【カオ転三次】現地民とのぐだぐだ小話   作:ややや

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※但し評判は死ぬ。
戦闘シーン難しい…


裏バイト逃亡可能

柊シオンは就学中の学生である。

最近中卒であると判明したが、実態は軍学生である。勉強し、訓練し、研修する。幸いにもヴァンパイヤのデビルシフターな(才能があった)ため、巷で言われる2桁の壁(レベル10)を超えて久しい。それでも師匠(レベル5)に敗北することもあるのは、やはりまだまだ未熟だと言えるだろう。欺瞞、詐称、威嚇。全力を出させない立ち回りは非常に参考にしている。本日は彼の依頼のサポートとして同級生の土御門元就と共に喫茶店で待ち合わせをしていた。

「依頼人はアイドル事務所だったか?」

注文したショートケーキをつついて土御門がぼやいた。

「シオンならともかく俺がサポートになるのか?ツラには自信ねぇぜ。」

「別にテレビに出るわけでもなし、大丈夫でしょう。わたし達はあくまでいざという時の戦闘員では?」

ぐだぐだと世間話をしていると、カソックを着た修道女が席に近づいた。身体にメリハリのある、垢抜けた金髪の美人だった。シオンは彼女を知っていた。以前に師匠から紹介された、自身を服装(カソック)で名乗る女だった。彼女はそのまま隣に座り、土御門に自己紹介をした。

「あの人は捕まりました。」

シオンは呆けた。詳細を聞くと市長(2代目)逮捕に巻き込まれる形で逮捕されざるを得なかったらしい。裏の業界といえども政には敵わない。有罪とはならないだろうが彼のツキの無さにシオンは嘆息しかなかった。土御門は手付かずのチョコケーキを静かにシオンへ回した。

「とはいえガイア連合経由での依頼は完遂する必要があります。(もどき)…げふん。彼の資料は引き継いでるので今日は私が担当します。」

この人いつも師匠の名前で吃るな、とシオンは思った。土御門はそっとカソックにメニューを渡した。彼は馬に蹴られる危険性を理解していた。待つこと10分、フラフラと揺らめいた歩みで依頼人がやってきた。

「カソックです。一之瀬から今回の専門家として依頼されました。彼女達は助手になります。」

「新田と申します。どうかウチのアイドルを助けていただきたい。」

シオンにわかるほど新田は困窮しているのが手にとれた。土御門が注文を聞くが彼は苦笑いしてそれを固辞した。現状から彼は自主的に食事を絶っていると言った。

「以前の依頼ではアイドルの子に着いた悪霊払いでしたが…」

「再発の懸念は伺っていました…今回も恐らくは。彼女には護符を持たせて事務所に待機してもらっています。」

1年ほど前から被害は発生していたらしい。初めはライブ後に視線を感じる程度だったが、1ヶ月もすると自宅にすら纏わりつく感覚が離れなくなったらしい。運良く霊感に詳しいアイドルが善意で護符を譲り受けたことで万一の被害は免れたが、念のため一之瀬に護衛を依頼したとのことだった。

「一之瀬さんが護衛している間はぴたりと…正確には()()()らしいですが…止まったんですが今日からまた再発しました。スケジュールは私のPCだけにあります。私以外にそのことは伝えていません。」

一之瀬が調べた限りでは、犯人はMAGを離脱させる形で生霊もどきとして憑依していたようだ。一之瀬が不意打ちで払った際の感覚では自身の寿命をかけた離脱術らしく、書類には馬鹿な素人がダークサマナーか悪魔に騙されてやったのだろうとの結論があった。

「つまり、何らかの手段で貴方の秘密を入手していると。」

「オカルトに詳しくはありませんが…洗脳されて彼女達に迷惑をかけるわけにはいきません。本日の予定も()()()()()()()()()()()()との打ち合わせになっています。」

新田はしきりに汗を拭きつつ頭を下げた。今の彼は自分が爆弾になった気分である。彼の頭には某プロダクションの霊能アイドルへのストーカー事件が浮かんでいた。ストーカーは犯罪を犯罪とも思わないことが多数ある。彼女へのストーカーも例に漏れない人格だった。だが、彼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。新田には犯罪者の気持ちは分からない。けれども、気が付いたら犯罪者などなりたくはなかった。食事を制限したのもその為だ。弱っていれば加害者には成りにくいと新田は判断していた。

「なら俺は解析だな。新田さん、そのパソコンは?」

事務所にありますと新田は頷いた。伝票を手に取り足早に先導する姿は、確かにアイドルを大切にしていることがわかった。その背中を睨んで土御門は舌打ちをした。

「肩に憑依して(ついて)るな。パソコン操作も新田さん経由か?」

「MAG痕跡が目と肩に付着してるし、そうでしょうね。土御門。除霊は任せます。シオンと私は護衛に入りますので。」

「そんな直ぐに来ますか?」

「取り憑き方が断片化してました。アレでは片手を切り離して運転するようなモノです。真面目に契約を遵守する悪魔らしい手際です。あれでは余命もないでしょう。」

カソックは嘆息した。一之瀬が何故この依頼を回したのかを理解したからだ。確かに、自分が居なければアイドルは目に毒となる光景を目撃するだろう。

「馬鹿は予測出来ませんが死にかけのクソ馬鹿は獣になります。害獣程度、華麗に退治してみなさい。」

 

