ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~ 作:天野空
ラミィは【ファンタジー】始まりの町の近くにある五世代ハウスに戻ってきた。
(お帰り)
ドアを開けるとお皿を持ってアロエが空中を浮遊していた。
「あ、おかえり」
「おかえり」
テーブルに食器を並べるポルカと、飲み物を運ぶねね。
そして、台所からぼたんが顔を出す。
「おかえり、ラミちゃん。
そろそろ出きるから座りなよ」
そう言ってぼたんは鍋を持ってくる。
ラミィと3人は席につく。
ぼたんも鍋をテーブルの真ん中に置いた後、席に座った。
「さてと、とりあえず」
ポルカが飲み物を持つ。
他の4人と各々飲み物を持った。
『お疲れさま~』
5人の声が重なり、飲み物を掲げた。
「今日は何?」
ラミィが鍋の中身をぼたんに聞いた。
「ん?
最近寒いからね、シチューを作ってみた」
ぼたんは4人の皿にシチューを入れ配りながら答える。
「へぇ、美味しそう」
ねねは笑顔でシチューを食べる。
(これってキングボアの肉?)
アロエがシチューの中の肉をスプーンですくい聞く。
「そう、それポルカが捕ってきた」
胸を張って答えるポルカ。
「そうなの?
キングボアって初めて食べるかも」
ラミィはそう言って肉を口に運ぶ。
「あ、美味しい」
手を頬に当て嬉しそうにラミィは言った。
「それは良かった」
ぼたんもシチューを食べる。
(だんだん腕をあげてるよね)
アロエも美味しそうにシチューを食べている。
「さて、それでは情報交換といきましょうか」
ポルカはそう4人に言った。
「なるほどね」
飲み物を飲み、ぼたんが頷く。
(では、今のところまとめるとこうか?)
第六世代組が現れているが彼女達からはコメント集の気配はない。
各エリアに現れているスターズの亜種と呼ばれているモンスターはコメント集の気配がする。
モンスターが倒れたら1度戻る【大霊園】の主、るしあに話を聞いたが、【大霊園】にはコメント集の気配はしていない。
コメント集が現れるところに高い確率で白騎士と呼ばれるキャラクターが現れる。
(今のところこんなところ?)
「うん、【学園】に行った時に、ちょうどるしあ先輩が来てたから聞いてみた」
とねねが言った。
「ポルカはその白騎士が気になるね」
スプーンを上下に振りながら言うポルカ。
「こら、行儀が悪い」
そんなポルカをラミィが注意した。
「う、ごめん」
ポルカはスプーンを置く。
「まぁ、ポルカと同じくラミィもその白騎士って人気になる」
しょげたポルカを少し気にしながらラミィは言った。
(確かに、あの強さは吾輩達チートと呼ばれる者達と同等かそれ以上だと思う。
注意しないといけない相手だね)
「それじゃ、これからはその白騎士って相手と引き続きコメント集に対する情報収集かな?」
ぼたんは締め括るように言う。
「そうだね」
「うん、わかった」
「了解」
(それでいいと思う)
4人はそれぞれ返事をした。
それから、食事にもどる。
「あ、私、明日【樹海】に行くから」
ぼたんはシチューを食べながら4人に伝える。
「ん?いつものやつ?」
ポルカはシチューを食べながら聞くと、ぼたんは首を左右に振る。
「いや、イベントにね」
「イベント?」
ラミィは不思議そうに聞く。
(ああ、『樹海争闘戦』?)
感ずいたように言うアロエ。
「そう、ちょっと知り合いが出るみたいでね」
「じゃ、ラミィも行こうかなぁ」
「え?明日はラミィ出掛けるんじゃなかった?」
甘えた声のラミィにポルカが聞く。
「え?」
スケジュールを確認。
「あ、明日はママ達と買い物出かける予定になってる」(ママ達とは、フレアとノエルの事)
「ちなみにポルカは、社長にぺこーら先輩の手伝いに行くように言われて無理かな」
「え?いや、別に1人で」
2人の言葉を聞いて慌ててぼたんが何か言おうとするが。
「じゃ、ねねがついてく」
(吾輩も空いているよ)
と2人が言葉を遮る。
「はぁ、なんでついてくるの?」
ぼたんがため息混じりで言うと、4人はぼたんを見て、『面白そうだから』と答えた。
「ま、そうだろうね」
ぼたんは苦笑して4人を見た。
俺は今、【ファンタジー】の第2の町に来ていた。
前回、運良くころねちゃんからチョココロネをもらった事で、目標のころねちゃんからパンを買う(今回は買っていないが)事を達成した為移動した。
ま、あの日発掘された遺物がかなりのレア物で連日その話題でいっぱいだった為、それを聞くとテンションが下がるので逃げてきたというのもあるんだけど。
「しかし、惜しいことしたなぁ」
(まだ言ってるんですか?)
