コツがありましたら教えてください
あとデュエル構成マジしんどいですすっごい大変です、皆さんもやってみてください。
バトルロイヤルルール無茶苦茶すぎんだろ毎回ルール変わってねえかこれ。
「アクションフィールド……街がまるで別世界になったみたいだ」
「気をつけろよ。アカデミアが何処にいるのかまったくわからないからな」
舞網市で行われる大規模デュエル大会『舞網チャンピオンシップ』の決勝戦、バトルロイヤル。市全体をデュエルフィールドとし、その中で俺達『ランサーズ』は融合次元のデュエリストと戦う準備を固めた。そこから零児が下した指令はこうである。
チャンピオンシップの参加者である黒咲は他の参加者に紛れてバトルロイヤルに参加し、ランサーズのメンバーとなりうるデュエリストを探しながら状況に応じてアカデミアを迎え撃つ。零児はやってくるアカデミアにスタンダード次元へ潜入していた紫雲院素良もおり、自分を一度打破したエクシーズ使いを狙うと考えたのだ。
ユースクラスの者達には待機してもらい総力戦となった際に投入する。アカデミアと戦うのならば慣れていない彼らは互いに助け合える集団戦が最適であると考えてである。
そして俺達は、というよりセレナの役割は敵をおびき出す囮だ。敵がこの次元へやってくるのは脱走したセレナの狙いは奪還だと既に把握しているのならば、むしろ彼女を生き餌として放ち好きに動いてもらおうという作戦だ。
三つの作戦でアカデミアの戦力を分断する。この為に零児は交戦経験のないユースクラスに融合次元が繰り出す戦法に関してを細かく伝えるよう俺達に頼んだわけである。
俺は教えられるだけの事を全て教えはしたが、果たしてあの場にいた全員が戻ってこられるかどうかに関してはあまり自信がない。一度は尖兵としてあの軍団に身を置いていた以上、生半可なデュエリストでは到底勝てないとわかりきっている。
「……おい、何をボーッとしている。怪我をするかもしれないぞ」
悩みが表情に出ていたようで、セレナに肩を掴まれ歩みを止める。ハッとして足先を見れば草むらの先には道が無く切り立った崖のみ、止めてもらわなければ地面に真っ逆さまだったところだ。
森林地帯のアクションフィールドはとてもではないが都市の上に敷かれたテクスチャであるとは思えないほどに完成度が高い。実際のジャングルを歩いているかのようで、俺は額ににじんだ汗を手の甲で拭った。
「気にしているのか、他の連中を」
「いくらユースクラスが精鋭揃いとはいえアカデミアは強い。どれだけ生き残れるのか……」
「お前は他人の心配が出来るほど強いデュエリストなのか?」
セレナが怒りを孕んだ声色で問いかけてくる。今の言動は彼女のカンに障るものだったようだ。
「いや、俺は……」
「すまん、少し言い方が悪かった。つまりだな、奴らもデュエリストである以上は自分の身は自分で守る。心配している暇があったら、お前も自分の事を考えておけ」
彼女の言う通り、この場においては助け合う事はあっても余計な心配をする必要は無い。考えすぎて俺自身の身が疎かになってしまうのならば尚更するべきではない。俺は味方全員を守り切れるほど強いデュエリストであるとは言い難いのだ。
はぁとため息をついて、それから顔をブンブン横に振ってセレナへと向き直る。
「ごめん!なんか俺クヨクヨしてばっかだった!今ここで生まれ変わったからOK!そんでセレナどうする?折角そこらを川が流れているわけだし泳いでいく~?」
