アレ元からこんなじゃない?みたいな変え方ですから気にならない方もいらっしゃるかもしれませんが、ユージンがセレナも後ろで会話を聞いているはず~みたいに思うところをカットしました。
黒咲隼と会えば間違いなく争いになる。彼がアカデミアの人間を憎むのは当然の事であるからだ。
それをわかっていながら俺は挑戦を受け、そして黒咲と相対している。そうしなければならないという自覚があったからだ。
デュエルを受けたが、しかしどうするべきなのかがわからない。デュエリストとして避けられなかったとは言え本当にすべき事は黒咲に対しての懺悔であるべきではないだろうか?
「何をボーッとしている。余計な事は考えずデュエルに集中しろ。先攻は貴様に譲ってやる、好きに動け」
黒咲は怒りを漲らせながら言い捨てる。彼の戦法は紫雲院素良とのデュエルによってある程度は理解しているが、手の内をいくつか見えている程度で倒せる相手ではない。
手札にはエクシーズ召喚をある程度コントロールできる『RR』がある。理想的な盤面を築けば黒咲を封じ込められるだろう。
「……質問をしよう。貴様は何故ランサーズへと入った」
黒咲は心底理解できないという表情で俺を凝視する。彼がアカデミアによって多くの苦しみを与えられたという事を踏まえれば、今すぐ殴りかかってこないだけ慈悲と考えるべきだ。
じわじわとハートランドでの記憶が蘇る。絞り出すように俺は言葉を紡いだ。
「俺はエクシーズ次元で、アカデミアが間違っていると知った。奴らは全次元に攻め込もうとしている。俺は……あんな事をさせたくないから、止めたいんだ」
「それは貴様の本心か?また嘘を言ってスタンダードの人間を騙すつもりか?」
「……知っているのか、俺の事を」
「赤馬零児から貴様の名前を聞いた時、俺は無残にもカードにされた仲間達の仇を討てると確信した。貴様を信じたばかりに全滅したダイヤ校の事を俺は決して忘れないッ!」
あの少女。俺がカードに変えてしまった、彼女。
黒咲はあそこにいた人々の事を知っていた。だが俺の名前まで把握しているのは、つまるところあの襲撃を生き延びた人間がいたという意味だ。
一瞬だけ安堵し、そしてすぐに罪悪感から唇を噛みしめる。自分が今この場に存在しているという事に疑問を覚えるほどに。
「黒咲、俺は……」
「聞く耳持たん!どのような理由があるとしても、貴様がアカデミアであるというのならそれだけで倒す理由は十分だ!俺は貴様とは違う。真正面から打ち破り、一切の言い訳も出来ないほどに叩き潰してやる。だから貴様も全力で俺に立ち向かってこいッ!まだデュエリストであるという自覚があるのならなッ!」
剣を突きつける様に、黒咲はカードを俺へと向ける。言いたい事があるのならばデュエルで示せ、そう叫んでいるのだと受け取り胸中にざわつきを覚えながらも、震える指で手札から召喚するモンスターカードを手に取った。
「お、俺のターン!俺は『驚楽園の案内人<Comica>』を召喚し、その効果を発動してデッキからアメイズメント罠カードをセットする。対象は『A・∀ FF』だ!」
1ターン目から融合効果を持つカードを構える。性急かもしれないが、相手の事をある程度知っているのならば下手な出し惜しみは1ターンキルへ導きかねない。
黒咲は召喚されたComicaを見つめながら、ギリギリと歯を食いしばっている。彼にとってアカデミアの人間である俺の行い全てが腹立たしく、憎しみの対象となり得るのだろう。
ピリピリとした空気を一身に受けながらも頭の中で練った戦法に移るべく展開を続けていく。
「更に俺は速攻魔法『アメイジングタイムチケット』を発動。ライフを800払いデッキから『驚楽園の助手<Delia>を手札に加える。更に手札の『A・∀ RR』を見せて、Deliaを特殊召喚する。そしてカードを一枚伏せて、俺はターンエンドだ。黒咲……そう言うのなら、俺も全力で相手をする!それしか今の俺には出来ない!」
ComicaとDeliaがモンスターゾーンに、FFとRRが魔法・罠ゾーンに。
黒咲がエクシーズ召喚を行おうとした時にレベルを変動させて動きを止め、続いて融合召喚で制圧する。アメイズメントは罠をメインとするテーマである以上先攻を得れば強力な効果で相手を封じ込められる。たとえ黒咲と言えど苦戦をするはずだ。
「俺のターン。俺は手札から『
現れたのは生物と機械が混ざり合った鳥のモンスターだ。かつては羽毛に覆われていた箇所には全て装甲が装備され、物々しい姿はComicaとDeliaの二人と比べて不気味な雰囲気を醸し出す。
