ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~   作:天野空

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第五世代組は【ファンタジー】の沖合いにいるホエーライブを確認した。
コメント集が巣食うそのホエーライブを第五世代組は、宝鐘マリンから【ふぁんたじー】を借り受け沖合いに向かう。
果たして彼女達はホエーライブを倒せるのか?



第10話 打倒 ホエーライブ

(見えたぞ!)

空を飛ぶアロエが、遥か彼方にいるホエーライブを見つけみんなに知らせた。

「こっちでも確認したよ。

しかし、本当にでかいね。

まだ、かなり離れてるはずなのに、もうすぐそこにいるみたい」

ねねも船首で立ち上がりホエーライブの方を見る。

「じゃ、そろそろ行こうか?」

ラミィの言葉に4人は頷く。

「ししろん、【ふぁんたじー】は自動操縦に切り替えて」

「あいよ」

「それじゃ、いくよ~

第五世代組の【絆】の力見せてやる!」

ラミィはぼたんにそう告げると1番に海に飛び出す。

「やっほぉ~」

続いて元気に飛び出すねね。

「はぁ~」

その後に疲れたようため息をしながらポルカが続く。

「はは」

ぼたんは嬉しそうにライフルを担いで飛び出し、その後に苦笑しながらアロエが続いた。

ラミィが海面に降り立つ。

いや、海面ではない氷の上。

ラミィは自分の周囲の海を凍らせたのだ。

そのまま氷はホエーライブへと向かう。

普段のラミィならこれ程の事は出来ないが、今は【絆】でアロエの莫大な魔力を共有している。

今のラミィにとってはこれくらいは簡単だった。

氷を滑るように4人は進む。

その上をアロエが飛ぶ。

(先に行く)

アロエはそう言って単身ホエーライブへと向かった。

(でかい)

アロエはホエーライブの近くまで来ると改めてそのでかさに驚く。

ホエーライブはラミィの氷が近づいているにもかかわらず悠々と泳いでいた。

このまま普通に泳いでいるなら無害かもしれないが、ホエーライブが進んでいる先は間違いなく陸地だ。

(この方角は【世界の境界線か?】)

アロエは進む先を予想する。

【世界の境界線】の先にはこの世界とリアルを繋ぐ【ホロライブソード】がある。

(行かせる訳にはいかない)

アロエはそう思いホエーライブへと結界を放った。

ぐわぉぉぉぉ~

巨大な鳴き声と共に動きが止まるホエーライブ。

そして、ラミィが放った氷がホエーライブに追い付いた。

「ナイス、まのあろ」

ポルカが戻ってきたアロエに声をかける。

(これでホエーライブは後にも先にも進めないはずだ)

アロエはホエーライブを包むように海中に結界を張った。

ホエーライブは方向転換は出来るものの、潜って行く事はできない。

そして、ラミィが張った氷がホエーライブの動きを邪魔する。

ホエーライブが方向転換で氷を割ってもすぐに氷が再生してホエーライブの動きを止めていく。

「あと、あのデカブツをどうやって倒すかだね」

トンと氷上を踏み、氷塊を作り出してその影に隠れるぼたん。

他の4人も同じように氷塊を作り出して隠れる。

ぐぉ~!

ホエーライブは雄叫びをあげて潮をふく。

「やばい!」

ポルカは慌てて氷塊を手で押す。

すると氷塊が変化してポルカを包み込むように広がった。

他の4人も同じようにする。

その後にアロエはみんなの氷塊に防御魔法をかけた。

ホエーライブの吹いた潮は空に舞い上がった後、1粒1粒が鋭利なナイフのように尖り、第五世代組を襲う。

ホエーライブが得意とする、広範囲攻撃技。

この技と足場の悪さゆえに、ホエーライブは五帝の中でもトップクラスの討伐難度を誇る。

「どうするの?

これじゃ外に出れない!」

ねねが叫ぶ。

「あの攻撃を止めるしかないか」

ぼたんはスナイパーライフルに弾を装填する。

「どうしようか?」

ラミィはひょこっと氷塊から顔を出して聞いた。

(吾輩達にその攻撃は通じないと教えればいい)

アロエが言う。

「なるほど、違う攻撃方法に変えさせるって訳か」

ポルカはアロエの言葉に頷く。

「なら、ポルカに任せてもらおうか」

ポルカはサーカスの調教師のような長い鞭を取り出す。

そして、バシンと氷上を叩いた。

「さぁさぁ、お立ち会いポルカサーカスの始まりだ!