「……調子が戻ったと思えば、だな。断るぞ」
「まぁまぁそう言わずにさぁ。あ、まさかセレナ泳げないとか?」
「ば、バカを言うな!泳げるに決まっているだろう。一度も……水に入った事は無いが」
「ほら~!ほらほら~!大丈夫大丈夫、俺一応泳げる方だから、泳ぎ方とか教えるからさ!」
「今は泳げるかどうかは関係無いだろう!?まったく……!」
実際のところセレナが泳げないという情報は俺を明るい気持ちにするのにちょうど良かった。勝ち気で男勝りなのに水の中が苦手だなんて良いギャップだ。強気だけどたまに弱いところを見せて、更にその弱いところを隠そうとするのはどこか猫に似ている気がしないでもない。
「それより、アカデミアの連中は今何処にいるんだ?何の連絡も来ないぞ」
「バトルロイヤルが今どれくらい進んでいるのかもハッキリしない。何か起きたらすぐに零児の方から連絡が来るはずだから、今のところ問題はないと判断するべきだろうね。出来れば、俺達がここにいる事をわからない、なんてオチであって欲しいけど」
「……デュエル大会、か。アカデミアにそういうものはあったか?」
「ナイナイ。殺伐&競争社会の極みだからそんな暢気なもの、無いね」
ジャングルを歩きながら、舞網チャンピオンシップについての話題に花が咲く。セレナはデュエルディスクに手を置いて、残念そうにふぅむと唸った。
「出場したかった?」
「ああ。もっと多くのデュエリストと鎬を削ってみたくてな」
「俺も、実を言うと良いなぁって思ってたんだ。勝者こそ絶対、敗者は消えろ!なんてアカデミアのやり方、正直無茶苦茶キツかったからさ。やってみたいな、純粋なデュエル。……俺に、その資格があったらの話だけど」
「……心配するな。文句を言う奴がいたら、私が黙らせてやる」
振り返りもせずにセレナが呟いた。度々弱音を吐くというのに、こんな俺を毎回励ましてくれる彼女に頭があがらない。いつの間にやら俺が世話を焼かれてしまっている事が恥ずかしいけれど、悪い気持ちはしない。互いに相手を理解している気がするからだ。
ジャングルを進んでいく。やがて太陽の光も頭上を木々に覆われてしまい、薄暗く変じる。心なしか空気まで薄ら寒く感じた。
と、前方の闇からガサガサと物音が聞こえた。続いて何者かの気配までもそこから感じ、俺が何者かと尋ねようとするより早くセレナは地面を蹴って駆け出す。
「そこにいるのは誰だ!」
「セレナ!?」
セレナの背中が闇の中へと消えていく。追いかけねばとそれに続いてジャングルの奥へと足を踏み込んでいくが、一層暗闇が深くなるばかりで先に行ったはずのセレナを見つけられない。がむしゃらに進むものの、出口らしき灯りも見当たらず完全に俺は迷ってしまう。
「……くそっ!どこなんだセレナ、どこにいるんだ!」
「―――――さて、どこだろうな」
「ッ!?誰だ!」
暗闇の中から声が聞こえ、俺はその方向へと突き進んでいく。やがて道が開けたかと思えば密林の中にぽっかりと空いた広場へと辿り着いた。デュエルをするにはもってこいなそこで俺を待ち受けていたのは、見慣れた服装に身を包んだ三人の男達。
「オベリスクフォースッ!」
「くくく、ラッキーだ。セレナ様を確保するべくやってきてみれば脱走者も見つけられるとはな」
「それもノコノコ一人でな」
「馬鹿な奴……」
(オベリスクフォースだけで来ているはずはない。となれば間違いなく『奴』もこの次元にやってきているはず!恐らく他の場所にも!)
