ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

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クライマックスタイム!
……でもないかもですが、駆け足でここまで来ました。
最初の方に出たものの少し設定が追加されたあの人登場。


終局への謁見

デスゲームが始まって一年と少し……現在プレイヤー達が攻略を推し進めてきた事により、つい先程74層まで攻略された。

なんと攻略したのは、一部の<軍>と<風林火山>そして<閃光>と<黒の剣士>のコンビのみ。

決め手となった<黒の剣士>の<二刀流>は最強のスキルと目された。

……しかし、それに並び立つとされるスキルがある。

 

<神聖剣>

 

それは現在攻略組でも最強の二角。

量の<軍>こと<アインクラッド解放軍>に対し、質の<KoB>こと<血盟騎士団>……その団長を務める<ヒースクリフ>のユニークスキルであり、盾も武器として使用する事で攻防能力を飛躍的に高め、なおかつ防御力が異様に高まるのだと言う。

まさに恐ろしいスキルである。

 

そして、その件のヒースクリフはとある雑誌に目を通していた。

 

「なるほど……やはり素晴らしいなキリト君は。ゲームの才能はまさに天才的だ」

 

ヒースクリフは素直にキリトに対して感心していた。プレイヤーの中でも抜きん出たあの反射速度はキリトしか持ち合わせていないであろう。

 

「だが、アスナ君を引き抜く様な考えは頂けないな……もし来るならば確実に倒さなくてはいけない」

 

副団長のアスナが抜けると<血盟騎士団>のメンツが無くなるため、いくらキリトであってもヒースクリフとしては許容できない。

 

「まあ、彼は問題ないかもしれない……問題は……」

 

ヒースクリフがメニュー画面から画像を引き出す。

そこにはイノセンスのリアルの姿<稲生直貴>ともう一人男性が写っていた。

 

「やはり君なんだろうね……<稲生君>」

 

ヒースクリフは懐かしむようにそれを眺める。

 

「君は兄に良く似ている……私に自分の理想を語ってくれた彼の様な……あの時の様な目をしている」

 

ヒースクリフは画像を閉じるとため息をつく。

 

「分かってくれ……<稲生君>……君の弟を巻き込んだのは私の責任だ……だが私は君と分かち合ったこの理想の世界を……実現させたかったのだ……」

 

ヒースクリフは一人目を伏せ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

「では、第74層攻略を祝って!!乾杯!!!」

「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」」

 

現在知り合いの中でもイノセンスの家が一番広いと言う理由で、皆で集まり攻略が進んだことを祝い騒いでいた。

SAOにおいてお酒は二十歳からと言う法則はあってなく、酒に分類されるものを飲んでも現実の世界でアルコールが身体に入るわけではないため酔っぱらうことはない。

しかし、しっかりその味や風味などは再現されているため何となく気分で酔ってしまう事があるかもしれない。

こんな風に。

 

「キリトくんはさぁ~もすこしさぁ~私をたよるんらよ!」

「あ、ああ分かってるからもうその辺でやめた方が」

「うるひゃい!そこに正座ら!こら!」

 

アスナは普段の鬱憤が爆発しているのか、矢鱈キレているし呂律が回っていない。

 

「イノさんイノさん♪」

「ん?」

「キスしましょ♪」

「シリカ?」

「ん~♪」

「おいバカやめろ」

 

シリカはイノセンス限定のキス魔になり。

 

「パパ……」

「あ、結ごめんな!今忙し」

「何だか……身体が熱くてぇ……パパァ……」

「オーマイガッ!!」

 

結は脱ぎ出す始末であった。

 

「サチ、トト、あたしらが何とかするわよ」

「男性はこう言う時に無力になるしね」

「シリカちゃん!貴女実は正気でしょ!」

 

キリトとイノセンスは残りの女性陣に助けてもらえました。

 

「まさかアスナが酒乱だとは……」

「俺は色んな意味で危機を感じた……」

二人はため息をつき、互いに顔を見合わせる。

キリトが提案する。

 

「なあ、イノちょっと二人で外出ないか?」

「お?別に構わないが」

「悪いな」

 

二人は少し涼むと言って外に出ていった。

 

 

 

 

 

 

二人は小川の横をつたい散歩する。

ここでは季節に関係なくホタルの光が見れる、美しい場所だ。

 

「で、ただの散歩か?」

「いや、ちょっと相談があってさ」

「ほお、アスナじゃなく俺を頼るとは」

「彼女には相談しにくい内容なんだよ」

 

キリトの真剣な表情に、何かあったと踏んだイノセンスは聞く体勢になる。

 

「言ってみ?」

「……アスナを自由にしてやりたいんだ」

「つまり、アスナを<血盟騎士団>から引き抜くと?」

「まあ、そうなる」

 

