プレゼント    作:平月

3 / 3
プレゼント

 

 最終話

 

  そして……

 クリスマスパーティー当日。

 

 定刻の時間には招待状を配られた殆どのメンバーがパプニカ城内の大広間に集まっていた。

「さあ!今年もパプニカ王国のクリスマスパーティーを盛大に開催しましょうーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 わぁぁぁぁぁーーーー!!!!

 

 レオナの一声で歓声が上がるとそれを合図に盛大なパプニカのクリスマスパーティーが始まった。

「レオナ!!ケーキは?ケーキはまだ?」

 ダイもこの年で15才。それなりに背も伸びて精悍な表情が大人っぽく映る年頃にはなったものの……普段の中身はまだあどけなさが残る少年っぽさが抜け切れていなかった。

「はぁ〜ダイ君!もうっ!少しは大人っぽく出来ないの?ケーキでそんなにはしゃぐなんて三年前に戻ってるんじゃない?」

 レオナは子供っぽくはしゃぐダイに厳しく迫る。

「え〜だって俺ケーキ楽しみにしてたんだも〜ん!」

「それはわかってるわよ!ケーキはちゃんと後から出てくるから、ホラ他にも食べ物は沢山あるでしょ?あ、そうそうシャンパンもあるわよ?」

 そう言ってレオナは近くのテーブルからシャンパングラスを取ってダイに渡す。

「これ前にも飲んだけどあまり美味しくないんだよ〜」

 ダイにはまだアルコールはさすがに早い様で一応グラスは受け取ったがしかめっ面でグラスのシャンパンを眺めている。

「なら、俺が貰うぜダイ♪」

「ポップ!」

 その声にダイが振り返るとその手からすっとグラスを取ったポップがマァムと共に笑顔を見せていた。

「レオナやっぱりダイにはまだ早いんじゃない?」

 マァムが少し心配そうにレオナに告げる。

「そうかしら?私はダイ君の年にはワインもシャンパンも飲んでたわよ♪ちょこっとだけどね♪」

「そ、そうだったっけ?」

 マァムは昔、フレイザード戦後の小さな宴会でレオナがワインで酔い潰れていたことを思い出しながらも惚ける。

「ま、でも苦手なモンは仕方ねぇさ!な、ダイ♪」

「しょうがないわね〜強力なバックアップが二人も来ちゃったんじゃ」

 レオナはやれやれと言わんばかりにお手上げのポーズを作る。

「レオナ!飲み物はいいから食べ物一緒に取りに行こうよ!」

「えっ!ちょ……!ちょっとダイ君!!」

 そう言ってダイはレオナの手を引っ張って豪華な料理が並ぶテーブルに走って行った。

「なんだアイツも結構楽しんでるじゃんか?」

「フフ♪ホントね♪」

「変わんねぇなアイツ……」

「やっぱりダイはダイよね♪」

 そう言いながらレオナと共に料理に目移りしているダイを眺めてポップとマァムは微笑している。

「ポップ〜マァム〜♪二人も一緒に食べようよ!!」

「おうっ!今行くよ!」

 軽く手を上げてダイに応えるとポップはマァムの方に振り返る。

「マァムそういえば体調は大丈夫か?」

「え…?あ、うん!平気よ!たくさん食べれるわよ〜♪」

「そっか!良かった……でも無理はすんなよ……」

「うん!ありがとうポップ♪」

 突然ポップに体調の心配をされたマァムは少し戸惑ったが優しいポップの表情に触れて安堵の笑顔で応えた。そして彼と手を繋ぐとダイ達の元に歩を進めた。

 やがて、周りを見渡すと皆もそれぞれパーティーを楽しんでいる様子でわざわざダイが連れて来た育ての親であるブラスを始めとするデルムリン島の面々も普段お目にかかれない食事に舌鼓を打っていた。

「ほうほう……これは中々の味じゃな♪」

「じいちゃんの好きそうなモノがたくさんあるだろ?」

「ああ、ありがたいなぁ〜ダイよワシャ幸せだわい……ウゥ……」

「こんなところで泣くなよじいちゃん!恥ずかしいだろ!」

「感動して泣くのがなにが悪い!!」

 と、ダイとブラスのそんな微笑ましい親子?の会話も見れれば……

「隊長さんこれも美味いな!うん!これもうめぇ〜!!」

「ヒ、ヒムちゃん!!君はこういう食べ物の味がわかるのか!?」

「ああ!あったりめぇだろ!!ハドラー様の味覚をちゃんと受け継いでるんだからよ!」

「そ、そうなの……?ハハ……」

「チウ!!お前もしっかり食わんと大きくならんぞ!!ガハハハ!!!!ゴクゴクゴク……ぷっはーーーー!!!!」

「おおーーーーーーさすが獣王どのーーー!!!」

「素晴らしい飲みっぷりだぁぁぁーーー!!!」

 クロコダインは樽酒をイッキ飲みして周りから歓声を得ていた。

「あ、あまり飲み過ぎないで下さいね……クロコダインさん……運ぶの大変だから……」

 