アカデミア襲来。それもアカデミアの生徒ではなく精鋭揃いのオベリスクフォースと来れば戦う以外に道は無い。逃走など許されるはずもない。セレナがどこへ消えてしまったのかを今は頭の隅に置いてデュエルへの思考に切り替え、俺はデュエルディスクを装着する。オベリスクフォース達も同様に嘲りの笑みを浮かべたままでディスクを起動させた。
「お前達はどこへも行かせない!俺が相手だ!」
「随分と」
「偉そうな態度で」
「来るものだな」
『デュエル!』
─1ターン目
・ユージン ライフ4000 手札5枚
・オベリスクフォースA ライフ4000 手札5枚
・オベリスクフォースB ライフ4000 手札5枚
・オベリスクフォースC ライフ4000 手札5枚
「先攻は俺からだ!まずは手札から『
『驚楽園の住人<Kitchener>』
炎属性 レベル4 炎族
攻撃力1800 守備力1200
アメイズメントの新たなるメンバー、それは軍服にコック帽という風変わりな出で立ちで立派な髭を蓄えた男である。全体的に爽やかなアメイズメントモンスターの中でも一際大柄で何より濃厚な風体は敵に威圧感を与えるには十分である。
「Kitchenrの効果を発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札のアトラクション罠カードを自身に装備させる。俺は手札の『|A・∀・KK《アメイズ・アトラクション・カーネルキッチン》』を装備!」
光と共にKitchenerの周囲に現れたのは火が燃え盛る戦場の如き料理場である。
アメイズメント・プレシャスパークを訪れる人々を更に幸せにするものは料理だ。Kitchenerはそんな厨房を支配する司令官というわけだ。
「Kitchenerに装備されているKKの効果を発動!このカードが自分フィールドのモンスターに装備されている場合、装備モンスターのレベル1つにつき100ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える!まずは右端のお前!」
Kitchenerが燃えさかるフライパンを振りかぶり、オベリスクフォースの内一人に炎を浴びせかける。Kitchenerのレベルは4なので、400ポイントのライフが引かれていく。本来ならば相手に美味しいものを食べさせるものなのだが、今回はそういう状況ではない。徹底的に責め立てていく。
「KKが自身の効果で相手プレイヤーにダメージを与えた時、その数値分俺のライフを回復する!」
「……ふん、相手のライフを減らしつつ自身は回復か」
「なんともまぁ」
「我々の手を読んでいる」
「俺はカードを二枚全て伏せて、ターンエンド!」
伏せた2枚のカードは『A・∀ MM』、『A・∀ CC』。MMの効果によって攻撃力をあげつついざという時には破壊からモンスターを守り、CCによって伏せカードや永続カードを墓地へと送る。
そして残る手札には『驚楽園の支配人<∀lrechino>があり、罠カードが発動するのに合わせて自身を特殊召喚すれば相手モンスターへとアトラクション罠カードを装備させる。
閉じこもるようなデュエルからは卒業し、相手を徹底的に攻め立てていく。黒咲と零児の指摘を反映させた俺なりの戦い方である。
─2ターン目
・ユージン ライフ4400 手札5→0枚
・オベリスクフォースA ライフ4000→3600 手札変化なし
・オベリスクフォースB ライフ変化なし 手札変化なし
・オベリスクフォースC ライフ変化なし 手札変化なし
「では、まずは俺からだ。俺のターン、ドロー!お互いに先攻となっている以上、攻撃は出来ない。なのでそうだな……盤面を整えるとしよう。俺は
何度見たか覚えていない、それほどまでに俺の脳裏へと刻まれている機械仕掛けの猟犬。効果まで俺は暗記している。それ故にしっかりと身構えた。
「古代の機械猟犬の効果!相手フィールドにモンスターが存在する場合、600ポイントのダメージを相手に与える!」
「Kitchenerの効果!アトラクション罠カードをこのモンスターが装備している時、効果ダメージを半分にする!」
俺はアカデミアと戦う時点で相手がどんな攻撃を仕掛けてくるのかはよく理解していた。それ故に対策は全て用意している。効果ダメージを現界まで削りながら、∀lrechinoの罠カードを除外する事で相手のカードを破壊する効果で攻め立てていくのだ。
