ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~   作:天野空

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コメント集がとうとう【ホロライブワールド】を乗っとる為に行動を開始した。
しかし、それを阻止するべく、ホロメンとGM、多くのプレイヤーが戦いに参加した。
激闘するコメント集とホロメン達。
決着はホロメン達の勝利で幕を閉じた。
はずだった。
しかし、本当の黒幕は遥か頭上にいる。
白騎士とオメガαはその黒幕に最後の戦いを挑むのであった。


第11話 起源の一 偽オメガα

「やはり、無理だったか…」

GMと第六世代組の最終戦を遥か頭上から見下ろす、偽オメガαがポツリと呟く。

偽オメガαは後ろに振り向き手を横に振った。

目の前の空間が口を開くように開いた。

偽オメガαはゆっくりとその空間へと入っていった。

 

先程と同じように真っ白い空間。

偽オメガαはその空間と同じような真っ白い衣装を身に付けていた。

ゆっくりと歩いていく偽オメガα。

しかし、ぴたりと立ち止まる。

「まさかこの場所にこれるプレイヤーがいるとは」

偽オメガαは振り返る。

そこには偽オメガαと同じような真っ白い鎧を着た騎士トラインが立っていた。

「やっと見つけた」

トラインは剣を構える。

その横に体の透けたオメガαが現れた。

「まさか、本体がプレイヤーと来るとは」

「頼まれたからな。

あんたを止めてくれと」

(もう、やめなさい)

オメガαは偽オメガαに言う。

「そう言うわけだから止めさせてもらうぞ、オメガα!」

トラインは勢いよく偽オメガαに向かって走り出した。

 

(先手必勝!)

俺は一気に偽オメガαとの距離を縮め、オリジンソードで斬りかかる。

しかし、偽オメガαは防御すらしない?

ガン!

「な!」

まるで岩を叩いたような感覚。

「効くわけがないでしょう?

その武器は誰からもらったんですか?」

「くそ!」

俺はすぐに相手と距離をおく。

確かにこの武器はオメガαからもらったものだが…

「私自身はオメガαではありませんが、この体は正真正銘の本物の体です。

それに私はオメガαの力を自由に使う事が出来る。

このようにね」

偽オメガαは俺の方に手を向ける。

(危ない!)

その瞬間、白い稲妻が俺の前に現れたオメガαを襲った。

(きゃぁ!)

「オメガα!」

オメガαはその場に座り込む。

「お、おい、大丈夫か?」

「さすがに宿主は助けないといけませんね」

「宿主?」

俺はオメガαを支えながら偽オメガαを見る。

オメガαは荒い息をして苦しそうだ。

「ええ、今のオメガαは体を失った情報体です。

そうですね、コメント集のような物です。

何かを依り代にしていなければ消滅してしまう」

オメガαを見る。

だから、あの墓から動けなかったのか…

「今はあなたが宿主のようでしたから、狙ったのですが当たりだったようですね」

「オメガα、俺の中で休んでろ」

(し、しかし…)

「大丈夫。

あいつは何とかする」

弱々しく俺を見るオメガαは頷いた後消える。

「オメガα無しで私に敵うと思っているのですか?」

「さぁな、やってみないと分からないだろ」

俺はオリジンソードを構える。

(どうする。

この武器だとあいつにダメージが与えられない)

「考え事してる暇ありませんよ?」

偽オメガαの前に白い円錐が数本現れ、こちらに放たれた。

慌てて剣で捌きながら避ける。

しかし、全ては避けられず、何本かはかすった。

「まじかよ」

錐が当たった場所が、まるで紙を破いたようにズタズタになっていた。

今までどんな攻撃も防いできた白騎士の鎧が…

「私の前ではその鎧もただの紙切れ同然ですよ」

「なら」

俺はオリジンソードを片付ける。

そして、普段の装備に変えた。

「なるほど、オメガαから貰ったものを使わないですか。

しかし、その装備で私相手ができますか?」

またも繰り出される円錐。

俺は愛用の剣で同じように防ぐ。

「ほう」

今度は全て防ぎきったぞ。

「なかなかやりますね。

オメガαの装備に頼りきりかと思いましたがそうではないみたいですね」

「いや、頼りきりだったさ。

だけど、自分以上の力を使う事で、体の動かし方が分かった。

だから今の俺はそんなに弱くはないぜ」

俺の言葉に偽オメガαはニヤリと笑う。

そして、またあの錐を俺に向かって撃つ。

(同じ技にやられるかよ)

俺は飛んでくる錐を見ながら偽オメガαとの距離を縮める。

ねねちゃんとの闘いの時にスピードの早い攻撃に目は慣れている。

これくらいは!

