【カオ転三次】現地民とのぐだぐだ小話   作:ややや

12 / 41
そういえば宣言してませんでした。
ここの支部は他ごちゃまぜ作品でも自由に使ってください。
ムショにぶち込む場所としては優秀だと思います。


強さが不幸を弾くとは限らない

1人の男が豪奢な屋敷で闊歩していた。

全身が肉体美で溢れた男だ。歩く姿は成人男性が情けなく見えるほど力強く、花束を抱えた二の腕は先を歩く当主である子安の頭よりも太い。背中には使用人がすっぽりと入るほどのロッカーが紐で括られており、天井と廊下のギリギリを浮遊している。先導する子安もオカルトに携わる身として鍛え上げてはいたが、彼と比べれば貧相な軟弱者に映ってしまうだろう。

「この度は我が一族の異界調伏をしていただき誠に有難うございます。」

「持ちつ持たれつですよ。こちらこそ寺の土地と税金周りの調整感謝します。学の無い身でしてね、政治対応までガイア連合(うちのそしき)に任せるとマッカが溶ける溶ける。今後のことも踏まえて僕の台所をお願いした形です。貴方が案内してるなら…意見は固まりましたか?」

「はい、十勝子安総合興行会社及び我が一族傘下はガイア連合に下ります。」

感慨深く子安は頭を下げた。当主となり三十数年、日々目減りする人材に反比例する依頼料。どこもかしこも青息吐息で、助かる手段なぞ何処にも無かった。それが今はどうだ。ガイア連合によって各地の問題は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!当主として正しく責任を抱えられることに自身がどれだけ救われたか。当主としても()としても、彼に従属することに不満は無かった。

「…娘をよろしくお願いします。」

か細い父としての声を男ー魚無は聞かないフリをした。

 

「伽耶さん、体調はどう?」

和室に不適切な程大きなベッドに魚無は呼びかけた。苦悶の声に合わせてゆっくりとベッドの中の住民が頭を上げる。その姿は包帯に塗れ、四肢の全てに大小様々の継ぎ目が現れている。胴体は複数の傷跡が血を滲ませており、彼女が凄惨な怪我を抱えていることは容易に分かる状態だった。

「…普通に重症ですわ。というか全身が痛い。いえ痛くなったのは大歓迎ですけども出血した血が包帯ごしに輸血されるのはすごい不安なんですが。感染症に罹りません?これ?」

「ガイア連合技術部が作った訓練用のバンテージだよ。血をマグネタイトに置換して傷口にケアする仕組みらしいね。」

背中に背負うロッカーを音もなくおろし、魚無はベッドの住民である伽耶の質問に答えた。花を入れ替え、結界を張り直し、ロッカーから大量の包帯を積み立て始めた。

()()限り悪魔に傷つけられた箇所は治り始めてるよ。あと数日治療すれば後遺症はあれども日常生活に支障は無くなるさ。」

「それはそれで寿命とか怖くなるんですが…後遺症?」

伽耶は首を傾げた。半死どころか八割死程度になった自身を五体満足で治す技術力で解決できない不具合を想像できなかったのだ。治療費の関係だろうか。

「電紋ってあるでしょ?あんな感じに悪魔に無理矢理MAGを吸われた箇所が経路として浮かび上がる。それでも数年はMAGを使わないなら解消するけど…」

「無理ですわね。」

「だよねぇ。」

たかが傷跡程度で引退できる身の上では無いのだ。魚無も特段気にせずロッカーから物品を取り出していく。様々な治療器具を並べたあと、最後に取り出したのは巨大なビールサーバーだった。

「これ、今日のお薬30リットル。消化器官を中心に内臓を治すよ。さ、口開いて。」

「いえちょっとまってくださいいまわたしはかはんしんたれながしなのでできればだんかいてきにゴボボボ!」

 

前世の己は有体にいって裏業界の獣だった。

肉体は暴力で磨かれ、納税から逃れた金を血で洗い、安眠のために頑丈な檻を造る。歳を重ねて喰われる側に回されて殺し合った結果、運良く生まれ変わりの罪を重ねることができた。一神教は己を導く気は無かったらしい。

だが、皮肉にも生まれた場所…日本で幸せ認知した結果、初めて反省を知ることができた。善意に誠意を、悪意に嫌悪を。常識が良識になるのに時間はかからなかった。小学生になる頃にはそこら辺にいるクソガキになることができた。愛情いっぱい、食べ物沢山、暖かな家で布団に包まり安らかに眠る。正に前世で夢見た幸せな家庭を享受することができた。

…それが血塗られたのは、我が家の寺に封印された木端な異界にメシア教徒が強盗に入ったことだった。下校後の家から漂う血の匂い。両親の遺体にへばりつく天使(血を被る透明な化け物)。それを素晴らしいと涙するメシア教徒の男女。

 

前世を悪用することに躊躇いは無かった。

 

