ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~   作:天野空

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(やっぱりここにいた)
数日前、ラミィとぼたんが来ていた【ファンタジー】の沖合いで、アロエが何かを見つけて空を飛びながら追跡していた。
かなり上空を飛んでいるアロエだったが、海には巨大な影がはっきりと見える。
『まのちゃん、見つけた?』
『ああ、いたぞ』
通信でラミィがアロエに聞く。
第五世代組はあれからも、【ファンタジー】の海に異変がないか調査していた。
そして、それを確信したのは友人Aからの連絡だった。
第五世代組が調査でコメント集がまた現れた事は、確信に変わった日にAに相談していたのだ。
Aからによると漁師の船や観光船の沈没が相次いでいること。
また、沖合いにあるはずのない巨大な島が時折現れること。
以上の事から五帝が復活したのではないかという事だった。
しかし、五帝が倒されてからまだ成体になるまで時間がある。
だが、ラミィはそれをコメント集の力で早めているのではないかと推測。
定期的に沖合いに調査に出ていた。
そして、今回アロエが調査でその姿を発見した。
『まのちゃん、気配分かる』
『ああ、分かる。
これだけ離れているというのにコメント集の気配がすごい』
『見た目は?』
『相変わらずの巨体に白色。
今のところは表面にコメント集は見えないが、たぶん中はほとんど侵食されているな』
『分かった、ありがとう。
一旦戻って。
対策をたてないと』
『分かった、戻るよ』
通信を終えて、アロエが眼下の巨影を見る。
悠々と泳ぐ、五帝の1体白鯨帝ホエーライブ。
(これをどうにかするには骨がおれそうだ)
そう言ってアロエは空間移動を行いその場から消えた。





第8話 疑いは確信に/動き出した言葉の闇

「はぁー!」

俺は地面から涌き出る黒い物体達を、剣の1振で消し去る。

(お疲れ様です)

そんな俺を見て背後に浮くオメガαは微笑んでいた。

「しかし、やたらと多くないか?」

そう最近ゲームに入るとほとんど、この黒い物体の相手だ。

たまにクエストも受けてこなしているが、前に比べたら圧倒的に増えている。

(もうすぐ動くようです)

「動く?」

俺はオメガαに聞いた。

(はい、今までは寄生先の選別をしていたみたいですが、どうやらその宿主に目星を付けたようです)

俺は黙って剣を振る。

剣から放たれた光の斬撃が、新たに現れた黒い物体を消滅させた。

「そいつはなんなんだ?」

(この【ホロライブワールド】に存在する最強の5体、五帝です)

「はぁ?

五帝ってこの前、【近未来都市】に表れたあれか?」

そう、最近【近未来都市】で五帝が表れたとゲーム内ニュース(プレイヤー制作)で言っていた。

「でも、あれが復活するのはまだ早いって」

(ええ、黒帝獣ホロサウルスはまだ成体になるには時間がかかるはずでした。

しかし、コメント集は操る力も持っています。

大多数のコメントが五帝の幼体を侵食して無理やり成体にしています)

「はじめから狙っていたのか?

五帝を」

俺は寒気がした。

モンスターに取りつき亜種に変えるコメント集が、まさか初めから五帝を狙っていた?

(いえ、初めからではないようです。

今回の【近未来都市】を襲ったホロサウルスですが、確かにコメント集の力で成体にされたようですが、完全に侵食するにはいたっていません) 

「そ、そうなのか」

(ただ、今回の戦いで五帝にコメント集が侵食でき、なおかつその成長を早められる事が、意思を持つコメント集に知られました)

「じゃぁ、もしかしてあいつらの狙いは」

(はい、確実に五帝に向いています。

今、コメント集が侵食できる五帝は3体。

黒帝獣ホロサウルス。

白鯨帝ホエーライブ。

黄帝鳥ライバードです)

「後の2体は?」

(後の2体は幼体状態がないので寄生はしないでしょう)

「それじゃ、俺はどうしたらいい?

その3体を倒せばいいのか?」

俺はひとしきり黒い物体を倒し終え剣を納める。

解ける変身。

(いえ、その3体は他の方々に任せましょう。

それらが町に進行を開始した時、私達の本当の敵が現れます)

オメガαが決心したような口振りで言った。

「オメガαの本体か…」

(はい)

俺の言葉にオメガαは頷いた。

(!!)

突然オメガαがどこかを向く。

「また、出たのか?」

(はい、この量はこれまで以上です。

それに場所は…)

「場所は」

(【ファンタジー】第2の町近くです。

詳細な場所はこちらが)

「分かった」

俺はオリジンソードを装備して白騎士に戻る。

頭の中にオメガαから送られてきた風景が浮かぶ。

そして、剣を振りワープ空間を作り出した。

「いくぞ」

俺の言葉にオメガαは頷くと俺の中にオメガαが入る。

俺はそれを確認してからワープ空間へと入った。

 

 

「これはすごいな」

空中に浮かび、俺は眼下を見る。

地上では無数に増え続けるコメント集と戦っている姿が見えた。

あれはGM?

