プレゼント    作:平月

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プレゼント 第二話

 

 その日の夜。

「あー!ハラ減ったぜー!!いっただきま~す♪」

「はい、召し上がれ♪それにしても今日は忙しそうだったわね?」

 お腹ペコペコで帰ってきたポップにマァムは夕食を美味しそうに食べる彼をみて笑顔で訊ねる。

「ん?ああーホントだぜ〜昼間にアバン先生のトコに行ってからロモスの王様に流行り病の特効薬を届けて、そん次はパプニカだろ?問題はそこからだ……姫さんに特効薬渡した途端に次から次へと仕事押し付けられてよ〜昼メシ食わしてくれるのは有り難いケド……あの人使いの荒さは……ハハハなんかダイが気の毒にも感じるぜ……」

「そんなに大変だったの?」

「ああ……オレ絶対にパプニカでは働きたくない……でもダイもそうだけどさ、ヒュンケルもよくやるよ姫さん直轄の近衛騎士団だもんな……」

「だってエイミさんがいるもの」

「ほーお前、完全にヒュンケルのこと吹っ切ったんだなぁ〜」

「なによぉ〜その言い方……感じ悪い……」

「い、いや!べ、別に他意はないさ……」

「こうしてあなたの傍にいるのに……」

 ポップは自分の発言でマァムを傷付けたと思いすかさず頭を下げる。

「ご、ごめん!!この通りだ!!そうだよな……お前は俺を選んでくれたんだし……本当にごめん!もうニ度と言わない!!」

 そう言うとマァムは俯きながら笑い出した。

「フフフ……アハハハ♪」

「な、なんだよ!人が真剣に謝ってるのに!!」

「ごめんなさい……でも、なんだか嬉しくて……」

「う、嬉しい……?」

「うん、あなたとこうして話してる時間がなんだか愛おしく感じるの……ああ、私は本当にポップが好きなんだなぁって……」

「なっ……!?マ、マァム……!お前……」

 ポップはそう言って柔らかい笑顔をみせるマァムに赤面しながら狼狽えている。

「は、反則だぞ……その笑顔……」

「反則?なにが?」

(「たくっ……!相変わらず自分の魅力に気付いてねぇのかよ……可愛いったらありゃしねぇのによ……」)

 ポップはまだ赤面しながらマァムを横目に胸の内で甘く毒づく。

 と、その時ポップはそんなマァムのあることに気付いた。

「ん?あれ?そういえばお前、夕飯食わねぇのか?」

 するとマァムは少し俯きながら呟く様に言う。

「うん……なんだか少し食欲がなくて……」

「えっ!?だ、大丈夫かよっ!!もしかして流行り病か……っ!!?」

「ううん!大丈夫よ、ちょっと身体が怠いだけだから……」

「ちょっと待てよ……」

 そう言ってポップは自分の額をマァムの額に合わせる。

「ポ……ポップ……?」

 マァムは少し頰を赤らめながらポップの顔を見つめる。

「う〜ん……熱はとりあえずないみたいだな……流行り病ではないか……」

「流行り病は発熱が始めの症状だって言うものね……たから平気よ……」

「そっか、まぁでもとりあえずアバン先生の特効薬飲んでおこうぜ!俺もカールで飲んだしよ♪」

「予防ね、わかったわ……ありがとうポップ」

「おう!」

 そうして二人はこの夜はマァムの体調を鑑みて早めの床に就いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 さて、その翌日パプニカでは……

 

「クリスマスパーティーまで後十日ね……」

 レオナは昨日すでにポップとダイを伴ってクリスマスパーティーの告知を国中に知らせてから気合いの籠もった表情をしている。

「姫様、実は今回こちらの新しいサンタコスチュームに少しある工夫がされてまして……」

「え?工夫?」

 パプニカ三賢者の一人エイミがそう告げながら、もう一着同じ様なサンタコスチュームを持って来た。

「はい、去年はさすがにクリスマスシーズンでのミニスカートが寒いと仰っておりましたので今年は法術で編んだ生地に更にメラ系の魔法力を注いで保温効果を図ってみました」

「へぇ〜スゴイじゃない!あ、確かに私そう言ってたわね……それじゃあその新しい方を早速試着してみて良いかしら?」

「はい!お願いします!」

 そう言ってレオナは新しいサンタコスチュームを試着し始めた。

 