バニシング・レイニアスのレベルは4。前回のデュエルを踏まえればここにもう一体が並び、三体のモンスターを素材としてエクシーズ召喚を行う。となれば妨害は3体が並んだ直後と考えるべきだろう。
「俺は罠カード『A・∀ RR』を発動し、バニシング・レイニアスへと装備する!」
ComicaとDeliaの合図によって強風吹き荒れるヘリポートをレース場に見立ててレーシングカーが競争を始める。カードを装備されたバニシング・レイニアス一体は周囲をぐるぐると回る何台もの車に動きを制限された。
己のモンスターが翻弄されているにも関わらず黒咲は顔色一つ変えずに俺を見据えてくる。こちらの動きを見透かされているのではないかという不安を感じつつも、唾を飲んで逆に見つめ返した。
「……俺は永続魔法『RR-ネスト』を発動する。フィールドに同名モンスターが二体存在する場合、もう一体をデッキから手札に加え、そして2体目のバニシング・レイニアスの効果によって特殊召喚する」
三体目のモンスターが召喚され、エクシーズ召喚の準備が整った。妨害をするならば今しかない。黒咲の思考を読めないままに俺は『RR』の効果を宣言した。
「『RR』の効果を発動!このカードが相手フィールドのモンスターに装備されている場合、そのレベルを1上げ、守備表示にする!俺は三体のバニシング・レイニアスの内、一体のレベルを5にする!」
レーシングカーが爆走しながら引き起こした衝撃波により、バニシング・レイニアスが一体大きくバランスを崩してしまう。これによって三体のレベルはズレてしまい、エクシーズ召喚は不可能となった。
黒咲は自身の展開を阻まれたにも関わらずその表情にはまるで変化が無い。予想していた、とでも言うかの様に。
「これで俺を阻んだと思っているのか?こんなふぬけた戦法で俺を止められると?」
「……」
「貴様の考えが手に取るようにわかる。自分はフィールドを掌握している、敵に一歩も動かせはしないと。絶対に己が狩る側であるという驕りが全身から滲み出ている。どれだけの言葉を宣ったところで、やはり貴様はアカデミアだ!」
そんな事は無い、と言い返すつもりであった。しかし相手の動きに備えると言ってもその動きを完全に抑え込んでやろうというある種の自信を持っての姿勢であった事は否定できない。
黒咲は僅かに動揺する俺を鼻で笑い、
「俺達レジスタンスにとってその傲慢さは利用できる。負けるはずは無いという思考が、そのまま大きな隙になるからだ!俺は手札の『RR-ゲイン・レイニアス』の効果を発動!このカードを手札から墓地に送る事で、自分フィールドに存在するRRモンスターのレベルを最も高いレベルと同じにする。貴様のカードによって三体のバニシング・レイニアスの内一体がレベル5となっている。よって残りの二体も同様にレベル5となる!」
「変動したレベルに、合わせてきた……!?」
「この効果でレベルを変化させたモンスター一体につき800ライフポイントを失うが、これで俺のフィールドにはレベル5が三体並んだッ!」
驚きが言葉となってこぼれ出る。相手の動きを制御しなければならないのに、俺は咄嗟に手札のカードを確認してしまっていた。
Comica、FF、そしてアメイジングタイムチケットとそれによって手札に加えたDelia。4枚のカードを使用して残る一枚は『驚楽園の大使<Bufo>だ。アメイジングタイムチケットは発動するターンによって大きく効果が変化し、相手ターンならばデッキからアメイズメント罠カードをセットするだけでなく即座に発動できた。
焦ってしまった。安定した戦法を貫こうと考えてしまったばかりに自分で首を絞めたのだ。
「貴様の作戦は失敗に終わった。どんな気分だ?勝てるという思い込みを正される気分は!俺はレベル5のモンスター三体でオーバーレイネットワークを構築!」
「くっ……!」
三体のモンスターは光となり、空へと消えていく。姿を変え、新たな力へと変じていく。やがて吹き荒れる強風を制するかの様に燃えさかる炎を思わせるハヤブサがその翼を広げ戦いの場へと降り立った。
「獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!エクシーズ召喚!ランク5!!『RR-ブレイズ・ファルコン』ッ!!!」
「罠カード発動!『A・∀ FF』!美しき案内人達よ、四季の祭典と交わりて、新たな楽園へと導け!融合召喚!開園せよレベル6!『驚楽園の案内人<Comica&Delia>』!」
