ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts- 作:新世界のおっさん
ようやく時間がとれました(´・ω・`)
腕が筋肉痛ですが、頑張って書きました(笑)
恋愛度top3のうち二人が俺妹ヒロインの声優……ウチの直葉さんは何となく口調が桐乃っぽいです、意識してしまってますね(確信)
冷たい風が頬そっと撫でる少し肌寒い日。
直貴は放課後に、学校の屋上にてスマートフォンを真剣な表情でジッと見つめていた。
画面には最新のニュースが映っており、<GGOプレイヤー二人目の死亡者、SAOの再来か!?>と見出しが書かれていた。
「雲行きが怪しいな……」
苦い顔をしながら、昼に話に夢中で食べ損ねた弁当のサンドイッチを手に取り、一齧りする。
サンドイッチを咀嚼しながら、最近癖になっている<エメラルドマウンテン>を、ぐいっと飲む……多少勿体ないが、気分的にこうしたくもなった。
「またお仕事コースかな、これは……っとやっぱり来たか」
噂をすれば影……VR関係のバイトの斡旋をしにやって来る、総務省の男<菊岡誠二郎>からお誘いのメールが飛んできた。
「土曜日にいつもの喫茶にてね、了解っと」
断る理由もないため、メールの返事を直貴が送信すると突然屋上の扉が開かれる。
視線を向けると、扉の前に赤いジャージと紺のジャージ短パン姿の直葉がいた。
「スグ?その格好……と言うか何でお前ここに?」
「ハァ……ハァ……私の学校……創立記念日で休み……部活も同様……!」
「お、おう……そうだったのか」
自宅から走ってここまで来たからか、或いは何かしら<妨害>があったのか、矢鱈息を切らせた状態で直貴に説明する直葉。
少し深呼吸をして息を整えてから、本題を話し始めた。
「……ニュース見て、いても立ってもいられなくなって、来ちゃったわよ……」
「もしかしなくても、GGOでのプレイヤー死亡の話か?」
「そうよ!だって普通じゃないでしょ……ゲームしてたら人が死ぬなんて……!」
直葉は直貴に近づき、彼を抱き締め、顔を胸に埋める。
その表情はうかがい知れなくなったが、様子としてはかなりの不安が見てとれた。
「直貴もGGOやってるでしょ……だからもしかしたらあんたまでそんな事になったらって思ったら……あたし……あたしッ!」
抱き締める力が強くなる、彼女の豊満な胸が直貴の身体に押し付けられて形を変え、女子特有の優しげな甘い香りが直貴を包む。
普通の男子なら理性が持たないだろうが、彼は別だ。
本当に申し訳なさそうに、直葉の頭を優しく撫でる。
「ありがとなスグ、心配して来てくれたんだよな……」
「……当たり前でしょ、<自分の好きな人>が危険かもしれないのにジッとしてられるわけない!」
「……スグ……」
彼女は顔を上げ、涙目だが気を張って直貴を見つめる。
「直葉ちゃんの言う通りだよ、直貴君」
「……幸穂、お前もニュース見たのか」
「皆見てるよ、でも皆で押し掛けたらこんがらがっちゃうから私が代表で来たの……」
不安なげな表情の幸穂は、他の仲間達が皆直葉と同意見な旨を伝え、彼を見据える。
「こう言う事件を解決するのはどうしても直貴君じゃないとダメなのかな?私はそうは思わない……出来れば今すぐGGOに手をつけるのを止めて欲しいくらい」
「それは無理だ」
「ッ!……即答……なんだね……」
直貴の言葉に、表情に陰りが見えた幸穂。
「ああ、多分今回の件……ほっとけば犠牲者は増えつづけるだろう……それを見てみぬ振りは出来ない」
「そ、そうだよね……直貴君はそう言う人だもんね……」
「!? 幸穂さん!どうして納得しちゃうの!?ALOの時とは訳が違うのに!人が死んでるんだよ!」
直葉は幸穂が思いの他早く引き下がった事に驚愕する、そして今度は直貴を見る。
「直貴も直貴だよ!何でそんな強情なのよ!待ってるあたし達の気持ちにもなってよ!バカ!」
彼女は今まさに他の全員が心のそこで思っていた事を、代弁していた。
怒りと悲しさと不安が入り雑じった複雑な感情が直貴に向かうが、彼は揺らがない。
「……すまない、だが俺にも貫きたい信念と守りたい奴等がGGOにもいるんだ……だからスグの言う事は聞けない」
「……ッ!」
直貴は真っ直ぐな瞳で彼女を見つめて、そう言った。
それを聞いて今にも泣き出しそうに表情を歪める直葉。
「し……知らないッ!もう好きにすれば!?バカァッ!!」
そう叫んでその場から逃げ出してしまった彼女の背中を、直貴は複雑な心境で見つめていた。
幸穂は既に瞳を涙で濡らしながらゆっくり直貴に近づき、彼の手をすがる様に握る。
「<生きてよ>……直貴君……」
「<生きるさ>、幸穂……大丈夫だから」
幸穂の言葉に、彼は出来るだけ明るくそう答えた。
