ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

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VSオベイロン

そして、彼には更なる進化が待っていた。




新なる解放~unchain~

相対するイノセンスとオベイロンは睨み合う。

互いに既に話し合う余地はない。

 

「見くびっていた……只のガキだと思っていたが、これ程とはな……部下からの報告には感謝せねばなぁ」

 

「あんたが、こんな真似をしたのか?」

 

「ああ、その通りさ……総ては僕がより羽ばたくため、より強い力を得るための尊い犠牲さ」

 

「須郷!!やっぱりお前がお姉ちゃんを!!絶対に許さない!!」

 

オベイロンの言葉により怒りを強くするユウキだが、拘束され動けない。

オベイロンは剣を抜きユウキに突き刺す。

 

「アガァッ!?」

 

「煩いクソガキが、前々からこうしてやりたかったよお前は」

 

「止めなさい!ユウキちゃんだいじ」

 

リーファが呼び掛けようとするが、オベイロンから殴られ言葉が中断される。

 

「ッ痛!!何で!?」

 

「もちろん管理者権限で僕の攻撃には実際の見た目通りの痛みがあるからさ、分かったらそこのガキ同様に大人しくしてることだなお嬢さん」

 

ユウキは痛みにより完全に気絶仕掛かっていた。

イノセンスが嫌悪で顔を歪ませる。

 

「随分えげつない事をしやがる!」

 

「僕はな、イノセンス……一番が好きなんだ、No1だ!そうなるためにはこうして……邪魔なものは排除するのがベストだっ!」

 

更にオベイロンは管理者権限を使いイノセンスに何十倍もの重力をかける。

 

「ぐっ!!」

 

「クフハハハッ!!良い格好じゃないか……イノセンスゥ……ククッ」

 

地面に押し付けられ痛みに呻くイノセンスを嘲笑うオベイロン。

 

「……にいちゃ……ん」

 

「イノセンス!」

 

「さてと、お次にやっておくべきはこれだな」

 

そう言いながらイノセンスに近づき、腰から<神刀キンシ>を取り上げ抜き出し、刃を握る。

 

「! や、やめろ……それは……!」

 

「無理だな、これは厄介な代物な上にお前の大事な物……なんだよなぁ……ならば壊す意外なんの選択肢がある!!」

 

そう言って、オベイロンは管理者権限で引き上げたSTRでキンシを叩き折る。

イノセンスの大切な相棒であり、リズベットとの思い出の刃がいとも容易く折られ、柄だけイノセンスに投げ当てる。

 

「フハハハ!貧弱貧弱ゥ!!これが<神>とは笑わせる!!」

 

「ひどい……」

 

「何て奴なの……」

 

「大人しくしていろと、言ったろぉが!!」

 

オベイロンは二人を斬りつける。

 

「イタイィッ!」

 

「ヒギィッ!」

 

「だから言ったのに、話を聞かない小娘どもだ……」

 

「須郷……やめろ……それ以上は……!」

 

イノセンスは額に青筋を浮かべながら叫ぶ。

それを見たオベイロンはあろうことか、こんなことを言い出す。

 

「そう言えば、イノセンス……このガキどもとは仲が良かったんだよな?ならば面白い事を思い付いた……今から、お前の前でこのガキどもを順番に犯す」

 

「……えっ、いや、やだ!やだぁ!」

 

「……ふざけないで……!」

 

「ふざけてなどいないさ、割りと本気だよ……僕は快楽を味わえる、イノセンスは屈辱に心を折る……一石二鳥で最高じゃないか……えぇっ!!?」

 

オベイロンが剣を振ると、二人の装備が斬られ肌が露になる。

 

「ヒイッ!!助けて!!助けて!!お兄ちゃん!!」

 

「嘘!?そんな……イヤァァ!!」

 

「須郷ゥ……須郷ゥゥゥ!!」

 

「ヒャハハハハ!!そのまま屈辱を受けたまま、這いつくばっていろ、英雄には似合いの最期だ!!」

 

イノセンスの中で、初めてはっきりとした憎悪、殺意などの負の念が身体中をのたうちまわる。

 

「(殺す!確実に殺す!今殺す!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!)」

 

頭がそれで一杯になり、何も考えられない。

そして、冷静な判断が出来ない所か身体も全く動かない。

 

「(何故動かない!今動けないでいつ動くんだ!立てよ!立てよ!頼むから!!)」

 

