ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~   作:天野空

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(今度はここら辺かな?)
【バーチャル】の辺境区域のビルの上。
アロエが辺りを見渡しながらポツリと呟く。
ラミィが感じたコメント集の気配を探る為、第四世代組は密かに様々なエリアに行き、探索をしていた。
アロエは目をつぶり魔法を唱える。
アロエの足元に魔法陣が現れ、それは徐々に拡大。
その巨大な魔方陣はゆっくりと地面に向かって降りそして消えていった。
索敵魔法の1つで、魔法陣内で目的の物があったり、現れたりすると分かる魔法だ。
(これで20。
未だに吾輩の魔法にかからないって事は、このエリアにはいないのかな?)
同じような魔法を唱え続けて場所を移動しているが、まだ成果はあがっていない。
前回、【ゲーマーズ】に現れた第六世代組の事はラミィから連絡が入っていたが、気配はなかったとアロエは聞いていた。
(しかし、最近聞いた噂では、この付近が怪しいのだけど)
そう考えていると、誰かがビルの側面を走って上がってきた。
「やっほー
まのちゃん調子はどう?」
(え?
ねね?)
普段の衣装にほっかむりをして、風呂敷を背負った人物が目の前に現れた。
確かによく見るとねねだ。
(どうしたの?
その格好)
「え?これ?
ラミィ水納品しにいく時はいつもこの格好だけど?」
(そういえば、ポルカと2人でそんな事話してたなぁ)とアロエは思った。
(それでどこに?)
「あ、【学園】だよ」
そう言ってねねは【学園】の方を指差した。
「それでまのちゃんの方は?」
(成果なし)
ねねに聞かれてアロエは疲れたように言う。
「そっか、なかなか掴めないね」
ねねはその場に座り、風呂敷から1本のラミィ水を出して、アロエに渡した。
アロエはそれを受け取り飲む。
(意外と美味しい)
「でしょう」
嬉しそうにねねも風呂敷から出して飲む。
「新しく甘くない炭酸水とかも販売してて、なかなか好評なんだ」
そう言ってねねは笑った。
(ラミィはカンカンだろうな)と心の中で思うアロエ。
「それで、ここら辺で変な噂聞いたんだけど」
ねねがアロエに言った。
(ん?
もしかして真っ黒おばけの話し?)
アロエがそう聞くとねねは頷いた。
この付近は過去の遺物がたまに埋まっているらしく、プレイヤーがそれを狙って探索に来るのだが、そんなプレイヤー達の間で、全身真っ黒で顔には2つの穴と大きな赤い口があるおばけを見たと噂が広まっていた。
ニヤリと笑った後、何もせず黒い靄になって消えるらしく、正体は分かっていない。
(それがもしかしたらコメント集ではないかと思って)
アロエがそうねねに言う。
「確かにその可能性はあるかも」
ピピピピピ
突然鳴り出すアラーム。
「あ、やばい約束の時間」
慌てて立ち上がるねね。
「ごめんね、待ち合わせの時間に遅れそう。
ねね行くね。
まのちゃんも頑張って、【学園】に納品するついでにそっちからも情報探してみる」
そう言うとねねはすごい勢いでビルを走り降り、【学園】の方に向かって行った。
(元気だなぁ、ねねは)
その後ろ姿を見てアロエは少し笑ってしまった。
(!!)
その時、アロエの魔法陣に探し物が現れた反応があった。
(やっと現れた!)
アロエは反応のあった魔法陣へと急いだ。





第3話 廃ビルの上の雑談/上手く行かない日と上手いパン

ダンス大会の後、オメガαから(しばらくは自由にしてもらって構いません)と言われ、俺は【バーチャル】にあると言われているころねちゃんがやっているパン屋に来ていた。

比較的、ころねちゃんが店番してる確率が高いと言われるお昼時に来たのだが…

やっぱり混んでるなぁ。

ころねちゃんのパン屋は今日も大繁盛らしい。

高確率でホロメンに会えるんだから当たり前か。

なんか、一般プレイヤーも指のマークの付いたエプロン着けて手伝ってるな。

(すごいですね)

「いきなり現れるなよ」

背後に現れるオメガαに言う。

(買えるんですか?)

