ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-   作:新世界のおっさん

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新キャラ+バイト回。

今回は原作キャラがあまり出ませぬ(--;)


ナオキのごとく

夏休みに入り、リアルもゲーム内も盛り上がる時期。

普段の稲生直貴ならば、ALOに突貫して仲間と盛り上がったり、今後の成績をより磐石にするため勉強したり、肉体を衰えさせないために鍛えたりしていたはずなのだが……。

今年の夏休みは違った。

 

「此処が伯父さんの運営してる店か……」

 

父親からの紹介で伯父さんが困っているから助けてやってくれと頼まれた。

お店の手伝いらしいが、バイト代も奮発してくれるらしくお小遣いが欲しかった直貴には行く価値があった。

一ヶ月の短期バイト、頑張らねばと気合いを持って店の扉を開ける。

中は西洋風で少しゴージャスな内装、かと言ってセレブの入る店ってわけではなくごく一般的な<メイド喫茶>らしい。

 

「あの、すいません!店長の稲生正則さんいませんか!?」

 

件の伯父<稲生正則>を呼んだのだが、出てきたのは一人の少女だった。

外見としては茶髪を三つ編みで一つに纏めて左肩から垂らし。

瞳の色も茶色で凛りしい目付き。

女の子としては身長が高く175cmはある。

そして服装は店が店だけあり、ピンクを基調としたメイド服であった。

少女はポーカーフェイスで淡々と応対する。

 

「申し訳ありません、お客様……現在店長は急ぎで仕入れが必要な物が出たそうで買い出しに向かっていまして」

 

「ああ~そうか、なら待たせてもらっても良いかな?」

 

どうやら伯父は留守らしく、致し方ないので直貴は中で待たせてもらえるか聞く。

少女は少し考えてから直貴に質問をした。

 

「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?電話で店長に確認を取らせていただきますので」

 

「いいよ、教えるくらい……俺は稲生直貴だ」

 

「ーーーー」

 

少女は今まで冷静に応対していたが、驚愕で目が見開かれる。

 

「どうした?」

 

「……いえ、そちらのテーブルで少々お待ちください」

 

「わ、わかった」

 

少女は直ぐ様先程のポーカーフェイスに戻り、奥へ向かった。

とりあえす待つ事にした直貴は椅子に座っていると、メールがきた。

相手は直葉で、今日からインターハイのため合宿に入るらしく、しばらくイン出来ない事と、会えなくて寂しい旨が書かれていた。

 

「(あれから逐一メール送ってきたからな、メール欄が直葉でいっぱいだよ)」

 

今後も増える事が予想され、苦笑する直貴。

とりあえず、今からバイトがある事は書き返信しておいた。

安心し力をぬく……と、油断したところに今度は詩乃からのメールがきた。

内容は今から会えるかな?と言うものだったが、今日はバイトなためその事を返信する。

すると即効で返信がきた、どこでやってるの?と聞かれたのでとりあえず住所を返す。

それから返事が来なくなった。

 

「(絶対こっち向かってるよな……)」

 

分かりやすすぎる彼女の言動には、またまた苦笑する直貴。

そうこうしていると、店の扉が開く。

てっきりもう詩乃が着いたのかと驚き振り返ると、そこには荷物を抱えた見覚えのある少女二人と中年の渋い髭オヤジがいた。

 

「すまないね、夏樹君、美恵君っ!思わず安かったから買いすぎてしまったから助かったよ!」

 

「あ~くそ重かった~!店長マジ最悪」

 

「だめだよ夏樹ちゃん、店長の事をそんな風にいっちゃ……あ」

どうやら彼の髭オヤジが伯父正則であり、店長らしい。

そして、以前図書室であった二人はここのアルバイトなのだろうと直貴は理解する。

そのうちの一人である多木美恵は直貴の存在に気づいたらしい。

 

「って稲生先輩が何故ここに!?」

 

「おお、直貴君!そこにいたのか!電話で聞いたもんだからすっ飛んできたぞ!」

 

「ははっ、お久し振りです伯父さん……相変わらずで何よりで」

 

笑いながら握手する二人。

驚く夏樹と美恵。

 

「嘘!?お、伯父さん!?」

 

「嘘だ!全然似てないし!」

 

「……言いたい放題だね君ら」

 

そう言ってしょんぼりする正則の肩を叩き励まし、とりあえず質問をする。

 

「それで、俺は何をすれば?」

 

正則はハッと気がつき、説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(んでまさかの執事か……メイド喫茶だからてっきり裏方なのかと……まあ、出来るんだけど)」

 

何故直貴が執事になったのかと言うと、最近メイド喫茶にも女性の客が良く来るようになったため、サービスとして執事も導入しようかと試しに募集したが人が来てくれず、思い悩んでいたのを直貴の父親が直貴を奨めたらしい。

故に指名が入ると、直貴が出向くことになるのだが。

 

「(ただ、指名かなり入るから忙しいなこれ)」

 

正則が宣伝していた事もあり、今日は女性客が多く入っている。

そのため迅速に動き、テキパキこなさないといけなくなっているのだ。

必死にやっていたら時間は過ぎ昼前休憩に入った。

 

 

「流石先輩、お疲れ様です!マジかっこよかったです!」

 

「稲生先輩の執事姿、様になってますよ!尊敬します!」

 

「あはは、しかし予想以上の盛況ぶりに店長もタジタジだったな」

 

二人から誉められ、笑いながら話す直貴。

ふと、最初に会った少女がやってくるのが見えた。

 

「お疲れ様です」

 

「お疲れ、裏方頑張ってたな」

 

