変質者SIDE
「は…?」
たった一瞬の出来事だった。目の前の男が撃つ真似をしたと思ったら…隣に立っていた仲間が倒れた。男は何か飛ばしたわけでも仲間がわざと倒れたわけでもない。ただ倒れる寸前鈴のような音がしただけだ。
「お、おい!大丈夫か!?」
「リーダー!こいつ…死んでます!」
「嘘だろ…」
意味がわからない…こいつは…
「ば…化物!」
「ああ、私は化物だ。じゃあ死ね」
「助けっ…」
また撃つ真似をしたらもう一人も倒れた…
「ひぃぃぃぃ!」
化物だ…!トレセンには絶対に会ってはいけない化物がいた…!
三人称SIDE
「(残り3人…殺す前に聞いておくか)おい」
「ひぃっ!な、なんでしょう!」
「お前たちは何故この学園に侵入した?答えろ」
「え、えっと…」
「早く答えろ」
実はこの時点で阿武野は少しイライラしていた。元々本人が好戦的な性格のため、職員たちと比べて雑魚すぎるため飽き飽きしていたのだ。
「俺たちはこの学園が可愛いやつやナイスバディなウマ娘が沢山いるって聞いてちょっと観察しようと来ただけで…」
「ほう?ならば何故夜中、しかも無断で来たんだ?」
「そ、それは…」
「フン、まあどうせ低俗な欲望に身を任せてきたのだろう。今私が聞きたいのはそこではない」
「で、では何をお聞きに?」
「感情だ。貴様らがここまでの行動を起こすまでの理由となった感情はどのようなものか聞きたいだけだ」
「感情?そんなこと言われても…」
阿武野はもちろん人間ではない。しかし本人にとってはニンゲンになるためには感情が必須と思い質問しているようだ。
「まあ感情といっても一概にコレとは言えない。貴様たちが今抱いている感情でいいから喋れ」
「…」そ~
「おい、逃げるな」
「はいぃ!」
「俺は…可愛い娘が見たいって気持ちですね…」
「俺も…ボンキュッボンのやつが見たいからです…げへへ」
「私は金で雇われただけで…特には何も…」
「フムフム…そうか、わかった。じゃあいっていいぞ」
「へ?見逃してくれんですか?」
「さっさといけ」
「「「はいぃ~!」」」
男たちは一目散に駆け出して逃げれる…はずだった。
「…まあ」
「お前たちが逝くのは人生の終わりだがな」
しかしこの生き物。無の欲望の前では無意味だった。
「さあ蝶たちよ…舞え。嵐のように」
阿武野がそう言うと棺を出し、開けると中からおぞましい程の蝶たちが飛び出して男たちに飛んでいった」
「
蝶たちが男たちを通り過ぎると全員倒れていった。阿武野が顔を見るととても安らかな顔をしていた。
「さて…と。死体の処理は…蝶たちにでも喰わせるか。食べていいぞ」
そう言うと蝶たちが飛んできて男たちの死体を喰い始めた。
「よし、このままパトロールでも…おっ」
パトロール始めようとすると、空が晴れ始めた。
「これはありがたい。晴れていれば遠くのものも見えるし音も聞こえやすい」
そして阿武野はパトロールを始めた…
「…取り敢えずは大丈夫か」
「ん?まさか…」
パトロールしていると視界の端、正門前に人影が見えた。
「やれやれ…ここはいつも侵入者がいるのか?おい、そこのお前!」
「!!君は一体誰だ?」
相手は声を返したが少し離れているので姿はよく見えないようだ。
「私はここの…トレーナーだ。貴様は一体ここに何をしに来た?」
「実は私は地方からやって来たんだが…どうやら道に迷ってしまってな」
「なるほど。何処へ行きたいんだ?」
「トレセン学園という所に行きたいんだが…知らないか?」
「は?何言ってるんだ?ここがトレセン学園だぞ?」
「何!?そうなのか!」
「お前怪しいな…もう少しこちらへ来て姿を見せろ。そちらではよく見えない」
「わかった」
そして相手が近づいて姿が見えると、白のような髪。頭には大きな耳に後ろには尻尾。手にはキャリーケースと食べかけのおにぎりを持っていた
「お前…ウマ娘というやつか。名前は何と言うんだ?」
「私はオグリキャップ。このトレセン学園に入学しに来たんだ」
この瞬間、二人、いや二体の怪物が出会ったのだった…
というわけでウマ娘初登場はオグリキャップです。ちなみに阿武野の使用した蝶たちの鎮魂歌は既存の技にオリジナルで名前を付けたものです。葬儀→成仏→鎮魂歌みたいな感じです。最後のおにぎりは「オグリなら食ってそう」という作者の偏見です。