アオキ「……というのが妻との出会いです」   作:ホネホネ

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翌朝、アオキとミヤコは待ち合わせ時刻の10分前にカラフシティのポケモンセンターで合流した。

 

「お疲れ様です、ミヤコさん。昨晩は休めましたか?」

「お気遣いありがとうございます。はい、しっかりと。アオキさんこそ大丈夫でしたか?」

「ええ、問題ありません」

 

2人は大人の対応であっさりと嘘をついた。

アオキは昨晩結局酔い潰れた同僚2人を介抱したりタクシーに詰め込んだりする時間外労働のために結局帰宅できたのは日を跨いでからだったし、ミヤコは深夜に寝ゲロで死にかけたりしていた。

 

が、そんなことを互いに言うわけもなく、まるで昨晩はしっかり8時間睡眠とって朝から優雅にカフェで朝食を済ませましたが?みたいな顔を浮かべている。

 

もちろん嘘である。

アオキは限界ギリギリまで掛けていたアラームでやっと起床したし、ミヤコは朝捨てようと思っていたゴミをテーブルに置きっぱなしにホテルを出ている。

大人なんてそんなものである。

 

最終的に人前でまともな姿さえしていれば良いのだ。

そんなわけでアオキはいつも通りスーツを着ているし、ミヤコはアオキと共にいて違和感がないようワイシャツに黒のパンツスーツスタイルにしていた。

 

アオキはふと彼女の腰元のベルトにモンスターボールが2つセットされていることに気がついた。

少なくともポケモンを2匹所持しているらしい。

1匹はメタモン、もう1匹は……気にならないとは言わないが、わざわざこちらから尋ねる必要もない。

 

どんなポケモンを所持しているかを他者に把握されていない、という状態はトレーナーにとって一種のアドバンテージだ。

故にトレーナー相手に所持しているポケモンを尋ねることは基本的にマナー違反であるし、ミヤコがトレーナーではないにしろそう気安く聞いて良いことでもない。

 

アオキは結局そのことには触れずに本題に入った。

 

「では、さっそくですがこの街のジムリーダーのところへ向かいましょう」

「カラフのジムリーダーは水タイプの使い手、ハイダイさんですね」

「はい、アポは取っていますので向かいましょう。案内します」

 

2人の今日の予定は主に3つだ。

 

1つめはカラフシティのジムリーダーであるハイダイにアオキたちが抱えている任務内容を共有し、有事の際の協力を求めること。

 

2つめはハンターへの依頼対象がシガロコとなった場合のことを想定してロースト砂漠の視察をすること。

 

3つめはハンターの逃走経路として海路が使用されることを考えて港町マリナードタウンの視察をすること。

 

移動距離や時間は昨日より長いが、その分稼働開始時間も早めている。

余程のことがない限り、定時を超えることはないだろう。

直行直帰ができるこの案件は心の安寧という点ではかなりいい。

業務上のパートナーがまともで会話ができるところもかなりいい。

 

そんないい感じの業務上のパートナーであるミヤコはアオキの隣でポケモンセンターで貰ったらしいカラフシティのパンフレットを読みながら歩いている。

 

「噂には聞いていましたが、実際に見ると立派なものですねえ」

噴水のある大きな広場にある昇降機を見つけたミヤコは感嘆するようにそう言葉にした。

 

大きな崖沿いに作られたカラフシティは棚田のような三段構造になっている。一段一段が非常に高く絶壁になっており、別の段に行くためには昇降機を利用する必要があった。

 

「あの昇降機で上に行った先にカラフジムがあるんですよね!」

「あ、ですが、ジムにジムリーダーはいないので、今回はそちらには向かいません」

「……え?」

昇降機に乗るのが楽しみなのか、ワクワクした様子のミヤコには悪いがジムには行かない。冷や水をかけられたように固まる彼女はもう一度「え?」と言った。

 

「え?ジムにジムリーダーいないんですか?」

「ジムにジムリーダーはいないですね」

「え?……ちょっとお互いの認識を合わせましょう」

「はい」

「えーっと、まずパルデアのジムシステムを聞いていいですか?……つまり、挑戦者はどんなふうにジムに挑戦するのか、という話なんですが」

 

