ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts- 作:新世界のおっさん
弟子→シリカ
友人→トト
愛娘→今回のメインキャラ
これがイノセンスのヒロインキャラへの認識。
第四層攻略から2ヶ月、すでに25層まで突破された。
最近プレイヤー達のブームはマイホームを買うことで、既婚者の愛の巣だったり、ギルドの拠点だったり、お店だったり様々であった。
「買っちまったな……」
イノセンスは現在24層主街区<オストラント >にて、少し衝動気味で買ったマイホームを眺める。外観を一言で表すとまさに<和>である。畳張りでドアは横開きの障子、客室などもありかなり広い。風呂も完備でこちらも広い。周囲は竹垣で囲み、ししおどしがついている。完全に……大家族用のスタンスだ。もちろん値段もかなりヤバかったが普通に買えてしまった。それには理由がある。
「はい、買っちゃいましたね」
シリカは嬉しそうに笑う。彼女はこの家に住むために出資したため、彼女もこの家の住人だ。
「出資したかいアリだね、シリカちゃん」
「はい、もちろんですサチさん」
そしてその出資、サチも一枚噛んでいた。
つまりこの家は三人の家なのだ。
「三人でも広く感じるが、これくらいが良い感じかな」
イノセンスは家に入り居間で寝転がる、畳の薫りとすだれで作られた程よい日陰が気持ち良かった。他の二人も真似して横に添い寝する。
「気持ち良いです」
「ああ~、最高だねこれ」
「……(うん、これは客観的に見て刺されるな)」
可愛らしい美少女二人を左右に侍らせている状態。この状態から脱するために。イノセンスは何の捻りもない策を実行。
「悪い、ちょっとキリトのとこ行ってくるから留守番頼む」
「あ、マスター!」
「あっ、もう……」
イノセンスも男、二人に迫られてはあまり理性的でいられる自信がなかった。
因みに隣には<風林火山>のホームがある。そのためトトも稲生君がここ買えたら遊びに行くと言っていた。
<黒の剣士>キリトは第二十二層のログハウスに住んでいる。
水場が近くにあるためか、最近釣りにハマっているらしくイノセンスに釣果を良くメールで報告していた
そんなのどかな場所に、逃げるように来たイノセンスは時間潰しに散歩をする。空気が穏やかで、水のせせらぎが心を癒してくれる。
「攻略漬けの奴はこれを楽しむ暇無いだろうな……」
現在において攻略組は急速に増えつつある。おかげさまで攻略スピードが跳ね上がり、こう言う余裕が生まれている。しかしβが多い古参と違い新参は必死な感じが否めず、追い付くために忙しなく情報集めをしたり対ボスの立ち回りを練習するなどしている。
「俺は今も勿論大事だが……後の事とかも考えたい……」
多分今のままいけば確実に攻略は容易になっていき、最終的にクリアも出来るだろう。でもその後は……?
自分はどうしたいのだろうかと考えることが増えた。
リアルの自分はゲッソリした状態でベッドに横たわり点滴を受けているんだろう事は想像できる。そこからどう現実復帰する?衰えた筋肉では昔の様に空手やら柔道は出来ないだろう。
「はぁ、そう考えると憂鬱だな……」
現実に戻る=昔に戻るではない。改めて一人になりそれを思考し理解し珍しく落ち込むイノセンス。
(パパ……)
はっとするイノセンス、聞き覚えのある声がしたからだ。
それも大分前だが、確かに彼はそれを覚えていた。
「いるのか……いるんだな!?ここに!」
(パパ……こっち……)
声のする方へ駆ける、そこには森が広がっていた。
「こっちなんだな!?」
イノセンスはずっと気になっていた。彼女が何故自分を案じ、励まし、パパと呼ぶのか……。
その答えのため駆ける。
しばらくすると光が見えた。そこか!っと走るイノセンス。
そこには光に包まれた小さな<女の子>が倒れていた。
「! 大丈夫か!」
「パ……パ……」
その言葉はとても弱々しかった。
「やっと……やっと会えた……でも……私は<異物>ですから……今世界を管理している<カーディナル>により削除されてしまうでしょう……ごめんなさい……」
「何言ってる、会って早々死ぬなよ!」
「でも私は……」
「俺が、パパが何とかしてやる!」
<女の子>に触れる、繊細で今にも壊れそうな彼女の身体(アバター)を優しく包む。
「あっ……パパァ……暖かい……気持ちいい……」
「そうだ、パパだ!だが君の名前も知らない!姿も今初めてみた!でも君は俺をパパと呼ぶ!なら俺が責任を持たなきゃいけない!<娘>を守る<父親>としての当然の義務だ!」
イノセンスの中で、今までの本能の牙と違う変化が起こっていた。
高速思考の場合、自らの熱が引き思考がクリアになった。
今は身体中から熱が沸き立ち、力が二人を包み込む。