始めは猛獣達のパレードと行きましょうか!」

そう言ってもう1度鞭で氷上を叩いた。

するとポルカ達周囲の氷上から光のライオン、熊、トラ等が沸き上がる。

その数は優に100を越える。

「さぁ、いけぇ!」

ポルカの号令に光の猛獣達はホエーライブに向かって突き進む。

降り注ぐ水の刃にも臆せず、光がホエーライブに波のように襲いかかった。

「やるじゃ、あれで勝てるんじゃない?」

ぼたんがにやにやしながらポルカに言う。

「それ、分かって言ってるだろ。

無理だっていくら普通のモンスターより強いといえども、あのぐらいの攻撃じゃ、あの化物はびくともしないよ。

いわゆる嫌がらせ」

ポルカはぼたんをジト目で見ながら言う。

(でも、その嫌がらせも効果あったみたいだな)

アロエの言うように、あの潮吹き攻撃は止まっている。

(距離を詰める。

防御はみんなに張っておく)

アロエの言葉に4人は頷き、氷塊から出てホエーライブへと走った。

ダンダンダン!

ぼたんは走りながらホエーライブの目へライフルを撃つ。

撃った弾は氷を纒、ツララの様になって目的を貫く為に飛ぶ。

しかし。

バシャッっと弾は目に当たる前に水の膜に阻まれた。

「やっぱりダメか」

ライフルに弾を装填しなおし呟くぼたん。

「弱点ってある?」

ラミィが走りながら聞く。

(特にないな)

「GM基地で資料確認したけど、前回はとことん攻撃しまくってやっつけたみたいだったよ。

1週間絶え間なくね」

アロエの言葉にポルカが続く。

「1週間!?」

驚くラミィ。

「はは、それは長いなぁ」

時折、水のドリルがホエーライブから飛んでくるのを避けながらねねが苦笑する。

先ほどから、ホエーライブは広範囲攻撃から、この範囲攻撃に切り替えて攻撃してきている。

ポルカが呼び出した光の猛獣も半分以上やられていた。

「さて、どうしたものかな?」

ラミィ達はホエーライブの側面を移動していた。

「中に入って暴れちゃう?」

「えぇ~

やだ!」

ねねの案をラミィが即否定する。

「なんでぇ!」

「汚れそう」

「あらぁ~」

ラミィのねねへの答えにこけそうになるポルカ。

(危ない)

そのポルカに水のドリルが襲いかかるが、アロエが間一髪引っ張りあげて避ける。

「ボケもここだと命懸けだな」

そんなポルカを見てぼたんは笑う。

(フォローする身にもなって欲しい)

アロエはポルカを下ろし苦笑する。

「しかし、現状ねねが言った方法が一番効果的かもしれないね」

ぼたんはホエーライブを見上げて言う。

「だとしたらどこから入る?」

(上は無理だな、潮吹きされたら一貫の終わり)

「じゃ、お尻?」

「絶対にいや!」

「なら、口を開かせて入るしかないでしょ」

ポルカの言葉に全員頷く。

「なら、口を開けさせるのはポルカやるわ」

「なら、残り4人で中に入って暴れる」

ポルカにそう伝えるぼたん。

「う、やっぱり入らないとダメ?」

「ダメ!」

ラミィにぼたんは即答する。

「それじゃ、作戦も決まったし戻るよ」

ぼたんはそう言って向きを変えて口の方に戻る。

それに4人も続いた。

「でも、どうやって口を開けさせるの?」

ラミィが横を走るポルカに聞いた。

「そりゃ、無理矢理?」

 

「ほら!

今のうちに~」

ポルカは巨大な光の熊の肩から、ラミィ達に言う。

「そんな事出きるなら、そいつで倒せばいいじゃない~!」

ぼたんにつれられて口に入っていくラミィが叫ぶ。

「ごめん、これって長くもたない。

後は頼んだ!」

4人が中に入ったのを見届けてポルカは、光の熊から滑り降りる。

そして、ホエーライブから離れた。

消えていく光の熊。

さすがにあれ程の巨体だ。

ホエーライブの攻撃をまともにくらって消えていく。

「後は頼んだよ」

ポルカは氷塊でかまくらを作るとその中に避難した。

 

 

「う、なんか生臭い気がする」

ラミィは口の中で辺りを見渡しながら言った。

「でもさ、水の中に潜れないだけましだよ。

潜って水を飲まれたら埒があかなくなる」

(確かにぼたんの言う通りだな)

アロエは頷いた。

「それで、どこで暴れる?」

(一番効果的なのは、ホエーライブの心臓部だが…

そういえば、いたな。

こいつらも)

アロエが喉の奥からやってくる黒く長い蛇を見て言った。

「気持ち悪い」

「確かに。

でも、心臓部に行くなら進まないとね」

両手に銃を持つぼたん。

(運営からのパッチは受けてるか?)