「ふむ。用意周到だが……俺は魔法カード『融合』を発動!手札の残り二枚と合わせて融合召喚を行う!古の魂受け継がれし、機械仕掛けの猟犬達よ!群れ成して混じり合い、新たなる力と共に生まれ変わらん!融合召喚ッ!現れろ、レベル7!|『古代の機械参頭猟犬』《アンティークギア・トリプル・ハウンドドッグ》ッ!!」
融合次元であるのならば当然、召喚するモンスターも融合を用いたモノである事は必定である。俺はしっかりと身構えて、オベリスクフォースが呼び出した禍々しい三つ首の猟犬を睨み付ける。
『古代の機械』とつくモンスター達は全てが魔法・罠カードを封じる能力を持っている。今回の場合は『戦闘を行う際に相手は魔法・罠カードを発動できない』というもので、アメイズメントの天敵と言える。
「俺は二枚の伏せカードを全てオープン!『A・∀ MM』、『A・∀ CC』!二枚のカードをKitchenerに装備させる!」
新たに二つのアトラクションによってKitchenerを取り囲む。更に俺は極めつけとして手札から最後の一枚とディスクへ叩き付けた。
「そして罠カードが発動した時、手札から『驚楽園の支配人<∀lrechino>』を特殊召喚させる!」
光と共にプレシャスパークの支配人が現れ、密林を僅かに光で照らす。これによって相手がモンスターを召喚したところでその動きを止められるはずだ。
「……俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ」
「では次に俺のターン!俺も古代の機械猟犬を召喚し、効果を発動。半減するが300ポイントのダメージだ。そして融合を発動し、古代の機械参頭猟犬を融合召喚!」
「この瞬間、∀rlechinoの効果で機械参頭猟犬に対して『
「ならば、カードを二枚伏せてターンエンド」
「続いて俺のターン!やはり古代の機械猟犬を召喚し、300ダメージ。そして融合によって古代の機械参頭猟犬を融合召喚!カードを二枚伏せてターンエンド」
三体のモンスターの内一体には装備しているモンスターを裏側守備表示にするHHが装備されている。これによっていざという時に相手の攻撃を防ぐ事が出来る。更にたたみかけるべく俺はKitchenerに装備されているCCの効果を発動し、一人目のオベリスクフォースを指差した。
「CCの効果!このカードと相手フィールドの魔法・罠カード一枚を墓地へと送る!」
「ちっ……俺が伏せていたのは永続魔法
破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを与える永続魔法。これを取り除く事が出来たのは幸いと考えるべきだろう。
─3ターン目
・ユージン ライフ4400→3200 手札0枚
・オベリスクフォースA ライフ3600 手札6→0枚
・オベリスクフォースB ライフ4000 手札6→0枚
・オベリスクフォースC ライフ4000 手札6→0枚
「俺のターン、ドロー!よし……俺は『驚楽園の助手<Delia>を召喚し、効果を発動!手札・フィールドから表側表示のアトラクション罠カードを墓地へと送り、新たなカードをセットする。俺はMMを墓地へと送り、新たにRRをセット!更にHHの効果を発動し、機械参頭猟犬一体を裏守備表示にする!」
立て続けにフィールドのカードを入れ替えていく。一見すれば安定した盤面を崩すような行動だが、これもまた必要な作業なのである。
アトラクションが瞬時に入れ替わっていく。そうする事で俺の墓地にはMM、CC、そして裏守備となった事で墓地へと送られたHH、三枚のアトラクションカードが送り込まれた事になる。
「ここで俺は∀rlechinoの効果!墓地のアトラクションカードを除外し、その枚数分相手フィールドのカードを破壊する!俺が破壊するのは三体の参頭猟犬だッ!」
「何!?」
「一度に!」
「三体も!!」
∀rlechinoから放たれた幾つもの花火が一斉に参頭猟犬へと叩き込まれ、密林を爆風が薙ぎ払っていく。これによって相手フィールドはガラ空きとなり、ダイレクトアタックが通る。融合は手札を激しく消耗する為に、一度盤面を崩されてしまえば元に戻す事は至難の業になる。つまりオベリスクフォース達が巻き返す方法は……
「甘いな!」
「忘れたのか!」
「我々が何者なのか!」
『伏せカードオープン!
