夢と異常が混ざりあう ~SCPfoundation×ホロライブ短編集~ 作:架空柿
某日、イナニスはとある集団からとある者と逃げていた。その者は凡そ人間とは思えない造形をし、タコのような頭部には触手が大量に存在し、それが背中まで続いた「怪物」と形容するしかないであろう四メートル程はある人形の何かである。一目見れば正気ではいられない者と共に逃げるイナニスだが、彼女は特に影響を受けていない。何故なら、普段からネクロノミコンという正気ではいられない書物を平気で持ち歩き、果てには読破までしているからである。
イナニスは家まで逃げ切ると、怪物……又の名をクトゥルフと共に自宅に入った。
「はあ……大丈夫?」
「汝こそ、よく我に着いてこれた」
事の発端はイナニスが何となく自宅付近の池で写生を行っていたときである。イナニスが池の周りにあるマラソン道に筆を進めた時、巨大な何かが人間にイジメられている現場が見え、イナニスは触手を出して全速力で向かったのである。現場に到着すると、そこには緑色のタコが自らを刃物で傷つけその血液をタコにかけ流している現場であった。
「ちょっと、タコをいじめないで!」
「……我らが主への儀式を邪魔する者は何であろうと滅する」
「助けて……」
イナニスは背中の触手を器用に操って人間のみをなぎ倒し、緑色のタコの手を取って取り敢えず家まで走り出した。
シャワーから出たクトゥルフはイナニスが入れたコーヒーを口に入れ、カーペットの上に腰を下ろした。椅子に座れば壊してしまう。
「その……何があったの?」
「あぁ、我、何故か人に好かれるんだよね」
「好かれる……」
イナニスは初対面時の現場を思い出す。あれは好かれるという一言で表せるものではない。表す言葉があるとしたらそう、「狂信」である。
「それにしても汝は凄いな! あんな一瞬で倒してしまうなんて!」
「いやぁ……生活してればあのぐらいできるようになるよ」
クトゥルフはイナニスと会話しているなか、ふと視界の端に写っていた本に意識が向いた。何処か親近感の湧く、禍々しいオーラを放つその本に。
「なあ、まさかそれネクロノミコンか?」
「ん? あぁ、そう。なんか拾ったんだよね」
「懐かしい……昔パパが我の寝る前によく読み聞かせしてくれた」
「よ……読み聞かせ?」
正直、ネクロノミコンは寝る前の読み聞かせには適さない。通常の人間ならば発狂して睡眠どころが永遠の睡眠につく可能性すらある。やはり神は別格だ。
「それにしても……これからどうするべきか……折角見つけた物件もあいつらに見つかったし……」
「ならうちに住む? 私の家これ配慮してるからそこそこ屋根高いよ?」
「良いのか?」
「うん!」
クトゥルフはイナニスの手を取り、滅茶苦茶握手した。
まあ……たまにはこういう平和回(いつも)も良いですよね
SoullessSingularity作
SCP-2662 - くとぅるふ ふっざけんな!
2014
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2662
CC BY-SA 3.0