【カオ転三次】現地民とのぐだぐだ小話   作:ややや

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「本日はありがとうございました」
「こちらこそお土産ありがとうね。仕事上余り外出できなくてさ」
「刑務所ですしね。こちらから教誨師を派遣しますか?」
「(治安が悪いから)メシア教徒を殉教者にするわけにはいかないよぉ」
「ですよねー」
「やるなら(公的に)見識扱いじゃないと。僕も浄土真宗の端くれさ。(ガイア連合の立場上)先に幸子君に説法する形になるけどいいかい?」
「(他の宗教も合わせての合同説法会ですか)ふふーん。是非とも「駄目です」」
「「えっ」」
「(洗脳されるのは)駄目です。手を引きます(契約書パサー)」
「えっと、じゃあそう言うことで残念ですが…」
「ははは、お気持ちだけでもありがたいよ(幸子君の指示無しでも動くだろうし形骸化するモノを渡されても困る…とりあえず妻にはカッコつけておこ)」


学生達の半終末勉強

あの日、米国で悪魔が降臨した日。

私たちは終末に向けて適応に迫られた。

サタニストは滅んだ。社会に迎合出来ない彼等は当然の如く悪魔に弱者として歓迎された。

メシアンは壊れた。救世主を求めた彼等は救いしかない家畜と化して殉じた。

プレッパーは後悔した。たかだか金程度で生存権を得られると考えたおのれの浅はかさを呪った。

凡人は求めた。命を、保護を、手に入らない全てをかき集めた。

超人は恐れた。己が自負していた超えた対象である人が土台ごと滅びる様を最前席で観戦することになった。

そして…

力ある本物は生存圏を構築した。物資を、オカルトを、技術を積み上げ、今も彼等は文明を維持している。

私たちは幸運である。

少なくとも平和を認識できているのだから。

 

訓練は覚醒、非覚醒問わず血生臭い。

かつて地元の名所として名を馳せたプールはコンクリで固められ、乱取り・防御・魔法・覚醒の部門に分かれて血反吐を吐き出させる修行場となっている。

特に非覚醒者は覚醒迄のプロセスが個々人で異なるのもあり、半終末の今でも手探りで行っているのが現状である。

ちなみにわたしの覚醒は半終末迄の記憶を消した状態でのデスゲーム(死なない)である。過程を伴う分覚醒率も高いらしく、10代は皆1回は受けている。大体は記憶が戻った時に覚醒していた。そんなに終末が嫌か。嫌だわ。

「そんじゃ、先手は譲るよ。」

今日は格上との立ち回りとして何故か支部長がいる。

何故か

お偉いさん(支部長)

いる

ニコニコと笑う支部長を前に学生連合(1〜10レベル、40人)が取り囲む。普段の物資回収作業時の悪魔退治なら必殺の構えだが、前衛としては非常に逃げ出したい。

「頑張ってね。」

「後衛は耐1(物理耐性)、耐2(呪殺耐性)の後ろで補助を!前衛は派手な技で突貫!」

「「「「了解!!【ラクカジャ】【タルンダ】」」」」

「おっしゃ!派手に行くぜ!シオンは正面を頼んだ!」

し っ て た

「せ、先生!ピチピチの14歳からのキスを受け止めて!?【魅惑噛みつき】」

「最近の子は状勢もあって過激だなぁ…【BLOCK】」

首筋に噛みついてるのに平然としないでください!

追撃に【とんぼ蹴り】を加えようと脚を上げ…れない!?

首に小さな針が…いつの間に!?

「【麻痺針】力体型が重石として体幹崩しは悪くないよ。たーだ両手をフリーにするのはダメだ。」

「オレがマチェットブッ刺してるんですけど!?」

「あたしの腕ひしぎ重石にすらなってないんだ…」

「君らは効かない時点で背後に回るなりしなきゃ。心理的な負担は強さなしの有用なワザさぁ。人型は死角ねらわんきゃ。」

悪魔と戦って学んだことがある。

残忍、狡猾、邪悪ー大体ファッキンメシアの所為だがー1番重要なのは。

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「「ぐぇっ」」

2人はフリスビーになった。

スピードは紙飛行機程度なのに地面と平行に飛んでいる。宇崎(指揮官)の指示で当たるのを承知で後衛が【アギ】【ザン】を放つが、その全てが飛び道具ならぬ飛び人間により打ち消された。2人が怪我をした様子もない。

酷いことに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そのまま【ザンダイン】と化した彼等は後衛組に着弾、派手に爆発。指揮系統の壊滅が決定した瞬間である。

「し、指揮土御門に暫定!殿シオン!作戦K!」

「シオン了解!前衛は後ろで魔法を!【咆哮】」

「指示がてらの【咆哮】…僕は使わんけど乱戦には便利だねぇ。」

拳打。

スキルも魔法も使わない嬲り殺しに対応しきれない。

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「う、ぐ、…ハァ!!」

10秒も満たない内に血塗れになった身体に鞭打ち【とんぼ蹴り】で距離を取る。それに合わせて土御門が退却の呪文を唱えた。

「【トラフーリ】!!」

「他者にピンポイントでかけられるのは良いけど格上相手に賭けは…ダメだよっ!」

バギン、と派手な音を立てて結界が壊された。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()上空に飛びさっていく目論みだったが、支部長には効かなかったようだ。