ドン!

全ての錐を避けた瞬間、いきなり体が動かなくなる。

「な、なんだ」

「確かに強くはなったのでしょう」

偽オメガαは微笑みながら俺を見る。

「しかし、肝心の経験値が足りなさすぎる」

「く、そ!」

俺は何とか頭だけ動かして手の方を見た。

何か細い糸のようなものが見えたり見えなかったり…

「蜘蛛の糸のようなものですよ。

細い魔力の糸を網のようにして、錐の後に打ち出して起きました。

錐にばかり集中して見えなかったでしょ」

何も言い返せない。

「どうして、あなたを選んだのでしょうかね?

私は?」

偽オメガαは笑いながら、俺と距離をとる。

そして、巨大な白い円錐を出現させた。

円錐はドリルのように回転する。

早く体を動かさないと…

「それではさようなら。

英雄気取りさん」

巨大な円錐のドリルが無慈悲に俺に向かって放たれた。

英雄気取りか…

確かにそうかもな…

(オメガα、聞こえてるなら俺から出ろ。

そして、今度はあいつを倒せるやつに力を貸してもらえ)

俺は迫りくるドリルを見ながら心の中で叫んだ。

(いえ、その必要はないです。

私はあなたを選んだ。

それに間違いはないんです)

そうオメガαは俺に言う。

なんで俺を選んだ?

俺はこんなに無力なのに。

ドリルはもう目の前にきている。

「これで終わりか…」

「いえ、終わりなんかではないですよ」

「え?」

俺の胸元が光、そこから1本の銀色のダーツが床に落ちる。

それは俺が初めてこのゲームをした時、ある女性に出会い貰ったものだった。

その女性は。

「そらちゃん!」

ガ、ガガガガガ!

「はい、久しぶりだね」

円錐のドリルを巨大な盾で防ぎながら、ときのそらちゃんが微笑んでいた。

「な!

ときのそら!」

偽オメガαが声をあげる。

「やぁ!」

ガン!

そらちゃんは大盾でドリルを弾き飛ばす。

「まさか、このタイミングで使って貰えるとは思いませんでした」

そらちゃんは笑う。

「えーちゃんから「仲間のピンチを助けて欲しい」と頼まれたけど、場所が分からなくて困ってたんだぁ」

「な、なぜ、この場所に」

明らかに狼狽える偽オメガα。

「トラインさんのお陰だよ」

そう言って落ちたダーツを拾うそらちゃん。

「ver.侍」

その言葉と同時に大盾は消え、代わりにそらちゃんは大太刀を持つ。

素早く振るうと俺は体を自由に動かせれるようになった。

「ありがとうございます」

「ううん、こっちこそ。

この銀色のダーツは所有者がピンチになった時、1度だけあなたを助けられるホロメンがすぐに駆け付ける効果があるの。

今回はわたしだったけどね。

ここからはわたしが相手を抑える。

君は君だけにしか出来ない事をやって」

そう言ってそらちゃんは偽オメガに向かった。

「ぐ!」

さすがにそらちゃんの攻撃は効くのか、偽オメガはその手に持つ杖で大太刀を受けている。

(よかった。

来てくれたんですね)

頭の中でオメガαの声が聞こえる。

(俺を選んだのはあのダーツを持っていたからか?)

俺はオメガαに聞く。

(はい、その通りです)

(そうか)

なんだ、俺だから選んでくれたわけではないのか。

はは、別に俺は特別とかではなかったんだな。

(何か勘違いしてるみたいですが、あのダーツを持っているのはこのゲーム内ではトラインだけですよ?)

(え?)

(あのときのそらさんに出会って、銀色のダーツを貰う確率はほぼ0に近い。

そして、私の前に現れてくれた。

あなたは十分に特別だと思いますよ)

そう言ってオメガαが微笑んだような気がした。

(オメガα)

(トライン。

今、そらさんが偽のわたしを抑えてくれています。

2人の闘いを見ながら偽のわたしに隙ができた時、オリジンソードを偽のわたしに刺してください)

(しかし、オリジンソードは効かなかった。

それに俺はお前の体を消滅させる気はないぞ!)

