ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

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再びALOからリアルに、そしてGGOに向けてあの娘を出します。
因みに現在の稲生くんは年齢18です。


揺れ動く陰謀とPTSD

レクト社にてALOを運営している<レクト・プログレス>……そこに携わりある研究をしている男がいた。

名は<須郷伸之>と言う。

 

「現在の時点では、原因の究明が出来ていません……我々も全力を尽くしていますが……」

 

「いえ……須郷さんのせいではありませんよ……全ては娘をこんな風にした大罪人!茅場晶彦が悪いんです!」

 

彼は今だに意識が戻らない300人のプレイヤーの家族に、謝罪や現在の状況報告をしていた。

 

「彼に対しては私も怒りを隠せません……!その気持ち、お察しします……」

 

「その言葉、痛み入ります……須郷さんはいつでも私たちの味方でいてくださって、ありがとうございます」

 

須郷は家族の言葉に当然と言った感じに返す。

 

「もちろんです、我々<レクト>は<アーガス>被害者皆さまの味方であり続けますから……それでは失礼します」

 

最後に礼をして須郷は外に出ようとしたが、病室のドアから車椅子に乗り現れた<紺野木綿季>と鉢合わせる。

 

「……やあ、木綿季さん……お姉さんの事、何も出来なくてすまない……必ず僕たちがなんとかするからね?」

 

須郷は出来る限り優しく話し掛けるが、木綿季は無言で横を通りすぎて姉の<紺野藍子>の元へ向かう。

 

「……チッ……そうだよね、簡単には信用して貰えるとは思ってはいないよ、だけど必ずなんとかしてみせるからね」

 

須郷は病室を出ていく。

すると両親は木綿季を怒る。

 

「木綿季!何で挨拶もしないんだ!須郷さん困っていただろう!」

 

「どうして貴女はいつもそうなの!」

 

両親が怒鳴るが木綿季は黙って藍子を見つめている。

二人は、さっさと諦めて外へと出ていった。

一人残り、藍子を見つめる木綿季は藍子に話し掛ける。

 

「父さんも母さんも何も分かってない……あの人は私たちもお姉ちゃんも見てない、助ける気なんてないよ」

 

木綿季は藍子の髪をすく、心なしか綺麗になったように感じる。

木綿季は微笑んで藍子に伝える。

 

「あのさ、お姉ちゃん……あのお姉ちゃんも知ってるイノセンスさんがね!私たちのお兄ちゃんがね!お姉ちゃん達を助けてくれるんだよ!……これ絶対だからね!」

 

今の言葉を受けて、藍子が微笑んだ様に見えた。

 

「お姉ちゃん……待っててね、絶対お兄ちゃんと助けに行くから……それまで待ってて!」

 

木綿季は藍子の手を握り、しっかりと伝える。

彼女の元まで届くように。

 

 

 

 

 

 

 

「……ケッ、だから餓鬼は嫌いなんだよ……ああいう態度を平然ととるから……なっ!」

 

須郷はあの後自らの研究所に戻ってきていた。

手元にあるナイフを投げつけ、木綿季の写真に刺す。

「荒れてますなぁ、須郷主任」

 

「五月蝿いぞ、今イライラしているんだ……さっさと報告しないとこれをお前に刺すかもしれないぞ……!」

 

苛立ちに満ちた表情で部下を睨み付ける須郷。

彼は表では猫を被り、裏ではこのように短気で粗暴かつ野心家だった。

そんな彼こそが、ナーブギアに細工をして300人のプレイヤーを意識のみ拉致し……人間の記憶・感情・意識のコントロールの研究の実験台にして……己の研究の糧にしている張本人だった。

 

「そ、それは止めてください……死にますので……で報告書と気になった事を伝えますね」

 

「そうしろ」

 

部下は気になった事を読み上げる。

 

「今日、一人の被験者があるキーワードを強く意識するようになったのですが……それがなんと<イノセンス>だそうです」

 

「何……?<イノセンス>だと?」

 

