ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

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ある意味真打ち登場。
作者の好きなキャラ二人です。
ゴツい黒人はツボなんですよ私。
そして原作ではチョロイン気味な彼女の方はこの作品ではどうなるか。ご覧下さい。


スミスな彼女は夢を見る

第二十八層にて<竜の湖>と呼ばれる場所がある。

そこは飛行タイプのモンスターが多く、特に小~中型のドラゴンが基本でいるフィールド。ここの竜の素材を集めて売る商売をする人間も多い。

その最たる例の男<エギル>に会いに第三十層までイノセンスはきていた。

彼は最初期から攻略に尽力していたが、十層を越えた辺りで商売にも手を出し始めたらしい。

 

「よお、エギルさん」

「おう<ジェダイ>じゃねぇか、また元気に女の子と遊んでいるのか?」

「ブホッ!!……事実っちゃ事実だがもっと言い方があるだろ……意地悪だな」

 

エギルはその特徴から良くイノセンスを<ジェダイ>と呼ぶ。また女性プレイヤーとの関係が多い彼を、良くそのネタでからかうのだ。

エギルは笑いながら茶をだす。

 

「まあ、そう拗ねないで茶でも飲んでくれ。入れたてだぞ」

「いただくよ」

 

貰った茶を飲み、イノセンスは気づく。

 

「この茶、結構高いやつじゃないか……良く手に入れたな」

「安心しな、<安く仕入れて安く売る>のがウチのモットーなんでな」

 

エギルはアフリカ系アメリカ人でガタイのいい黒人だ、そんな人物が<安く仕入れる>となると……イノセンスは苦笑する。

 

「相変わらずと言うか、阿漕な商売だぜ」

「賢いと言ってくれ、自身の特徴を良く把握した上でやってるんだからな」

「ったく、あんたに捕まった客が可哀想だな」

 

と阿漕な茶を啜り、一呼吸おく。

 

「さて、今回は商売の話で来た」

「そうだとは思った。あんたはキリトとは違ってあんまうちに駄弁らないしな」

「長居しても、商売の邪魔だろ?」

「俺は構わないんだがな。今回は何を持ってきたんだ?」

 

イノセンスは実体化で<竜の翼>と<竜の爪>を取り出してみせた。

 

「<竜の湖>に行ってたのか、大量だな」

「最近集めてるんだろ?」

「ああ、知ってたのか」

「もちろん、いくらになる?」

「あんたは常連だからな、これぐらいかな」

「よし、売った」

「毎度あり!」

 

嬉しそうに微笑むエギルにイノセンスは続ける。

 

「実はもうひとつ話があるんだが」

「おっ、なんだ?聞くぞ?」

「エギルさんは<巌龍>を知ってるか?」

 

<巌龍>の名を聞き、目の色を変えるエギル。

 

「ああ、知ってるが……」

「俺はアイツを狩ろうと思っているんだ」

「マシで言ってるのか?アイツに偶然遭遇した攻略組が恐怖で街に引きこもったほどの相手だぞ?」

「情報通りなら正攻法は無理だろうが、裏口がある気がしてな。やってみようと思うんだ」

 

イノセンスは自信たっぷりに話す。

 

「そっちは相変わらず何でも突っ込むねぇ」

「誉め言葉として受けとる、それでもし<巌龍>の素材が出たら買い取ってほしい」

「え、そりゃ嬉しいが良いのか?貴重な素材を」

「今は金が欲しいんだよ」

「ほう、何のために?」

「夢を応援するためさ」

「……プッ!アッハッハッハッハッ!!」

 

そう言ってイノセンスは笑い、それを聞いたエギルは大笑いした。

 

「やっぱあんた最高だよ!ビューティフゥー!是非ともその話のらせてもらうよ!」

「助かる、あんたに頼んで良かったよ」

 

二人は握手する、互いが良き関係だとの証明だ。

 

「じゃあな、生きて帰ってこいよ」

「当たり前だ」

 

イノセンスはエギルの店を後にした。

 

 

 

 

第二十九層主街区<テルミドール>

比較的石造りの多いここは露店が出しやすく、店を出すほどの資金がないアイテム職の人間が集い商売をする。

そこに質素な作業着を身に纏い、真面目にひたすら金属を叩く少女がいた。

名前を<リズベット>と言う。

 

「……こんなもんかな……」

 

ジッと自らが打った剣を見つめ、呟く。

SAOにおける鍛冶とは金属を指定された武器の必要な数を叩くと自動で出来上がるものだ。

しかし、リズベットは生来の真面目さ故に叩き方にもリズムや強さ、角度等の拘りを持っている。それにより武器の出来映えが違くなると彼女は感じるのだ。

 