それでも戦闘終了(効果有り)とは認められたようで、支部長により全身があっという間に完治した(メディラマをかけられた)

疲労困憊の私たちに対して、支部長の秘書(奥さん)が笑顔で拍手をした。いつも思うけどあの夫婦美形なのにヤクザにしか見えない。

「あらかじめ生体MAGを取り込む事で簡易的な結界化を図りましたか。お見事。貴方達の勝利です。シオンさんはレポートを提出するように」

「わ、分かりました。今日中に提出します。ちなみに失敗の原因は…」

「力不足です。私ならなす術なく飛ばされてるでしょうし。具体的には…貴方?」

「体感30から抵抗できると思うよ。40なら確実かな。」

40…40?

別によくない?

 

「あの極道夫婦偉くなっても性根が部下気質じゃのう。」

午後。

支部長訪問によるサプライズ訓練が終わり、再開した授業で死屍累々の生徒達を見てイングリッド先生が溜息を吐いた。

「足回り程度は差し向けても良かろうに。老骨にはルーチン変更は堪える。」

「若返って何言ってるんスか師匠。修行で一緒にフルマラソン走ったクセに。」

土御門の言葉通り先生の身体は20代にみえる。直弟子の彼は彼女が()()()()の頃を知っているため、クラスメイトの代表として茶々を入れることが多い。

「身体は若返っても魂は旧いままじゃ。物忘れも減らんし、判断がおっつかん。本物には勝てんよ。」

レベルが高ければ関係ないがの、と先生は大きく身伸びした。

「この有様じゃあ授業しても頭に入らんじゃろ。雑談がてら質問会としようか。この100歳越えのババアに聞きたいことはあるかの?」

「ならウチの学校名が私立ガイア連合(仮)なのは何故ですか?」

認可が降りとらん。」

「えっ。」

「終末関係で後進育成が急務になったものじゃからカリキュラムと免許が足りんかった。なので今のお主らは経歴不明の人材から自称授業を受けてる中卒になるの。」

「嘘でしょ私たちいつの間にか低学歴になってるわ。」

「お前ら女子どもはまだマシだろ…男子(オレ達)物理的に職業制限されたぞ。」

「通りで授業が適当なわけだ…そうだよな、普通体育の授業が全コマの半分にならんよな。」

「ニホン、学校、行くない、かった、そうかと…」

「Me Too」

「なんか思ったよりショック受けとるのぅ…」

就職先が確定してても騙される理由は無いと思う。

「本来なら他の支部の様にワシと櫛灘(体術指導のババア)だけじゃなく非覚醒も入れて学園にする予定だったんじゃが、例の裏金騒動もあって立ち消えになってしもうてな。」

「ああ、あの。」

私たちの市長がガイア連合の建築ラッシュを陰にガイアコーポレーションの納税をそのまま工事費に計上した、私服を肥やさずに全てを工事費に充てたその地元愛にマインクラフター市長と呼ばれている事件。

他人事ながらも関係ないと思っていたが、それで認可が…

建設費の捻出の為に裏から手を引いたとは言え誇りを捨てて頂いた市長にこれ以上の汚名を被せるのも忍びなくてのう。」

本当にウチの組織ガイア連合なんですよね?

さっきから犯罪だらけでファントムソサエティって言われても信じますよ!?

非難轟轟のクラス内を他所に先生はじゃかしぃと机を叩いた。

「終末は最早目前、()()()()()()で誤魔化すことも出来ない状態じゃ!ワシら老骨の()()()()()()()()()で何とかなるならいくらでもやるわ!美学で子を見捨てるのは沢山じゃ!」

血を吐き出すかのような叫び声。

苦しげな眼は、確かに若返りようが無い貫禄を持つ光があった。

「今のお主らは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。犯罪なんぞ気にする必要はない!」

「終末に勉強の機会は保証されんぞ!今はただ学んでいけ!戦闘、交渉、悪魔、組織、犯罪、機械、異能!ワシらが出来る全てを教える!暇があるとは思うな!」

「無論、この誤魔化し方もな?」

便利じゃろ?

彼女はからからと笑った。

「眼は覚めたかの?授業を始めるか!」

 

 

 

 

 

 

 

 




シオン
ハーフのデビルシフター。レベル15。ファントムソサエティから保護された孤児。後に魚無の姪と分かる。真面目な良い子なので学校では困惑しがち。
ガイア学校
色々間に合わない結果出来た非合法学校。覚醒した子供達で構成されている。実態は軍学校に近い。終末後の人材育成のノウハウを組み立てている。
イングリッド
100歳越え。レベル3。戦前に帰化しており、メシアンの粛正には外国の伝手で一族を逃した。峰津院の家は把握してるかもしれないし、知らないかもしれない。
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