頷く3人。

「じゃ、やりますか!」

ねねが黒い蛇に突撃する。

「ちょ、ちょっと」

慌てて追いかけるラミィ。

「こういう時、ポルカは偉大だと感じるわ」

(確かに)

苦笑しながら追いかけるぼたんにアロエも苦笑して答えた。

4人が立ち向かうは黒い蛇のようになったコメント集。

それは、大きく口を開き4人を飲み込もみ取り込もうと襲いかかった。

 

 

「ふぅ」

ねねは手を振りながら先頭を走る。

「思ったよりあっけないね」

「ま、私達一応チートだからね」

ラミィの言葉にぼたんが答える。

コメント集の蛇をねねの氷で覆った蹴りとラミィとアロエの魔法、ぼたんの魔弾で一瞬にして倒した。

4人はそれから心臓部に向かって走っている。

時折、皮膚からわき出るようにコメント集の蛇が現れるが、4人には到底敵わなかった。

(そろそろ心臓部だ)

アロエが言う。

それからしばらく進むと巨大な広場に出た。

「あれが…」

ぼたんはその物体を見て唾を飲む。

「う、やっぱり来なければよかった」

ラミィはねねの背後に隠れながら言った。

「へぇ、なかなかすごい事になってるじゃん」

ねねはなぜか嬉しそうに言う。

(完全に取り込まれている)

アロエはホエーライブの心臓を見て言った。

心臓は上下と長い管のような物に繋がれて宙に浮いていた。

そして、その心臓が見え隠れする程、コメント集の蛇が纏わりついていた。

さしずめ、古に出てくるゴーゴンのようだ。

「まずは、あのコメント集を消滅させる」

ぼたんの声に頷く4人。

それぞれスナイパーライフルを構えた。

【絆】の力で各々の力、能力を使う事ができる。

「動き回って、魔弾でヘッドショットすれば一撃で落とせる。

弾も運営からの対コメント集の特殊弾だからね。

それじゃ、いくよ」

ぼたんの合図で4人はバラバラになり、蛇の頭を狙う。

ぼたんの力とねねの力で素早い動きの中、確実に頭に攻撃をヒットさせていた。

しかし、4人が思ってた以上にコメント集の蛇の数が多い。

そして、その蛇数匹が一斉にラミィを襲った。

「しまった!

ラミちゃん!」

ライフルを撃ち続けるぼたんが叫ぶ。

ラミィはコメント集の蛇に巻かれ飲み込まれた。

(く!)

慌てて向かうアロエの前にもコメント集の蛇が立ちはだかる。

それは他の2人も同様だった。

(また、仲間を失う)

そう感じた3人だったが、ラミィを巻いて飲み込んだ蛇達の様子がおかしかった。

「もう、ラミィは取り込まれたりしない」

声が聞こえる。

その声に合わせて巻き付いていた蛇達が一瞬で凍った。

「氷闘装甲アブソリュートゼロ」

凍った蛇は砕け散り氷の鎧を身に纏ったラミィが姿を現す。

「お、ラミちゃんかっこいい」

内心安堵のため息をつきながらぼたんが言った。

ラミィはにこっと微笑むと、次の蛇へと攻撃する。

攻撃が当たった瞬間、蛇は凍りつき砕け散る。

ラミィが次々と蛇を倒す姿を見てねねが称賛の声をあげた。

「なんか変な冗談言って場を凍りつかせてるみたい」

「ちょ、例え、例え!」

ねねの称賛に突っ込むラミィ。

(確かに)

「ちょっと、まのちゃんまで」

頷くアロエにラミィは更に突っ込んだ。

そんな無防備のラミィの背後を蛇が大きな口を開け噛みついた。

しかし、「今のラミィはそんなに甘くはないよ」と噛みついた蛇に言う。

だが、蛇には聞こえてはいない。

何故ならラミィに噛みついた途端、凍りついたのだから。

それから、4人の攻撃ですべてのコメント集の蛇が処理される。

丸裸になったホエーライブの心臓。

(あった!)

その心臓内部にコメント核をアロエは見つけ叫ぶ。

「よし!

もらったぁ~」

ねねが勢いよく心臓に飛び込んでいく。

「ちょっと、ねね!」

ラミィが呼び止める。

それと同時に心臓からコメント集の最後の力か?

巨大な蛇の顔が現れ、迫りくるねねを喰らおうとした。

「予想しなかったと思う?」

そんな蛇の口を見てねねは小悪魔的な笑みをうかべる。

「アキ先輩直伝、闘気術!

ムキムキハイパー!」

突如、ねねの上半身だけが巨大化しムキムキマッチョになった、ように見えた。

アキの得意技、闘気を体に纏う術。

ねねはダンスを習う傍ら、その闘気術も習っていた。

「アンド~

アイスナックル!」

振り上げた巨大な闘気の拳が氷を纏う。

「くらえ!