「アイツ……最近来ないわね……」

 

<アイツ>とは、<真紅の怪人><ジェダイ・マスター>など様々な二つ名を持つイノセンスの事である。

彼と彼女が知り合ったのは第十五層の街角で、彼女に<雷切>のメンテナンスを任せた事からであり、その後彼は常連となった。

実力的に中層より少し上くらいの彼女では知りえない最前線の土産話や素材を色々と持ってきては話してくれる彼と仲良くなるのはそう時間はかからなかった。

「何か……退屈かも……」

 

彼女がぼんやりとしながらぼやいていると、いつの間にか客がいた。

 

「あっ!リズベット武具店へようこそ!」

 

慌てたリズベットはしっかり立ち上がり元気に挨拶をするが、目の前にいたのは。

 

真紅のローブを纏った……<スケルトン>だった。

 

「……リズゥ……タァスケテクレェ~!!」

「ぎ、ぎゃああああああ!!?」

 

リズベットの叫び声がこだました。

 

 

 

「あのさぁ……さっきのドッキリはいくらなんでも人が悪すぎじゃない?」

「すまんすまん、試したくてついな」

 

イノセンスが最近手に入れたフルフェイスの装備<スカルマスク>は、顔だけだがスケルトン気分を味わえる代物で、それによりあのドッキリを実行したのだ。

 

「っていうかナイトメアローブと親和性ありすぎでしょ!フードを取ったら中身は骨って心臓止まるかと思ったわ!!」

 

正に悪夢である。

 

「もう、せっかく久しぶりに来たならさ……もう少し何かないわけ?私これでも女の子なんだからね?」

「いや~リズはリアクションが良いからさ、楽しくて」

「……さいですか」

 

現在二人は第三層の喫茶店「タルビン」にてお茶を飲んでいた。覚えてない方もいるかもしれないが、大分前にシリカと話をしていたあの喫茶店である。

 

「それで、何の用なのよ。あれだけだったら張り倒すわよ」

「ああ、実はな……お前の店の資金の目処ができた」

 

それを聞くと、今まで明らかに不機嫌だったリズベットの表情が驚愕と喜びで半々に染まる。

 

「マジで!?」

「マジマジ大マジだ」

「ちょっと前に協力してくれるってあんたが言ってたのを、私あんま信じて無かったけど……嬉しい!!」

 

年相応にはしゃぐリズベットに微笑むイノセンス。

 

「あ、それでどうやって稼ぐの?」

 

当然の質問に当然の様に応える。

 

「<巌龍>を狩る」

「……えっ?」

 

途端にリズベットが青くなる。

 

「……無理だよ、それ……殺されちゃう」

「俺はそうは思わない」

「でも、<巌龍>は今までのフィールドボスでも最大最強なんでしょ!?」

「そうらしいな」

「なら……やめてよ……そんな命懸けの事……」

 

リズベットは怖かった、早く店はやりたい……だがその為に目の前の彼が死んでしまったら……想像するだけでゾッとした。

 

「やめないよ、絶対にアイツを狩ってリズの夢を実現する」

 

しかしイノセンスも譲らない。彼にも譲れない理由がある。

 

「何で?何であたしなんかの為にそこまでするの?」

 

帰って来た答えはこうだった。

 

「君の夢と鍛冶への情熱に惚れたからさ」

「……へっ?」

 

真正面からそんなこっ恥ずかしいセリフを言われてリズベットの顔が赤くなる。

 

「えっ、あ、やだ……やめてよそんな……」

「俺は事実を言っただけ、じゃあそろそろいくから勘定は俺が払っとくよ」

「ちょ、ちょっと!そこで帰るの!?私のこの<感情>はおいてけぼりか!!」

「またな!」

 

イノセンスはそのまま、どこかに行ってしまった。

 

「何よ……好き勝手に言っていなくなって……戻ってきたら……承知しないんだから……バカ」

 

リズベットはテーブルに突っ伏し頬に手を添える……暖かい……この世界においてリズベットは全てがデータで作られた作り物のまやかしにしか感じられなかった。しかし、彼と話し触れあっている時……確かに感じられた<本物のあたたかさ>。

 

「……ば~かっ……」

 

リズベットは一人ボソッと呟いた。




これが愛か……書いててとても楽しかったです。
SAOのヒロイン基本皆好きですが、中でもリズが好きです。
MORE DEBANですわ!
次回は対巌龍+シリカ強化回です。
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