あまり間違ってないからヨシ!
嬉しいことにウォレスニキが別作品で戦闘してたので分割してはやめに投稿します。
黒札のお気に入りになるのは神に見初められたことに等しい。
その認識に誤りはないと神崎は思っている。
黒札の利権は大きい。彼ら自身が扱いに困惑する程度にその行使は余波を与える。彼ら自身がある種の生産者…つまりは
事実、彼らの寵愛を受ければ金、権利、強さ…おおよそ力と呼べるものを求めることは可能である。かく言う神崎も黒札の助力によって成り立った1人である。終末時、妊娠していた妻の為に彼に頭を下げてシェルターを売ってもらった恩は忘れることはないだろう。
『やあ。5回目の異界脱出おめでとう。推薦した甲斐があったよ。』
『し、死ぬ…死んでしまう…(レベル2→6)』
『最低限補強は出来たし
『えっ。』
『あとディレクターなんでしょ?動画作成よろしく。』
『…ぇっ?』
…。
『 。(レベル6→12)』
『いやぁ広い広い。まだまだ道半ばだけど補給に戻らないと。
『ハイヨロコンデ!!』
『なんか違う…いや合ってるのか…?とりま、警戒と食糧管理よろしく。』
『あ、カンザキ様。もし盗むクソゴミカスが居たら殺して構いません。死体処理はこちらで行いますので。必要ならシモの手配もしますよ?*1』
……。
『あぁあ゛あ゛あ゛!!むり!無理です死にます!!』
『えー。折角ウォレスニキ呼んだ模擬戦なのに。もうちょい警報器できない?』
『ダメっですって!?あの人数キロ離れた感知でこっち向くんですよ!?支部長本当に感知スキルないんですよね!?』
『無いよ。何なら攻撃スキルも片手くらいしかないよ。アイツ【パッシブ*2】と【回復*3】、あと【ムド*4】系で占めてる*5から。なんで火力は低いけど対人に関しては極強いんだよねー。』
『その区分黒札基準っぎゃー!!紅さん僕居ます焼け死にますぅ!!』
『ははは!【アギバリオン】当てても遠距離じゃあダメそうだね!神崎!背中に縛るから感知役頑張ってね!』
『あー!ごまりまずぅ!!じにまずぅゥ!!(レベル13→16)』
………。
いやちょっと忘れるかもしれない。
ただ、その甲斐もあり、神崎は黒札【紅】の子飼いとして立場を確保していた。最近は上司も子供の世話で余裕ができたが、それでも仕事が舞い込んで中々に忙しいのが神崎の日常だった。
今回受けた仕事も、黒札の派遣として依頼されたお仕事である。仕事内容は単純に言えば監査であり、組織として登録した中規模以上のグループに対して厳正なる審査を行うためのスタッフとして参加していた。
その1つであるメシア教会にて、監査班のトップである江西は教徒達から提供された山のように積まれた装備品を部下にチェックさせつつ神崎と話していた。
「やはりメシア教会は規模が大きい。アイテムの点検だけで日が暮れそうです。神崎さんがいて助かりました。」
「MAG感知をしてるだけですけどね。」
そつなく返答した神崎はあたりに群がるシスター達をみる。年齢層に若干の差があるものの、その顔は全て似通った顔立ちをしていた。
「…メシア教の過激派から出たクローンだそうです。」
神崎の疑問に気付いたのか江西が回答した。
「もう10年以上は前ですがね。ここには20人ほど被害者がいます。まあ双子三つ子みたいなものです。みんな性格違いますしね。あれは
「まぁそれは見たらわかりますね…。」
リーダー気質の子供を筆頭に、勝ち気、陽気、短気、泣き虫、鈍感、ヤンキー。どの子供も癖のありそうな存在感だった。その中でも一際異質な子供に神崎は歩み寄り、徐に聖書を取り上げた。
「あ、あの。ジャンヌ12号が何か…?」
院長の言葉を無視して神崎はアナライズを行う。その結果を知って、神崎はため息を吐いて江西に聖書を渡した。
「…押収で。」
「ッシタァ!!