右腕が焼け切れるような痛みが走った。

男は食い込むほど右手首を掴んだ。右手は確かに存在していたが、彼の目には精巧な肉塊にしか見えなかった。背後では悪魔「ダイモーン」がゲラゲラと笑っていた。苦しむ姿を見せてくれた()()()()だと悪魔は嗤った。

男はアイドルの自称親衛隊だった。他称でストーカーと呼ぶべき彼は、不運なことにダークサマナーから悪魔召喚アプリを購入していた。劣化品のアプリから召喚されたダイモーンは彼の魂を対価とし、彼女を手に入れる契約を結んだ。契約と憑依の対価により彼の寿命は僅かだったが、悪魔にはどうでも良かった。ただ、依代が無くなることには忌避感を覚えた。苦しむ男に、悪魔は提案した。彼女と()()になりたくないかと。葛藤も無く合意した男に悪魔はにんまりと嗤った。甲斐甲斐しく男の親が所有する軽トラまで運搬し、燃料を満タンにした。代償として男の父の魂が贄となったが、些細なこととして男は無視した。天秤が破綻した男に悪魔は気前良く車を飛ばせるよう直通の空中道路を作成した。今度は母の魂が贄となったが、最早彼に犠牲を気にかける思考は無かった。悪魔が提案した結合先が胃袋だと、考えることも無かった。

 

宙を舞う軽トラでアクセルをふかし、男は逝かれた笑い声で叫んだ。痛みと欲情が入り混じる絶叫は悪魔だけが名曲として聴いていた。数十分のBGMの後、アイドルのビルに向けて軽トラが突貫した。彼の眼はアイドルしか映らず、その間に見知らぬ女がいることもどうでも良かった。このまま()()()を弾き飛ばし、アイドルとまぐわうことだけが男の人生だった。

ただし、問題があるとすれば。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

ガシャン、と拳と鉄がぶつかる音がけたたましく鳴り、()()()()()()()()()()()()。女…シオンが振るったアッパーはフロントをグシャグシャにして尚弾き飛ばす程の威力であった。衝撃で男の下半身は分断され、上半身が叫ぶ間もなく悪魔に丸呑みにされた。アイドルから見れば無人の軽トラが飛び込んで来た光景が見えただろう。死体が消えたことにシオンは安心した。

契約に従いダイモーンが【メッタ裂き】を繰り出した(武器を振り回した)。シオンはそれら全てを両腕で受け止めた。両腕から少なくない血飛沫が舞い、アイドルの叫び声が響いた。哄笑するダイモーンだったが、それは瞬く間に苦痛に変わった。シオンから浴びた返り血を媒介に発動した【劣化ブラッドスチール】(CURSE)により、悪魔の両腕がだらりと垂れ下がる。シオンは立て続けに【ジオンガ】を解き放ち、完全に動きが止まった悪魔に対して【ぶっ潰し】(全力で攻撃)した。ダイモーンの肉体に穴が空き、絶叫が響く。シオンは声が止まるまで【ジオンガ】を連打し、静かになった悪魔の頭部を完全に潰した。マグネタイトへと分解される光景を確認し、シオンは大きく息を吐いた。

 

結論からいって、事務所は今回の事件を事故として扱うことに決めた。遺体が存在しない上、アイドルに悪影響を及ぼしたくないとの判断だった。依頼費としてストーカー男(ダークサモナー)一家の財産を3人で分配し、ダイモーンのMAGはシオンが総取ることとなった。裏の業界とはいえストーカーより犯罪してるんじゃないかという疑問をシオンは飲み込んだ。人間である限り金銭とは縁が切れないものだと彼女は理解していた。シオンの叔父である魚無もそうであった。今でこそガイア連合の支部長を担っているが、昔の彼は必要以上に清貧を心掛けていた。彼の姉(亡き母)は過去に縛られていると笑っていた。シオンにとって、過去は憎しみと懐古のごた混ぜである。強くなるなら彼の師事を受けた方が良いのは理解している。ただ、己が前に進むには両親を殺した天使のレベル…18を越えるべきだとシオンは誓った。正しく過去を乗り越える為、自力で立ち向かいたいと思ったのだ。

 

残り2レベル。

笑顔で乗り越えてやろうと、シオンは拳を握った。

 




柊シオン
今回の戦闘でレベル16に上がった。支部長の姉の子供。メガテンのヴァンパイヤのレベルまで上がるかは未定。
土御門元就
今回1番忙しかった人。レベル12。裏で調査と除霊と犯人特定とマネージャーの治療をしていた。甘党。
カソック
元メシアの覚醒者。名前は偽名。レベル4。出所後デートする予定。
一之瀬擬
余り天運の無い覚醒者。レベル3。いつのまにかデートプランを組まされた。
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