須郷もそれには覚えがあった。

あの自分の憎きライバル茅場晶彦を倒し、SAOを終わらせた英雄……その名だったはず。

 

「その被験者は女の子ですからね……もしかしたら恋仲だったりしたのかもしれませんね、かの英雄と」

 

「そうか……?」

 

確かにその路線も無いとは言いきれない、しかしそれをはっきり意識するにはタイミングが不自然すぎる。

須郷はイノセンスを危険な存在では?と感じ始めていた。

しかし。

 

「まあ、大丈夫か……あの男を倒したとしても所詮<人間>……この僕<妖精王オベイロン>に敵う処か……目の前にたどり着く事さえ無理だろう……クククッ」

 

慢心……驕り……油断、彼はまさにそう……慢心王だった。

 

「まあ、僕は色々と忙しいからね……会う事も無いだろうな」

 

須郷はALOについての会議案などで出張にでるため、しばらくここを空ける。

 

「ま、精々足掻くといいさ、<英雄くん>」

 

そう言って報告書をまとめて、須郷は研究所を後にした。

 

 

 

 

 

 

「はっくしょんッ!……ズズッ、誰か俺の噂してやがんな?」

 

正直心当たりが山のごとしなので、直貴は考える事を止めた(二回目)

昨日はあの後、何かあったのかやたらと落ち込んでいたリーファが飲み会に参加して、ユウキと暴れまわるなどしたあと嵐のようにログアウトしていき、後かたずけはマスターとイノセンスの仕事とあいなり、アリシャとはかなり仲良くなった……頬にキスされるくらいには。

 

「……柔らかいんだな、女の子の唇は……」

 

今さらになってドキドキしてきた。

直貴は高まる鼓動を抑えつつ、商店街を歩いていた。

 

「……今日はカレーか……肉じゃがか……それが問題だ」

 

今日の夕飯の献立を考える、どちらも材料が似通っているのでたまに迷う……。

 

「カレーにしようかな!この間、東条が肉じゃがご馳走してくれたしな」

 

直貴は何となくそれにデジャブを感じたが、この際気にしなかった……味は美味かったです。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうね!!」

 

「此方こそいつも助かってますわ、また今度きます!」

 

馴染みの店で大分良い買い物をした。

 

「値段のわりに良い物売るよな……あそこは此れからも贔屓にしようかなっと」

 

直貴は気に入った店はメモをするようにしている、そうすれば何かあった時役に立つかもしれないからだ。

商店街を出てある程度進むと公園があり、直貴は何気なくそれをぼんやりと見つめる。

走り回る子供たち、ベンチで読書している学生。

良くある光景だが、そこに介入してきたその場に不釣り合いな<モノ>を持った男子学生がきた。

 

「アイツが持ってるのは<トカレフTT-33>?……まあエアガンだろうが」

 

楽しそうにその男子学生を取り囲む子供たち、学生は鳴いていたカラス目掛けて発砲した、すると弾は着弾しカラスが落ちてきた。

恐怖した子供たちは一気に逃げ出し、学生は笑っていた。

 

「あの男、相当悪趣味だな」

 

直貴はその学生に嫌悪感をしめす。

そして、同時に気づく。

ベンチに座っていた女子学生が酷く震え恐怖し、泣きじゃくっていることに。

 

「! おいアンタ!!今すぐそこから出ていけ!!」

 

直貴は男子学生に対して叫ぶ、しかし向こうは訳がわからない様子だったので近づき女子学生の様子を指し示す。

男子学生はしまったと言う顔をしてその場を逃げ去った。

直貴は女子学生に近づき、話し掛ける。

 

「キミ<PTSD(心的外傷後ストレス障害)>なんだな?」

 

<PTSD>は何かしらの強い精神的ストレスによりトラウマが発生しそれ以後、それに類似する状況、物、人をみて発作的に精神状態が不安定になる精神的疾患である。

この女子学生もそれに該当し、先程の状況、或いは物を見てこの状態になったと思われる。

 