「うん!去年のよりもデザインが可愛くなってるし♪ホントに温かいわね!」

「はい、外でも室内にいるのと同じくらいの体感が得られます!ただ一晩くらいしか効果が持たないので効果がなくなったらその都度メラ系の魔法力を注ぐしかないようですが……」

「そうなのね、でも一晩持てば充分だわ!良かった〜今年は震えなくて済みそうね♪」

「はい!」

「ありがとうエイミ!縫製してくれたみんなにも宜しく伝えておいてね♪」

「かしこまりました姫様」

「因みにトナカイは?」

「そちらはそのままでも充分温かいかと……」

「モコモコしてるもんね♪ダイ君が着るとなんかかわいいし♪よしっ!それじゃあサンタコスチュームの方はみんなの分も宜しくね♪」

「はい、手配しておきます」

「さて!次は子供たちのプレゼントと一緒に配る用のクリスマスケーキね〜♪あ、ダイ君用の巨大クリスマスケーキもいるわね〜」

 そうしてレオナ主催のクリスマスパーティーの準備は着々と進んでいった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 トントン!

「はぁ〜い」

 今朝方、ポップを見送ったマァムは編み物をしていた手を止めて家の扉を叩くノックの音に応えた。

「おはようマァム、今大丈夫かしら?」

「あ、母さん!おはよう!大丈夫よ、どうしたの今朝は……」

 母レイラの訪問にマァムは首を傾げて訊ねる。

「ええ、今朝ポップ君と顔を合わせた時にあなたの具合が少し心配だって言っていたものだから様子を見に来たのよ」

「ポップが?」

「昨日の夜は食欲がなかったらしいじゃない?」

「ああ、うん……でも大丈夫!今朝はちゃんと食べれたし……ちょっと疲れてたのかな?」

「そう?大したことなければ良いんだけど……あら?それ、もうそんなに進んだのね?」

 レイラはそう言うとマァムの手元にある編み物に目をやる。 

「うん……なんかレオナがクリスマスパーティーを今度やるって言うからそれまでになんとか間に合わせなきゃって思って……あ、母さんポップに言ってないわよね?」

 マァムは何か思い付いた様にレイラに訊ねる。

「ええ、もちろんよ♪サプライズにしたら?って言ったのは母さんよ?」

「そうだったわね♪フフフ♪」

「うん、とても上手に編めてる……でもちょっと大きくないかしら?」

「フフ♪そうね、でもいいの♪……っ!?」

 その時、マァムは突然口を抑えながら慌ててキッチンの流し台に駆け出した。

「マァム……っ!?」

 レイラも慌ててマァムに寄り添うと優しく背中を擦る。

「マァム……大丈夫?」

「う、うん……ちょっと急に気分が悪くなっちゃって……ごめんなさい……」

「ううん……ねぇもしかしてここ最近あるの?」

「そ、そうね……なんでだろう……少し身体も怠いし……でも体調が良い時もあるのよ……」

「そう……それじゃあとりあえず今日は無理はしないで横におなりなさい……家事は母さんがやっておくわ……」

 レイラは娘の身体を優しく擦りながらゆっくりマァムに言い聞かせる様に言う。

「え……大丈夫よこのくらい……」

「ううんマァム……もうあなただけの身体じゃないのよ?ポップ君も心配してくれてるんでしょ?」

「う、うん……」

 そう小さく頷くとマァムはポップの顔を浮かべる。

「それじゃあ……今日はお願いします……あ、でも編み物ぐらいはしても良い?」

 マァムは少し上目遣いでレイラを伺う様に訊ねる。

「ええ、そうね……あ、でも暖かくするのよ?家の中とはいえ寒くなってきたから」

「うん、わかったわ……ありがとう母さん」

 そうしてマァムはレイラに微笑んで寝室の方へ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ〜あ……もうこんなに暗くなってんじゃねぇか……」