はじめは手洗いで家を汚す汚物だった。縄跳びを首に巻きつけ、背中合わせに抱えた。首の骨が折れ、縄跳びが緩やかになる独特の感触を背中越しに感じた。音を立てないようにゆっくりとおろして顔を見ると、そこには怒りと恐怖で捻じ曲がった顔があった。首と気道が潰れてまだ息がある存在など知らなかった。慌てて台所で刃物を取り集め、身動きの取れない汚物の腹を裂き、内臓を解剖した。覚醒を知らない当時は汚物が化け物の成り変わった姿と判断したのだ。肺を切り取ったあたりで汚物は死んでしまったが、汚物が生物的な急所を持ち合わせていることは確認できた。汚物の眼球を抉り出し、檀家からの供物を漁る汚物2号の足元へ放り投げた。2号は悲鳴をあげてへたり込み、覚醒によりうっすらと見え始めた化け物はそこら中のものを蹴散らしはじめた。汚物が化け物にひっきりなしに報告した。悪魔、異界、封印、解放、浄化、異端者。何処までも自分勝手な言い様に我慢は出来なかった。ゆっくりと背中から忍び寄り、ボールペンで声帯ごと穴を開けた。こちらを見て汚物は信じられない顔をした後、手足を振り回そうとしたが、こちらの包丁が先だった。刃物を捻り穴を作り上げた傷口から腕を突っ込み、内臓を引き摺り出した。返り血が飛び、後ろから化け物の叫び声が響いた。後ろを振り向き、化け物を見据えることができた。羽根の生えた据えた匂いをだす化け物が其処にはいた。化け物は指を指して何かをしようとしたが、あまりにも遅かった。覚醒した体は前世の肉体の全盛期を超えたスピードで化け物の首を切断し、その身をマグネタイトに変換した。汚物の物音が途切れたのを確認し、かき集めた両親の肉体を布団に並べ、般若心経を唱えた。願わくば彼等にも次がありますようにと、ただ祈り続けた。

中学から高校までは血と金を取り合う日常だった。封印から解放された寺の異界。金勘定でやってくる乞食。テンプルナイトを自称するメシア教。結局のところ、ガキに暴力しか振るえない馬鹿を相手にせざるを得ない日常だった。番犬として育った愛犬(グルミット)と、動物園で鬱病で自殺をしていたところを拾ったペンギン(マッグロウ)がいなければ早々に破綻していただろう。最終的にガイア連合に所属することで破綻は免れることができた。ペンギンを引き連れた自分を見た同類からウォレスニキと呼ばれるようになるまで、ただひたすらにレベル上げを行った。忘れたいこともあった。馬鹿ゆえに騙されても良いよう下地を造るのもあった。前世の柵が馬鹿なりに対策をこしらえていた。このままガイア連合の1戦闘員として終末を乗り切っていくつもりだった。

 

まあ一目惚れして全部投げ捨てるわけだが。

 

★ガイア連合雑談・支援スレ part114

 

506:ウォレス

ということで彼女のハートを維持するためにも支部長目指します!

そのためにもアドバイスをおなしゃす

 

508:名無しの転生者

まて

ちょっとまって

 

510:名無しの転生者

さっきまでの過去話すごくシリアスさんでしたよね?

 

512:名無しの転生者

昔のハードボイルドは何処いったハゲニキ

 

514:名無しの転生者

髪と一緒にシリアスも捨てました?

 

516:名無しの転生者

(´・ω・`)また髪の話してる…

 

517:名無しの転生者

てかそのまま告白じゃダメなの?

現地民で名家()なら即OKでは?

 

519:ウォレス

>>517

それだと愛が続かないだろ?

確かに愛が生まれるのに金はいらない…

…が!維持するには地位と金が正義なんだ!

 

520:名無しの転生者

まあ、はい

 

522:名無しの転生者

デビルバスター父さん離婚もそれが理由だしな

 

524:名無しの転生者

支部長になるってもウォレスニキはレベル30超えだろ?

支部がない地域なら特段気にせずそのままなれるんでは?

 

525:名無しの転生者

自分から責任持ってくれる奇特なやつは大体運営側に行くからな

中々地方民には…いや、結構いるわ

 

526:名無しの転生者

ハニトラに負けると地方民になるからな

 

527:名無しの転生者

だからシキガミが必要だったんですね

 

528:ウォレス

>>524

一応十勝だし被っても移動が難しいからアピールが必要かなと

今のところレベル持ちの刑務所を管理するつもりだけど

 

530:名無しの転生者

刑 務 所

 

531:名無しの転生者

過去話といいウォレスニキの発言はダークネスだっぴ!

 

533:名無しの転生者

そりゃ終末じゃなくても必要だけどさぁ!

お前それで彼女さんにアピールするの!?

 

534:名無しの転生者

「君のためにコレ、建てたんだ。どう?」

 

535:ウォレス

>>534

「素晴らしいですわね。コキ使って金稼ぎしましょう。」

 

536:名無しの転生者

あれ?ちょっと想像と違うぞ?

 

537:名無しの転生者

ウォレスニキなかなかマイナーな性癖してんな

 

538:名無しの転生者

ウォレスニキはふわふわお姫様がタイプだと思ってた

蓋を開けたらなんか敏腕ブラック女社長が出てきた

 

539:ウォレス

まあみんなが言うように支部長はいけると思うんだ

ただプロポーズするにはパンチが足りないかなって…

 

541:名無しの転生者

まだしてなかったんかい!

 

542:名無しの転生者

お前それでフラれたら支部長辞めないよな?

嫌だぞ捕まえたダークサマナーがわらわらと出てくんのは

 

544:ウォレス

大丈夫…たぶん

 

545:名無しの転生者

フラれたら名前ハゲニキに変更だからな

 

546:名無しの転生者

(´・ω・`)

 

547:名無しの転生者

(´;ω;`)<ハゲは関係ないですぅ…

 

 

 




子安父
レベル2。十勝の霊能者をまとめている当主。親としても当主としても結婚は大歓迎。
子安伽耶
レベル5。この後めちゃくちゃプロポーズした。
魚無
レベル36。いろいろあったが恋心の前には全て些事だった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。