでは死ぬほど恵まれてる方。
ハク・焔・アクア・ヒョウカ
本人たちが強すぎてステータスプレートがバグった。技能欄が他のクラスメイトに比べて不自然な能力がいっぱいあるので認識改変で違和感を持たないように誤魔化しておいた。
ハジメの身の安全を考えて戦線送りにしないようにした。
天之河光輝
ありふれ二次創作のある意味人気者その1。
いっつもオリ主にボコボコにされてる不遇役にして原作屈指のヘイト役。
本人には自覚が無いが南雲が嫌いなので安全圏にいることが気に入らない。
多分、他のクラスメイト(特に白崎や雫以外の女子)だったらなんも言わなかった。
作者は個人的にガハルトがいちばん嫌いなので天之河は多少優遇するつもり。
八重樫雫
ハクと天之河の口論に入り込む。
小悪党4人組
ありふれ二次創作人気者2号の檜山がリーダーを務めるヴィラン役。
ハジメにはハクとその妹たちという名の最強セコムがいるので、これから地獄を見ることになる。