(はい、それは分かっています。

私は初め、助けに来てくれたホロメンさんが戦っている時に、自分の存在を武器に変えて偽物に特攻する気でした。

あの偽物の相手は例えホロメンと言えども1人では荷が重い。

しかし、トラインが呼んだのはあのときのそらさん。

彼女ならあの偽物の隙を作る事もできます)

装備欄にあるオリジンソードが輝く。

(私の存在をその剣に写しました。

相討ちを狙うのではなく、私を取り戻す為に)

(これで刺せばいいのか?)

俺はオリジンソードを取り出して装備する。

白騎士にはならない。

力を全部この剣に集めてるのか?

俺はそらちゃんを見る。

偽オメガαが放つ錐や魔法を盾で防ぎ、剣や槍、様々な武器を使い攻撃している。

時折、白と青の装備を着けたキャラが現れてそらちゃんと共に戦っている。

(【円卓の騎士】彼女だけの特別なスキルです。

よく見てトライン。

そして、隙を見つけてお願いします)

頷く俺。

ふとそらちゃんがこちらを見た。

頷く俺を見て何かを悟ったのか、優しく微笑む。

「さぁ、ここからがわたしの真骨頂!

ver.大剣」

そらちゃんは偽オメガαと距離を取り、白と青の大剣を手に持つ。

そして、その剣を床に刺し、両手を柄の上に置く。

「な、何を…」

偽オメガαはそんなそらちゃんを見て、動きを止める。

ブンという音と共に、そらちゃんの両脇からさっきのキャラが次々と現れて偽オメガαを囲む。

その数、13人。

「いくよ、簡易ナイツ・オブ・ラウンドver.ときのそら!」

その宣言に合わせて、13人は偽オメガαの回りを回りながら、14人は空中へと浮かぶ。

(トライン、そらさんの後に)

オメガαに言われて、俺はその円に向かって走り出した。

円の1人1人が偽オメガαに攻撃を仕掛ける。

偽オメガαは動けないのか、なすすべなくその攻撃を次々と受けていた。

そして、ラストそらちゃんが偽オメガαに大剣を振るった。

(トライン、今!)

偽オメガαが最後の一撃で横たわった真下に俺がいる。

「くらえ!」

俺はジャンプし、真上にいる偽オメガαの背中にオリジンソードを突き刺した。

「がぁ」

オリジンソードは今度は弾かれず、偽オメガαを貫いた。

「やった…」

俺はオリジンソードから手を離す。

するとオリジンソードは淡く光始めたかと思うとあっという間に偽オメガαを包み込むような白い玉へと変わった。

「ど、どうなったんだ?」

「大丈夫だよ」

優しい言葉に俺はそちらに振り向く。

そこには微笑んでいるそらちゃんがいた。

「そ、そらちゃん、体が?」

俺は半透明となっているそらちゃんに驚く。

「あ、これ?」

そらちゃんは自分の体を確認する。

「このアイテムの効果が終わるから」

そう言ってそらちゃんは拾った銀色のダーツを取り出す。

ダーツは俺達の目の前でゆっくりと消えていく。

「召喚されたホロメンはその役割が終わったら元の場所に戻るの。

だから、この戦いは終わったんだよ」

そらちゃんに言われて俺はほっとした。

「トラインさんがこのアイテムを持っていてくれてよかった。

本当は代わりの物をあげたいんだけど、今回の出会いはノーカウントみたいだから、ごめんね」

「い、いえ、助けに来てもらえただけで嬉しいです」

「ううん、こっちこそ、君のお陰でえーちゃんのお願いを聞くこともできたから」

徐々に消えそうになっていくそらちゃん。

「これからはまたこの世界【ホロライブワールド】を楽しんでね」

そう言ってそらちゃんが手を差し出した。

「はい、ありがとうございます」

俺はそう言って手を握る。

そらちゃんはその言葉を聞いて微笑み消えていった。

 

1人残された俺は頭上の白い玉を見る。

(どうしたらいいんだ?)