 ポップはイヤイヤながらも結局、今日もパプニカでレオナの仕事(主にクリスマスの準備)を手伝ってネイル村に帰って来たのはもうすっかり夕食時間も過ぎた頃だった。

「マァム怒ってっかな〜」

 そう言いながらポップはマァムと住む自宅の扉を恐る恐る開ける……すると……

「あら、遅くまでご苦労さまポップ君」

「えっ……!?お義母さんっ!?」

 ポップはキッチンに立つレイラの姿に驚きの声を上げる。

「し〜っ……マァムはもう休んでるから」

 そう言ってレイラは口の前に人差し指を立てる仕草で声を抑えるように促す。

「え……っ!?マァム!やっぱりどこか悪いんですかっ!?」

 ポップはマァムが心配なあまりいつになく真剣な表情をレイラに向ける。

「ううん、大したことではないわ……ただ念の為に早く休ませたのよ……」

 レイラはポップを安心させる様に敢えて優しく告げた。

「そうでしたか……すいません心配掛けてしまって……俺、アイツに無理させてたのかな……」

 ポップはレイラに詫びる言葉を告げるとマァムが寝ている寝室に顔を向けた。

「いいえ、そんなことないわよ……あの娘いつもアナタの話を楽しそうにするもの♪親の私から見ても本当に幸せそうに見えるわ……」

「そ、そうなんですか?アハハなんだか少し照れますね」

「フフフ♪だから安心してポップ君、いつもマァムを笑顔にしてくれてありがとう」

「そ、そんな俺の方こそ!マァムにたくさん幸せ貰ってます!」

 そうしてレイラはポップに満面の笑顔をみせて頷くと温めていた夕食を用意し始めた。

 

「ウマイ!やっぱりお義母さんのご飯は美味しいですね♪」

「フフ♪ありがとうポップ君、おかわりあるから沢山食べてね」

「ハイ!あ、そうだお義母さん、ちょっと訊きたいんスけど……マァムが好きな宝石ってわかりますか?」

 ポップは明日のアバンとの約束を思い出してレイラにマァムの好みの宝石のコトを訊ねる。

「宝石?う〜んあの娘は幼い頃からそういうモノに興味を示さなかったから……私もわからないわね……でも急にどうして?」

 ポップはそう言って最もな質問をするレイラに例の婚約指輪の諸々を全て話して聞かせた。

「なるほどね〜サプライズプレゼントに婚約指輪なんてステキね♪」

「ヘヘっ……でも実はパプニカの姫さんのアイデアなんですケドね……」

「でもマァムもきっと喜ぶと思うわよ♪私もロカから指輪を貰った時は本当に嬉しかったモノ……」

「そっかぁ……やっぱりそうなんスね〜この前もダイとそんな話をしたんですけどアイツも姫さんにいつか渡さなきゃって言ってましたよ」

「お姫様にあげる指輪なんて普通の指輪じゃないのかしらね?」

「そうかも?ハハハ!」

「ダイ君も頑張らないと♪」

 

「ヘックション……!!」

「あら?ダイ君めずらしく風邪でも引いたの?」

「ん……?そんなハズないんだけどな…」

 と、ポップとレイラが知らないところで自分の話をしていることも知らずにダイはレオナの隣で首を捻っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 その後、レイラが自宅に帰るとポップも就寝の支度に入りマァムが眠る寝室の扉を静かに開けた。