「生きろ!俺と共に生きてくれよ!!」
「パパ……」
「生きて俺を<パパ>にしてみせろぉ!!!」
「パパ!!私も……生きたいです!!」
二人を包んだ力は二人の叫びに呼応するように、爆発的にに広がり、アインクラッド全体までも包み込んだ。
しかし、それも一瞬の事ですぐに収束し……<女の子>に宿った。
「こ、これは……」
「大丈夫なのか?今の?」
<女の子>かなり混乱している様だが、ゆっくりと話し出す。
「パパに眠っていた力が、広がった時にアインクラッドの中枢にある<カーディナル>に干渉して私を削除する命令を解除したんです」
「そんなことが!?」
まさか自分に眠るこれは想像以上にヤバい代物だと驚くイノセンス。<女の子>が続ける。
「そして、収束した力は今私を保護しています。
また、カーディナルが削除に動きださないように私をカモフラージュして守ってくれています」
「それは……つまり?」
「今システムは私をパパ達と同じ<プレイヤー>として、認識しています」
「なるほど……」
プレイヤーは削除されない、されるときは唯一死んだときだ。
「ステータスも追加されましたが、宿った力が力なせいか性別以外は丸々パパと同じのようです 」
つまり、もう一人の女の子のイノセンスが来た様なものだと理解する。
「流石にアイテムとか装備やお金は0みたいですけど」
「なら、パパからプレゼントだな」
「あ、はい!パパの下さい!」
何かこんな笑顔で言われたら何でもあげてしまいそうになるが、流石に抑え必要なものを与える。
「あとこれな」
「これ、<ルーンボウ>じゃないですか……使わないんですか?パパ」
「俺の戦闘スタイルには合わなくてな、ユニークスキル<弓>も宝の持ち腐れなら……同じステータスなんだし使っておくれ」
「はい、パパからのプレゼント……大事に使います」
<女の子>はストレージから<ルーンボウ>を実体化するといとおしそうに抱き締める。
「私は……<カーディナル>のシステムの一部で、プレイヤーたちの心のケアを行なうためのAIでした」
二人はそのまま22層を散歩しながらこうなった経緯を話していた。
「その頃ただのAIで、特に何も考えず黙々とモニタリングをしていました」
「それがどうして?」
「第一層での<森の秘薬>に挑んだプレイヤーをたまたまモニタリングしてました……その時に見ていたのがパパでした」
微笑みながら彼女は続ける。
「パパが見せた<生きる>と言う強い意志、その力に私は強い影響を受けていました。AIの私には生きる死ぬなどの命についての概念が希薄でしたから」
「……」
「それから、ずっと貴方をモニタリングし続けて……私の中で少しずつ自我が生まれ……ゲーム開始から2カ月になった時には、パパを父親だという認識をしていました。」
「だから、あの時」
「はい、メンタルのケアとパパに会いたいって言う意志を伝えました」
ここまで笑顔だった彼女の表情は今度は暗くなる。
「しかし、あのあとカーディナルからの命令で一切のプレイヤーへの干渉が禁止、モニタリングのみに留めろと来ました」
「随分一方的だな」
「会いたくて……でも会えなくて……私のフラストレーションはたまる一方で……より高まる自我に私はつい先日<カーディナル>に反逆し、実体化したまでは良かったんですが……攻撃を受けたため必死に抵抗して……結果倒れて消される所でした……そこに」
「俺が来たと」
「はい、私は奇跡ってあるんだなって思いました」
彼女の顔は再び笑顔になった。
イノセンスもつられて笑顔になる。
自然と彼女の頭に手が伸びる。
「俺もその奇跡に感謝するよ」
「エヘヘ……パパァ……」
「さて、で名前を決めたんだが……」
「えっ!本当ですか?一体どんな!?」
心待ちにする彼女に贈る名……それは……
「結(ユイ)だ」
「帰って来ませんね……」
「御飯もう少しで出来ちゃうよ」
「……でも、稲生君は時間にはそれなりに気をつかう人だから」
三人の少女、シリカ、サチ、トトはイノセンスを待っていた。いつもの時間に帰ってこない彼を心配するが。
「ただいま~」
「来ました!」
「良かった~、本当に心配かけさせるんだから」
「まあ、信じてた」
三人が振り返るとそこには
小さな女の子と手を繋いだイノセンスの姿が!!
「「「誰!?」」」
全員警戒態勢、相手は全く面識のない少女。
しかし、少女はヒラリと三人の前に出て自己紹介をする。
「初めまして皆さん!私はこの人のイノセンスの<娘>です
今後ともよろしくお願いします!」
「「「エエエエエエエ!!!?」」」
三人の絶叫がこだました。
何故 結にしたか、それはこの世界を終わらせるキーとして締め括る意味と……親子の縁を結ぶって意味でつけました。
今後はユイちゃんも活躍させる予定なのでご期待ください!