ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~   作:天野空

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(ねね、そこを右!)
「あいよぉ」
背後を飛ぶアロエからの指示にねねは、曲がり角を右に曲がる。
観客席から出たねね達は、予選終了間際に獅子仮面を撃った犯人を探していた。
犯人達の気配は、アロエが予選終了にすぐに唱えた巨大結界により場所は分かっている。
ただ、会場は【樹海】
会場外に逃げられたら逃してしまう。
そして、運営が用意した会場はかなり広く、建物も多くあり、メイン通りを外ればかなり入り組んでいた。
(しばらくまっすぐ、その後左に曲がって)
「はいはい~」
ねねは驚異的なスピードで裏道を走る。
裏道には色々な障害物が落ちていたが、それさえものともしない。
「見えた!」
ねねは視界に入ったプレイヤー達を見る。
(間違いないあの3人だよ)
アロエもねねに言う。
「ちょっと待ったぁ~」
ねねは大きな声で呼び止めた後、ジャンプ。
3人のプレイヤーの頭を飛び越えて前に出る。
「な、なんだ」
「お、おい、あれって」
「桃鈴ねねちゃん?」
プレイヤーは驚きながらもホロメンが目の前に出てきた事に喜んでいるようだった。
(もう、観念しなよ)
プレイヤー達を挟み撃ちにするようにアロエは腕を組みプレイヤーに言う。
「お、おい、あれって魔乃アロエちゃんじゃぁ」
「まじか、めちゃレアじゃんか」
「おお、すげぇ」
(何かおかしい…)
アロエは3人のプレイヤーを見て思った。
確かにホロメンに会えばこういった反応をする事もある。
しかし、今3人の目の前にいるホロメン2人は明らかに怒っている。
(それなのにこの反応は)
アロエがそう考えていると、1人のプレイヤーがハンドガンを出した。
「え?」
ねねはそれを見て驚く。
アロエも声には出さなかったが驚いていた。
大会用のその武器は大会が終われば使えない。
いや、大会中のエリアから出たらその装備は消える。
それなのにそのプレイヤーは手に持っているのだ。
「や、やっぱり、これ使うとホロメンに会えるんだよ」
銃を持ったプレイヤーはどこか火照った顔で仲間に言う。
「お、おう、そうだ。
あいつが言ったとおりだ」
「じゃ、じゃぁ、もしかして、ねねちゃんやアロエちゃんを撃てばもっとホロメン来るかもしれないぜ」
他の2人も同じようなハンドガンを取り出す。
そして、ハンドガンをねねやアロエに向ける。
「あのねぇ、このゲームの注意事項読んでる?」
ねねは聞いた事もない低い声でプレイヤーに言う。
「このゲームでホロメンやNPCに攻撃した場合、反撃を受けても文句は言えない。
それでもソレを使う?」
ねねが静かに構える。
(確かにこれはルールだからね)
アロエも両手を広げ魔方陣を作り出す。
「ははは、ホロメンとやれるぞ」
「おお、自慢できる」
「お、俺はホロメンを倒して、俺のものに」
(ねね、あの武器が気になるから、残しといて)
(了解)
アロエの思念話にねねは答えた。
そして、3人はホロメンに引き金を…
ドォォォン!
ねねとアロエの前のプレイヤー3人は巨大な光の柱に飲み込まれて消滅した。
「な!」
頭上を見上げる2人。
その目線の先に。
(また、キミか)
そうアロエが呟く。
そこには、白い剣を持ち全身白い鎧兜を装備した白騎士が2人を見下ろしていた。





第5話 白騎士との遭遇/VSホロメン

「おい、どこに行くんだよ」

俺は会場から出て勢いよく飛ぶオメガαを追う。

(トライン。

白騎士に)

「え?あ、あぁ」

俺はオメガαに言われたようにオリジンソードを装備する。

すぐさま白い帯が俺を包み、真っ白い鎧兜を装備した。

そのとたん走る速度が上がる。

何でだよ全身装備して移動速度が上がるなんて。

俺はオメガαに追い付いた。

「チートすぎるぞ」

(そういう装備ですので)

俺の突っ込みに微笑むオメガα。

「それでどこに向かってるんだ」

(先程の予選最後に獅子仮面が撃たれたのを見ましたか)

「ああ」

(あの撃たれた弾にはコメント集の力が込められていました)

「な!」

(今、犯人を追っています)

「どこなんだ」

(跳べますか?)