「マァム……」

 ポップは音を立てずにゆっくりと寝息を立てているマァムの元に行くと優しい眼差しを向けながらも不安気な表情と……そしてどこか申し訳なさを含んだ声で彼女の名を呼んだ。

「可愛い寝顔だぜ……」

 そうしてそっとその頰に触れる。

「赤みも差してるな……良かった……」

 穏やかな顔で眠るマァムにポップはようやく安堵すると懐から一本の糸を取り出した。

「お義母さんが指周りの測り方、教えてくれたんだ……」

 眠るマァムに小さくそう言うとポップはマァムを起こさない様に慎重に彼女の左手の薬指を持ち上げてその指に糸を巻き付けた。

「これで印を点けて……と……」

 器用なポップはほんの数秒でマァムの薬指のサイズを測ると彼女の腕をそっと布団の中に収める。

「あったかくしろよな……」

 幼い子供に言うように優しく微笑んでマァムの薄い桃色の髪を撫でながら軽くキスをする。

「ん……ポップ……」

「……っ!?」

 と、マァムの口から突然自分を呼ぶ声がしてポップは驚いた。

 しかし……

「…………」

「………ふぅ〜っ……なんだ寝言かよ……起こしちまったかと思ったぜ……」

 再びすやすやと眠るマァムにポップは苦笑しながら呟いた。

「俺の夢でも見てくれてんのか……?」

 そう言ってポップがゆっくりと立ち上がると……

「……好きよ……ポップ………」

「………っ!?」

 ポップは思わずマァムを振り返る。

「………起きて……ない……よな?」

 そのポップの問いにマァムはやはり寝息を立てて応えている。

「ハハハ……なんとも幸せな夢だな……お互いに……」

 ポップはマァムの天使のような寝顔に見惚れながら再び優しく微笑み掛けた。

 するとポップの目線の高さにある棚の上に二つのアバンのしるしが並べられて置かれているのが目に入った。

「アバンのしるし……そういえばアイツが提案してくれたんだったな……」

 そうしてポップはマァムと二人で暮らし始めた最初の日のことを思い出した。

 

「ねぇポップ……二人のアバンのしるしあの棚の上に並べて置くようにしない?」

「ん?あの棚に?」

「うん、二人の大事な部屋に大切なアバンのしるしを並べて置きたいなって……」

 そう言うマァムの頬は少しだけ赤く染まっていた。

「ああ、そうだな……仲良く並べて置こうぜ!」

「フフ♪うん!」

 ポップがそう言って笑顔で頷くとマァムは満面の笑みを見せた。

 

「アバンのしるし……か……」

 それはほんの数ヶ月前のことだったがポップは不思議と懐かしさを感じて、眠るマァムの顔を改めて見つめるともう一度だけ優しいキスをして自分も床に就いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そうですか〜マァムの好みの宝石は解らずじまいですか……」

「はい、すいません先生……お義母さんにも訊いてみたんですけど、やっぱりアイツ昔から宝石とか興味なかったらしくて……」

 ポップは一昨日の約束通りアバンの元に訪れていた。しかしマァムの指周りのサイズは解ったものの指輪に嵌め込む彼女の好みの宝石については判明しなかったと報告した。

「いえいえ謝ることはありませんよ、まだ時間も少しありますから大丈夫です!それに言い出しっぺの私もまだ宝石を揃えている最中ですからお互い様ですしね♪」

「そうですか!わかりました……えっと、それで今日は……」

「そうですね〜とりあえず宝石は後にするとして……指輪のリング部分の生成に取り掛かりましょう!」

「あ、確かに!いわゆる土台ですね、でもどうやって作るんですか?」

「大丈夫ですよ、一かららしっかりとお教えしますから♪」

 そう言ってアバンは先ずはリングの素材の説明を始めた。

 

「プ!プラチナですか……っ!!?」

「ええ、ご存知でしたか?」

「さ、さすがに知ってますよ!?貴重な金属ですよね!!?」

「はい、なんとか昔馴染みのとある業者から少しだけ分けてもらえました」

「昔馴染みの?そんな知り合いがいたんスか?」

「ディードックさんという方で元々はマトリフのお知り合いですが私も色々とお世話になってましてね、よく珍しいモノを集めてるんですよ」

「ほぇ〜なるほどなぁ〜色んな知り合いがいるんスね〜」

「今度紹介しますよ♪さて、そろそろ始めますか?」

「はい!お願いします先生!!」

 そうしてポップはこの日からアバンに指輪作りの手ほどきを受け始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 一方、マァムの方はと言うと……

 