それにマリンちゃんとノエルさん?

みんなかなり消耗している。

(トライン、ここは陽動です。

本体は【大霊園】を狙っています)

「あそこか?」

(はい、やられたモンスターの魂が集まる場所。

コメント集は寄生先の確保を【大霊園】の魂で確保するつもりです)

「分かった」

俺はすぐに地上のコメント集の群集に降りる。

肩前に剣を持ち上げて勢いよく剣を横に振る。

すると剣先からとてつもない光と共に斬撃が自分の回りを囲むように円となり、その円が一瞬で広がっていった。

【光輪斬】

自分が攻撃しようと思う相手に対してだけ影響のある広範囲攻撃。

(コメント集を沸かしている核はこの下です)

「了解!」

俺はオメガαにそう返事をした後、地面にオリジンソードを突き立てた。

パキン

地面の下の方からそう音が聞こえた。

オリジンソードを伸ばし核を破壊できたみたいだ。

(次に)

「ああ」

俺はオリジンソードを振り、ワープ空間へと入る。

次は【大霊園】だ。

 

 

【大霊園】近くにワープした俺が見たのは、真っ黒い柱とその前でうなだれるGMとホロメン。

そして、その中の1人、ぺこらちゃんから強い光ガ漏れていた。

(ダメです。

あの力はまだ使ってはいけない。

今使えば不運に飲み込まれてしまう)

「それは止めないといけないたな。

あの柱壊せるか?」

俺は内にいるオメガαに聞く。

(大丈夫です。

ただ、あの中にはるしあさんが捕まっています)

「わかった」

俺はぺこらちゃん達の方へと歩く。

「まだ、それはここで使う時ではないですよ」

そう、俺はいろはちゃんの後ろから声をかけた。

そして、俺は今一度【光輪斬】を放つ。

辺りを激しい光が包み込み消えた。

光が消えた後、黒い柱以外の黒い影が消滅した。

「な、なんだ」

緑の戦隊スーツの男性がそう言って周りを見ている。

1人のプレイヤーてぺこらちゃんも驚いて辺りを見回していた。

いろはだけは背後から近づく俺を見ていた。

「すいません、先に向こうのコメント集を殲滅していたので」

そう俺は言いながら、いろはちゃんの横を通りすぎ、ぺこらちゃんの前に出る。

「すぐに終わらせます」

俺はそう言ってオリジンソードを抜く。

そして、下ら上へと剣を振り上げた。

俺の剣は黒い柱に当たってはいない。

しかし、黒い柱はその剣の軌跡が通った場所から光を放ち始める。

【光の軌跡】

剣でなぞった場所を内から凄まじい光の力で爆発させる技。

しかし、あまりに威力がありすぎるので、特定の相手にしか効かない。

その相手とはコメント集だ。

黒い柱は光に飲まれて消え去った。

ゆっくりと落下してくるるしあちゃん。

ぺこらちゃんはるしあちゃんの方に走る。

いろはちゃん達もその後を追った。

「るーちゃん、るーちゃん」

ぺこらちゃんが受け止めたるしあちゃんに声をかけている。

「う、あ…れ?」

ゆっくりと目を開けるるしあちゃん。

「よかったぺこ~」

「大丈夫だった、るしあ」

フレアさんも駆けつけ声をかける。

「おお~い」

遠くからマリン船長やノエルさん、GMがこちらに向かっているのが見えた。

もう、大丈夫そうだな。

俺はそう思い、姿を消す。

白騎士になった時の力で、他のプレイヤー、NPCから見えなくする事ができる。

やたらいろはちゃんに警戒されてたからな。

俺はそのまま、その場から移動した。

 

 

(お疲れ様でした)

俺から出てきたオメガαが労いの言葉をかけてくれた。

俺はオリジンソードを片付け元の姿に戻る。

「しかし、コメント集の核っていうのは1つじゃないのか?」

俺はオメガαに聞いた。

(核自体は、コメントを集める元になった初めのコメントなので複数存在します。

ただ、意思を持つコメント核はこのゲームに1つだけ。

そのコメントは、始まりの戦いでときのそらさん達ホロメンの方々が倒したはずのコメントの残りです)

「倒しきれなかったって事か?」

(はい、そのコメントは運良く運営の削除から逃れたのでしょう)

「それをオメガαの偽物が使った」

(はい、この世界を自らの物にする為に)

「それじゃ、その核が現れるところに」

(はい、私の偽物は現れます)

俺はオメガαの言葉に頷く。

もうすぐ決着の時が近い。

俺はそう感じていた。

 

 

 




「お帰り」
アロエが五世代ハウスに戻るとラミィが出迎えてくれた。
部屋にはぼたんとねねが座ってくつろいでいた。
(ん?
ポルカは?)
「あ、今GM本部に行ってるよ」
ぼたんがそう答える。
(GM本部に?)
「うん、今回の件についてもう少し知りたいから詳しく聞きに行くって」
ラミィも椅子に座りながら言った。
(それじゃ、話し合いはその時にかな)
アロエの言葉に頷く3人。
そして、しばらくの時が過ぎた。