目の前の建物を見てオメガαが聞いてくる。

俺は強く頷く。

今の俺は何でもできる気がしている。

そして、俺はそのまま目の前の建物に向かって跳んだ。

「まじでかぁ」

自分でも驚く。

俺はひと飛びで建物の屋上に上がった。

(さすがです。

このまま建物2つ行った先に犯人がいます)

そうオメガαに言われて俺はその場所へと跳んで向かった。

 

「ここか?」

俺は下を見る。

そこにプレイヤー3人が、2人のホロメンに挟み撃ちにされている。

「ねねちゃんとアロエちゃん?」

(やはり、彼らはコメント集に取り込まれています)

「どうする」

俺は下を見ながら横にいるオメガαに聞く。

(消滅させてください)

「なに?」

俺はオメガαを見る。

(あの3人を助けるにはリスポーンさせて1度リセットするしかない)

「それで助かるのか?」

(はい、これはログアウトできるプレイヤーだけに効果ある方法ですが)

オメガαは真剣な顔で俺を見る。

「分かった」

俺はもう一度下を見る。

プレイヤー達がハンドガンを構えている。

(くそ、時間がないか)

俺はそう考えながら技を探る。

頭の中に浮かぶ【光臨斬】の技。

俺は【光臨斬】を放つ。

オリジンソードを振り下ろすと天から光の柱がプレイヤー3人に向かって落ちた。

(く、いつも思うが威力が半端ない)

プレイヤーが3人一瞬で消滅したぞ。

光が消えた後、下からホロメン2人がこちらを見上げていた。

「やばい撤退しないと」

(だめです。

もう、ここはアロエさんの結界の中です)

オメガαが静かに言う。

俺はアロエちゃんを見る。

あの一瞬で魔法を発動して結界を張ったのか。

「どうする」

(下に降りましょう。

私は貴方の中に隠れています。

まだ、会うわけにはいきませんので)

そう言ってオメガαは姿を消した。

「はぁ、肝心な時はいないのかよ」

(いえ、声は届けられますよ)

いきなり頭の中に直接声が響く。

「いきなり喋るなビックリするだろ」

俺はそう独り言を言って建物から飛び降りた。

 

目の前にいるねねちゃんとアロエちゃん。

「構えを解いてくれないんだな」

俺はねねちゃんに向かって言った。

彼女はまだ戦闘体勢だ。

その後ろに浮かぶアロエちゃんも普通に浮いてるように見えるが、たぶんいつ攻撃してきてもおかしくない。

「あんただれ?」

ねねちゃんが聞いてくる。

「俺は白騎士だ」

頭の中で響くオメガαの言葉通りに喋る。

(白騎士…

では、聞き方を変える。

白騎士さんはコメント集に関わりはあるの?)

「…あれは俺が消滅させる」

「…」

俺の答えにねねちゃんはじっとこちらを見る。

(たぶん嘘ではないんだろうね。

しかし、そうですかとここで引き返すのも吾輩達には似合わない)

ぶわっとアロエちゃんから圧を感じる。

くそ、ホロメンと戦わないといけないのか。

俺はオリジンソードを構える。

「まのちゃん」

(うん、確かめとかないといけない) 

「了解」

シュンとねねちゃんが消える。

「な!」

ドン!

俺の腕が勝手に右から来たねねちゃんの蹴りを受ける。

「驚いた割には攻撃ちゃっかり受けるんだね」

ねねちゃんは俺が掴んでいる足を軸に跳び、反対の足で俺の腕を下から蹴り上げようとする。

咄嗟に手を引き、俺はオリジンソードをねねちゃんに向かって振る。

刃はない腹の部分だから斬れはしないはず。

しかし、それをねねちゃんはばく転で避けた。

(隙あり)

アロエちゃんの声が聞こえたと思うと、巨大な火球がこちらに飛んできた。

(く、間に合わないか)

俺はオリジンソードを素早く火球に向かって振る。

スバァ!

火球を斬るオリジンソード。

まじか切り返しが間に合った。

(やるな白騎士さん)

アロエちゃんに、誉められた気がして気が緩む。

(下!)

そんな俺にオメガαの声。

咄嗟に後ろに跳ぶ。

下から逆立ちするように蹴り上がるねねちゃん。

「惚けたように見えたけど?」

そう言いながらねねちゃんは、アロエちゃんの方へと戻る。

アロエちゃんが誉めてきたのは、ねねちゃんの攻撃を補助する為か。

さすがに連携がとれてるなぁ。

しかし、俺1人だったらさっきからの攻撃食らってたな。

ありがとうな。

俺は頭の中で思う。

(どういたしまして)

そうオメガαが答えた。

そう、さっきのねねちゃんの攻撃は、ほとんどオメガαが体を動かして防御してくれた。

いくらチート能力があったとしても、今の俺にはホロメンの動きに目がついていってない。

「それじゃ、これはどう」

アロエちゃんがねねちゃんに何か魔法をかけた。

それからねねちゃんがまた姿を消す。

一気に間合いを詰められた!