「ッ!!」
どちらか一方を選ぶ事は出来なかった。戦闘で参頭猟犬を倒す事は出来ても、下手を打てば逆転されかねない。それ故にと破壊効果をモンスターへと向けたが、まさか全員が同じ戦法を仕掛けてくるまでは予測できなかった。
「この効果により」
「相手のカード効果でフィールドから離れたモンスターを素材とする融合モンスターを」
「融合召喚する!」
『現れ出でよ!レベル9!|『古代の機械究極猟犬』《アンティークギア・アルティメット・ハウンドドッグ》!!」
あらゆる機械が混ざり合ったかの様に、ガチガチと音を鳴らして巨大な猟犬が姿を現わす。九つの首がじっと俺を見据え、ギラギラと怪しく目を輝かせる。
しまったと思うよりも先に、猟犬達はほぼ同時に全ての口からレーザーを放った。
「このモンスターが融合召喚に成功した場合」
「相手のライフポイントを半分にする!」
「それを、かける事の3!つまり貴様のライフは!」
『400になる!』
「ぐぅ、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
幾本にも束ねられたレーザーの集中攻撃を浴び、瞬く間にライフポイントが半分どころか僅か400まで削り取られてしまう。たった一回のミスでまさかここまでの大打撃を得る事になるなど思っておらず、後悔に駆られて俺は突っ伏したまま言葉が出なかった。
ライフポイントを半分にする、という効果は効果ダメージに入らない。それ故にKitchenerの効果でも半減する事は出来ないのだ。
「だ、めだ。駄目だ、諦めちゃ。セレナと約束したんだ……!」
後悔と絶望に打ちひしがれながらも、それでも俺の脳裏によぎったのはセレナと改めて交わした約束。一緒に遊園地へ行く。友達らしく色んな事を彼女と共有して、年頃の女の子らしく楽しんでもらいたい。
その為には負けられない。まだライフは400残っているのだ、起死回生の策を考えるだけの余裕は残っているはずだ。
「しょ、召喚された機械究極猟犬へと、∀rlechinoの効果で|『A・∀・WW』《アメイズ・アトラクション・ワンダーホイール》を装備、する」
まだ戦える。まだ何か策はある。
俺が頭の中でどの様な動きを繰り出そうかと模索していると、オベリスクフォース達はくつくつと笑い声を漏らし始める。
「くくくくく」
「ふふふふふ」
「ははははは」
「何が、おかしいんだ!」
「いやなに、お前のその姿があまりにも健気なものでな。つい失笑してしまった」
「ああ、本当に笑えるよ」
「気の毒なくらいにお前は一生懸命だ。両親が可哀想だよ。おい、アレを見せてやれ」
笑い声に困惑する俺のもとへ、オベリスクフォースから二枚のカードが放り捨てられる。地面に落ちたそれに映り込む顔に見覚えがあり、震える指で拾い上げる。怯えた表情で中年の男女がカードの中に封じ込められていた。
声が出ない。言葉に詰まり、俺はしばらく二枚のカードをじっと見つめてしまう。
「……父さん?母さん?」
ようやく絞り出した声に、オベリスクフォース達はまたくつくつと笑う。
「可哀想になぁ。息子がアカデミアに逆らい脱走した挙句、セレナ様まで連れ出したんだ。家族には責任を取ってもらわなければならなかった」
「お前に見せてやりたかったよ。泣きわめくその二人の姿をな」
「お前のせいだ。お前がセレナ様を連れて次元を渡らなければ、こんな事にはならなかったんだ」
「そ、んな……」
俺を遊園地へ連れて行ってくれた二人。俺の事を溺愛して、それでもアカデミアへ送ってしまった二人。
両親は俺がアカデミアを裏切った事を聞かされたのだろうか、そうに違いない。こんなにも悲惨な表情はそうでなければ生まれない。
「何故、こんな事をするんだ。責めるのなら俺だけで良いはずだ。なのに、何故……!」
「決まっているだろう」
「お前が裏切ったからだ」
「崇高なるアカデミアを」
崇高なるアカデミア。エクシーズを滅ぼし、何の罪も無い住人達を苦しめたアカデミア。
アカデミアが、アカデミアが、アカデミアが、アカデミアが……!!!