こめかみを抑えながら、そう問いかけてきたミヤコにアオキは(そうなるだろうな)と思った。

 

四天王でありジムリーダーであるアオキは知識として他地方のジムシステムを把握しているが、基本的にトレーナーは自分がジムチャレンジをする地方のジムシステムしか把握しないだろうし、ましてトレーナーでもなければ余計にそうだろう。

何から説明すべきか……と考えてからアオキは口を開いた。

 

「まず挑戦者は受けたいジムに行って、ジムテストのための予約を行います。ジムテストというのがどんなものかはわかりますか?」

「ジムトレーナーとバトルをしたりジムのギミックを解いたり……というイメージであってます?」

「……まあ、ジムにもよりますが概ねそのようなもので大丈夫です。ジムテストを受けて合格すれば、再度ジムで予約を行うことができ、それによって今度こそジムリーダーに挑戦できます」

「……つまり、ジムリーダーはテストを突破したチャレンジャーが来た時にだけジムに来る、と?」

「それも少し違いますね。パルデアでは基本的にジムには受付としての機能があるだけで、ジムそのものにバトルフィールドはありません」

 

ミヤコに露骨に意味がわからない、という顔をされた。

まんまるになった目に見つめられて、アオキは話を続ける。

 

「ジムリーダーとのバトルは基本的に街中に設置されたフィールドで行います。まあ、衆目の中でバトルをするということですね」

「ガラルのようにポケモンバトルが商業的エンタメとして親しまれているということですか?」

「……いえ、むしろそれはかなり未来の話でしょうね」

 

カラフシティを見渡せばたくさんの人がポケモンを連れて歩いている。人もポケモンも幸せそうだ。

ポケモンは人の生活の中に深く結びついていて、ポケモン無しに生活をすることは不可能とさえ言えるだろう。

パルデアが困難な地形の土地であるが故に、人とポケモンの結びつきは深い。

だからこそ、だろう。

 

「パルデアはそもそもポケモンバトルの文化がそこまで強く根付いていないんです」

「……そんなことあります?」

「カントーはどの地域よりも早くリーグが設立された場所なのでこの感覚が薄いかもしれませんね」

訝しげな顔をするミヤコにアオキは少し目元を緩める。

 

「ミヤコさんはパルデアに来てから、トレーナー同士の野良バトルをどれくらい見かけましたか?」

「……薄々思ってはいたんですよ。なんか、誰もバトルしてないなって」

「でしょう。パルデアは人の手が及ばない自然が多く残る地方です。そのため、生活にはポケモンが欠かせません。つまり、ポケモンがいないと生活に支障が出るから、ポケモンバトルなんてことをしてポケモンを瀕死にするリスクを取る理由がないんです」

「……なるほど、バトルに割けるほどのリソースを、多くの人が持っていないのですね」

「そういうことになります。現在はバトルの普及のために、むしろジムバトルは人目につくところで行うようになりました。宣伝活動ですね」

「ふふ、ようやく理解しました」

 

パッとこちらを見上げたミヤコは不意にイタズラげな笑顔を見せると、揶揄うようにアオキへ言った。

 

「そんなパルデアで四天王もジムリーダーもしているアオキさんは相当なイレギュラー、バトルジャンキーというわけですね!」

 

ニヤニヤと笑いながらそんなことを言う彼女に、アオキは一瞬虚をつかれて、それから少し肩を落として反論した。

 

「いえ、別にそういうわけでは。仕事としてその立場を割り振られただけですし。……というか、カントー人にそれを言われるのはなんとなく釈然としませんね」

「はー!それは偏見ですよ!カントー人はみんなバトルばっかしてるってイメージ!私みたいな普通の人もいます!」

「ポケモン所持資格者ってトレーナー扱いじゃないだけでバトルは可能ですよね。ミヤコさんも本当はジャンキーなんじゃないですか?」

「なっ、なっ……!今の発言、まあまあの暴言として受け取りますよ!」

そう言ってわざと怒ったフリしてから、すぐに彼女は楽しそうに笑った。

笑う度に栗毛色の髪が揺れて、アオキはなんとなくそれを目で追いかける。

 

