ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

30 / 51
SAO最強vsALO最強

勝つのは最強ですね(笑)


Crusade~猛炎の将~

互いに睨み合う両雄、視線での戦い。

どちらが先に動くのかを他のプレイヤーは固唾をのんで見守る。

しばらくして太陽の光が<魔剣グラム>に当たり光が反射しイノセンスの視界を奪う、ユージーンがこの隙を逃すはずが無かった。

 

「けえぇぇッ!!」

 

「チィッ!」

 

ユージーンの斬撃をイノセンスは受けようとするが、何と刃がすり抜けてイノセンスにダメージが入る。

イノセンスがこの世界に来て<初めて>受けたダメージであった。

 

「ぐッ……こいつが<エセリアルシフト>か……恐ろしいな」

 

「フフッ、光栄だな……英雄に誉められたグラムは……さぞお喜びだろう!!」

 

<魔剣グラム>には<エセリアルシフト>と呼ばれる、攻撃時に刃が相手の防御をすり抜ける<エクストラ効果>があるのだ。

これにより、ユージーンは数多の剣士を葬ってきた。

その魔剣を持ち再び全力で斬りかかる、しかしイノセンスは今度は避けて柄に手をかける。

ユージーンはそれを見て最初と全く同じ対応をしたがそれはミスだった。

イノセンスは刃で斬ったのでは無く柄頭(つかかしら)で腹を殴ったのだ。

衝撃で呻くユージーンの側頭部に空手仕込みの蹴りを鮮やかに決めて吹き飛ばすイノセンス。

それを辛くも踏ん張り、魔剣を構え直す。

 

「クゥッ!リアルで何かやっているな?」

 

「空手で地獄みたくらいかな?」

 

「それは納得だ……なぁ!」

 

ユージーンは先程のイノセンスとの切り結びで一つ学んだ、フェイントを加えてより高度な立ち回りをするようになり始める。

 

「フハハッ!面白い!ここまでお互いを高め合うことが出来る物なのだな!戦いは!」

 

「今まで頂点に居すぎて忘れていたんじゃないのか!?」

 

「この世界にお前ほどの男はいなかったのだ!」

 

ぶつかり合いしのぎ合う、ユージーンはかつてない程闘いを楽しんでいた。

 

「このまま互いに力尽きるまでやろうか!?」

 

「そりゃあ、魅力的なお誘いだ……だが」

 

イノセンスはメインメニューを開く。

 

「あまりゆったりしてられない身でな!!」

 

この世界で購入した黒に桜の装飾をされた業物の太刀<夜桜>を片方に装備し、逆手にもつ。

 

「に、二刀流!」

 

イノセンスがSAOにて使っていた、切り札<二刀流(裏)>。

イノセンスの真の本気である。

 

「これに耐えきれるか!?ユージーン!!」

 

イノセンスの両目が輝き、高速で接近……ユージーンは斬りかかるが防がれる。

 

「なっ!?」

 

「<エセリアルシフト>は二つ防御があると防げるみたいだ……なぁ!!」

 

魔剣を弾くイノセンス。

反動で固まったユージーンを二刀流で滅多斬りにする。

 

「ぐおおおああぁぁぁ!!」

 

HPを半分削りきって、鎧の効果である火の壁<バーン>が発動してユージーンを守る。

 

「まだだぁ!」

 

ユージーンは反撃のため早めに出せる突きを使う、しかし突きは隙もデカイ諸刃の剣。

通常の二刀流より防御が得意な二刀流(裏)には突きは寧ろ悪手だった。

 

「ーーーッッ!!?」

 

「楽しかったよ、俺も……だがさ!再戦はまた今度な!!」

 

イノセンスに難なく回避され、再現ソードスキル<絶>により11回連続で斬られてユージーンは敢えなく爆死した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユージーンが敗北したのを見ていた全プレイヤーはそれをただ呆然としていたが。

ハッと意識が戻ったサクヤが叫ぶ。

 

「お……お見事!凄まじき戦いぶりだ!!」

 

「! いや、マジでスゴすぎじゃん!!イノセンスくん!結婚しよぉ~!!割りとマジでにゃー!!」

 

