ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts- 作:新世界のおっさん
ですが自然に日常で<本能の牙>を使えるあたり、やはりSAOの感覚がまだまだ残っていると思います。
「もうっ!何でこんな時にサラマンダーに見つかるのよっ!」
「ごめんね!ボクがもっと注意してれば……!」
シルフ領首都<スイルベーン>周辺の森林地帯にて、シルフとインプの少女が五人パーティーのサラマンダーに追われていた。
シルフの少女の言葉にインプの少女は悔しそうに呟いた。
「あ、いや、違うの!ユウキちゃんが悪いんじゃなくて、油断してた私に怒ってるの!」
シルフの少女はインプの少女<ユウキ>に、怒りの矛先について弁明する。
「ユウキちゃんは初心者なんだからしょうがないわよ、ただ始まって大して経って無いのに死ぬのは嫌でしょ!?」
「もちろんさ!それにリーファさんには迷惑ばかりかけてるんだし、その上<デスペナルティ>までさせてしまったらボク一生顔向けできないよ!」
ALOは他のMMORPG同様に<デスペナルティ>があり、非所持品を30%で奪われる、所持金の減少などリスクが存在している。
初心者であるユウキも、それなりにベテランなシルフの少女<リーファ>もダメージがでかい。
リーファは剣を抜く。
「斯くなる上は私が食い止めるしか……」
初心者のユウキを犠牲にするくらいなら自分が残った方が、きっと後腐れがなくてすむ。
リーファはそう考えていたが、そうは問屋がおろさなかった。
サラマンダーの一人が火球の魔法を詠唱し飛ばしてユウキを撃ち落としたのだ。
「うあぁ!!」
「ユウキちゃん!」
リーファは急いで追いかけユウキを抱き止めたあと、地上に降り立つ。
そこにサラマンダー達もやってくる。
リーファが剣を構え、ユウキの前に出る。
ユウキは涙目で倒れながらリーファを見つめる。
「ごめんなさい……」
「気にしないで、大丈夫だから……」
「随分と余裕だな」
サラマンダー五人の内の一人が前に出てくる。
このメンバーの中でもリーダー格の男だ。
「ランス隊隊長……<カゲムネ>……」
「ほう、君みたいな可憐な少女に知ってもらえてるとは光栄だな」
「何人も仲間が貴方に狩られてるのよ、知らないはず無いでしょ」
カゲムネはランス隊を率いてシルフを積極的に狩っている。
高ランクのメイジでもあり、先程ユウキを撃ち落としたのもカゲムネである。
リーファの手に自然と力が入る、カゲムネを睨み付けて抵抗の意思を見せる。
「ふむ、ならば話が早い……早速狩られてくれ」
ランス隊達も臨戦体勢に入る。
空気は一気に一触即発状態だ。
後ろで涙目のユウキはただただ祈る。
(誰か……助けて……!)
すると突然何処からか笛の音が聞こえてくる。
「? 何だ……?」
「一体何処から……?」
既に夜になり辺りは暗くなっている。
周囲を見渡すサラマンダー達とリーファ。
そんな中暗視ができるインプであるユウキが気づく。
「……あっ……あれ!」
「「?……!?」」
ユウキの反応に全員が後ろを振り向くとそこには。
真紅のローブで身体を覆い、笛を吹いているのだが、フードで顔が隠れ全く見えない謎の妖精がいた。
謎の妖精が笛を吹き終わると、ユウキに音符のエフェクトが現れる。
「<戦士達のピーアン>……徐々にだが、HPを回復させる<魔歌>だ……」
謎の妖精は低い響くような声でそう言った。
「え……?あっ、本当だ……」
ユウキは自らのHPが回復しているのを確認した。
「あんた、何者だ……?邪魔だてするならば……あんたも狩るぞ?」
カゲムネは狩りを邪魔されて多少不機嫌そうに武器を謎の妖精に向けて構える。
「俺か……俺は通りすがりの妖精だ、そこの女の子が泣いているのを見て放っておけなくなってな」
「貴方……ありがたいけど逃げた方が良いわ!巻き込まれるわよ!」
リーファからすれば助け船だったが、もし彼まで何かあっては申し訳ないと思い警告するが。
「生憎、覚悟の上で来ている……気にするな」
謎の妖精は気楽そうに笑っている、状況的には不利なはずなのだが。