幸穂と別れて一人家路につく直貴、校門から出て左に曲がった所で壁に寄りかかって誰かを待っている様子の人物を発見した。
「あ……詩乃」
「! やっと来たんだ、待ちくたびれた」
その人物は詩乃だった。
彼女は直貴を待っていたらしく、ぎこちなく手を握ると彼の手を引く。
「少し……話したい……」
「……分かった」
互いに少し赤面しながら歩き出す。
肌寒かった空気が、一転し二人は暑くてしょうがない。
詩乃は頭を振るってから直貴に聞きたかった事を話す。
「……さっき、直葉ちゃんだっけ?……彼女が泣きながら走っていったの……間違いなく直貴が原因でしょ?」
それを聞いて少し直貴は、困った表情をしながら頷く。
「ああ、その通りだ……」
「……何があったの?だってあの子とはその……<ファーストキス>した間柄なんでしょ?」
「ん~、だからこそそうなってしまったと言うかな……」
「え?」
訳が分からないと言う顔をする詩乃に、直貴は少し考えた後こう話した。
「じゃあ例えばだが……突然俺が紛争地帯みたいな死で溢れてる場所に行ってくるから待っててくれって言ったら、詩乃ならどうする?」
「そんなの無理、堪えられな……なるほど、それで……」
詩乃は納得した後、彼を見る。
「……で、本当に死ぬような場所に行っちゃうの?」
「……そう言ったらどうする?」
直貴の質問に、愚問と言わんばかりに溜め息をついてから、詩乃は彼に言う。
「ついていく……待つなんて無理……貴方が戦うんなら肩並べて武器をとるし、死ぬんなら一緒に死ぬ」
彼女は雑じり気無しの本気でそう答えた。
それを聞いた直貴は嬉しさ半分、悲しさ半分の感情だった。
一緒に戦うまでなら嬉しかったが、一緒に死ぬのは許容したく無い。
「……冗談だよ、行かないさ……詩乃を死なせたくないからな」
「な、直貴……うん、私貴方とずっと一緒にいたいから……行かないで」
「……ああ」
詩乃の頭を撫でる直貴。
彼女は内心安堵したらしく、ほっとした表情を見せる。
一方で直貴は仕方がないとは言え、嘘をついている事に罪悪感を感じていた。
「よし、今日暇だし……カラオケデートでも行くか?もちろん俺の奢りで」
「!? い、行く!直貴とカラオケ、一度行ってみたかったし!」
思わぬ彼の誘いに嬉しそうに頷く詩乃。
二人は町へ繰り出して行った。
……しかし、それを陰で観察していた人間がいた。
「どうして、朝田さん……何でそんな男に心から笑いかけているんだい?……ありえない……あってはならないよ……!」
歯ぎしりしながら二人を見つめていたのは、彼女に強い憧れと歪んだ好意を持ち、GGOを勧めた張本人<新川恭二>であった。
「許さない……あの男……正体を突き止めて、その後は……」
彼は直貴に妬み、怨み……そして。
「コロシテヤル……」
強い殺意を抱いていた。
「……その為には、二人を尾行しなくちゃ……朝田さん……待ってて、今に正気に戻して見せるから」
恭二は二人の後を尾け始めた。
一方同時刻、彼同様に二人を観察していた人物がもう一人いた。
「……ナオ君、まさか貴方にそう言う相手がいたなんて……少し……ショックです……」
目を伏せ少し寂しげな表情をしたのは彼の従姉でありながら、幼い頃から淡い想いを抱いていた<稲生真夜>であった。
「……<今は不思議と力も安定していますし>、大丈夫ですかね……」
一度周りを見渡してから、真夜は己の本能の牙を発動する、紫に輝く瞳が艶やめかしくも不気味だった。
既に二人はある程度離れていってしまったが、今の彼女にはハッキリと二人がいる方角、場所、状態が分かる。
鍛えあげた脚力で跳び、近くの家の塀の上に上がり、さらに蹴り上がり、屋根に飛び乗るメイド……所謂パルクールと言うものであろう。
「いましたね……恐らく町にデートに行くんでしょう……羨ましいですよ貴女が……私には手が届かない所に貴女はいますから」
彼女は詩乃に対して、羨望、憧憬……そして。
「だから同時に憎くもあります……」
強い憎悪を抱いていた。
「もしも、貴女のせいでナオ君が傷つく様な事があれば、<不本意>ですが、彼に一生近づけない程度にはボロボロにして差し上げます……心も身体も……」
ニヤリと不気味に微笑む真夜、彼女もまた二人を追った。
「!?」
「? どうしたの?」
「……いや、何か悪寒が……」
不思議そうに訪ねる詩乃に、とりあえずそう答えた直貴。
彼が感じたのはどちらのものか、或いは両方か、はたまたそれ以外か……。
どのみち楽しいデートに水が注されるのは、間違い無さそうだった……。
次回!波乱のデート開幕!
狂気の追跡者二名以外のキャラも出せそうな人物全員出る予定です(笑)
今回は書く事その物が久方ぶりなのと、次回が長いであろうと言うことで短めになってしまいました(当社比)
モットガンバラナキャ……(ヨロレイヒー