するとそれをきっかけにその場の全プレイヤー達は意識をもどし、誰もが彼を称賛した。

負けたはずのサラマンダー達も感動したのか叫んでいるものもいた程だった。

強さに種族の境界はない……まさにこれはそれを体現していた。

 

「パパ、衰えてませんでしたね♪」

 

「流石イノセンス!相変わらずあんたは化け物よ!!良い意味で!!」

 

「お兄ちゃん……ボクもお兄ちゃんみたいになってみせるよ」

 

この三人はもちろん彼を信じて待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

この勝利の結果、ユージーン自らシルフとケットシーから手を引くと誓い誓約書まで書いてくれた。

彼は帰る時に再戦を忘れるなよとイノセンスに念を推していた。

これにより、滞りなく会議は終わり……シグルドは<追放>され、宣言通りリーファによりバラバラに引き裂かれた。

 

「平和だ……」

 

現在<スイルベーン>はシルフ、ケットシー合同でお祭り騒ぎであった。

魔法の花火が打ち上がり、歌を歌い、ダンスを踊った。

かつてSAOでは祭りは実益を求めるもので、真に楽しめたのは数える程度……イノセンスは今、平穏を味わっていた。

 

「おや、こんな所にいたか……捜したよ」

 

「サクヤさん、俺を捜してどうしました?」

 

サクヤはイノセンスを見つけてホッとして隣に座る。

 

「少し……話せないか?」

「もちろん、大丈夫ですよ」

 

家の屋根の上で二人並んで花火を見る。

ふと隣を見ると月をバックにしたサクヤがいて、元の美しさも相まってまるでかぐや姫だった。

 

「君と初めて対面した時は、こんな事になるとは思えなんだよ」

 

「そりゃあ、そうでしょう……俺なんて始めて二日目でしたから」

 

「それは最初は絶対嘘だと思ったよ、君の持つその太刀はこの世界に二つとない代物なのだしな……だがいまなら分かるよ……君はかつて英雄で……今なおこの世界でも英雄なのだから」

 

サクヤは微笑みながらイノセンスを引き寄せる。

頬に手をあて……優しく撫でる。

 

「サ、サクヤサン!?」

 

「おや、噂ではかなり女性と関係を持っていたと聞いたからやり手なのかと思ったが……初なんだな……?」

 

「ーーーー」

 

イノセンスは今人生で初めて大人の魅力に釘付けにされていた……動くに動けなかった。

サクヤの顔が近づいてくる。

 

「フフッ……可愛いな……」

 

「行かせるものかぁー!!」

 

「オウフ」

 

イノセンスとサクヤが重なるその手前ギリギリでイノセンスを奪取するアリシャ。

「! アリシャ……貴女か……」

 

「サクヤは酷いなぁ、いたいけな男の子誘惑したりして……今は男に興味ないって前言ってたよねぇ~?」

 

サクヤは、悔しげに歯噛みし、アリシャはイノセンスを抱き締める。

 

「イノセンスは別だ……特別なんだ」

 

「へぇ……サクヤをここまで本気にさせるとは~罪作りぼーいだね、イノセンスくんは♪」

 

「お、俺がいったい何を……」

 

イノセンスは今の状況でかなり混乱していた。

 

「と、とにかく彼をこっちに」

 

「残念!私もイノセンスくんと、話したいからだ~め♪ばいにゃら~!」

 

「あ~れ~!」

 

「あ、待て!くそ、人混みに紛れ込んだな~……泥棒猫め」

 

サクヤは取り残されシュンとした。

 

 

 

 

 

 

 

「はい、飲んで飲んで~」

「まあ、飲みますけど」

 

二人は先程の場所から離れたバルコニーで酒を酌み交わしていた。

 

「いや~やっぱさ~ぁ英雄はモテるねぇ♪昔もモテたのぉ?」

 

「……あんまり否定できない」

 

「ニャハハハ!!何渋い顔してんのさぁ!寧ろ誇りなよぉそう言うと・こ・ろ♪」

 

アリシャは機嫌良さそうに楽しく話す。

 

「まぁ、でもそう言うの嬉しくあるんですけどね……自分にちゃんと魅力あるんだなって思えますし」

 

「そっかぁ♪……ねぇ、イノセンスくん将来もう決めてるぅ?」

 