いくらもがけど身体は動かず、視界がブレ始める。

イノセンスの意識が闇にとけ始める、その瞬間……<神>は彼を見放さなかった。

かつての相棒の柄から、光が漏れだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、ここは……? ッ! アインクラッド!!」

 

彼が目覚めた時には、空の上から浮遊城<アインクラッド>を見下ろしていた。

 

「負の念を取り込み、殺意に振り回されてはダメだ……それは君の信念に反することだぞ……<稲生君>」

 

「茅場……晶彦……」

 

そして、死んだはずの彼……<茅場晶彦>がイノセンスの前までやってきた。

 

「何故あんたが?」

 

「私は確かに君との勝負の後、自らの脳を焼き、死んだ……だが私の人格のデータを残すことにより、こうして電脳の存在として確立した」

 

茅場晶彦はイノセンスにそう答え、肩に手を置く。

 

「そして暫くネットの中をさ迷っていた所に、この子に呼ばれたのだ」

 

「キイィィ!」

 

「キ、キンシ!」

 

鵄の姿で肩に止まってくるキンシ。

 

「いいかい、稲生君……君のその力は君自身の本能の強さにより、まだまだ進化する……君の本能は<生きる>事……<殺す>事じゃない……むしろ正反対な性質のそれは、君の力を弱くするだけだ」

 

「そんな……そうだったのか……ならば俺が本来考えなければいけなかったことは……」

 

「そう、<生きる>ことだ……助けたいのだろう?閉じ込められた300人のプレイヤー達、勝ってくると誓った仲間達、そしてあの二人を!」

 

茅場晶彦は珍しく強い語気で言い聞かせるように話す……イノセンスにはそれが、まるで……。

 

「……兄貴……」

 

「フッ、彼の代わりにはなれんだろうが……こうやって彼のように君に伝える事は出来る」

 

そう言って茅場晶彦はイノセンスの頭を撫でる。

 

「<生きろ>!!<直貴>!!お前を縛る物なんて引きちぎってでも自分の信念を貫いてみせろ!!それが私を倒したものの務めだ!!」

 

「ーーーー」

 

茅場晶彦の言葉に身体が一気に軽くなってくる。

自分の中で抑えられていた物が解放される、そんな感覚だ。

今ならば何者にも負けない気がする。

 

「これでもう大丈夫だ、行ってきなさい……そして彼を止めてやってくれ、あれでも私の後輩なのでね」

 

茅場晶彦が立ち去ろうとするがイノセンスは呼び止める。

 

「待ってくれ!」

 

「……何かね?」

 

「……また、何処かで会えるかな?」

 

イノセンスの聞き方が何となく幼い、茅場晶彦からみて彼はまるで本当の弟のように感じた。

 

「……さあな、それは約束できない……が、君がVR世界に関わる限りまた会うかもな」

 

そう言い残し、彼は去った……イノセンスは気合いを入れ直し、強く……強く願う。

 

「生きる、生きてみせる!例え何が立ちはだかっても……俺は自分の生き方を貫いてみせる!!応えろ!!俺の牙!!」

 

自分の思考クリアになり、思考が加速する……それに加えさらに身体が羽のように軽くなってくる。

世界が元に戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはお前だ、クソガキ……生意気なお前を滅茶苦茶にしてやるよぉ!!」

 

「やだぁ!!助けてぇ!!」

 

オベイロンがユウキに手を出そうとしたその瞬間オベイロンの肩が何者かに叩かれる。

 

「! な、何うぐおぁ!!」

 

驚いて振り向いたオベイロンに拳が突き刺さる。

殴ったのは先ほどまで突っ伏していたイノセンスである。

 

「お、お兄ちゃん!」

 

「イノセンス!良かった!」

 

彼が助けに来てくれたことを喜ぶ二人。

オベイロンは痛みに顔をひきつらせながらイノセンスに叫ぶ。

 

「何故!?何故立ち上がれた!先ほどまで虫の息で、重力にも負けていた貴様がァ!!」

 

「あんたが折ったキンシのお蔭で久方ぶりにあんたの先輩に会ってきたんだ、そしたらこうなってな……さっきから身体が軽いんだ」

 

イノセンスは自らの瞳を指し示す、瞳は金色に輝いていた。

 

「! 茅場ァ!あくまで僕の邪魔をするか!!……良いだろう、ならばもう一度ぉ!」

 

オベイロンはあらゆる管理者権限を使い、イノセンスを蹂躙しようとするが……全く効いていない。

 

「馬鹿な!?」

 

「何者も今の状態の俺を縛ることは出来ない……進化した本能の牙の力だ」

 