怒りのあまり、噛みしめた唇から血が噴き出す。拳を強く握りしめたばかりに爪が肉へと食い込む。
視界の端にカードが見えた。オベリスクフォース達は急に走り出した俺を咎めもせず、せせら笑う。何をしようとしているのか理解していないらしい。
俺だって理解出来ていない。けれど何かがこう語りかけるのだ。
『アレで呼べ』
ふらつきながら切り株に突き刺さっているカードを手に取る。絶望的なこの状況を打開しうる、起死回生の一枚を引き当てたのだ。
「アクション、マジック発動。『大博打』、デッキからカードを一枚ドローし……それがモンスターカードでなければ自分は1000ポイントのダメージを受ける」
これしかない、そんな藁をも掴む気持ちに裏でこれでいい、と安堵する。楽になれるからではなく、これで自分の勝利が決まったという何の根拠も無い確信が芽生えているのだ。
ゆっくりとデッキからドローする。何を引いたか確認し、背筋がぞわりと粟立った。
「……く、くくくくくくく、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「なんだこいつ?」
「モンスターカードは引けても、ハズレだったのか?」
「頭でもおかしくなったのかよ」
笑いたくなんかないのに、ドローしたカードを視界に入れた途端俺は馬鹿みたいな笑いが止まらなくなった。おかしくておかしくてしょうがない、あまりにも面白くて笑い死にしそうだ。
折角完璧なカードが引けたのだ。オベリスクフォース達にも見せてやらなくては。
「うふふふふふはははははははは。お前達、そんなにおかしいか?そんなに、クスクス笑って面白いか?なら、ならもっと面白くしてやろうかァッ!」
高らかにカードを掲げる。それは薄暗い闇の中において異様な光を放ち、闇を照らすどころかその輝きによって塗りつぶしていく。
「フィールドの∀rlechinoをリリースして、俺は|『恐楽園の死配人<Arlechino>』《アメイズメント・ドミネイター アルレキーノ》を特殊召喚するッ!楽園の主よ、真なる姿を現わせッ!!」
ビキリ、と∀lrechinoが震える。整った顔立ちが苦悶に歪み、そして次にニンマリと笑みを浮かべる。瞬く間に煌びやかな衣装はその色を美しい青から、不気味な赤へと変化させた。
生まれ変わった、否、反転したと言うべきか。闇から光へ、全てを上書きし塗り潰す強烈な輝きが今俺のフィールドに顕現している。
「反転したArlechinoの効果を発動する!このモンスターが『驚楽園の支配人<∀rlechino>』をリリースする事で特殊召喚に成功した場合、デッキから『アメイズメント・ファミリーフェイス』を可能な限り発動する!」
「デッキから」
「可能な限り」
「発動するだと!?」
「本来、アメイズメント・ファミリーフェイスはアトラクション罠カードを装備しているモンスターしか対象に取れない。だが『恐楽園の死配人』の効果によって発動した場合、その制約は存在しない!そしてファミリーフェイスによってお前達のフィールドに存在する究極猟犬二体のコントロールを俺のモノにするッ!」
Alrechinoが姿を変えるのに合わせてKitchenerとDeliaも大きくその姿を変えていく。頑固な料理長はその手に包丁を握り、美しき機械人形はその四肢から幾つもの刃物をはやしガチガチと音を鳴らした。
死配人の命に従い、Deliaは二頭の究極猟犬へと凄まじいスピードで近付いていくと、懐から取り出した可愛らしいシールを三つ首へと貼り付けていく。途端に機械仕掛けの猟犬達はグルルルと喉を鳴らし、本来敵であるはずのDeliaへと頭を垂れてしまった。
「お、俺達のモンスターが!」
「馬鹿な!?」
Deliaに導かれるままヒョコヒョコと二頭の究極猟犬は俺のフィールドへとやってきてしまう。本来の主などすっかり忘れてしまったという様子で、それを目にしたオベリスクフォース達は愕然としている。
「ファミリーフェイスを装備されたモンスターはアメイズメントモンスターとして扱い、攻撃力も500ポイントアップする。そして……古代の機械究極猟犬の効果は三回までの攻撃が可能……だったな?」
「う、うう」
