ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

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SAOで迎える新年。
しかし、ハプニングはつきもの。



双牙の舞踏

第24層主街区<オストラント >において、今全プレイヤーが押し寄せていた。理由は今日がリアルで言う正月の限定イベントだからだ。

各市町村に神社が一つずつ配置されており……そこに参拝すると<おみくじ>が配布され、それを消費すると特殊フィールドに行き限定モンスターと戦えると言うものだ。

敵モンスターや報酬は<おみくじ>に書いてある運勢により変わり、滅多に出ない大吉ならば強くないモンスターでかなりのコルやアイテムが貰えると噂が飛び交っておりこうやって人が集まっているのである。

 

「賑わってるなぁ、外は」

「リアルの初詣も人気の場所はこんな感じだよね」

「お雑煮って美味しいですね、シリカさん♪」

「私はお汁粉派です、甘いですよ~」

 

そんな中イノセンス家はのんびり正月を過ごしている。流石に混み合っているので、落ち着いてから行く算段である。

 

「大晦日イベントで得た着物、皆似合ってるよな~……装飾が可愛らしいのは女の子だからなのかね?」

 

サチは水色に青い魚の装飾、シリカは赤色に黒いトンボの装飾、結は黄緑色に緑のカエルの装飾の着物を着ている。

 

「ありがとう、でもイノ君も似合ってるよ」

「パパは元が良いから何でも着こなしますよね」

「そうか?まあ、誉められるのは嬉しいけどな」

 

そしてイノセンスは真紅に金のトビが装飾の着物を着ている、金のせいで矢鱈目立つため積極的には着ていないが。

 

「着物の色が似てるのも、私とイノさんの絆を表してますよね~」

「むっ」

「おっ?」

 

シリカは笑顔でイノセンスの左側に抱きつき頬ずりする。

着物の特性なのかお香の匂いがしてシリカは落ち着くらしい。

 

「じゃあ、私も!」

「おうっ?」

 

サチも負けじとイノセンスの右側に抱きつく。

勢いでやったが、想像以上に恥ずかしく顔を真っ赤にする。

 

「では私も♪」

「おういっ?」

 

そうなるともちろん結も来る、場所は正面。

結のお気に入りは硬く割れた腹筋。

 

「まずい……今人が来たら……」

 

焦るイノセンス、すると案の定。

 

「よーいす、イノよぉ!初詣行かねぇか……」

「あ……」

「Oh……」

「……皆ズルい」

「……激しく同意ね」

 

タイミング悪くクライン、エギル、トト、リズベットがやって来てしまった。

 

「何でだぁ!?キリトの野郎もアスナさんと二人きりでイチャイチャして初詣行ってよぉ!んでお前は家で四人でイチャイチャ!?理不尽過ぎんだろこの世の中ァ!!」

 

本当はクラインもトトと二人で初詣に行ったりしたかったが、彼女がイノセンスを気にしてるのがバレバレで、仕方なくイノセンスを誘いにきたらこの惨状(クライン視点で)である。彼は涙を禁じえなかった。

 

「よう、やっぱ女の子と遊んでたんだな。予想的中だ」

 

エギルは妻帯者なためとても余裕綽々だった。

 

「この際二人で手を組まない?一緒にあの壁を崩せば入る余地があるし」

「結ちゃんは良いとしてやはり左右の二人よね、武器が必要なら提供するわよ」

「クククッ……よろしい、ならば戦争だ」

 

トトとリズベットは何やら怪しげな取引をしていた。

 

「待って!落ち着いて!?話をしよう!」

 

イノセンスは必死に弁明しようとしていた。

 

 

 

 

 

そんなどんちゃん騒ぎの後、イノセンス達は落ち着きを見せている村<バンブ>の神社に初詣に向かった。

人がいまだ疎らにいたが、賽銭箱の前には人はいなくてNPCの<巫女>がいるだけであった。

 

「んじゃ話しかけてから、賽銭入れてお参りな」

 

全員が賽銭を入れ手を叩き、合わせ、祈る。

そんな彼らの祈願はこんな感じであった。

 

「(この世界から出たら、また皆と会えますように)」

「(今年こそは……勇気を持って想いを言えますように)」

「(イノさんの側にずっといれますように)」

「(いつかでいいので稲生君と二人きりになれますように)」

「(もう少し、あいつとの距離が縮みますように)」

「(パパが幸せでありますように)」

「(ダチが全員何事もなくありますように)」

「(ウチのやつが元気でありますように)」

 

祈願が終わると<巫女>からおみくじが渡された。

 

「出来れば大吉が欲しいなあ、食費も浮くし」

「むしろ凶とか出たりとかあるんですかね?」

「無い事を願うばかりだなそりゃ」

 