行列と俺を交互に見ながら聞いてくるオメガα。

「ま、品切にならなければな」

そう答えた。

ちなみにこのパン屋のパンが買いたくて、ここ数日この付近でクエストをしたりレベル上げをしていた。

ま、この昼時間以外にくればパンは買えるが、やはりころねちゃんから買わないと。

と、隠れホロライブファン(他の人に言ってない)の俺としてはこだわりがあった。

(そう言うものですか)

そう言って消えるオメガα。

ま、他の人には見えてないから出入りしても問題ないが、突然現れるのは勘弁してほしいな。

「はい、今日はここまで~

せっかく来てくれたのにごめんね」

お店からメガホンを持って現れたころねちゃんが、申し訳なさそうに言った。

くそう、今日も無理だったか。

かなり早めに並んだつもりだったのにな。

しかし、生ころねちゃん見れたしよしとするか。

他の並んでいた客も同じ気持ちなのだろう。

ころねちゃんに手を振りながら解散した。

ころねちゃんはお客が最後の1人になるまで、笑顔で手を振っている。

あれもいわゆるファンサだよな。

頭が下がるよ。

俺は健気に手を振るころねちゃんに感心しながら、クエストを探しにハ○ーワークに向かった。

この【バーチャル】は他のエリアと違いクエストを受けるのにギルドに行くのではなく、ハ○ーワークに行き、クエストを探す仕様になっていた。

(はぁ、リアルもそろそろ就活しないとな)

そう考えながら俺はパソコンを見る。

他のエリアと違いクエストは豊富にある。

だが、場所は様々で【バーチャル】全体のクエストだ。

自分がいる場所を考えながらクエストを受けないといけない。

(さて、この付近で受けれるクエストはっと。

やっぱりこれかな?)

俺は1つのクエストを表示した。

廃墟の遺物探索

この街から少し離れたところに、廃墟のまま放置された場所がある。

何でも昔原因不明のトラブルで街の一部が廃墟になったとか。

そして、そこには稀に遺物が見つかり、見つけたら高く買い取ってくれるらしい。

ここ数日このクエストばかり受けているが、未だに遺物には巡りあっていない。

ま、【バーチャル】でモンスターが出現する辺境区域だしレベル上げにもなる。

俺は早速クエストを受けると辺境区域へと向かった。

 

 

「よっと」

自転車型のモンスターからの攻撃を避けて、剣で一撃を入れる。

モンスターは塵となり消えた。

「だいぶ慣れてきたな」

街の中ではモンスターが出ない為、プレイヤーは洋服に着替えて歩いている。

俺もこの街で1着洋服を買って町中ではそれを装備しているが、やっぱり俺は鎧の方がしっくり来るな。

白騎士の時のフル装備もいいが、俺はこのライトアーマーがいい。

自分の装備しているライトアーマーを叩く。

これも装備してだいぶたつなぁ。

修繕や強化を行って何とかもってるけど、そろそろ変え時期か?

しかし、手持ちが心細いしなんとか遺物を見つけて、金を稼がないと。

俺は遺物探しに取りかかる。

ま、特に当てがあるわけでもなく、廃墟に入ってはそこら辺をがさがさと探すだけなんだけとな。

ま、ゲームとしていいのは、前に誰かが探した場所でも新たに遺物がポップしてる確率があるって事だな。

しばらく俺は近くにある廃墟に入っては、電球やらタンスのモンスターを倒しながらがさがさした。

そして、とうとう最後の廃墟。

「今日はここになかったら諦めるか」

そう思いながら中に入る。

すると、廃墟に入った瞬間、俺はなんとも言えない感じがした。

(これは間違いなくここに遺物がある)

俺はそう確信して廃墟をがさがさし始める。

そして、とうとう最後のがさがさポイント。

やはりここから何かを感じる。

「よ、よし」

ごくりと唾を飲み込み俺はがさがさポイントに近づいた。

(すいません)

「わぁ!」

突然前に現れるオメガα。

「な、なんだいきなり」

(すぐに行ってほしい場所がありまして)

そう言うとなぜか俺はオリジンソードを装備した。

白騎士に姿を変える俺。

「え?いや、遺物が」

(それより大事な事ですので、移動先は私が送ります)

そう言われて頭の中に浮かぶ見た事もない風景。

いや、この風景から近くの廃墟か?

(では、お願いします)

オメガαからそう言われて「ああ、もう」と俺は剣を振る。

現れるワープ空間。

俺は仕方なしにそのワープに飛び込んだ。

 

出たのは思い浮かべた場所が見える瓦礫の上。

(すぐにアレを攻撃してください)

オメガαに言われて眼下を見るとプレイヤー3人が、オーガに止めをさせられようとしていた。

攻撃って言ったって。

そう考えた俺の頭の中に、【白光波刃】と言う技名が浮かぶ。

俺はその【白光波刃】を選択。

剣をオーガに向かって振った。

剣の軌跡が白い光の刃に変わりオーガに向かって放たれる。

グガァーー!