居酒屋の中で、お酒とつまみをたしなみながら愚痴る俺に背後に浮遊しているオメガαが言う。
「そりゃそうだろう、後一歩で大金持ちだったんだぞ」
(でも、見つかったの違う場所ですよ)
オメガαが遺物の記事が載ったサイトを開いて見せる。
「う、そうだけど…」
確かに遺物が見つかったのは俺が最後に探す為に入った廃墟の更に奥の廃墟だ。
「しかし、もしかしたらあの後、諦めきれなくて奥の廃墟に行ってたかもしれない」
(ん…そうですかねぇ)
苦笑するオメガα。
「ああ、もう確かにたらればの話だよ」
俺は酒を飲んだ。
「はぁ~」
そして、ため息。
(ま、気を取り直してせっかくここまで来たんですし、アレを見に行きませんか?)
オメガαは居酒屋の壁に貼ってある1枚のポスターを指差す。
そこには『第47回 樹海争闘戦』のポスターがあった。
「『樹海争闘戦』?」
確か不定期に行われているPvPの大会って事は聞いた事がある。
(はい、『樹海争闘戦』です)
「何かあるのか?」
俺はオメガαを見ながら聞く。
(あるかもしれませんし、ないかもしれません)
そう言ってオメガαは微笑んだ。
「本当は何もかも知ってるんじゃないのか?」
俺は酒を飲みながらオメガαにからむ。
普段はこんな感じではないのだけど、酒を飲むと少し気分が良くなって強気になってしまうな。
(そうですね。
全てが分かればこんな苦労はしなくても良かったのですが)
オメガαは俺の言葉に少し悲しそうな顔をして答えた。
俺はその顔を見た後、何も言えず酒とつまみをいただいて居酒屋を出る。
何かオメガαに言ってはいけない事を言った気がして、気まずくなった。
(優しいですね、トラインは)
店を出た俺にオメガαが微笑みながら言ってきた。
「え?なんで?」
俺は少し慌てて答える。
(いえ、そうわたしが思っただけです)
「そ、そうか」
(それでは、明日【樹海】に向かいましょう。
確か大会が開催される時は、会場まで乗り合い馬車が出ている筈ですよ)
オメガαの言葉に頷く。
俺はそのまま今日の宿に向かった。
ちょっと飲み過ぎたから、明日の朝バッドステータスが付いてない事を願いますか。
「あ、あ~
頭痛い」
俺は会場までの乗り合い馬車に揺られながら頭を押さえる。
ログインしたとたんにくる、この二日酔いのデバフなんとかならないものか。
ま、飲み過ぎたのが悪いんだけど。
(白騎士バージョンになればデバフ消えますよ)
背後のオメガαが心配そうに言ってくる。
「いや、ここでなるとまずいだろ」
小声で言う俺にオメガαは(そうですね)いたずらっ子のような笑顔で答える。
くそう、変身出来ないの知ってて言ってるな。
いたた。
ま、向こうに着くまでには、何とか治まってる筈だけど。
俺は根拠のない期待をしながら馬車に揺られた。
「はぁ、着いたぁ」
会場前の馬車乗り場で降りた俺は、腕を上げて伸びをした。
乗り合い馬車の中は満席で、この大会が人気なのも頷ける。
その為かなり窮屈でもあったけど。
(酔いは大丈夫ですか?)
「お陰さまでな」
心配そうに聞くオメガαに答える。
(そうですか…)
「なんで残念そうなんだよ」
(いえ、最近トラインのなんかしんどそうな顔がツボでして)
「いらん性癖開花させるな」
俺の突っ込みにオメガαは嬉しそうに笑う。
突っ込み受けるのもツボなんじゃないだろうな。
「で、中にはまた白騎士バージョンになるのか?」
(いえ、その必要はありませんよ。アイテムボックスを確認してください)
オメガαに言われて俺はアイテムボックスを見る。
するとそこに1枚のチケットが。
「これって」
(はい、樹海争闘戦のチケットです)
「どうしたんだこれ?」
俺はチケットをアイテムボックスから出して見る。
(買いました)
「いや、買うって安くないだろう?