一斉に開くメンバー……すると。

 

「パパ!やりました!大吉です!」

「おー!やったな!」

 

喜ぶ人もいれば。

 

「あたし末吉だったわ……はぁ」

「ま、まあ……あんまり気にしない方がいいぞ?」

 

落ち込む人もいた。

 

「パパはどうでしたか?」

「ん?ああ、凶だった」

「……え?」

 

その時突然ブザーがなり、アナウンスが流れる。

 

<凶だったプレイヤーは強制的に転送されます>

「は?」

「そんな!なにこれ!」

「イノさん!?」

「パパ!!」

「マジか……」

 

その場のメンバーから<二人>が消えた。

 

 

 

 

 

 

「ここが専用フィールドか……」

「……そうみたいだね」

「その声は東条か?」

「そうだよ稲生君」

 

二人は向き合う。

「他の凶プレイヤーは……いないのか」

「私たちだけ、二人っきり……」

「そうだな」

 

呼ばれたが、今のところモンスターは来ない。

<カーディナル>が調整でもしているのだろうか。

するとトトが話しかけてきた。

 

「ずっと、聞きたい事があった」

「なんだ?突然?」

「稲生君ってさ、好きな人……いるの?」

 

彼女が参るときに二人っきりになりたいと願ったのは、今の彼の正直な気持ちを知りたかったためだ。

 

「それはやっぱ恋愛観点ってことだよな?」

「うん」

「だよな……」

 

イノセンスは答える。

 

「今はあんまそう言うのを考えないようにしてるんだよな。多分今この世界で恋愛を謳歌しちまうと今の俺の状態が崩れて、周りに大分迷惑かけると思うんだよ……だからさ」

 

イノセンスは恋愛で緊張が完璧に抜けると、実力が落ちる可能性を懸念していた。イノセンスは続ける。

 

「この世界を無事抜け出してから……皆には答えたい」

「そっか……ねぇ」

「ん?」

「私もね……貴方の事が、好きなんだよ?」

「……え?」

 

イノセンスは突然の告白に目を見開く。

 

「この世界来るまで自覚は無かったけど……あの時助けてくれた時からずっと好きだった……」

「あの時はただ拒絶されただけなのかと」

「そ、それは……自分でも良くわからなくて……だから」

「気にしてないよ、もう」

「……そう」

 

トトは少し安堵する、あれが彼を傷つけたと思っていたから。

 

「答えはリアルまで預ける……でも、覚えていて……私の事……昔の私も、今の私も……」

「忘れないよ、絶対な」

「ありがとう……そんな貴方だから好きなんだよ、皆」

 

そう言いながらトトはイノセンスの手を握り、見つめる。

 

「……そう何度も好きって聞くと、少し恥ずかしいな」

 

珍しくイノセンスが頬を染める。

 

「ストレートなのに弱いんだね」

「きっと男は皆弱いと思うが……っと来たな」

「むっ、お邪魔虫だな」

 

処理が終わった大量のモンスターが投下される、二人は同時に本能の牙を発動させる。

イノセンスの瞳は青くなり、思考がクリアに。

トトの瞳は赤くなり、極度に興奮してくる。

 

「さあ、各個撃破だ」

「うん、全部ぶった斬る」

 

かたや二刀流で、すれすれにかわしながら高速で斬り捨て。

かたや両手鎌で、敵の攻撃をものともせず纏めて凪ぎ払う。

二つの牙を止められるものはいない、絢爛豪華な死の舞踏。

 

「「そらそらそらぁ!!!」」

 

二人は久しぶりに周りに気兼ねなく無双した。

 

 

 

 

 

 

「結果ゲットしたのがそれなの?」

「うん、巫女服」

 

二人が戻るとかなり心配されたが、問題ないことを伝えた。

そしてトトはどっかで見たような<巫女装束一式>、イノセンスは料理スキルにボーナスがある特殊武器<板前包丁>を手に入れた。

 

「これで俺も料理目指すか?」

「じゃあ、一緒にやろ?」

「悪くない性能だけど……ただこれ腋が出てスースーする」

「か、可愛いじゃねぇか!俺は良いと思うぜ!」

 

何故かクラインが必死に推していた、何か知っているんだろうか。ふと、トトがイノセンスに言った。

 

「これからもよろしくね……稲生君」

「こちらこそよろしくな、東条」

 

二人は自然と笑いあった。




イノセンスの女の子達との関係が行くとこまで行かずにいる理由は意外と現実を見てのこと。
でも皆の事をちゃんと考えた上でそうしています。
皆を守るためには皆に平等に接しなくては……まあ全員とそう言う関係なら問題な(ウワナニスルヤメ
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