「たっだいま~って、うわ!
どうなってんの?」
「あ、ポルカお帰り~」
「遅かったじゃないかおまるん」
片手にジョキを持つラミィと少し顔を赤くしたねねがポルカを迎えた。
「どうなってるの、これ?」
ポルカは部屋に入り、ぼたんに聞いた。
「いや、おまるんが帰ってくるまで時間があるだろう、で、4人揃ってるわけだ」
「あ、分かった。
言わなくていいよそれ以上は」
どんちゃん騒ぎの2人を見ながら、ポルカはぼたんにそう言った。
(お、帰ってきた?
おかえり)
キッチンの方からつまみを持って現れるアロエ。
「ただいま、まさか宴会が始まってるとは思わなかった」
(ま、主に2人でだけどね)
アロエはおつまみをテーブルに置くと、ゆったりと浮遊した。
「それでどうだった?」
ぼたんが椅子に座るポルカに聞く。
「ああ、かなり深刻だね。
あ、ありがとう」
しゃべりだそうとしたポルカにねねが飲み物を渡す。
「ちょうど喉乾いてたんだ」
ごく、ごく。
ポルカはその飲み物を一気に飲む。
「ぐ、ぐぁぁぁ~
喉焼けるぅ~」
飲み終わった後、喉を押さえて転げ回るポルカ。
『どっきり大成功~』
ラミィとねねはハイタッチ。
「な、何飲ましたの…」
「え?
ウォッカのストレート?」
「普通のコップで渡すものじゃない…」
普通に答えるラミィを見ながらポルカはその場に倒れ「ZZZZ …」眠った。
(意味ないから!)
『わ~』
アロエに怒られ走り回るラミィとねね。
「今日も平和か…」
それを見ながらぼたんは飲み物をとる。
飲む前に確認。
ほ。
ごく。

「あったま痛い」
あれからまた数時間後、ポルカ復活。
ラミィ、ねね、素面に戻る。
(やっと話ができるぞ)
腕組みをして寝そべり浮かぶアロエ。
「はははは」
ぼたんはそれを見て苦笑した。
「それで、ポルカ。
話してくれる?」
「あ、うん」
ぼたんに言われて今度こそ水を飲むポルカが話し始めた。
ポルカがGM本部で聞いたのは、白鯨帝ホエーライブの事以外に、各地で黒い物体が現れてプレイヤーやNPCを襲っている事だった。
そして、ポルカがこちらに戻る時に【大霊園】がコメント集に襲われたという情報が本部に届いていた。
「なるほど、各地にコメント集が現れてるって事か」
「うん、間違いないその黒い物体はコメント集だと思う」
「だから、最近どこに行ってもコメント集の気配があるんだね」
ぼたん、ポルカ、そしてラミィが真剣な顔で言った。
(それじゃ、吾輩からも。
白鯨帝ホエーライブについて、ラミィにも言ったが見た感じはコメント集の影響は見えなかったが、こっちに戻って詳しく調べた結果がこれ)
アロエが1つのディスプレイを表示する。
そこにはホエーライブの姿が映っていた。
(魔道スキャンをかけると)
アロエが指を鳴らす。
とたんホエーライブの表面が透け始める。
「うわ、これは」
「気持ち悪い」
ぼたんが少し顔をしかめる。
ラミィは完全にディスプレイから顔を背けた。
「なんか虫みたいだね」
「ちょっとこれは」
ねねは普通に、ポルカも顔をしかめている。
そのディスプレイには透明になったホエーライブの内部をまるで長い寄生虫のように蠢くコメント集が、無数にいた。
(特にここがヤバい)
アロエが指差したのはホエーライブの中核となる心臓。
その部分はもうコメント集が纏わりつき真っ黒に変わっていた。
パチンと指を鳴らしディスプレイを消すアロエ。
(本格的にあっちも動き始めてる)
「だね」
アロエの言葉に同意するぼたん。
「もしかしたら、残り2体の五帝も」
「うん、コメント集に侵食されてる可能性が高い」
「どうするの?」
ポルカの疑問にラミィは頷き、ねねはこれからの事を4人に聞いた。
「まずラミィ達はホエーライブをどうにかする」
ラミィがそう告げる。
頷く4人。
「ホエーライブの情報はいろいろ調べたし、ラミィ達5人ならどうにかできると思う」
(世界最強の生物を吾輩達5人か)
「楽しくなってくるね」
アロエの言葉にぼたんが微笑む。
「ま、それがいいと思う。
残りの2体はGMに任せますか」
「じゃ、まずは準備しないと」
ポルカの言葉にねねが続いた。
「ええ、まずは移動手段を手に入れましょう」
ラミィはそう言って微笑んだ。
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