龍帝と呼ばれる男   作:紅蓮 蒼華

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高専への誘い

 

「…あ〜……だるっ」

 

 

こつ かちゃ こつ かちゃ………

 

 

炎天下な気温が続く中、ただの足音にしては違和感のある音を立てて、少年は太陽で熱されたコンクリートの上を歩く。

 

「あちぃ…だりぃ」

 

度々「だるい」を口癖のように声に出す少年はいかにもといった学生服を着ている。

白くシワのついた半袖のワイシャツに夏用の薄い黒ズボン、これだけ聞けばただの学生だと思うだろう。

 

だが、この少年はそこらの有象無象(めっちゃ失礼)とは違っていた。

 

「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…………」

「ドドドドドドココココイイイイショニカエリマショショショショショ…………」

 

「え、だるっ」

 

少年の目には二体の怪物が見えていた。

一体は腐ったような紫色のトマトに人の顔を貼り付けたようなナニカ。

もう一体はクリオネが人間サイズにまで大きくなって、両腕が人間の、一つしかないはずの肘が三つのなってるナニカ。

 

今どきのUMAの本に載ってるような得体の知れぬ異物に対し、少年が放った言葉はやはりその言葉だった。

 

「んー……遊びたいのはよくわかんだけど…ごめんな、今日はご機嫌じゃねぇんだわ」

 

そう少年が声に出すが、お構いなしと二体の怪物が焦点の合わないような目つきで少年へと襲いかかる。

怪物の開ききった口元からは大量のヨダレのような液体が垂れており、少年をどのように見ているのかが分かる。

 

「…はぁ、やっぱ俺の言ってること認識できてねぇのかな。犬猫よりでかいくせに脳味噌クソザコとかただのデコイだろうに」

 

 

ーーーー桜花ーーーー

 

ズボンのポケットに突っ込んでいた右腕を持ち上げ、その掌をその怪物に向けながら、誰かの名前を呟く。

すると、少年のその掌の手前に一つの火の玉が出てきた。

 

「…チビブレス」

 

その瞬間、その火の玉から怪物に向かって紅い炎が放たれる。

それはあたかも、ドラゴンのブレスを再現しているかのように。

 

紅い炎が迸ったあとには、あの二体の怪物はただの哀れな炭となっていた。

 

「あー、マズったかな、ただでさえあちぃのに余計暑くなってる気がする……今日はハーゲンでも買おうかね?」

 

火の玉を出していた右腕を再びズボンに仕舞い、再び少年は歩き出した。

 

それは、先程の歩きよりも幾分か早かった。少年は早くハーゲンが食べたかったのだ。

 

しかし、その歩みは、数十歩で終わってしまった。

 

なぜならその先に、不審者らしき男が立っていたから。

 

真夏の炎天下なのに長袖長ズボンで全身黒の服を着ている。それだけで不審者の匂いがするのに、白い目隠しの布を巻いている。

 

(えーだる)

 

目線は白い布で詳しくは分からないが、少なくとも顔は、その少年の方に向いていた。

 

「こんにちは!もしかしてここらの地域の呪霊を祓っていたのは君かな?」

 

 

「…あんた誰?」

 

「東京都立呪術高等専門学校の一年担当五条悟!ここらの地域が急に呪霊発生が減ったって窓がいうからちょっとあそ…調査に来たんだ」

 

(胡散臭)

 

おそらく五条と名乗る男は強いんだろうなっていうのは肌から感じているし、目隠しで確信できないがイケメンだろうなとも少年は思っている。さらに言えば高身長でスタイルもいい。殺してもいいですか?と恐らくこの男を目にした男性諸君はそう思うのではないだろうか(ただし、雰囲気は超絶胡散臭い)

 

「…もしかしてっすけど、あの気色悪いUMAがあんたの言う呪霊すか」

 

「正解!いやぁ理解が早くて助かるよ」

 

「は?」

 

気がついたらその男は少年の後ろに立っていた。

 

「……すんません、今めっちゃご機嫌じゃないんで言いたいこと簡潔にしてくれませんか」

 

動揺したのが気に食わない少年は、仏頂面で五条に言い放つ(そも少年は早くハーゲンが食べたいのであって決して不審なイケメンと炎天下の路上で会話を楽しむ余裕など持ち合わせていない)

 

しかし五条は、その少年の態度に一切反応せずに言い放つ。

 

「オッケー!実は僕もまだるっこしいの苦手だからそういうの超助かる。

 君さ、ウチ来ない?因みに拒否権はないと思ってくれていいよ」

 

ウチというのは多分、自己紹介の時に名乗った高校の事だろう。

自分の力の正体を知る為にも入る価値はあるのかもしれない。

 

 

 ……知れないが、大事な事が一つある。

 

 

「そこ入ったら、将来お金稼げる?」

 

「大丈夫!呪術師って結構お金稼げるから!」

 

そう言いながら五条は白い布を少し持ち上げて片目を晒す。(イケメン確実)

 

「…うんうん、呪力量は僕より多いのかな?でも万が一暴走しても僕が抑えられるから大丈夫だね!

 ついでに言うけど、その力バンバン使ってもらうよ!」

 

なにか五条から自慢が出ているが、少年は気付いていない。何せあまり人と話すことがないから、そう言う機敏には疎いのだ(悲しいヤツ)

 

 

「なら、手続きとか親の説得をそっちに丸投げして良いなら入る。」

 

「いいよー!(伊地知に丸投げしーよっと)

 因みにだけど、君何歳?」

 

「…16ですけど?」

 

「…え?まじ!?すげー見えない!!」

 

「勧誘しながら喧嘩売るっていい度胸じゃないすか?」

 

「えーだってこのしんty『ア”?』…やだーお兄さん傷ついちゃう!」

 

「やだ、余計絡みたくなくなったんすけど」

 

 

「そういえば名前何て言うの?」

 

「今すぐアンタを焼肉の隅っこにくっついてる炭に変えても…あー、そういや言ってなかったすね」

 

 そう言うと、少年はポケットに突っ込んでいた右腕を取り出し、五条に向かって伸ばす。

ただ、これは攻撃を向ける為ではない。

 

「龍史 渉」

 

それは

 

「よろしく」

 

握手の為だった。

 




余談ですが、これ以上五条センセの茶化しにつきあくのは怠い越して死んじゃうと判断して突っ込むのは辞めてます(賢明だな



最後まで読んでいただきありがとうございました。

宜しければ高評価&応援をよろしくお願いします。

とある知り合いに読んで頂いたのですが、お前らしい書き方やとお褒め(?)のお言葉を頂きました。
そんなに他作と違いますかね?
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