「あいたたたた.....」
背中に軽い痛みを感じつつ僕は倒れた身体をゆっくりと起こす。
間違いない。確実にこれは飛び蹴りだ。
痛みの感じで分かってしまうほど僕は不意打ち攻撃を喰らっているという証にもなってしまう気がして何だかなぁという気持ちになりつつも僕は犯人に目を向ける。
「タイミング狙ってやりました...?恵里菜さん」
「タイミングって何が?たまたまだってば〜」
「たまたまって言うって事はタイミングの意味する所を察してるじゃん!!」
「むぅ、相変わらずそういうとこは佐斗葉は目ざといよねぇ。あれ、でもこの場合は耳ざといかな?」
「果てしなくどっちでもいい.....」
僕は一切悪びれる様子もない恵里菜を見てため息をつく。
今僕を蹴ってきたのは恵里菜(えりな)。
僕と背丈がさほど変わらない女の子。
ショートカットだけど顔の左半分は髪で隠れて完全に見えない。
そこに天使の輪を頭に被ったかのような大きなヘアバンドをして髪型をガッチリ固定している。
どうやら本人なりのこだわりだそうで、基本的に外す事は絶対にない。
「それよりそっちはどうなんだ?」
祐葉は僕と恵里菜のやり取りが一段落したのを見計らい、恵里菜に話を振る。
「うーん全然見当たらなかったなぁ。気配はあったんだけどね」
ちなみに言っておくと現在時刻は夕暮れ時で、そろそろお腹も減ってきたので、野生動物でも仕留めて食べようという話になり、今は手分けして調達中。
「あれ?そういえば恵里菜って朔矢と一緒じゃ無かったけ?」
「あぁ、途中で私だけ引き返してきたからその時置いてきた」
「「ひどい!!」」
僕と祐葉は同時にツッコむ。
朔矢......可哀想に.........。
後で慰めとかないと。多分絶対いじけてる...。
朔矢の紹介は後々するとして、多分もうそろそろ他のグループも戻って来る頃かな。
僕らは四手に分かれて調達に出ていた。
僕と祐葉、恵里菜と朔矢。残り2グループ。
ちなみに僕らは普段7人組。
旅を始めた時からずっと一緒で、皆頼りになる存在。
僕は皆の中だと年下組だから、ついつい頼っちゃう事が多いからありがたいよりも申し訳なさが勝つこともよくある。
いつか皆の役に立てたらなぁ。
そんな事を考えていると突然背後から気配を感じた。
動物?いや、それにしては足取りが重い。
間違いない。人だ。
祐葉とアイコンタクトを取り刀を構えるが、恵里菜はキョトンとした顔をしている。
盗賊だったら周りに仲間がいるかもと警戒したが、どうやら1人のようだ。
はぐれの盗賊かな?でもやる事は1つ...!
タイミングを合わせ祐葉と共にグッと地面を蹴り前に踏み込む......!!
そして目の前の敵に刃を......!!!!
向けようとしたのだが......。
寸前に相手の発した言葉によって僕たちは全てを察した。
「エリナァァァァ〜....俺置いて、先に帰りやがったな!!?」
その正体は恵里菜の身勝手な行動によって置いていかれた僕らのメンバーの1人、朔矢(さくや)だった。