「よしっ!いい感じね♪これならクリスマスパーティーに間に合いそうだわ♪」

 昨日までの体調もようやく安定しマァムはずっと編んでいたあるモノを眺めながら微笑んでいる。

「そうね、とても暖かそう♪上手に編めてるわ頑張ったわねマァム♪」

「フフ♪うん!ありがとう母さん!さて、もう一息ね!」

「あ、そうそう今日は念の為にお医者様に来てもらいましょう……ちょうど今日は村長さんのところにいらっしゃる日だから……大丈夫?マァム?」

 レイラはマァムの体調を鑑みて定期的にネイル村の村長のところに往診に来るロモスの医者の診断を進める。

「うん、そうね……私も詳しく知りたいし……それにポップにも伝えなきゃ……」

「ええ、そうよね♪」

 マァムとレオナの親子は優しい笑みを交わしてお互いに頷き合った。

 

 

 一週間後……

 

「先生!こんな感じですか?」 

 そう言ってポップは顔を上げた。

「おおっ!いいじゃないですかっ!!ポップはやはり器用ですね〜♪」

「いや〜先生の教え方が良いんですよ〜」

「フフ♪あなたの愛の力ですよ♪ポップ♪」

「ア、アバン先生〜!!」

「あとは一番重要な宝石ですが……どうしますか?なんとか一通りこちらに用意してみましたが」

「こっ!こんなにあるんですかっ!!?」

 

「ス!スゴイ!!こんなに集めてくれたんですかっ!?」

「ハハハ♪フローラ王女がご贔屓にされている宝石屋さんにお借りして来たんですよ」

「えっと……じゃあこの中から指輪の宝石を選んで良いんですよね♪」

「ええ、もちろんです!どれにしますか?」

「そうッスね〜どれもこれもキレイだけどな〜♪ん?アレ?先生これってもしかして……」

 と、ポップはある石を指差した。

「お!フフフ♪やはり気付きましたか〜♪そうですそれはあなた達に授けた卒業のしるしと同じ輝聖石です!」

「でも、これってめちゃくちゃ貴重な石だし……ここまで精製するのだってかなり時間が掛かるって……」

 そう、この輝聖石はアバンの家系であるジニュアール家にしか知られていない特別な製法で作られた石であり同時にその精製についてもかなりの時間を要する貴重なものであった。

 また更にポップを含めたアバンの弟子達にかつて贈られたその卒業のしるしに使用された石がこの輝聖石であった。

「予感があったのかも知れませんね……」

「予感?」

 ポップはアバンのその言葉に首を傾げる。

「ええ、あなたとマァムが結ばれてこういう日が来ることをなんとなく……ですからこの輝聖石はその時のために用意しておきました……まぁ半分本当のことを言えばこの日に間に合って良かった♪というところですがね♪」

 と、アバンは茶目っ気たっぷりなウィンクをして見せた。

「先生……」

 ポップは自分がアバンのしるしを贈られたあの時の様にその涙を流している。しかしその涙の意味だけは当然のごとくあの時のモノとは全く違うモノだった。

「ポップ……こうしてあなた……いや、あなた達にこの輝聖石を贈るのは二度目ですがあなた達のこれからの成長を願うという意味を含んていると言えばあの時と同じと言えます……しかしながら敢えてもう一つの意味を込めさせて頂くとしたら………」

 と、その言葉にポップは涙を拭きながら顔を上げてアバンをみる。 

「おめでとうポップ、マァム……どうか末永く幸せに……という願いが込められているのですよ」

「先生ーーーーーーーーっ!!!」

 ポップはアバンに泣きじゃくりながら抱き着いた。

「おやおや!フフフ♪でもよくぞここまで成長しましたね二人共……ワタシは心の底から嬉しいですよポップ……」

 ポップは何度も何度も頷きながらアバンの胸の中で感謝の意を告げた。そして、そんな弟子を抱きしめるアバンの目にも熱く輝るモノが滲んでいた。

 




 今回のテーマは輝聖石です。かつてポップとマァムにも卒業の証として贈られたアバンのしるしに使われた貴重な聖石ですが、アバンはポップとマァムの様子をみながら随分と前からこの輝聖石の精製を行ってました。文中の「予感…」とはそういう意味です。弟子達の人としての成長は師からすればこの上もなく幸せなことですからね。
 さて、次回はいよいよ最終話!どんなクリスマスパーティーが待っているのでしょうか〜✨ 
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