黒咲に合わせてこちらもモンスターを召喚する。二体のモンスターが対峙、強風が強まっていく。笑みを浮かべるCommica&Deliaと対照的にブレイズ・ファルコンは翼を翻し、全身で敵意を放つ。
プレイングミスに歯噛みしながら俺は対抗して声をあげた。
「Comica&Deliaの効果発動!融合召喚に成功したこのカードに、デッキから二枚までアメイズメント罠カードを装備させる!俺は『A・∀ MM』と『A・∀ VV』をComica&Deliaへと装備!」
メリーゴーラウンド、海賊船。二つのアトラクションが同時に出現した事によりヘリポートは瞬く間に賑やかさに包まれ、殺伐としたブレイズ・ファルコンを異物とするかのように包み込んでいく。
Comica&Deliaはその名の通り二体のモンスターが融合した存在であり、それぞれの効果を使用できる。Comicaのアトラクションを自在に入れ替える効果に加えてDeliaの『手札・フィールドのアメイズメント罠カードを墓地に送り新たなアトラクションをセットする』効果、この二つを操るのだ。
加えて『MM』によって攻撃力を増加させ破壊を一度だけ免れ、『VV』によって相手の攻撃を無効にするだけで無くコントロールを奪う。これ以上無いほどに安定した布陣だ。
「遊園地、か。かつてハートランドにも遊園地はあった。俺はあまり好きではなかったが、あそこは誰もが笑顔になれる平和を象徴する場所だった。だが今は貴様達アカデミアに破壊され、人々の涙と嘆きだけが積み重なる地獄と化したッ!」
「……」
「どんな理由があっても、どんな経緯があったとしてもッ!故郷を滅ぼした一人である貴様を絶対に認めはしない。決してッ!!」
どう言えば良いのか、俺にはわからない。黒咲の怒り、憎しみ。それを受けなければならないとわかっていても、何も言い返せない。ただ拳を握り、罪悪感に苛まれる。
セレナからの言葉までも脳裏をよぎる。彼女の為と嘘をつき続けて、まともに真実を告げる勇気を持てなかった事を。
俺は何がしたいんだろう。俺は、こんなにもおぞましくみっともない存在だった。
「ブレイズ・ファルコンのモンスター効果を発動!オーバーレイユニットを一つ取り除き、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、一体につき500ポイントのダメージを与える!」
間髪入れずに深紅のハヤブサが新たな攻撃を試みる。翼から幾つもの小型デバイスが放たれ、それぞれから凄まじい速度でレーザーがComica&Delia目がけて掃射される。僅かに離脱していた意識を引き戻し、俺はMMの効果を発動した。
「MMの効果!装備されているモンスターが破壊される場合、身代わりとなって自身を墓地に送る!」
Comica&Deliaを守ってメリーゴーラウンドが地面から出現しブレイズ・ファルコンの攻撃を一身に受ける。凄まじきその威力により、瞬く間にMMは消し飛んでしまった。
しかし黒咲の猛攻は止まない。Comica&Deliaの真横をくぐり抜けてブレイズ・ファルコンは俺へと高速で迫ってきた。
「ならばバトルだ!ブレイズ・ファルコンは相手にダイレクトアタックする事ができ、かつ相手に戦闘ダメージを与えた場合相手フィールドのモンスターを破壊する!」
「ッ!?VVの効果を発動し、相手モンスターの攻撃を無効にしバトルフェイズ終了時までComica &Deliaのコントロールを渡す!と見せかけてそこでComicaとしての効果を使用してブレイズ・ファルコンに装備!そのコントロールを奪う!」
迫り来るブレイズ・ファルコンの嘴を横から現れた海賊船の船頭が阻み、更に隙を突いてComica&Deliaは敵であるはずのハヤブサを半ば強引にVVへと乗り込ませる。
黒咲の苛烈な攻撃を凌いだ。次のターンに再び体勢を立て直せば……
「速攻魔法発動!『RUM-レヴォリューション・フォース』!相手フィールドに存在するエクシーズモンスターのコントロールを奪い、更にそのモンスターを素材としてエクシーズ召喚するッ!」
「しまっ……!」
紫雲院素良とのデュエルでも、黒咲は同様の方法で新たなエクシーズモンスターを呼び出した。それを知りながら俺は、迂闊にもコントロールを得てしまったのだ。
何故かと問われればそれは守りを固めようと意識してしまった事にある。閉じこもるかの様なデュエル、という黒咲の評価は完全に的を射ていた。
「誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!」