それにこんな急に取れるものなのか?」
満員の馬車から分かるとおり人気のイベントのチケットを前日に購入できるなんて。
(ま、私にもコネとかありますから)
そう言って微笑むオメガα。
どんなコネだよ。
と心の中で突っ込んでみた。
(ささ、行きましょう。
自由席ですので早く入らないと良い席が取れませんよ)
「分かったって」
前を飛びながら入り口に向かうオメガαを俺は急いで追う。
やたらに元気だな、今日のオメガαは。
俺はそう感じながら会場に入っていった。
「しかし、チケット持ってたらスルーで入れるとはな」
会場の中を歩きながらポツリと呟く。
(イベントアイテムを所持してたので、スルー何だと思いますよ)
「ま、そこはゲーム何だと思うわ」
リアルだとどうしても人がいる。
セキュリティ万全でも違法するやつはいるからな。
「それで向かう先は?」
(Cブロックですね。
そこの自由席を取ってあります)
「分かった」
俺はオメガαと一緒にCブロックに向かった。
会場は円形型になっており、それを4つに分けABCDになっている。
「すげぇ、広いな」
俺はCブロックの空いている席に座る。
目の前にディスプレイが開いた。
これで自分が気になる場所やチームを見れるらしい。
「おすすめチームとかある?」
一応オメガαに聞いてみる。
(おすすめは)
あ、答えてくれるんだ。
(ホロメン3人で組んでいるチーム)
ぱっと目の前のディスプレイに表示される3人。
すいせいさん、あくあちゃん、トワ様。
(次にこの3人)
表示された3人の内2人は見た事があった。
「これってGM?」
(はい)
俺の問いにオメガαが即答する。
なぜ、ここにGMが?
(次にこの3人)
表示される3人のプレイヤー
(この内2人が第六世代組です)
「な、第六世代組!」
(クロヱさんといろはさんですね)
「そうなのか」
オメガαに指差された2人を見る。
(そして、最後にこの3人)
表示される3人の女性。
(姿、名前そのままで出場してますね)
「だれ?」
俺はオメガαに聞いた。
(第X世代です)
「はい?」
驚く俺を尻目に、アナウンスが流れる。
『こんこよ~!
ホロライブワールド第六世代組!
holoXの~頭脳!博衣こよりだよ~!』
「え?」
突然の推しの声に俺は慌てて辺りを見回した。
(メイン画面です)
オメガαに言われて俺はメイン画面を見た。
そこには画面いっぱいに映る推しの姿が。
よかった、本当に実装されてたんだ。
俺はその姿を見てほっとした。
(よかったですね)
「ま、まぁな」
オメガαのにやけた顔を見て、俺は誤魔化すように答えた。
その後アナウンスは続き、いよいよ予選が始まった。
さすがは大会に出る事はある。
出場選手はかなりの腕前だった。
見ているこちらもすごく興奮し、手に汗握った。
そして、事件は起こる。
予選が終了する頃、オメガαのおすすめしていたGMチームを見ていた時だ。
時間ぎりぎりに獅子仮面と呼ばれるプレイヤーが、残りの2人を庇ったように見えた。
(やはり、ここで。
行きましょう、トライン)
何か呟いた後、オメガαは観客席の出口に向かう。
「おい、どうした?」
俺は慌てて席を立ちオメガαを追う。
会場は予選終了に大いに盛り上がっていた。
そんな中、俺は訳も分からず席を後にした。
「な、あれは」
大会の予選最後の瞬間、獅子仮面が何者かに攻撃されたのを見てぼたんが立ち上がる。
「ごめん、行ってくる」
「え?どこに?」
そう言ってぼたんは急いで観客席からどこかに向かった。
「どうしたんだろう?」
ねねは心配そうにアロエに聞く。
(予選が終わる直前、獅子仮面が誰かに撃たれたの分かった)
「うん、ししろんの知り合いだって聞いてたから注目して見てて分かった」
ねねの言葉に頷くアロエ。
(あの弾丸にコメント集の力が込められていた)
「え?」
アロエの言葉にねねが驚く。
「それじゃ、あの弾丸を撃った犯人は」
(高確率でコメント集関係だね)
アロエの言葉にねねも立ち上がる。
「行こう、今なら間に合う?」
(もちろん、吾輩を誰だと思っているの?)
「さすがまのちゃん頼りになるね」
そう言って2人も観客席から外へ向かって急いだ。