俺はそう考えながら玉を見続けていると心なしか大きくなっている気が…

いや、気のせいじゃない。

大きくなってる。

俺はゆっくりと後退り、ゆっくりと大きくなっている白い玉は段々と速度をあげている。

(や、やはい!)

俺は白い玉に背を向けどこに逃げればいいか分からないが、とりあえずその場から逃げる為に走った。

走りながら振り返る。

白い玉はかなり大きくなり、床に付きそうだった。

(爆発オチはもう古いだろ~!)

俺の突っ込みは爆発と共に放たれた眩しい光に包まれた。




はぁ、大変な目にあったよな。
俺は今、【ファンタジー】の始まりの町を歩いている。
数日前、偽オメガαとの決着をつけ、またこの町に戻ってきた。
「どうしました、トライン?
疲れた顔してますよ?」
俺の肩に乗ったマスコット人形が俺に向かって言ってくる。
「当たり前だろ。
この前の事考えてたらそりゃ疲れるわ」
俺はマスコット人形に愚痴る。
「はは、あれはすいませんでした。
私もどうやったらあの中から出れるか分からなくて」
そう言ってマスコット人形は頭をかく。
俺の肩に乗っているその人形はオメガαにそっくりだった。
いや、そっくりじゃないな。
本人だから…
あの爆発の後、吹き飛ばされて気がついたら、この町の近くの野原に飛ばされていた。
そして、横たわる俺の頭上からこのオメガα人形が声をかけてきた。
オメガαが言った事を簡単に言うと、自分の中にいた超AIはそらちゃんの技でかなり力を消耗しており、そのお陰で、自分の中に封じ込める事が出来たらしい。
ただし、オメガαはその超AIをそのままにするつもりはなく、どうにか説得してこの世界【ホロライブワールド】に住んでもらいたいと願っているらしい。
なので、自分の力の大半をその準備に使う為、この省エネモードになっているのだとか。
で、なんで俺と一緒にいるのかと言うと。
「この姿では今までしていた仕事が出来ないので、省エネモードが終わるまでは、トラインと共にこの世界を旅したいと思います」だそうだ。
その経験が、超AIの説得にも役に立つらしい。
「はぁ、やっとのんびり出来ると思ったら、子どものお守り付きとはな」
「私は子どもではありませんよ」
そう言って頬を膨らますオメガα。
「はいはい」
俺はそんなオメガαを見て苦笑する。
「そうだ、私達に付き合ってくれるのですから特典を差し上げます」
そう言ってオメガαがその小さな手を振ると、目の前にオリジンソードが現れる。
「え?
いいのか?」
俺は驚きながらその剣を取った。
「ええ、まぁ、レプリカなので、超絶チートな武器ではなくなってますけどね」
「あ、そうなんだ」
確かに装備してアイテム説明を見ると、名前にオリジンソード(レプリカ)と書かれている。
能力は?
【成長】?
「【成長】ってなんだ?」
俺はオメガαに聞く。
「そのスキルは装備した人に合わせて武器も成長するようになるものです。
なので、トラインが強くなれば強くなるほど、その武器も強くなります」
「おお、すげぇ」
「ま、トライン次第って事ですね」
そう言ってオメガαは微笑む。
「ありがとう、確かに貰うよ」
「おっとすいません」
いきなり声をかけられて、俺ははっと前を向く。
俺が会話に集中していた為に男性とぶつかりそうになった。
「こちらこそすいません」
「いえいえ、ぶつからなかったので大丈夫です」
そう言って釣竿と麦わら帽子を被った男性は町の外へと向かっていった。
「ぼーとしてたらいけませんね。
やっぱり、私が付いていてフォローしなくては」
「いや、あのなぁ、オメガαと話してたからぶつかりそうになったの」
俺のため息混じりの声は、肩で握りこぶしを作って変な使命感に燃えるオメガαには届いていなかった。
「はぁ、この先思いやられる」
「何か言いました?」
「何でもない」
俺はオメガαにそう答えて町を歩く。
これからもっと楽しい冒険が待っている。
変なやつが道連れになったけど、これはこれでいいのかもな。
俺は肩のオメガαを見た。
オメガαはにこっと微笑む。
「それじゃ、改めてよろしくな」
「はい、トライン」
そして、俺達の【ホロライブワールド】の冒険は新たに始まった。
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