ブレイズ・ファルコンが不死鳥の如く燃え上がったかと思えば、ぐるぐると強風に従うかの様に旋回を始める。やがて風は炎を纏い、肌を焦がすほどの燃える嵐となっていった。その炎がVVを蝕み、海賊船はあっという間に燃え尽きた。
「現れろォッ!ランク6ッ!!『RR-レヴォリューション・ファルコン』ッ!!!」
炎と共にブレイズ・ファルコンが生まれ変わる。黒咲の強い意志を繁栄しているかの様な爆炎を背に翼をはためかせる姿に、俺はただ息を呑むばかりだ。
「レヴォリューション・ファルコンの効果!このカードがランク5以下のRRモンスターを素材としてエクシーズ召喚に成功した場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター一体を破壊しその攻撃力の半分のダメージを貴様に与える!」
機械仕掛けのハヤブサから放たれた炎がComica&Deliaを軽々と飲み込み、その余波が俺にまで向かってくる。避ける事も出来ずにそれを浴びてしまう あれだけ展開していたフィールドは欠片も残っておらず、気付けばたった一人。眼前には憤怒の色に支配された黒咲の姿があった。
「レヴォリューション・ファルコンでダイレクトアタック!革命の炎をその身に受けるがいい!レヴォリューショナル・エアレイドォッ!!」
レヴォリューション・ファルコンは頭上高くまで舞い上がり、全身から幾つもの爆弾をただ一人俺目がけて降り注いでいく。これを防ぐ術もなく、視界が一瞬で爆発による閃光に覆われた。
轟音、衝撃。ダメージをギリギリまで殺そうと回避しようと試みたが、爆風によって俺はヘリポートの端まで追いやられてしまう。アメイジングタイムチケットにより800ライフを払い、効果破壊により1100のダメージを受け、レヴォリューション・ファルコンの攻撃力2000を受けて残るライフは100。まさに風前の灯火だ。
「う、ぐぅ……」
虫の息だ。これ以上デュエルなんて続けられるはずが無い。そんな俺へとゆっくりと黒咲は歩み寄ってくる。霞む視界には彼の怒りのみがあった。
「ターンエンドだ。どうした、早くドローしろ。立ち上がれ。そんな痛みなど俺の仲間達に比べれば、罪も無い人々に比べれば、大した問題ではない」
「は、ぁ」
「起きろ。起きて戦え!ユージン!」
無理矢理にでも立ち上がらせようと黒咲は力を込めて胸ぐらを掴む。けれど手足には全然力が入らず、俺は唇をわなわなと震わせた。
目の前にぐっと黒咲の顔が近付けられる。怒りに、憎しみに満ちたその表情の原因はアカデミアで、つまりはそこにいた俺のせいでもある。
黒咲をここまで復讐鬼へと変えてしまったのは俺のせいだ。俺が彼の仲間をカードにしたからだ。
「俺は……俺は本当に君達を助けたかったんだ。でもアカデミアに利用されて、彼女達は……」
「黙れッ!貴様が何をしようとしたのかなど興味は無い。結果的にアカデミアの尖兵として人間をカードにした以上、貴様は俺の敵だッ!仲間達の仇だッ!」
黒咲が拳を振りかぶる。俺はそうされて当然だ。それだけの事をしたのだから―――――
「やめろッ!」
俺と黒咲に割って入る様に誰かが叫んだ。叩き込まれようとしていた拳がピタリと止まった事に気付き、声の方向に首を動かす。少女がデュエルディスクを構え、屋上の入口から飛び出してきたようだ。
セレナだった。キッと口を一文字に結び、猛獣の様に目を尖らせている。部屋からこっそりついてきただけでなく助けに来たのである。
「セレ、ナ」
「それ以上ソイツを痛めつけると言うのなら、私が相手だ!」
「……瑠璃?」
黒咲が気の抜けた声色で呟き、胸ぐらを掴んでいた手を緩める。ぐしゃりと地面に崩れ落ちる俺をよそに彼はセレナへと近付いていく。
「瑠璃、なのか?」
「私はセレナ、ただのセレナだ!」
「……似ているだけだと言うのか、また?」
先程までの激情は何処かへと消えていた。こちらに背中を向けている為に表情はハッキリとは見えないものの、目に見えて黒咲は動揺しているようだった。
「だが、奴は」
「アカデミアだから許せないと言うのなら、私もアカデミアだ!何も知らずに正しいと信じ込んでいた愚か者だ……だから、ユージンと一緒だ!」
セレナは黒咲に一歩も退こうとしない。それどころか僅かに押しきろうとさえしている。俺と相対していた時と大きく異なり、黒咲はみるみる内に闘志を失い萎んでいく。その様子に気付いていない様でセレナ本人はいつでもデュエルを挑めるようにとファイティングポーズを崩そうとはしない。
やがて黒咲はまだライフを100残している俺をちらりと窺い、それからため息をついて、