「あはは!それは冗談としても、アオキさんの本気のバトルは見てみたいですねえ」

「はあ、ミヤコさんがバッジを全て手に入れてリーグに挑戦しに来てくれればいつでも」

「あ、私がアオキさんとやりあうんですか。急に無茶を言う」

「自分はミヤコさんバトルジャンキー説を推しますので」

「勝手に推されても……。というか、アオキさんそういう冗談言うんですねえ」

「これは自分の直感ですが、ミヤコさんはなんとなくトレーナーに向いてそうですから」

「……案外、見る目が無い方ですね」

 

 

 

アオキが先導する形で2人はカラフシティにあるレストランまでやってきた。

街の景観によく似合う青を基調とした立派な構えのレストランの前でアオキが立ち止まると、ミヤコも釣られて立ち止まる。

 

「ここですね」

「へ?」

「では入りましょうか」

「いやいやいやまってまってまってください」

ミヤコは思わずアオキの腕を掴んだ。

 

「……え?アオキさんお腹空きました?朝ごはん食べてないんですか?」

「食べました」

「そっか、食べたんだ……。いやそうじゃなくて、ここレストランですよ」

「はい、レストランです」

「そっか、わかってるんだ……。ジムリーダーさんに会いに行くんですよね?」

「そうです」

「そっか、あってるんだ……。え、まさかジムリーダーさん、ここにいらっしゃるんですか?」

「はい、ハイダイさんの本職は料理人ですから」

「そっか、そうなんだ……。え、なんで教えてくれなかったんですか……?」

 

彼女の困惑する顔に「その顔が見たくて敢えて黙ってみた」と言ったらどんな顔をするだろうか、と思った。流石に口にはしなかったが。

 

そんな会話をしていたところ、レストランから1人の男性が出てきた。

例のハイダイさんかと思って一瞬身構えるミヤコだったが、中から現れたのはこのレストラン『ハイダイ倶楽部』の従業員だった。

彼は2人に気がつくと、少し眉を下げて微笑んだ。

 

「ああ、すいません、開店時間まだなんですよ」

来店客だと思ったのか、そう言って軽く頭を下げる彼へアオキは一歩進み出て言った。

 

「すみません、自分はポケモンリーグの者でして」

「エッ!?ポケモンリーグの人!?なんでここに!?あ、まさか!」

「ああ、はい。ハイダイさんにご用がありまして」

「…………え。あ、ああ、そっか、そりゃそうか。ああ、いや、すいませんね、大きい声を出しちまって」

「いえ。お手数ですがハイダイさんを呼んで頂いていいですか?リーグのアオキだと言えば伝わると思います」

 

従業員へそう伝えると、彼は快く承諾して店の中へ戻っていった。開いた扉の中から「ハイダイさーん!お客さんだよー!」と声が聞こえる。

 

「……リーグって名乗るとそんなに驚かれるものなんですか?」

「いえ、そんなことはないと思いますが……」

不意にミヤコからそう問われるが、そこについてはアオキも心当たりがなかった。

突然リーグ関係者がジムに来たらジムの人間は驚くかもしれないが、レストランの人間はそう驚かない……と思う。いや、実際驚かれているが。

 

なんだったんだろうか、とお互いに顔を見合わせていると、店の中から再度人が出てきた。

 

「おお、アオキさん!ヘイラッシャイ!……は、今日はちょいと違うか!」

暖簾をくぐって出てきたのは青いエプロンをかけた恰幅のいい男性、ハイダイだった。

自身のお腹をポンポン叩きながらニコニコと体を揺らすハイダイに、アオキはいつもの無表情で頭を下げた。

 

「お疲れ様です、ハイダイさん。急な連絡ですみませんでした」

「いやいやあ!いいってことだい!」

見た目の通り豪快なところのあるハイダイはアオキの肩を「遠いとこまでよく来たなあ!」とバシバシと叩いて笑う。

叩かれるたびに体が揺れるアオキは若干「ゔ」とか「ぐ」といった呻き声を漏らしていたが、それも小声すぎてハイダイには気が付かれなかった。

 