サラマンダー達は転けにされていると思い怒って襲いかかる。
「てめえ、サラマンダーを嘗めんなよ!」
怒りに任せての一撃を謎の妖精は造作もなく避け、腰にある太刀に手をかけサラマンダーに一閃し、直ぐ様鞘におさめる。
「ガァッ!?」
サラマンダーは燃え上がり魂の様なものだけを残して消えた。
「!?」
「何あの剣速……滅茶苦茶速い……!」
「す、凄い!」
あっという間に一人葬った謎の妖精にユウキも、リーファも、敵であるカゲムネも驚きを隠せなかった。
恐らく斬られたサラマンダーも気がついたらやられていたと言った感じだろう。
「これは流石に……」
「てめえ、よくも!!」
「あ!待て、お前たち!」
残りのサラマンダー達が一斉に襲ってくる。
「ここじゃ本当に死ぬわけじゃあるまいに……大人しく帰れば良いものを……」
謎の妖精はそう呟き、最初のサラマンダーを左手に鞘ごと持った太刀の柄で殴り叩き落とし、突っ込んできた二人目は身体を回転させ槍を回避しつつ回し蹴りで吹き飛ばし、それを見て怯んだ三人目を太刀で斬り捨てる。
「一つ」
「グハァッ!」
謎の妖精は直ぐ様、残りの二人に狙いを定めて飛行で突貫し起き上がりをそれぞれに一閃し、太刀を鞘におさめる。
「二つ、三つ」
「ゲェッ!」
「ヌワァッ!」
襲いかかったサラマンダーは呆気なく全滅した。
残されたカゲムネはただ呆然とした。
「それで……リーダーはあんたの様だが……どうする?あんたもやりあうのか?」
謎の妖精はカゲムネにそう語りかける。
カゲムネはため息を吐き出し、こう言った。
「止めとくよ……魔法スキルがあと少しで900にいけるんだ、デスペナルティとあんたが恐いからやめておくよ」
「英断感謝する、そこの少女に斬りかかられない内に帰ると良い……」
この言葉にハッとしたリーファは武器を構え直す。
「そうさせて貰うよ、命あっての物種だ」
「違いない」
カゲムネは急いで飛び去った。
それを見たリーファは武器を下ろし一息つく。
HPが全快したユウキは立ち上がり謎の妖精をみる。
「ありがとう!通りすがりの妖精さん!」
ユウキは笑顔で感謝を伝える。
謎の妖精もそれに答える。
「どういたしまして……二人とも状態異常があれば言ってくれ、治すからな」
「大丈夫、それには及ばない……それより貴方本当に何者?」
リーファは感謝の気持ちもあるが、疑問も強かった。
圧倒的な強さなのだが、こんな外観の人物の噂は聞いたことがないからだ。
普通こんなプレイヤーがいたら嫌でも目立つだろう。
「……プーカの<イノセンス>だ」
謎の妖精<イノセンス>はフードを外す。
確かに出てきた素顔にはその証の角と白髪があったためプーカであることが確認できた。
しかし、リーファは顔をしかめる。
「<イノセンス>……?どっかで聞いたような気がするんだけどなぁ……」
「……だが俺は昨日始めたばかりだ、気のせいじゃないのか?」
「は!?嘘でしょ流石に!」
昨日始めた人間がこんな恐ろしい強さなわけがないと、リーファは否定する。
「本当なんだがなぁ……」
イノセンスは苦笑する、まあSAOのデータが一部分コンバートされているため強ち間違いでは無いかもしれないが。
「というか、思ったよりずっと若いし……ビックリだよ」
「このローブの効果でな、まあこれで出自はバレないと」
「それは確かに強みかも……ってお礼したいけどこんな所いたらあれだし移動しなきゃ!」
「ああ、そうだな」
リーファの言葉に頷くイノセンス。
「ほら、ユウキちゃん行くわよ!ここモンスターも何だかんだいるし……ユウキちゃん?」
リーファはユウキに声をかけるが返事がない、疑問に思って振り返ると。
「……ほぇ……」
イノセンスを見ながら頬を染め、乙女の顔をしたユウキがそこにいた。
原作死亡者がメインヒロイン……一理ある。
と言う事でALOにおきましてはメインヒロインは<ユウキ>になります!
この世界はifのため、ユウキはHIVに感染しておりません。
代わりに別の何かはあったりなかったりしますが命に別状はありません、ご安心を。
現実では距離の関係もあり、サチが一番ヒロインとして強みがありますが。