ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts- 作:新世界のおっさん
あ、でもある意味魔法の様な少女はちらりと登場します。
このゲームが始まって2ヵ月になろうとしていた、俺含む六人組(ケイタがギルド名は月夜の黒猫団とかどうだ?と聞いてきたが、とりあえず保留にしておいた)は順調に成長、早くにアニールブレードを取っていたのが幸いし、ダッカーは強いダメージ源になりパーティー戦で活躍、ケイタは諸々の会計的な作業をやってくれてるのでギルドの準備は安心、ササマルは露天で商売をして稼ぎ、テツオは黙々と金策をしている、サチは最近料理を始めているようで密かな(俺以外にはだが)楽しみにしているようだ。
んで俺は<ワイルドバゼラード>と言うAGIブーストの短剣のレアドロップ品のお陰で上機嫌。
「いよいよ、第一層攻略か」
「今までの俺たちの努力が身を結ぶんだな、感慨深い」
緊張した面持ちのケイタ、責任感が人一倍ある男だ。
常に糸目で微笑むテツオ、実直な岩タイプだ。
この二人が実質ギルドのリーダーと副リーダーだろうと感じる、俺は人を纏めるのが苦手だからな。
「何だかんだ俺らも最前線だ、生き残れるかなぁ?」
「安心しろよ、このダッカー様が皆を守るからよ♪」
ササマル、不安そうに見せかけてその目には$マークなイメージ…最近商売に目覚めてきたようだ。
ダッカーはかなりおちゃらけてはいるものの、実力は確かで頭角を現してきている。
「皆…何か逞しくなっちゃって、少し羨ましい…」
「何言ってるんだよ~、サチの方が成長した感があるぜ♪」
サチは<森の秘薬>の一件から、大きく変わり始めた。
積極的に闘うのだ、最初は闘うのが嫌だと安全な位置から槍を突いていた彼女が…前に出て敵を華麗に迅速に排除する。
その変化に対してさながら蝶のようだと表現したら、腕を羽の様にひらひら動かしおどけてみせた。可愛い(小学生並みの感想)
「うぐはぁっ!!」
「「「「「どうした(の)!?」」」」」
「いや…思いだし致命の一撃をもらっただけだから気にするな」
他のメンバーは怪訝そうな表情を浮かべただけだが、サチは思い当たったらしく顔を赤くしていた。
部屋に向かう途中、ふとやってきた睡魔。
ヤバい…猛烈に眠い…不眠不休過ぎたか…?
始まってから…ここまで寝ずにレベリングしてきたんだよな…我ながら無茶苦茶だな…あ…い…しき…が…。
(…貴方は無茶をしすぎです)
誰だ君は…勝手に俺の頭に語りかけないでくれ…。
(…もっと仲間に甘えて良いと思います)
…俺の勝手だよ、それは…まあ今回は俺が悪かったかもしれないが。
(…生きてください、生きて生きて生き抜いてください…そしていつか面と向かって会いましょう)
君は一体…。
(またね…パパ…)
「起きて!イノ君!」
「!!」
突然の大声で意識を覚醒させる。
ああ、俺は夢を見て…不思議な夢だったが…一瞬見えた姿はまるで…。
「急がないと攻略会議に遅刻するよ!」
「! そりゃやべぇ!」
寝すぎたか…急がないと!
夢の事は…また考えよう!
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ヤバいよ急がないと!間に合わなくなっちゃう!
今私は全力で逃げてる最中、背後から犬顔のモンスター<コボルド>の集団が大量に列なって私を追ってきている。
正直逃げ切れる気がしない、私はSTRやVITに大きく偏っておりAGIが低いためすぐに追い付かれる!
ソロで少し慣らしてから風林火山の皆と合流しようと軽い気持ちだったのがいけなかった。
とにかくこのまま背後をとられるとより不利になるので振り返り立ち向かうことにする、その方がまだましに闘える。
呼吸を整えソードスキル<シュトルムヴィント>を放つ、発生したつむじ風に巻き込まれ吹き飛ぶコボルド。
だけど数が多すぎる、最初だけ有利でその後は防戦一方。
「くっ、やんなっちゃうなぁ!」
せめて他に誰か一人でも盾役がいれば状況変わるのに!
ジリジリとHPが減る極限状態の中、私の中を支配するのは<敵を倒す>と言う本能だけ。そうしたら内側から熱い何かが少しずつ沸き上がってきた。不思議と興奮し私は…。
「ウガアアアアアアアアアアァ!!!!」
獣の様な咆哮をあげた。それに怯んだコボルドの群れに飛びかかる。
思考は殺意で埋まり、何も考えずがむしゃらに斧を振るう。
理性から解き放たれ本能のまま暴れる私。
コボルドが抵抗に短剣で斬りつけるが私は全く怯まない、他人事のようだけどリミッターでも外れてるのかな?
スーパーアーマーな私だけどHPは当然減る、暴れる私にはそれを考える余裕がない。赤ゲージの私にコボルドの刃が…。
届かない。
「随分無茶苦茶な娘だな君は、…いやだからこそ面白いな」
赤い鎧に白いマントの出で立ちの騎士が私を守ったのだ。
その瞬間一気に熱さが引いていくのを感じる。瞬間私は焦ってポーションをあおる。闘いに戻るためだ。
「君は後を私に任せ引き上げたまえ、急いでいるのだろう?」
「えっ、でも」
それは悪いと私は思った。それにもし彼が死んでしまったら私はMPKではないですか。それだけは嫌だった…が。
「安心したまえ私は君より遥かに強い」
事実言うだけあって彼は凄まじく強い、全く敵の攻撃が入っていない、凄い固さ。
「さぁ、行きたまえ 仲間が待っているのではないかね?」
…それは確かで、だから私は甘える事にした。
「ごめんなさい!お願いします!」
「…フッ」
去り際に見えた彼は微笑んでいた、まるで面白いものでも見つけたように。
頑張りたまえ、トトくん。
イノセンスくんやキリトくん共々私を楽しませてくれ。
そしてこのヒースクリフである。
次回はイルファング・ザ・コボルド・キバオウさん(ナンデヤ!
果たして勝機はあるのか…!