「ウオ、お前さんが話のあった探偵さんかい?」

ミヤコと目があったハイダイは大きな目をさらに大きくして手を差し出した。

その掌をミヤコはニッコリと笑ってギュッと握り返す。

 

「はじめまして、ミヤコです。あなたがハイダイさんですね!パルデアで水ポケモンを使わせたら並ぶものはいないとお噂はかねがね!お会いできて光栄です!」

「はっはっは!そう煽てても何も出んぞい!とはいえ、店先もなんだ、中で話そうじゃないかい!」

 

そう言いながら悪い気はしていない様子のハイダイに、アオキはミヤコを見ながら(口が上手いな……)と思っていた。

いつもより声量が大きく、表情が豊かなのも、ハイダイが好みそうな人物像を模しているためだろう。彼女の本職が探偵であることを改めて思い出す。

 

店の中に入ると、営業時間前ということもあって厨房は準備に慌ただしくしていた。そんな忙しい時に訪ねてしまったことにやや後ろめたさはあるが、仕事なのでと気持ちを切り替える。

客用の4人席の片側にアオキとミヤコが座り、アオキの向かいにハイダイが腰掛けた。

 

「さっそくですが、本題に入ります。先日、お電話で軽くお話をさせてもらいましたが、このパルデア地方で近頃ポケモンの密猟事件が増えているんです」

「うむ、まったく許せんことだい」

「それで現在、何度か類似事件を担当したことのある、こちらのミヤコさんにご協力いただきながら調査をしています」

 

今日のアオキとミヤコの目的は、ハイダイに話を通し、もしもの時にスムーズに協力してもらえるようにすることだ。

 

そのため、まだリーグ上部でしか展開されていない『密猟組織アール団と秘密裏に連絡をとって偽の依頼をかける』という件についてはまだ伝えはしない。

ハイダイを信用していないわけでは無いが、従業員たちも近くにいる以上どこから話が漏れるともわからないし、まだどのポケモンを依頼対象にするか正式に決まっていないのだから話をするにも早い。

 

アオキはミヤコを交えながら、リーグからの連絡だという名目で以前起こった密猟事件の話や、その調査状況などを共有しつつ話を進めた。

あらかた話したあたりで話をまとめに入る。

 

「まあ、色々と堅苦しい話をしましたが、結論を言えば『これまでより不審な人物に注意してください』ということと、『何かあったら協力を要請するかもしれません』というだけの話です」

 

あくまでも、密猟者がいないか少し意識して欲しいことと、何かあったら協力を要請したいということが伝わればいい。

アオキの言葉にハイダイはドンと胸を叩いてうなづいた。

 

「あい了解した!オイラは競りでマリナードに行くこともあるからなあ、そっちもよくよく見るようにしておくとも!」

「ありがたいです」

話がそれなりにまとまったこのあたりで切り上げようと思っていたその時、不意にミヤコが唇を開いた。

 

「ところで、ハイダイさん」

「ん、なんだい?」

「最近この辺りで変なこととか起こりませんでした?」

「変なこと?」

こてんと首を傾げるハイダイに、ミヤコは「ええ」と微笑んでうなづいた。

 

「大したことじゃなくていいんです。本当にちょっとしたこと、例えば最近引っ越してきた人がいるとか、ポケモンの大量発生があったとか、それくらいでいいんです」

 

彼女の問いかけに、ハイダイは腕を組むと斜め上を見つつ「うーむ?」と考え込んだ。

ミヤコの真意はわからないながら、アオキは2人のやりとりを見守る。何かしら意味のあることだろう。

しばし考え込んだハイダイだったが、そう待たずにハッとした顔をして「そういえばだなあ、」と話しはじめた。

 

「少し前、……ううんと、1ヶ月くらい前かね、近くで深夜に火事が起きたんだい」

「ええ!火事ですか!」

「おお、近くといっても街の外の西一番エリアをいくらか行ったところでな、ほらあのあたりにゃいくらか木が生えとるだろう。その中に木が燃えててなあ」

「それは怖いですねえ。街の方々は大丈夫でしたか?」

「おう!夜で人もいなかったし、なによりうちのモンが1番に気がついて、オイラを呼んでくれたんだい!」

 

