夢と異常が混ざりあう ~SCPfoundation×ホロライブ短編集~ 作:架空柿
孤独の煙
ある病院の一室、一人の女性がその命を散らそうとしていた。辺りには誰もいない。
彼女は不幸だった。生涯恋人と呼べる者はおらず親にも先立たれた。友達もあまり作れておらずその友達も彼女を裏切った。ただの平社員として報われず、この病室にいるのも、疲労とストレスからきた重病のためである。
女性が自身の人生に悲観していた頃、気づかぬうちにベット側にある椅子に見知らぬ黒いスーツを着た男性がいた。
「よう」
「誰……ですか」
男性は少し顎を撫で、考え込む。
「そうだな……まあなんだ、あんたの孤独が生んだ幻影とでも思ってくれ」
女性は不自然に納得した。普段の彼女であれば違和感を覚えるだろうが、今の彼女にそれを覚える余裕がなかった。ただ今の彼女に必要なのは、死への苦しみを耐える気力であった。
男性はスーツのジャケットにある内ポケットから一つの箱を取り出した。それは彼女には無関係だったものであるがために、彼女は受け取りを拒否した。
一人の女性と一人の男性。端から見れば親子に見えるような年の差のありそうな二人の間には、ただ静寂のみが流れていた。そして、その静寂を破る存在が一つ、この病室に入ってきた。
「どうも~、回収しにきました~」
黒を基調としたロングスカートとマントを着用し、白いヴェールによって後頭部を覆い、その身丈にも関わらず彼女より大きい鎌を持った存在、森カリオペが虚空より現れた。男は顔の端に気重そうな表情を浮かべ、口を開く。
「おっと、仕事が早いんじゃないか? まだ給料は出ねえ時間だぜ?」
「こちとらブラックなんで給料なんてものは存在しない。あんたらが全員いなくなってくれればこちらは万々歳なんだけどね」
「そうかっかなさんなって。ほら、あんたもいるか?」
軽い笑いを含みながら話続けた男は、手にしている小さな箱から一本の白棒を取り出して、カリオペに渡す。しかしながらカリオペはそれを女性と同様にして受け取りを否定し、あまつさえ蔑みさえした。
「兼業があるんで」
「……そうかい。ま、無理強いはしないさ」
火の灯された娯楽の塊、それを男は大きく吸い込んで、病室の窓から外へと吐き出す。立ち上る白煙が病室より天へと至って、やがて霧散する。文字通りの霧隠れ。
幾刻かが経過した頃、単調な笛の音が病室に響き渡ると同時に男は姿を消してしまい、病室の床に少しの灰を落としていった。火のついた煙草は未だに煙を立ち上らせ、病室内に漂わせたまま。魂を手にする死神と、たった一つの煙。死神は少しばかり孤独を味わってから病室を後にした。
長らく投稿せず申し訳ございませんでした。簡潔に原因を申しますと、時間が取れなかったためと一次創作にはまっていたためです。ざっと26作程度書いていました。
登場SCP
Fennecist訳
CadaverCommander作
SCP-4999 - 私たちを見守るもの
SCP-4999 - Someone to Watch Over Us
http://scp-jp.wikidot.com/scp-4999
http://scp-wiki.wikidot.com/scp-4999
CC BY-SA 3.0