オーガはその光を受けて大きく仰け反った。

すげぇ、相手はスターズ級のオーガだぞ。

それを一撃で怯ませるなんて。

自分の力に驚く俺。

(これで大丈夫です。

撤退しましょう。

ここに長くいると他の人にも見つかりますので)

「他の人?」

(はい、向かいのビルの上から見られてます)

俺はそちらのビルを見る。

かなり遠いが、フルフェイス兜の能力か、誰かがいるのが見えた。

「本当だ」

俺はすぐに剣を振りワープ空間を出して、その場から撤退した。

 

「はぁ~」

慌ててワープした為、出たのはころねちゃんのパン屋の近く。

ま、確かにここ最近毎日来てるしなぁ。

「おい、聞いたか?

廃墟で遺物が出たらしいぞ」

「それもかなりのレアだってよ」

隣を歩いていく2人組の男性の声が聞こえる。

白騎士バージョンなので他の人からは姿が見えてない。

「はぁ~」

もう一度ため息。

遺物が出た場所を確認する気力もない。

(どうしました?)

不思議そうに聞いてくるオメガα。

「いや、なんでもねぇ」

俺はオリジンソードを外し元の姿に戻る。

(??)

オメガαは不思議な顔をした後消えた。

俺はそれを見た後、近くのガードレールにもたれ掛かる。

うまくいかないものだな。

「どうかしたの?」

「へ?」

そんな俺に突然声がかけられる。

顔をあげるとそこにはなんところねちゃんが立っていた。

「え?なんで?」

「いや、お店の準備しようと思って帰ってきたら、店前でしょんぼりしてるから、どうしたんかなと思って」

優しい笑顔のころねちゃんが心配そうに聞いてくる。

「え?いや、なんか上手くいかなくて」

俺はしどろもどろになりながら答える。

「ふ~ん」

そう言ってころねちゃんはパン屋の中へ。

そして、また戻ってきた。

「焼きたてではないけどね。

これでも食べて元気だしなよ」

そう言って渡されたチョココロネ。

ころねちゃんは笑顔で手を振りながらパン屋に戻って行った。

モグ。

チョココロネを食べる。

「上手いわこれ」

俺はチョココロネを食べながら、上手くいかない事ばかりじゃないと思ってしまった。

「笑うなよ」

そんな俺を横から笑顔で見るオメガαに愚痴りながら。

 

 

 




(く!)
パンとアロエは手を叩く。
その瞬間、女性GMの前の黒いおばけが、靄になって消えた。
(話が違う。
あれは明らかにGMを襲おうとした、)
アロエは黒いおばけの殺気を感じて慌てて攻撃魔法を放ったのだった。
(弱いのは弱いけど、あれはまさしくコメント集の気配)
靄はそのまま消えずに、だんだんと大きくなっていく。
そして、靄が巨大なオーガへと変わった。
(それもスターズ)
アロエの言う通り肩に星形2つあった。
鉄棍棒でGMを殴ろうとするオーガ。
女性GMを庇いうように男性のGMが抱きしめている。
その上からもう1人のGMが2人を庇うようにしていた。
(やばい、あの一撃は)
アロエはすぐに2人を庇ったGMに防御魔法をかける。
ドカァ!と凄まじい音がして、魔法をかけたGMが吹き飛んだ。
2人がかけより声をかけている。
返事をしているようで何とかアロエの魔法は間に合ったようだった。
(しかし、このままだと)
助けたいアロエだったが、秘密裏に動いている自分達が出るわけにはいかない。
それにこれだけ離れていては、あのスターズには致命傷を与える事はできない。
(あれは普通のスターズじゃない)
アロエは黒い靄を纏うスターズを睨みながら、分析していた。
(く、どうすればいい?)
そう考えているうちにオーガは3人を追い込み、止めの一撃と鉄棍棒を振り下ろす。
(く、間に合うか?)
アロエが魔法を使おうとした時、瓦礫の上から光の斬撃がオーガに向かって放たれた。
(え?)
アロエはすぐにそちらを見る。
そこには全身白の鎧兜を着けた騎士が立っていた。
一瞬アロエの方を見た騎士は剣を振ったかと思うと姿を消した。
(な、なに?)
アロエはそれに驚いていると、GMの側に懐かしい顔が見えた。
(よかった。
これで一安心だね?)
アロエはその懐かしい顔を少し見てから、先程の白騎士の事を考える。
(みんなに知らせる事が増えたかな)
そして、もう1度懐かしい顔の人物を見る。
そのプレイヤーはGMと一緒にスターズを攻撃していた。
近くにはだいふくの姿も見える。
(後は頼んだよ)
アロエはそう言ってワープする。
懐かしき世界の答えに後を任せて。
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