「……その状態ではデュエルの続行は不可能、貴様の負けだ。カードにしてやりたいところだが、そんな府抜けた貴様では何の意味も無い」
そう言うと警戒を解かないセレナの横を通り過ぎて黒咲は去って行った。どうやら見逃されたらしいが、それでもデュエルの結果は俺が惨敗である。カード化されずに済むとは運が良いのだろうか、それとも……俺は生半可な罰を受ける事も許されないのだろうか。
「おい!しっかりしろ、おい!」
黒咲がいなくなるのをしっかり見届けてからセレナは慌てて駆け寄ってくる。見た事も無い焦燥に駆られた表情に意外だと思いつつ、うまく言葉が出ない。
「黒咲とお前の話が聞こえてついて行った。それで……本当、なのだな。アカデミアのした事は」
「……本当に、本当なんだ。俺もうわからなくなってきたよ、セレナ。今すぐに消えてしまいたいくらいだ」
「それは駄目だ!そんな事は私が許さないぞ!」
セレナがくってかかる。唾を飛ばすような勢いにギョッとしてしまうと、更に怒号が飛んだ。
「お前は私に嘘をつくだけでなく約束まで破るつもりなのか。遊園地に行くと言ったのはお前だ、買い物に行くと言ったのはお前だ。私を……友達だと言ったのはお前だ」
「……」
そういえばいつだったかにそんな事を話したっけ。エクシーズ次元に向かう前、まだ何も知らなかった頃だ。
「だから、だからお前は私といるんだ。そうでなければ私は一人になってしまうじゃないか。ここまで連れてきたのはお前なんだから、責任を持て!」
「ま、参ったな。自分の発言が全部返ってきてる……」
けれどセレナの言う通りで、二人で結んだ約束はそれなりにある。破ってしまえば俺は今度こそ最低の男だ。
感情がぐしゃぐしゃになる。自分にそんな視覚はあるのかという疑念が胸を締め付けていく。
それでも、だとしても……俺はセレナと出会ってデュエルを楽しいと思えた。セレナがいたからアカデミアでの生活に耐えられた。だとすれば俺は、たとえどれだけ愚かだとしても彼女の為に戦うべきなのかもしれない。
「……セレナの言う通りだ。ちゃんと責任持つよ、遊園地に行こう」
「そうだ!行くんだ、二人で!」
黒咲の言葉は忘れない。俺が犯した罪はどうやっても償いきれない。
だとしてもセレナを置いてはいけない。最後まで、彼女についていくしかないのだ。
黒咲が怒濤の攻撃を行う感じを出せていれば幸いです。
今回登場した、もしくはせざるを得なかったカードのテキストです。
『驚楽園の案内人<Comica&Delia>』
光属性 レベル6 攻撃力2200 守備力1600
機械族 融合 効果
『驚楽園の案内人<Comica>』+『驚楽園の助手<Delia>』
このカード名の②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「アトラクション」罠カードを二枚まで(同名カードは1枚まで)このカードに装備する。
②モンスターに装備されている自分の「アトラクション」罠カード一枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドの「アメイズメント」モンスターまたは相手フィールドの表側表示モンスター1体に装備できる。この効果は相手ターンでも発動できる。
③手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から「アトラクション」罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。デッキから「アトラクション」罠カードを1枚選んで自分の魔法・罠ゾーンにセットできる。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。
『RR-ゲイン・レイニアス』
闇属性 レベル1 攻撃力1000 守備力500
鳥獣族 効果
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動できない。
フィールド上に「RR」モンスターが存在する場合、フィールドの「RR」モンスター1体を対象としてこのカードを手札から捨てて発動できる。フィールドの「RR」モンスターのレベルを対象のモンスターと同じにする。自分はこの効果によってレベルが変化したモンスター1体につき800ポイントのダメージを受ける。
この効果の発動後、自分はエクシーズモンスターしか特殊召喚できない。
テキスト書くのすっごい難しいです。こういう書き方の方が近いのでは?と思った場合は思いっきりご指摘ください。