唐突に真面目な話題をふってきたアリシャ。

イノセンスは真面目に答えた。

 

「将来は……医師になりたいんです、俺」

 

「え、意外ぃ!どうして?どうして?」

 

ゲーム好きなイノセンスはゲーム関連の仕事かなとアリシャは思っていた。

 

「色々ありますけど、一番は兄を病気で早くに亡くしてしまったので……兄みたいな人達を助けたいなぁと」

 

それを聞いたアリシャは納得したように笑う。

 

「お~……それは崇高な願いだねぇ♪是非とも私も応援するにゃ!出来ること少ないかもだけど!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

こう言う明るい態度も彼女なりの気遣いなのだとイノセンスは思った、話をしやすくなるし楽しく感じる。

アリシャは立ち上がりながら言う。

 

「いつか、リアルでも会いたいねぇ♪その時は一緒にお酒飲もぉ!」

 

「はい、そうで……!?」

 

イノセンスはアリシャに答えようとして頬にキスされた。

 

「んふ♪……前のは好奇心、今日のはお礼……次機会あったらねぇ、口にしたげる!ばいにゃら~♪」

 

アリシャはルンルンとステップを刻みながら去っていった。

彼女は良い人だけど、一生敵わないタイプだとイノセンスは心に刻んだ。

 

 

 

 

 

 

イノセンスはアリシャと別れたあと、散歩中のリーファを見かけたので話しかけた。

 

「よう、暇なのか?」

 

「ん?ってイノセンスか、丁度良かった……話つきあってくれない?」

 

「良いぞ、俺も暇だったんだ」

 

二人は近場のベンチに座った。

 

「あたし、明日試合するよ……お兄ちゃんと」

 

「そっか、決めたんだな」

 

リーファは頷き、イノセンスを見る。

その瞳には決意の気持ちがでていたが同時に不安も見てとれた。

 

「でもさ、ちょっとだけ……心細いんだ……だからさ!」

 

「?」

 

「あたしにも勇気頂戴!あの時のユウキちゃんみたいに!」

 

リーファはイノセンスに身体事向き直り、ジッと見つめる。

 

「……どうすればいいんだ?」

 

イノセンスもリーファに向き直り聞く。

 

「ん……と、ぎゅ、ギュッと抱き締めて!」

 

「オウ!?」

 

リーファは腕を広げ待ちの構えだ。

イノセンスをチラリと見て言う。

 

「ダメ……なの?」

「分かった」

 

「うぁっ……ぁ……」

 

イノセンスはリーファをしっかりギュッと抱き締める。

勇気が分け与えられるように。

次第にリーファも広げた腕をおろしイノセンスの背中に回す。

彼から確かな気持ちを貰えた、リーファはそんな気がした。

 

「……ありがと」

 

「……ガンバ」

 

「……うん」

 

二人は離れる、リーファにもう不安は無かった。

 

「あたし、もう落ちるね……また明日!」

 

「ああ、また明日!」

彼女を見送り……ふと後ろを振り向くと。

 

「うぅ……お兄ちゃんが……とられたぁ……」

 

ボロボロで涙目のユウキがいた。

 

 

 

 

 

 

 

「もう……てっきりボクは二人が付き合ったもんだとばかり……」

 

ユウキはシャワールームで身体を洗いながらそう呟く。

あの後、イノセンスが必死に弁明して誤解を解いたあと……二人で家に戻ってきた。

なぜユウキが何故ボロボロだったのか、それはあのあと一人で特訓をしていたからだ……早くイノセンスに追い付けるように。

 

「特訓の甲斐はあったかな……ただボロボロになったけど」

 

ALOにおいてのアバターはリアル同様に繊細なので、戦闘や事故で汚れたり乱れたりするとその状態を戻すには、ログアウトするか、このシャワールームなのである。

そしてもちろんその間アバターは全裸になるため、扉にはオートロックがかかる(しかし、中のプレイヤーは任意に開けられる)。

 

ユウキは己がアバターを見て、ふと思う。

 

「お兄ちゃんってどんな娘が好きなのかな?……ボクって、異性として意識してもらえるかな?」

 