うちのモン、といったハイダイは厨房に立っていた1人の男性を手招いてこちらに呼びよせた。その人は偶然か、先ほどハイダイを呼んでくれたあの従業員の男性だった。

 

「おかげで火は広がらないうちに消せた!外とはいえ、街に近いところだから助かった!」

ハイダイは彼の背中をバシバシと叩くと「立派なもんだい!」と笑顔で褒めた。

 

急に呼び出されたかと思うと人の目の前で褒められて驚いたのか、従業員の彼はむしろ戸惑いに近い顔で「べ、別に大したことじゃないですよ」と答えている。

そんな彼にミヤコは「凄いですねえ!」と声を上げてから続けた。

 

「しかし、深夜に火事なんてよく気がつきましたね」

「ああ、いや、その日はなんか寝れなくてですね。ちょいと散歩してたら偶然……」

「なるほど。このあたりって炎タイプのポケモンは多いんですか?」

「たまにカルボウやドンメルを見かけるくらいかね」

「となると、ポケモンが原因の可能性も否定できないですね」

 

考える様子を見せるミヤコに、ハイダイは「ところで、なんでそんなことを聞いたんだい?」と問いかける。彼女は笑って答えた。

 

「ああ、いえ、大した意味はないんですよ。仕事の時のルーチンみたいなものです」

「そうかい?」

「はい、むしろ雑談にお付き合いくださってありがとうございます!」

 

話が切れたタイミングでアオキとミヤコは席を立つ。

アオキは来た時のように変わらない表情で軽く頭を下げ、ミヤコはハイダイへ手を差し伸べて握手をした。

 

「ハイダイさん、お時間いただきありがとうございます」

「いいってことだい!それより、ちょっとばかし早いがよかったらうちで食べていったらどうだい!」

 

そういって笑うハイダイに、ミヤコは流石に遠慮した顔を見せた。開店時間前の忙しい時間に訪ねた上に食事までというのは申し訳ないと思い、首を横に振る。

 

「お気持ちはありがたいですが、そこまでしていただくのは流石に、」

「待ってください、ミヤコさん」

 

遠慮するミヤコの腕を咄嗟に掴んだのはアオキだった。彼はミヤコの目を見ると真剣な表情で口を開いた。

 

「ハイダイさんはパルデアでも屈指の料理人です。ここ『ハイダイ倶楽部』も休日や食事時には長い行列ができるほどの名店……そんなお店を実質貸切状態にできるという機会は恐らくもう一生無いでしょう。つまり、」

「ハイダイさん!ぜひお言葉に甘えますね!」

 

凄い勢いで掌を返したミヤコはハイダイの手を両手でぎゅっと強く握る。

それを見たハイダイはお腹を抱えて笑い、アオキは小さくガッツポーズをした。

 

 

 

そんなわけでそれぞれ出来立てのサンラータンとダンダンミェンに舌鼓を打っているアオキとミヤコ。

貸切状態の『ハイダイ倶楽部』で優雅に一足も二足も早いランチをする2人は心の底から幸せそうな顔をしていた。

 

「最高ですね……」

「最高です……」

「本当にありがとうございます、アオキさん。危うく最高の機会を逃すところでした。やはりこういった情報は現地の方から聞かないと知り得ませんね」

「そうですね」

「………………ん?」

「どうかしましたか、ミヤコさん」

「……私、今なんて言いました?」

「はあ、「おかわりしたい」とかですか?」

「……アオキさんが料理ばかりで、私の話をちっとも聞いてなかったことはわかりました」

 

ジト目で見つめてくるミヤコに、アオキは口元を指差して「おべんとう付いてますよ」と言った。

 






◇昨日のミヤコさん
「アオキさんは私のこと揶揄わなくて良い人だな……」

◇今日のアオキさん
「ジャンキーなんじゃないですか?」
「ミヤコさんバトルジャンキー説」
(困惑する顔見たいから黙っとこ……)
(ミヤコさん、口上手いな……)
「「おかわりしたい」とかですか?」
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