そのまま俺の頭にねねちゃんの蹴りがくる。

(いえ、下です)

俺はねねちゃんのハイキックが、途中でローキックに変わるところを見た。

しかし、俺はその蹴りに反応できずそのまま立ちつくす。

(それで構いません。

この鎧兜なら耐えられます。

それより今はねねさんの蹴りに集中して)

オメガαの声に俺はねねちゃんの蹴りを見る。

ハイキックからわき腹へ。

わき腹と思えばローキック。

ローキックと思えばハイキック。

ねねちゃんの足はまるで鞭のようにしなやかに俺を攻撃してくる。

俺は目を慣らそうとその蹴りを見続けた。

ドンドドドンと蹴りが俺の鎧兜に当たり音がする。

そして、ねねちゃんはハイキックを放った後、バックステップで元の場所に戻った。

「だめ、あの鎧固すぎる」

(強化をしても破壊できないみたいね)

ねねちゃんの蹴りの動きにもなれてきた。

しかし、本当にこの装備はすごい。

アロエちゃんに強化された、ねねちゃんの蹴りをものともしないなんてな。

「まのちゃん」

(うん、そうだね)

ねねちゃんに言われてアロエちゃんがこちらを見る。

(1つ聞きたい)

アロエちゃんの言葉に俺は頷く。

(なぜさっきのプレイヤーさん達を消滅させたの?)

「…プレイヤーをコメント集の呪縛から解き放つには、1度キャラを消滅させてリスポーン並びにログアウトさせるのが、確実な方法だった」

俺はオメガαが言うとおりに答える。

(…じゃぁ、もしホロメンやGM、NPCがコメント集の呪縛にかかったら?)

「…その時は、リスポーンさせてもだめだ。

ホロメンやGM達はその強さゆえにキャラ情報がゲーム内に強く残る、特にホロメンはログアウトさえできない。

だから、侵食されたコメント集の解析をおこない、適切なワクチンを作りコメント集を除去するしかない」

(では、最後に【ホロライブワールド】を侵食しているコメント集を除去するにはどうすればいい?)

「まのちゃん?」

アロエちゃんの質問にねねちゃんが驚く。

「…」

(な、本当に答えたらいいのか?)

(ええ、アロエちゃんなら構いません)

俺はオメガαが頭の中で言った言葉に驚きながら聞くと、オメガαはそう答えた。

「【ホロライブワールド】を侵食しているコメント集を除去するには、意思を持つコメント集の核を消滅させる必要がある」

(意思を持つコメント集…)

俺の言葉にアロエちゃんは何かを考え、そして、指を鳴らした。

パリン

ガラスの割れたような音がする。

(結界がなくなりました)

オメガαが俺に伝える。

「今回はここまでかな」

ねねちゃんが構えを解いて微笑む。

(今度は別の時に私達以外の誰かが相手するかもね)

意地悪そうにアロエちゃんが言った。

「それは遠慮したいね」

俺はそう苦笑しながら答えた。

そして、剣を振る。

空間が斬れワープ空間が現れた。

「それじゃ、またどこかで」

俺はそう言ってワープ空間に入る。

ねねちゃんとアロエちゃんは手を振って見送ってくれた。

 

 

「はぁ、生きた心地しないよ」

そこはいつもの居酒屋の中。

さっき近くにワープし、オリジンソードを装備解除した俺は居酒屋に入った。

(ホロメン2人相手ですからね)

背後に浮かぶオメガαは苦笑しながら言った。

「普通なら一瞬だぞ。

あの状況」

俺はつまみのナッツを食べながら愚痴る。

「あ、日本酒お願いします」

隣に誰か座って注文している。

俺はふと横を見る。

「え?」

「ん?」

美味しそうに焼き魚を食べるその女性と目があった。

「あ、こんらみでふ」

魚を食べながら挨拶される。

「あ、はい、こんにちは」

俺はつられて挨拶した。

「ふぅん、見えてるんだ」

興味津々に俺を見る彼女は笑顔でそう言った。

(やば)

オメガαはいつの間にか俺の中に隠れている。

「初めまして雪花ラミィです」

焼き魚を飲み込んだ彼女はそう笑顔で名乗った。

 

 

 




「いっちゃったね」
ねねは消えた白騎士を見てアロエに言った。
(そうだね)
「味方なのかな?」
(分からない。
でも、コメント集への対処は完璧だった。
それにこの世界がコメント集に侵食されているって言ってた)
「そうそれ、ねねもビックリした。
まのちゃん知ってたの?」
(え?
知らないよ)
「はい?」
(かまをかけてみただけ。
でも、彼はまるで知っているように答えを出した。
いや、彼の中のもう1人かな?)
「もう1人?」
アロエの言葉にねねは不思議そうに聞いた。
(そう、前に吾輩がカレさんの中に入って戦った事があるように、さっきの彼の中にも誰かがいた。
これは同じ事ができる吾輩だから分かったんだと思う)
「それじゃ、あの白騎士さんには協力者がいるって事か」
ねねは頭の後ろで手を組んで歩き始める。
(そう言う事だね)
その後をアロエがゆっくりとついていく。
「ま、詳しい話はまた後で」
(今はぼたんを応援しにいきますか?)
「そうだね、大会に出るって連絡あったし、終わってないといいけど、まのちゃんナビ任せた」
(任して)
そして、2人は走り出す。
ラストに向けて盛り上りをみせる大会会場へ。
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