ホロライブ・オルタナティブver.IF 外伝 ~オリジン~ 作:天野空
ねねは海賊船【ふぁんたじー】の船首に座りながら言った。
「ま、マリン先輩とラミィの仲だからね」
「そうなの?」
ラミィの言葉にポルカが不思議そうに聞く。
「それより、いくら前回世界を救った時に使った船だといえ、ホエーライブにまともに突っ込めば、大破は確実だ」
(それに吾輩達ではこの船の最終兵器は使えないからな)
ぼたんの後にアロエは苦笑しながら言った。
海賊船【ふぁんたじー】の最終兵器ハイパーミラクル船長キャノン。
それはマリン船長がこの船に乗っている時のみ使える武器だった。
「近くまでいければいいよ。
後はラミィ達の【絆】の力でどうにかする」
ラミィの言葉に4人は頷く。
刻一刻とコメント集の動きが活発になるなか、ラミィ達ホロメン達もそれに対抗する為に動いていた。
「本当なのか?」
俺は白騎士の姿に変わり【ゲーマーズ】にある戌神ころねちゃんが管理している神社に向かって走っていた。
並走するオメガαが頷く。
いつも通り、ソロでクエストを行っている時にいきなりオメガαが(トラインの推しが危ないです)と言い始め、今向かっている場所に急ぐように言われた。
俺の推し、こよりちゃんに何か起きたのか?
俺はあせる気持ちを押さえながら、神社があるすすき野原を目指していた。
いつものワープを使おうとしたが、オメガαがいうにはその場所は少し特別な場所らしく、かなり近くに行かないとワープできないらしい。
「見えた」
目的の場所には先客がいる。
GMか?
(ここからなら大丈夫です。
場所を送ります)
オメガαの言葉の後、頭に浮かぶ立派な神社。
(ここがそうなのか?)
(はい、隠し本殿です)
俺の思った事に答えるオメガα。
俺はその場所を思い描きながらオリジンソードを振った。
ワープした俺が見たのは、おどおどするこよりちゃんと黒い渦に吸い込まれそうになっている異形の化物だった。
その異形の化物の体から黒い塊が飛び出す。
(あれはコメント核です)
そして、ゆっくりと黒い渦に吸い込まれていく異形。
その一瞬何かが異形の背後を通りすぎたように見えた。
コメント核はこよりちゃんの目の前に浮かび、妖しく光っている。
(早く破壊しないとまた、コメントを集めてしまいます)
俺はオメガαの言葉を受けてこよりちゃんに近づいた。
「早く破壊しろ!」
俺はそうこよりちゃんに言った。
推しとの初めての会話で緊張していたのと、すぐにこのコメント核を処理しないといけない焦りで、言葉が強くなってしまった。
「ひぇぇ」
そんな俺の言葉に驚くこよりちゃん。
う、悪い事をした。
でも、悠長にしてられない。
「破壊しないなら俺がやる」
俺はそうこよりちゃんに伝える横切り、コメント核にオリジンソードを突き刺した。
パキ
乾いた音と共に砕けて消えるコメント核。
なんとか間に合ったか。
(たぶんころねさんが核を取り出したのだと思います。
その破壊をこよりさんに託したのかと。
後、すいませんがある事をしておいてください…)
オメガαの推測と願いが俺に伝えられる。
(わかった)
俺はオメガαにそう答える。
推測の方もたぶんそれであってるだろう。
今、この場にころねちゃんがいない。
「え?あなたは」
驚いた顔でこよりちゃんが俺に聞いてくる。
「誰でもいい。
それより、突然の事で驚き狼狽えるのは分かるが、先輩から頼まれた事はきちんとしろよ」
そう言って俺はこよりちゃんの頭をポンと叩く。
「いた」
こよりちゃんが頭を押さえながらこちらを見る。
「そんなに強く叩いてないだろ」
俺は少し狼狽えながらぶっきらぼうに答えた。
くそう、せっかくの推しとの会話なのに。
俺は少し残念な気持ちはあるが、オメガαが外へ出るように急かすので、目の前に見える空間の裂け目へと向かった。
(すいません、少しここから離れてください)
わかった。
俺は適当な場所を思い浮かべながら剣を振るう。
そして、俺は【ふぉーす】にある浮遊小島にワープした。
「ここならいいだろ?」
俺の言葉にオメガαは姿を表して頷いた。
「それで何か分かったのか」
(はい、私の予想通り、彼女は完全にコメント集に侵食されています)
「な、こよりちゃんがか?」
(はい。
第六世代組の方々が、コメント集に関わりがあるとは思っていましたが、ここまで侵食されているとは思いませんでした)
「そんなにひどいのか?
見た目は全然変わってなかったぞ」
(現在、コメント集は密かに彼女の中で侵食を続けています。
それもまもなく終わるでしょう。
そうなれば彼女はもう元に戻る事は出来ずに暴走、消滅してしまいます)
「おい、どうにかならないのか!?
白騎士は対コメント集の力なんだろ!」
俺は大きな声をあげてオメガαに言った。
(はい、白騎士の力は対コメント集殲滅の力です。
確かにその力を使えば彼女はコメント集から助けられますが、同時に彼女をこのゲームから消してしまうでしょう)
「な!」
(それほど彼女はコメント集に侵食されています)
「これほどまでの力があって…」
俺はうなだれ体から力が抜けていくような感じがした。
どれだけ凄まじい力があっても推し1人助けられないなんて…
(しかし、まだ、希望はあります)
「え?」
オメガαの言葉に俺は頭をあげる。
(その為の仕掛けはしました。
後は、彼女がそれに気付きこよりさんの中でコメント集を除去してくれれば)
「あてはあるんだな」
(はい、一種の賭けですが)
「なら、いい。
俺達が出来る事はしたんだ。
後はその賭けにのるしかない」
俺の言葉にオメガαは頷いた。
(あと、トライン。
貴方に伝えておかなければなりません)
「なんだ?」
(最後のホロメンが、第六世代組に接触しようとしています)
「最後のホロメン?」
(はい、今回は彼女が最後の戦いの案内役になります)
「それはいつなんだ?」
俺は手に持つオリジンソードをぎゅっと握る。
(そう遠くない未来。
最後の戦いの場に、必ず私は現れる。
どうか、その時は迷わず私を倒してください)
オメガαは目を閉じ俺に願う。
「それはお断りだ」
(え?)
俺の返事にオメガαは目を開けて俺を見た。
「前にも言ったよな。
俺はお前を助けてやる。
短い間だが、俺はオメガα、あんたを推したいと思う程好感をもってるんだぜ」
俺はそう言って笑う。
そんな俺を見て、オメガαはゆっくりと頷き(ありがとうございます)と呟いた。
さて、オリジン編も最後の佳境となりました。
後2話で終了となります。
長々と続かせてもらったホロライブオルタナティブver.IF もこれで最後とさせていただきます。
始めの作品からお付き合いいただいた方、途中からお付き合いいただいた方、本当にここまでお付き合いありがとうございました。
ホロライブに出会い、オルタナティブに出会い、ここまで妄想が膨らみ小説が書けた事は本当によかったと思います。
それでは、後書きもこれで書くのは最後。
この長かったホロライブオルタナティブver.IF を最後までお楽しみください。
それでは、皆さん本当にありがとうございました。