彼女は、裏で料理を作っていた。

直貴からすれば彼女も美人なのだから、表に出れば良いのにと考えたが、理由があるのだろうと追求はしない。

しかし、気がついたことがあった。

 

「そういや、名前聞いてなかったな……何て言うんだ?」

 

「……<稲生真夜>です」

 

「……え?」

 

最初とは逆で今度は直貴が驚愕する。

 

「真夜って俺の従姉のあの真夜だよな?」

 

「……」

 

直貴の質問に<稲生真夜>は無言で頷く。

 

「いやぁ……何て言うか変わったな、お前……昔と雰囲気も外見も違うから別人かと」

 

「……それはこちらの台詞です、貴方ももう完全に昔の貴方では無くなってしまっています」

 

直貴の言葉に淡々としかし一部毒を含み、返す真夜。

 

「職場では、私の方が先輩です……それを忘れずに、では」

 

言い終わるとさっさと奥に引っ込んでしまった真夜。

夏樹は彼女の言い方がかんにさわった。

 

「真夜さん感じ悪!先輩、気にする事無いですからね?」

 

「き、きっとたまたまイライラすることが有ったんですよ!」

 

励ましてくれる夏樹と美恵を見て直貴は微笑み、頭を撫でる。

 

「大丈夫、最初からそこまで気にしてないからさ……ありがとな、二人とも」

 

「は、はい……」

 

「えへぇ……」

 

夏樹と美恵は嬉しそうに顔を綻ばせる。

 

「さて、一休み終わったし出てくるよ……二人は何か必要だったら俺を呼んでくれ、暇なら手伝うから」

 

そう言って直貴は店の方へと出ていった。

 

「ありがとうございます!」

 

「行ってらっしゃいませ!」

 

夏樹と美恵は彼を見送ったあと、互いに顔を見合わせる。

 

「やっぱり店長や真夜さんとは似てないよな~血縁なのに」

 

「あ、ほら三人とも茶髪、茶瞳だよ?」

 

「そこだけか遺伝子!はぁ、めんどくさいけど先輩が頑張ってるならウチらも頑張んなきゃなぁ」

 

立ち上がり背伸びし、気持ちを切り替えてから直貴を追い掛ける夏樹。

 

「ふふっ、夏樹ちゃんって文句言いながらもなんだかんだ頑張るから私好きだよ♪」

 

美恵は楽しげに呟き、右前髪を弄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞお嬢様」

 

「……この苺のタルトとアッサムのミルクティー……あと直貴」

 

「畏まりました、少々お待ちください」

 

昼のラッシュが終わったタイミングで丁度詩乃がやって来た。

理由は直貴が相手出来るであろう時間を事前にメールしていたからだ。

詩乃が本を見ながら待っていると直貴が注文の品を持ってやってきた。

 

「苺のタルトとアッサムのミルクティーでございます」

 

直貴は注文の品を置き、詩乃の隣に座る。

 

「それで、今回はどんなご用件でございますか?お嬢様」

 

「それやめて、私はいつもの直貴と話したい」

 

直貴の執事スタイルを嫌がる詩乃。

 

「なら、分かったよ……こちらも仕事だからさ、最初は勘弁してくれよ」

 

「そうね、勘弁するわ」

 

直貴が普段の雰囲気に戻ると、詩乃は頭を彼の肩に乗せ、体を預ける。

 

「いつも思うんだけど、直貴ってモテるの?」

 

「何でそう思った?」

 

「抱きついたりとかで直貴に密着すると、直貴のに雑ざって明らかに女の子の匂いがするの」

 

「……そ、そうか……」

 

決して二人はそう言う間柄では無いが、そう言われると自分が悪いことをしている様に直貴は感じた。

詩乃の顔を見るといつもよりムスッとしている様に感じる。

 

「直貴は私を守ってくれるって言ってくれて……今もこうしてくれてるけど、直貴には他にも仲良くしてる人がいて……我が儘だと分かってるんだけど、何か嫌に感じる」

 

「……すまないな、不機嫌にさせちまって……」

 

詩乃の言葉に何か込み上げてきた直貴は、思わず彼女を優しく抱き締める。

先程まで不機嫌だった詩乃の表情が柔らかくなる。

 

「ううん、私が悪いのだから直貴は謝らないで……私はこれだけで幸せなの……」

 

詩乃も直貴の身体に腕を回す。

気がすむまで彼女は抱きついていた。

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった真夜、久しぶりに彼にあって」

 

一方、厨房では正則と真夜が話していた。

 

「お父様、彼も変わってしまいました……お母様と同じように……」

 

「……彼は彼女とは違う、あんな事にはならない」

 

悲嘆にくれる真夜に、正則は否定する。

 

「そんな保証がどこにあるんですか?現に稲生の血統で<あの力>を持った人が何人もお母様の様になってるんですよ!」

 

「……真夜」

 

真夜の言葉に、正則は返すことが出来ない……それは事実だからだ。

 

「お母様に続いて彼もあんな事になったら……私は耐えられません……」

 

「真夜、今日はもう休みなさい……」

 

「……失礼します」

 

力を失った様にふらふらと出ていった真夜を見送り、正則頭を抱える。

 

「直貴君は大丈夫なんだ……彼は強いからな、だが私の気がかりは真夜……お前なんだ……」

 

仕事をしている直貴を見つめる正則はこう呟いた。

 

「頼む……あの子を救ってくれ……直貴君」

 

正則は自らの無力を嘆いた。




と言うわけで、新ヒロイン登場に加えて本能の牙の新たな事実発覚です。

強い力にはリスクがつきまとう物ですが、イノセンスはノーリスクでポンポン使えます。
その理由についてはいずれやります(カギリナクワカラネエ
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