「そんな……!」
「信じられん……!」
攻撃力が2800から3300へとパワーアップし、三回ずつ攻撃できる機械究極猟犬がいる以上最早オベリスクフォース達を守る盾は無い。伏せているカードもこの状況では役に立たないものなのだろう。
となれば、あとは攻めて行くのみである。
『ひいいいいいいッ!』
「二体の究極猟犬!Delia!Kitchener!そしてAlrechino!叩き潰せェッ!!」
言葉にするまでもない。そこからは凄惨なダイレクトアタックの連続となった。残る究極猟犬も仲間であったはずの二頭によって粉砕され、更に残されたオベリスクフォース達へは楽園の住人達によって一斉攻撃が行われた。
破壊、破壊、破壊。瞬く間にライフが削られていき、気付けば残りライフが0となっているにも関わらずなおもオベリスクフォース達はDeliaの手で痛めつけられている。
「も、もうやめてくれ!」
「俺達のライフはぁっ!」
「もう0なんだァァァァァァ!!」
ぴたりと攻撃が止まる。俺が敗者へと歩み寄っていくのに合わせてAlrechino達は役目を終えて姿を消していった。
残されたのはこれでもかというほど攻撃されボロボロのオベリスクフォース達のみ。その彼らも倒れ伏した状態で俺を見上げ、青ざめた。
「どうした、笑えよ。さっきはあんなに笑っていたじゃないか」
「ううう、ううう」
「さっきの見たか?面白かったよな、お前達のモンスターがヒョコヒョコ動いてるところとか。面白かったよなぁ?」
「え、え、え?」
「笑えよ、ほら。笑ってみろよッ!」
『あ、あははははは、あははははは!』
「よぉし、良い笑顔だ。そんじゃあ写真を撮りましょうねぇ、はい、チーズッ!」
引きつりながらも素晴らしい笑顔を見せてくれたオベリスクフォース達目がけて、ディスクから光線を放つ。人間をカードにする、あの忌々しい機能だ。こんな形で使うとは思っていなかったが、それでも悲鳴さえあげられずに消滅していく姿を見るのは愉快極まりない。
地面にヒラヒラとカードが三枚落ちる。そこには恐怖に染まりながら必死に笑うオベリスクフォース達の姿があった。
「……ユージン?」
背後から声をかけられる。振り返れば、そこにはあんなに探していたセレナの姿があった。安堵のあまりニッコリと微笑んでしまう。
「良かったセレナ。無事だったんだね」
「ッ……!」
抱きつきかねないほどの勢いで駆け出そうとした途端、セレナはデュエルディスクを構えた。ついさっきオベリスクフォース共が浮かべていた様な恐怖に満ちた表情も一緒で、俺は首を傾げてしまう。
「セレナ、敵はいないよ。皆やっつけた、ほら!カードにしてやったんだ!」
「お、まえ」
「どぉしたんだよセレナ。なんだってそんな顔をするんだい?」
「……一体、お前の身に何が起きたッ!」
何も起きてはいない。今こうして無事なのが何よりの証拠だ。だというのにどうしてセレナはそんなにも怖い顔をするのだろう。
目を尖らせて、何かに耐える様に唇をギュッと引き締めて、とても辛そうだ。
「……なんだい、そのしかめっ面は。何か辛い事でもあったのかなセレナ」
ゆっくりと歩み寄るが、セレナは逃げる様に一歩退く。
「そうかわかったぞセレナ。笑顔だ、笑顔が足りないんだ。折角だ、デュエルをしよう。そうすればきっとわかってくれる」
俺という奴は勘が鈍かった。本当にすべき事はデュエルで話し合う事だ。初めて会った時みたいに彼女へを素晴らしい世界へと誘ってあげよう。そうしたらきっと笑ってくれるはずだ。
「くっ……!」
「ふふふふ、ははははははははは!!!」
『デュエル!』
次回はユージンのデュエルの裏でセレナがどうしていたのかを描きます。
それともうおもくそオリジナルにするのだから死配人とファミリーフェイスはほぼセットとして扱おうと思っております。
デュエルの形式は今のところどれが一番わかりやすいでしょうか?
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十五話までの形式
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十六話からの形式