夢と異常が混ざりあう ~SCPfoundation×ホロライブ短編集~ 作:架空柿
深夜が立ち込める道路に、一人の少女が立っている。その少女は酷く疲労して、足取りが不安定であった。
「あぁ……きょうも疲れました~」
株式会社COVERに勤務するスタッフの一人であり、ホロライブの始祖であるときのそらの友人、Aである。今日も今日とて残業に勤しみ、帰宅する最中である。
「明日も頑張ろう」
人の夢を裏から支えるその仕事は、友人Aにとっては苦痛ではない。疲労はするが。それ程、好きでやっていける仕事なのだ。
帰宅道を歩く中、駅の近くの交差点にある街灯の下に、ヨーロッパ系の男性が立っていた。深夜に人がただ突っ立っているだけでも少し怪しいのに、その男性は何か缶ジュースのようなものを持っていた。
「……変な人だ」
ボソッと呟いた友人Aは、自然と避けるように移動した。その時であった。
「……そこの嬢さん」
その男性が話しかけてきた。無視したら何が起こるのかが分からないため、友人Aは振り向いて対応してしまった。
「ちょっと、このMONSTER飲んでみないか? 疲れてるように見えてな」
そう言って、その男は手に持っていた缶を友人Aに渡した。
「お代は結構。それじゃ」
「あ、待ってくだ……」
その男は、気づいたときにはもうそこには居なかった。残っているのは渡されたMONSTER……ではなく「MOONSTAR」なるもの。
「……飲も」
疲労からまともな判断ができない友人Aはその缶の封を開き、中身を体内に注ぎ込む。味や香りは普通の物と変わらない。しかし、飲み終わった直後に異変は発生した。突如として友人Aの体が独りでに動き出したのだ。勝手に動く体は、普通ではあり得ない動きをして変形していき、やがて友人Aの体は、飛行機「トキエア」に変化した。
「……なにこれ」
あまりにもシュールな出来事に、友人Aはただ呆然とした。そして、「飛ばないと」という一種の強迫観念に襲われ、友人Aは飛行を始めた。それはそれは優雅で、爽快な空の旅であり、空から見る夜景はとても美しかった。
(……でもこれ、残業でできてるんだよなぁ……)
不意に、友人Aは思い、動かせない両手を組み、「南無」と唱えた。
円形状に一週飛行を終えると、先程友人Aが飛行機に変化した道路に戻ってきた。その余りにも不思議な空の旅は、友人Aに爽快感とストレス発散をもたらしただけだった。
後日、この事を、例の缶と共にこよりへと相談すると、その調査と飛行できるようになる薬の開発を引き受けてくれたという。
「トキエア」、存在するんですよね。一応参考資料も載せておきます。
https://www.aviationwire.jp/archives/240146
登場SCP
FattyAcid作
SCP-1939-JP - 星空散歩はエナジードリンクと共に
2018年
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1939-jp
CC BY-SA 3.0