夢と異常が混ざりあう ~SCPfoundation×ホロライブ短編集~   作:架空柿

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 お久しぶりです
 エンジンにヒビが入ってしまった車で書いてた筈なんですが……おっかしいなぁ


錬餃術師

「わざわざ来てもらっちゃってごめんね~」

「いいよいいよ! 楽しみだったし!」

 台所に押し並べられている大皿、ダイニングに設置されたテーブルの側には椅子に座った水宮枢がいる。ギリギリ床についているぐらいの足を振り回して、右手には箸、左手では拳を握っている。。端から見れば児童にも思えるが、彼女は発言通り楽しみで仕方がなかった。何せ同僚であり良き友人たる千速が練習しているという料理、それをスケジュールの都合上トップバッターに試食できるのだ。ネタバレもなにもない、新雪を初めて踏み込める期待は誰しもが持つだろう。

「できた~。食べてみて!」

 溌剌とした声を聞き取り枢の期待は有頂天へとかけのぼった。何が出されるのだろうかと、ソシャゲのガチャを回すときのようなワクワクが心の奥底から湧き出してきて、心臓とアホ毛が跳ねている。

 そんな彼女の前に出されたのは、円形になるよう設置された餃子だった。羽がついており、焼け目もしっかりある。具の量がまばらなところからも、彼女の手で作られたものだと分かる。

「ちはらしいね。美味しそ~!」

 張り付いた羽を切り取りながら、枢は餃子を一つ口にした。租借する度に溢れてくる肉の旨味とニンニクのちょっとした辛味、散らされているニラが良いアクセントを醸しており、旨い。皮の方も厚すぎず薄すぎず、黄金比的なバランスで保たれている。

「どお? 美味しい?」

「美味しいよ! お店出せるんじゃない?」

「良かったぁ! 餃子は美味しく作りたかったんだよねぇ!」

 喜びを纏う表情のまま、千速はまた別の大皿を置いた。大皿の上には逆さになった茶碗が置かれており、一瞬何かしらのミスを疑った枢であったが、すぐに次の料理を察した。千速が茶碗に手をかける。パラパラか、それともしっとりか、どちらでも楽しみだと呑気に枢は思いながら、茶碗の開封を観察している。

「中華繋がりで次はこれ!」

 茶碗が持ち上げられ、中身が露出する。ドーム状に象られたその料理は、白く美しい皮を纏い、神秘を大いに包む、羽のない餃子だった。

「…………え、なんで?」

「こっちが聞きたいよ」

 千速は記憶を遡る。確かに中華鍋に卵と油をまぶしたご飯をいれて、刻んでおいたネギと豚とを入れて、いい感じに炒めていた。茶碗にもチャーハンを入れて、良く見るドーム状のチャーハンになる筈だった。レシピにもそう書いてあった。しかし現実を見れば、大皿の上にあるのはドーム状の餃子。茶碗の中で、チャーハンが餃子に変わった。そんな現象を、信じられる筈がなかった。

「ちゃんと作ってたのに……」

「ちゃんと作っててチャーハンが餃子になることある……? ちょっと次の作るところ見ていい?」

 千速は静かに了承し、枢と共にキッチンへと向かう。調理場の脇に置かれたレシピ本には次の料理である寿司の項目が開かれており、普通に調理法を示していた。レシピ本に書かれている方法でシャリを手に取り、わさびを塗らずそのままネタのマグロを乗せる。そのまま、文字通り握った。その瞬間、手の中にあった曲線な感触が、直線や鋭角交わる感触に差し替えられる。恐る恐る手の中を覗いてみると、そこにあったのは餃子だった。赤みのない中身の肉はよく火が通っていることを暗示しており、上部もしっかりと蓋がされている。羽は広かった。

「今寿司が餃子になったよね……なんで……?」

「……これこのレシピ本が悪い気がする。見ないでやってみるね」

「そんなわけ…………いや……信じられないけどあるかもしれない……」

 先程の要領で寿司を握る。一度やったことのため少し慣れており、先程よりも手早く握れた。手の中で餃子に変わることなく、酢飯の上に光かがやくマグロの乗った、寿司ができている。

「……その本、捨てよ? というか練習してるときに気がつかなかったの?」

「別の本使ってたから……昨日汚しちゃって新しく買ったのがこれ」

「あぁ……うん……ドンマイ……なのかな」




 Anomalousアイテム面白いですよね

登場SCP
redbluefumikiri作
書かれている内容通りに料理を作ると必ず餃子が作られてしまう料理本。
http://scp-jp.wikidot.com/log-of-anomalous-items-jp/name/01954
CC BY-SA 3.0
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