「お兄ちゃんまだパワーアップ出来たの!?」

 

「とことん化け物なってきたわね、あんた……まあそれでこそって思うけど♪」

 

今のイノセンスには管理者権限が通用しない、なので自力での戦いになるわけだ。

そこに気づいたオベイロンは叫ぶ。

 

「クククッ!良いだろう!戦ってやろう、正々堂々な!!」

 

彼は<聖剣エクスキャリバー>を抜く。

 

「言っておくが、僕はゲームも得意だ!それにこの最強武器エクスキャリバーもある!比べてお前は得物なしだ!どうするんだおい!」

 

「得物ならあるさ」

 

イノセンスは二人に近づいて、武器を借りる。

 

「ちょっと借りるぞ」

 

「もちろん!」

 

「寧ろ私らの分までやっちゃって!」

 

リーファの武器である長刀<エルバ>、ユウキの武器である片手直剣<フィオーレ>を片手ずつ装備する。

 

「さぁ、やろうか……須郷……いや、妖精王オベイロン!」

 

「ふん!!頭数揃えようが!!」

 

オベイロンが斬りかかってイノセンスがいなす、確かにオベイロンはALOプレイヤーとしては一般より上なのかもしれないが、相手はあのイノセンスである……実際は勝負が見えていたと言える。

 

「オラァ!!」

 

「ぐえぇっ!!く、くそ!」

 

オベイロンが飛び上がるが、イノセンスも飛び上がる。

その早さはオベイロンより、遥かに上だった。

 

「なにぃ!?」

 

「遅すぎんだよ!!」

 

オベイロンは二つの刃に斬られ、地面に叩きつけられる。

 

「つ、つよい!!これが……茅場を倒したイノセンスの力ぁ!?」

 

「さてと……あんたが大したこと無いと分かった以上長引かせるのは、300人のプレイヤー含む待ってる奴等に悪いからな!決めさせて貰うぞ!!」

 

地に降り立ったイノセンスは構えをとる。

オベイロンを確実に倒すため、自ら編み出した技で。

 

「<剣界(けんかい)>!!」

 

まず短刀スキル<烈>で瞬時に2回斬りつけ上に浮かせ、高速で剣を振るい剣圧を飛ばし両手鎌スキル<ギロティン>を再現して、5回斬りつけ、落ちてきたオベイロンに8回斬撃の短刀スキル<絶>で滅多斬りにする。

 

「終わりだ!!オベイロン!!」

 

「うげえぇぇぇぇ!!」

 

ぶっ飛び、壁に叩きつけられるオベイロン……すると突然元に戻る空間。

それと同時に仕事をやり終え、SAO時の姿になっている結がイノセンスに抱きついてくる。

 

「パパ!!」

 

「結!その姿懐かしいな!」

 

「結ちゃんってあんな感じだったんだ」

 

「まあ、確かにこれなら娘って感じはするわよね……って拘束解けた!」

 

二人の拘束も解けた、あとはオベイロンだが。

 

「くくく……どうやら殺しきれなかったみたいだなぁ……!」

 

「ああ、俺にはお前を完璧に倒す意味はない……今頃リアルでどうなってるかな?」

 

「……何だと?」

 

オベイロンの疑問にイノセンスは答える。

 

「俺をここに送りこんだ総務省が、既にリアルのあんたを取り囲んでいるだろうって言ってんだが」

 

「何だと!?」

 

次の瞬間にオベイロンは強制ログアウトした。

恐らくアミュスフィアを外されたのだろう。

 

「……終わったの?」

 

「ああ、終わったんだ」

 

「既にSAOサーバーに閉じ込められていた人達は解放されているはずですよ!」

 

「なら……お姉ちゃんも……!」

「迎えに行こう……だがその前に二人はこれでも着とけ」

 

「「あっ……」」

 

結の報告を聞き笑顔になるユウキ。

だがイノセンスはとりあえず二人の格好が危なかったので、服を着せた。

 

「あ、ありがとうお兄ちゃん」

 

「た、助かった」

 

「どういたしまして、んじゃ行くか……今大好きな妹連れてくぞ、ラン」

 

三人は世界樹を後にし、仲間達に報告後にログアウトした。




と言うことで本能の牙第二段階にシフトして、イノセンスに対しての言動を制限する干渉は無効に出来るようになり、身体能力(モチロンリアルでも)が上昇するようになりました。

第一段階もそのまま使えますので、いよいよ人外染みてきました。

ALOはあと一話のみですので、頑張りますよ~。

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