キリトも分かってはいた、常識的には滅茶苦茶だ。

しかし、自分は彼女と共にありたい……そう願っている。

 

「そうだな……第三者として言うなら止めといた方が良い」

「……ならイノ個人としては?」

 

イノセンスはニヤリと笑い告げる。

 

「俺をもっと頼れよ」

「え?」

「止めた方が良い理由としては、引き抜くとなると多分力づくってことでデュエルになる、そうなるとヒースクリフとキリトがやり合う事になるだろうが……不利なんだそれは」

「なぜ?」

「向こうはキリトが<二刀流>を持っている事を知っている、だがキリトはヒースクリフの<神聖剣>に対する情報はどれくらい持っているんだ?」

「!」

「多分曖昧な噂が殆どだろう、俺もそうだからな」

 

二刀流ははっきり確認され、広く公開されているのに対して<神聖剣>は頻繁に攻略に出てきていないせいかあまり認知はされていない。

さらに戦闘中も盾として働いている事が殆どであり、はっきり攻撃している姿は確認していない。

名前だけ浸透しているものの、だれもまだはっきり正体を知らない都市伝説のようなものだ。

 

「そう考えると確かに……」

「ヒースクリフは、話を聞くにそんな簡単にアスナを手放す男ではないだろうな」

「なら、どうすれば良いって言うんだ?」

「俺がやる」

「……はぁ?」

 

イノセンスは笑い、分かっていないキリトにはっきり告げる。

 

「俺がアスナを引き抜いてくる、デュエルでな」

「えっ、イノが?」

「ああ、多分キリトよりかは勝算があると思う」

「……俺がお前より劣ってるってことか?」

 

キリトはイノセンスが暗にそう言っている様でムッときた。

しかし、イノセンスは否定する。

 

「違う違う、単純な戦闘ならどっちもあんまり変わんないと思う……ただ俺は奥の手が二つあるからな」

「まだ隠してたのか!?」

「おう、楽しみにしてな」

 

そう言ってイノセンスは笑う、いつものように余裕たっぷりで。

 

 

 

 

 

 

次の日、イノセンスはキリトとアスナとともに55層主街区<グランザム>の<血盟騎士団本部>に来ていた。

 

「まさか、本気で団長に挑むつもりなの?」

「ああもちろん、アスナはここを抜けたいんだろ?」

「それは……そうだけど……」

 

アスナは申し訳なかった、キリトにしろイノセンスにしろリスクを負ってまで挑もうとしている。無力な自分が嫌に感じた。

 

「そこまで気負うな、それに俺は知りたかった事もあるしな」

「? どういう事だよ?」

「おっともう着いたぞ」

 

イノセンスは話題を打ち切り扉をノックする。

 

「入りたまえ」

 

扉を開け中に入ると、中世風な装飾に彩られた白と赤の部屋だ。

その奥の机にヒースクリフはいた。

 

「アスナ君以外はあまり面と向かって話したことは無かったな、私がヒースクリフだ」

「キリトだ」

「イノセンスです」

 

軽く挨拶を済ませ、ヒースクリフは本題に入る。

 

「今回はアスナ君を引き抜きたいのだそうだね、イノセンスくん……私はてっきりキリト君がそう言ってくると考えていたよ」

 

ヒースクリフからすれば本当に意外だった、まさかイノセンスが自らこのタイミングでやって来るのは想定外だった。

 

「キリトやアスナから話は聞いています。彼女は良く戦った……だからそろそろ休みを取らなくてはいけないと俺は思いました」

「ふむ、なるほど……だが此方にもメンツがある……副団長をただでやるわけにはいかない」

「なるほど、話が早い……ならば」

「ああ、そうだね」

「「デュエルで決着をつけよう」」

 

その瞬間に目と目があい、ヒースクリフとイノセンスの中で互いに同じ人物が相手に重なった。驚き身体が痺れるような感覚に鳥肌がたち、腹の奥底から何かが駆け巡った。

 

(やはり、この感覚……君は彼の弟だな……)

(……貴方は……まさか……)

 

「……どうか、したのかね?」

「……いえ、何でもありません」

「明日正午、75層のコロシアムでデュエルだ、良いね」

「はい」

「それと君が勝ったらアスナ君の解放、もし私が勝ったらその時は……君に<血盟騎士団>に入ってもらう」

「「えっ!?」」

「構いません、勝ちますから」

「ちょっと!」

「イノ、もし負けたらサチやシリカ、結はどうする」

「大丈夫だキリト、万が一そうなっても……」

 

イノセンスは意思のこもった<青い瞳>でこう告げた。

 

「<俺が全てを終わらせる>」




次回、血戦。
チート(ゲームマスター)対チート(ゲーム外能力)です。
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