アルティメットパンチ!」

ねねはその拳を思い切り心臓へと放った。

その拳は蛇の口を砕き、ホエーライブの心臓を強打する。

(く、しまった)

アロエはその攻撃の中、あるものが上へ向かう管を通っていくのを関知した。

コメント核だ。

コメント核はねねの一撃が到達するその前に上へと逃げた。

 

もし、このコメント核に意志があったなら、ザマァみろと思っていただろう。

最後の最後、詰めが疎かな第五世代組をあざけ笑いながら外への出口に向かっているはずだ。

しかし!

世の中そんなに「甘くないのよね」

ガシッ

外に飛び出したコメント核を光のマジックハンドが受け止める。

ニヤリと笑うポルカ。

「【絆】を使ってる間は、5人の意志疎通は離れていても完璧。

さて、お立ち会い!」

そう言ったポルカの右手でポンと小さな煙が出る。

そして、1本のナイフが握られていた。

「ここに取り出したるは、GM司令官殿から直々にいただいた、コメント集を削除する専用ナイフ。

さて、これをどうするかお客さん分かるかな?」

ポルカは陽気にコメント核に話しかける。

「ま、喋れない相手に言っても仕方ないか」

真顔に戻り、ポルカはコメント核にナイフを突き刺した。

コメント核は風船のように膨らみ、そして、パンと音を出して消えた。

「ま、これにて一件落着かな…」

ポルカはそう言って晴れた青空を見上げた。




5人がホエーライブの上で休憩していると、Aから連絡が来た。
内容は親玉のコメント核が消滅したという事だった。

「これでやっと終わったね」
ラミィが4人に笑顔で言う。
「そうだね」
ぼたんはごろんと寝転がる。
「これからどうするの?」
ねねが4人に聞く。
「そうだなぁ」
ポルカはゴロゴロしながら考える。
「まのあろは?」
ポルカは宙に寝そべるアロエに聞いた。
(吾輩?
吾輩は五世代ハウスで留守番するよ)
「え?
今のまのあろなら、どこでもいけるんじゃない?」
アロエの言葉にポルカが上半身を起こして言う。
(そうだけど、今回の事で少し疲れた。
しばらくは五世代ハウスでゴロゴロするよ)
アロエはそう言って笑う。
(ねねはどうするんだい?)
「ねね?
そうだなぁ、アキ先輩のところでまたダンス習って、それから旅に出ようかな?
旅する踊り子とかどう?」
ねねは立ち上がりポーズをとる。
「ポルカは?」
「ポルカ?
そうだなぁ。
そろそろサーカスを本格始動しようかな」
「え?」
ポルカの言葉にラミィが不思議そうに首をかしげる。
「あのねぇ、ポルカこれでも多くの団員を持つ団長だよ?
そりゃ、サーカスするでしょ」
「じゃ、全国をサーカス公演しながら回るの?」
「ん~」
ラミィの言葉に考えるポルカ。
「ま、まぁ、全国は回るけどまだサーカスの出演者探そうかな」
「まだ、集まってないんだ」
ポルカの言葉にぼたんが苦笑する。
「そう言うししろんは?」
「私?
そうだね、いつも通りかな?
世界を回るよ。
まだまだ探したい物もあるからね」
そう言って微笑む。
「ラミちゃんは?」
ぼーと海を眺めていたラミィにぼたんが聞いた。
「ラミィ?
ラミィは…」


麦わら帽子を被り、釣竿とバケツを持って、ラミィはお供のだいふくと共に【ファンタジー】の始まりの町近くにある森を歩いていた。
「久しぶりだなぁ」
ラミィは目的地の池に着き、近くの丸太に座って釣りを始めた。
ポチャン
静かな時間が流れる。
鳥の声や葉っぱの擦れ合う音。
(平和だなぁ)
魚は釣れないがラミィはすごく幸せな気分になっていた。
「隣いいですか?」
そんな時、誰かが声をかけてきた。
「え?
はい、いいですよ」
ラミィはそう言って声をかけてきた相手を見る。
「あ」
「お久しぶりです」
そう言って青年は笑う。
「そうだね、元気にしてた雪民さん?」
「はい」
青年も丸太に座り釣りを始める。
「これからはゆっくりとこの世界を楽しめるんですね」
「そうだね、この無限大に広がる【ホロライブワールド】をね」
青年の言葉にラミィは笑う。
それは2人にとってとても楽しみな事だった。
「じゃ、これからもよろしくね」
「こちらこそ」
そう言って世界を救った青年とラミィは笑いあった。
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