「いや!もうやだぁ!許してぇ!私は貴方を!!」

 

女子学生は泣き叫ぶ。

 

「殺したかったわけじゃない!!」

 

「!!」

 

これを聞いて分かった、彼女は過去何かしらあり銃で人を撃ち殺したのだろう。

それがPTSDの引き金になっているのだ。

暴れる彼女をみていられず、直貴は抱き締める。

彼女は直貴の胸を強く叩き、しがみつき、すがる。

ただただ否定と懇願を繰り返す彼女を、直貴は落ち着くその時まで抱き締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、落ち着いた彼女はうつむき、黙りになった。

直貴はココアを買ってきて彼女に渡す。

 

「熱いから、気をつけろよ」

 

彼女は直貴の言葉に反応し、少し顔を上げてから頷きココアを受けとる。

直貴はそれを見て安心すると、何気なく買った<エメラルドマウンテン>を開けて一口のむ。

彼女も、ココアを息を吹き掛け少し冷ましてから啜る。

互いに一息ついてから彼女は喋りだした。

 

「ごめんなさい、見ず知らずの貴方に迷惑をかけてしまって」

 

「ああなったら誰だってどうにもならない……仕方ないさ……」

 

直貴は彼女の謝罪に、そう答えた。

その返しに興味を持ったのか、彼女は直貴に問う。

 

「知り合いに私の様な人が?」

 

「いや……俺自身だよ」

 

「えっ?」

 

彼女は直貴を意外そうに見る。

 

「意外だね……そう言うの無さそうに見えたのに」

 

直貴はコーヒーを啜り、自分の過去を話す。

 

「昔、俺の兄貴が目の前で病気で亡くなったんだけどさ……その時吐血が顔にぶっかかってな……その日から血を見るたびに駄目になった」

 

「……」

 

「手を切って血が出るのが嫌で包丁持てないし、怪我して血が出た人見て発作起こしたりして、テレビ越しや絵でも駄目だった」

 

病院関係全滅さ、と直貴は苦笑する。

 

「……そんな状態からどうやってそこまで?」

 

「ああ、ある日突然親父が空手を習わせに道場に連れていってな……地獄のシゴキで根本的に精神改造されたよ……別のトラウマが出来そうだったわ……」

 

「う……うわぁ……可哀想……」

 

青い顔をする直貴に、彼女は哀れみ同情する。

 

「だが、だからこそ今の俺がある」

 

直貴はすぐに笑顔に変わり、彼女を見やる。

 

「だからさ、キミもあえて修羅場に身を置いてみるのも手かもよ?」

 

「……実際克服出来た貴方の言葉だから、最もなんでしょうけど……」

 

「……別に空手をやれとは言ってないぞ?」

 

「えっ?わ、分かってたわよ?」

 

真剣な表情から一変して焦る彼女を見て直貴は微笑む。

 

「まあ、キミと俺は状況が違うわけだから参考になるかは分からないが……頼ってくれて良いよ?」

 

「頼……る……?」

 

 

「キミなんとなく昔の俺みたいに、自分だけで何でも何とかしようとするタイプな気がするから……何となく雰囲気が大人びてるし」

 

彼女は図星を刺されギクッとする。

 

「良い……のかな?……私頼っても……?」

 

「良いよ、もちろんさ……誰だって一人じゃ生き辛いもんだよ?」

 

笑って彼女に手を差し出す直貴。

 

「俺は稲生直貴、18歳……よろしく」

 

「……朝田詩乃……16歳……よろしく」

 

手を握る彼女<詩乃>は気恥ずかしそうに目をそらし空いた手でマフラーを握った。




と言うわけで詩乃さんと知り合いになった直貴君も、一時期PTSDだったんだよ!!(ナ,ナンダッテー

そして、須郷さんはなんと言うか茅場晶彦から一転、ガチで悪役です!……いやストーリー的にそうならざるをえないだろと言う(笑)

詩乃さんの本格ヒロイン化はGGOまでお預けですが……ご期待下さい!(マグロッ
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