江西の号令(あまりにも大きい声に神崎は顔を顰めた)に近くで待機していた筋肉ダルマ達が流れるようにシスターへ向かい、彼女がアクションする前には拘束と本の回収は完了していた。
「B4型用意しました!」
万が一の為に解毒薬を染み込ませたシガレットを咥えた武田は新島から受け取った聖書を封魔BOXに閉じ込める。封魔BOXはその機能である術式の封印を行い、機能を停止した聖書は多数の書類…研究書へと姿を変えた。
「あー!アー!ahh!アタシの強化術式ィ!」
新島に抱えられたジャンヌ12号が悲痛な叫びを上げた。その声色はまさに慈母に溢れたものだったが、どう見ても万引き犯の現場だった。
「またやったのマッド。あんたこれで何回目ー?」
「そんなだからぶくぶく胸がデカくなるんですよ。早く借金返してくださいー。」
「バカ!バカマッド!!あれだけ注意したのに!」
「まあこれでトイレ掃除は当分ないから私的には良いけど。」
その他ジャンヌ達も非難轟々だ。当の本人は知ったこっちゃないとむくれているが。
というか姉妹からのあだ名がマッドなのか…
「エジプトも中国も研究バカは…!」
苛立だしげに江西はジャンヌ12号に拳骨を落とした。
「どいつもこいつも態々隠すな!!査定下がるだろう!?」
「隠し通せばブランド付きますし。お金、だいじ。」
「メシアだからなお前!?」
「おやつがメザシだけじゃあ信仰は産まれないんですよぉ!!」
「…それで、何故態々ご主人が参加したのです?」
江西と12号が喧嘩をしているのを片目に、腕輪から現れたアガシオンのセルスは神崎にそっと問いかけた。
「言い方は悪いですがご主人の業務は機械で代替可能でしょう?派遣指示がされるとは思わないのですが。」
「次のメシア教会がね、連絡が無いんだ。」
うんざりした声で神崎は言った。胸元のアクセサリーから妻と娘達の写真を見る。最近は中々顔を見ることも少なくなった。
「先月までは問題なく定期報告をしてた。そして先週に別シェルターから救助されたメシア教徒を保護したと連絡があったきり音信不通だ。近所の住民は不穏な音がすると自主的に避難してたよ。」
「…うわぁお。」
「なぁに。ただ人命救助に忙しいだけさ。異音もエクソシストしてると考えればなあなあにしたいのも分かる。ちょっと先行してさっさと帰ればそれで終わるさ。」
「あの、言い聞かせて悲しくなりません?」
そして。
「し っ て た 。」
案の定異界化した教会で神崎は装備品のGPSを勢いよく叩き壊した。
「よっしゃ発信完了!とりあえず逃げるぞセルス!」
「はいはい先行しますよ方針は?」
「逃げ!隠れ!怯ませ!いのちだいじに!」
心なしか汗だくとなったアークエンジェルは苛立ちを込めて地面に剣を叩きつけた。
「ようやく見つけたぞ異端者の溝鼠めが…!」
「ネズミ1匹に何十人も使うとは随分と暇人なんだな天使は。」
「戯言を!…だが、その努力は認めよう。」
アークエンジェルはニタリといやらしげに手のひらを差し出した。
「我々の信徒になれ。貴様ほどの才覚ならテンプルナイトもー」
「いらない。」
「…なに?」
「要らないわそんなもん。」
神崎は愛用の銃を片手にやけっぱちで啖呵を決めた。
「僕はあんたらに世話されたこともないしする必要もない。加護なんかなくても家族も金も地位も全部手に入れた。今更
「貴様ぁ!!」
アークエンジェルが激昂して神崎へと剣を振り上げる。だが、神崎はそれを見ることはなかった。その頭上の人物と目があったからだ。
「いい啖呵だ。」
それは音も無く天使の肩へ降り立った。目元が隠れた髪型をした中学生程度の子供だった。包丁を逆手に持った彼は重力に反しているかの如く羽毛の動きで顎下から天使の頭をくり抜いた。
「ぁ」
神崎が瞬きするよりも早く、天使はマグネタイトを撒き散らして塵となる。神崎が半々で勝ちを拾えると判断した悪魔は何も出来ずに敗北した。
「ありがとうございます…その、お強いですね。」
「おいおい、この十勝シェルターのトップを忘れたのかい?」
子供から言われたヒントに神崎は数瞬固まる。疑問が頭に浮かぶ中、神崎は十勝シェルターの頂点のご尊顔を思い出す。その輝きとは別の口調が彼と一致したことに理解が及んだ結果、神崎は思わず叫んだ。
「支部長ォ!?」
「はっはっはー。凄いだろう?コレがガイアの技術力さ。」
「髪生えてる!?」
「はっはっは。殺すよ?」
神崎は素早く土下座した。