ユウキは自分がイノセンスの事を好きなのは、既に自覚していた……最初は一目惚れ気味の何かだったが、それがはっきりしたのはリアルで会って自分を認めてくれたあの時から。

だから、彼が自分をそう言う目で見てくれるのか気になった。

どうするか考えて1つ案が出た。

それは強引で、かなり恥ずかしく、はしたない作戦だったが……想いだしたら彼女は止まれなかった。

 

「……よし……!」

 

ユウキは覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

イノセンスは結と、会議を重ねた結果。

 

「やはり世界樹が怪しいですね、パパ」

 

「だよな、となるとやっぱり領主二人に着いていくのが一番か」

 

懸念要素のサラマンダーを退けたため、シルフ、ケットシーともに世界樹攻略に専念するらしい。

それに便乗するのが一番良さそうだった。

 

「その間はどうするかな……」

 

そうなると此方は資金援助して少しでも効率アップしてもらうくらいしかなく、暇になる。

どう暇を潰すか考え始めた矢先に後ろでドアの開閉音がした。

恐らくユウキが出たのだろうと後ろを振り返ると。

 

タオル一枚だけのユウキがいた。

 

「なァッ!!?」

 

「ユ、ユウキさん!?」

 

思わず前を向き、見るのを全力で阻止する。

 

「お、お兄ちゃん……」

 

「ど、どうした?ユウキ?」

 

ユウキは少しずつ近づいてくる。

 

「お兄ちゃんは……ボクを見てドキドキする?」

 

「……え?」

 

ユウキの言葉にイノセンスは固まる。

否、今後ろから抱き締められたのだ、ユウキに。

 

「ボクはね……お兄ちゃんを見るとドキドキする」

 

「……」

 

「好きなの……お兄ちゃん……」

 

「ユウキ……」

 

ユウキが前に回り込んでくる、バスタオルだけのユウキが今……イノセンスの前にいた。

その姿はシャワー後で濡れ暖まっていたため肌が赤みをさしており、少し恥じらっている姿がかなり扇情的だった。

 

「ど、ドキドキする?」

 

「あ、あのなぁユウキ……俺は……!」

 

イノセンスは言葉を紡ごうとしたがユウキに抱き締められ阻まれる。

ユウキの胸がタオル越しに顔にあたり、頭が沸騰しそうなるイノセンス。

ユウキも恥ずかしいが、意識してもらうためただ必死だった。

 

「ど、どう?お兄ちゃん……?意識……する?」

 

その瞬間、プツンっとイノセンスの中で何かが切れた。

そのまま突然ユウキを抱き締めるイノセンス。

 

「ふぇっ!?お兄ちゃん……!?」

 

「だから、最初から今までずっと意識してるっての!!」

 

「……え?」

 

イノセンスは、ユウキをソファに座らせ説明する。

 

「男の子はな、普通女の子を意識するもんなの!俺だって同じさ!ただ、ユウキはお兄ちゃんって呼びたがってたり……ランをまだ助けられてないしな……だから、変に意識しないために自然に振る舞ってただけなんだ……」

 

「え、ええぇぇ!じゃあボク、ああ、何て恥ずかしい事をぉぉ!!」

 

ユウキはソファにに突っ伏し今更ながら恥ずかしがる。

 

「ま、まあだがユウキの俺への想いはわかったよ……そこは、受け止める」

 

「ほ、本当?嬉しいよ!!」

 

ユウキは顔をあげ素直に言う。

 

「ただ、互いに縁はあったがまだ会って数日だからさ……」

 

「あ、やっぱり……?」

 

ユウキは少しションボリする。

「……だけどまあ、これくらいは……」

 

イノセンスはユウキに近づき抱き上げる。

ユウキは驚くが、問答無用で頬にキスをする。

 

「んっ……ふぇ……お兄ちゃん……」

 

「いまは、それで……」

 

「! うん!」

 

ユウキは嬉しそうに笑う。

その笑顔を見てイノセンスもほっとする。

 

「むふふ、パパ……着々とハーレム建設しちゃってますね……どうなりますことやら……♪」

 

今日も結は父の行く末を見守っているのだ。




VFKH(バーチャルファーストキスホッペ)。

普通のファーストキスは誰になりますことやら(笑)


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。