仮面探しの葉っぱ道   作:蒼(あおい)

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プロローグ 受け取ったもの

 

「明日だよね......」

 

目の前の少女は僕に向かって確認するように呟いた。

 

ここはどこなんだろう...?

 

不思議と周りの景色がぼんやりとしか見えない。

 

いや、そもそも辺り一面が真っ白だ。なのに上も下も横も全てがボヤっとして見える。

 

ここは本当に現実世界か......?

 

目の前の少女の顔すらも僕にはハッキリと見えない。

 

でも、肩を越す紫がかった長い黒髪はどうにか確認出来る。

 

この子は、誰......?

 

そんな僕の様子を一切気にする様子もなく少女は口を開いた。

 

「絶対に忘れてないでね、私のこと」

 

その声は今にも涙が出てきてしまいそうな少し震えた声だった。

 

あぁ、どうやら僕はこの後この少女と別れてしまうようだ。

 

そんな台詞を言ってくれるなんて、僕に対して思い入れを持ってくれているんだなぁと少し胸が温かくなった。

 

なのにどうして僕は、この子の顔も思い出も、名前すらも出てこないんだ......。

 

僕がそんなことを考えていると、少女は僕に向かってまるで水をすくうかのように両手をつけ、僕の前に差し出した。

 

「受け取って欲しいの、私の ーー......」

 

 

僕は最後の言葉が聞き取れなかった。聞き返そうと思ったが少女は続けざまに言葉を発する。

 

「これが私とあなたの繋がり。私と一緒にいた紛れもない証になる」

 

「お願い、受け取って......」

 

言葉はどんどん弱々しくなる。顔がハッキリ見えていない今の僕でも分かる。

 

 

 

あぁ、この子は今もう既に泣いているんだと。

 

 

彼女の願いを断る理由は無い。僕のために抑えきれない感情を必死に押し殺して何かをしてくれようとしている。

 

 

だったら僕も、それに応えるのみ。

 

 

僕は手を伸ばし、彼女の手の中にある何かに触れる。

 

 

 

すると刹那 ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

触れた何かを中心に直視出来ないほどの眩しい光が突如として現れ、更に僕らの間から突如強い衝撃波のような風が起こり、僕は吹き飛ばされそうになる。

 

 

「何!?これ......!!?」

 

 

僕は突然の状況に頭がついていかなかった。

 

飛ばされないようどうにか踏ん張り、眩しすぎる光の中で僕は微かに目を開けて目の前の光景を見る。

 

光はうっすら赤いようにも青いようにも見える。そして僕らを渦を巻くように徐々に包んでいった。

 

 

そうだ!あの子は......!?

 

 

手を伸ばせば届く場所にいた少女はもう既に、捕食動物であれば狩るのを諦めるぐらいの距離にいた。

 

 

彼女も同様に渦を巻く光に包まれる。

 

 

それを確認したつかの間、僕の顔をも光が覆い、何も視認する事が出来なくなった。

 

 

何故だか意識もどんどん遠くなっていく......。

 

 

あの子は誰? 僕の何? 何を渡した?この光は?一体何をした?

 

 

沈みゆく意識の中で、叫びたい程の疑問しか無い僕に声が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

「絶対また会おうね、サトバ」

 

 

 

その声は確かにさっきの彼女のものだった。

 

だけどさっきまでの震えた声ではなく......

 

 

 

 

 

 

 

希望に満ちたような、何かを確信したような、そんなちょっと強く明るい声だった。

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