 そうして賑やかな歓談の時間はあっという間に過ぎ去りいよいよ子供たちにプレゼントを配る時間となった。

「さて、それじゃあこれから早速子供たちにプレゼントを配るわよ!と、その前に……例のコスチュームに着替えましょうか!」

 レオナの号令で、ダイ、ポップ、マァム、ヒュンケル、エイミ、アポロ、マリン、そして遅れてやって来たメルルとノヴァの計五組十名はそれぞれ案内された控室に向かった。

「ノヴァも来てたんだ?」

「うん、レオナ姫にどうしてもって言われてさ〜メルルさんを連れて来たんだよ」

 ダイがそう訊ねるとノヴァはやれやれというジェスチャーでボヤく。

「あーそっか!リンガイアとテランって割と近いからか?」

 そこにポップが加わる。

「えっ!?あ、ああ……ま、まぁ……そんなトコかな……ハハ」

 ノヴァは何故か少し狼狽えていた。

「ところでノヴァ君は姫様から説明されたのかい?子供たちにプレゼントを配るこのイベントについて……」

 するとアポロが親切心からノヴァに声を掛ける。

「あぁ!はい!皆でパプニカの子供たちにプレゼントを届けるという話しは事前に伺いました!」

「ん?ソレだけ?」

「へ?はい……」

 アポロの言葉にノヴァは気の抜けた返事をすると隣のダイがどこか意味深にニヤニヤしている。

「な、なんだよダイ!何かおかしいか?」 

「ん?あーいや……その……まぁ控室に行けばわかるよ……ね、アポロさん!」

「あ、ああ……まぁね……」

 ノヴァはそんな二人に首を捻りながらポップに声を掛ける。

「そういえばポップ君も今回は初めての参加なんだろ?」

「ああ、去年はマァムの地元でロモスのクリスマスパーティーに出てたからな」

「じゃあ俺たちだけなんだ初参加は……」

「まぁそうだな……あ、そうだヒュンケル!おめぇは去年参加したんだろ?子供たちにちゃんとプレゼント渡せたのか〜?ヒヒ♪」

 いつもぶっきらぼうなイメージのヒュンケルにポップがヒジで突く仕草で茶化しながら訊く。

「ああ……特に問題はなかったな」

「問題……って……ほー以外だな」

「何がだ?」

「おめぇと子供たちの絡みが想像つかない……」

「子供たちの扱いはエイミに随分助けられたよ……だが、良いものだぞ子供たちの笑顔は……」

「へ〜なるほどな〜♪」 

 ヒュンケルのその言葉にポップは不思議と嬉しい気持ちになった。

(「コイツもようやく人間らしくなってきたじゃねぇか……」)

「あ、ポップ!ノヴァ!控室あそこだよ!」

 ヒュンケルの変化にポップが安堵しているとダイが廊下の先の控室を指差した。

「おお!んじゃノヴァ!俺らもいっちょ頑張るかっ!!」 

「ああ!そうだな!」

 そうして勢いよく控室の扉を開いて中に入ると……そこにはモコモコのトナカイのコスチュームがずらりと並んでいた。

「な!なんじゃコリャーー!!」

「サ、サンタコスチュームじゃないのか……」

 ポップとノヴァが驚きの表情を見せているとアポロがため息を突きながら口を開いた。

「やっぱり姫様からこの説明をされてなかったか……」

「やっぱりね……ハハハ……」

「やっぱりねって……ダイおめぇわかってたのかよ〜」

 そう言いながらポップはダイの頭を後からグリグリする。

「イテテ……!いやぁオレだって去年は何も訊かされてなかったモン〜」

「さっきの意味深な笑いはコレだったのかダイ〜」

「へへっゴメンよ……」

「ま、姫さんの思い付きにゃあ逆らえねぇケドな……ん?待てよということは〜」

 そう言ってポップはヒュンケルの方を見ると彼は既になんの抵抗もなくトナカイコスチュームに着替えようとしていた。

「抵抗ないんかい!おめぇは!」

「ん?特に問題はない……」

「だからなんだその問題はないって………まぁお前のトナカイコスチューム見たいから良いケドさ……」

 ポップは突っ込みながらもヒュンケルのトナカイコスチューム姿を想像する。

「じゃ、じゃあ我々も着替えようか……」

 アポロのその声で一同はいそいそとモコモコのトナカイコスチュームに着替え始めた。

 

 一方その頃……

 サンタコスチュームグループは……

 

「こっ!これを着るんですかっ!?姫様!!?」

 そう驚きの声を上げたのはリンガイアのノヴァに連れられてパーティーに参加していたメルルだった。

「ええ、メルルも絶対に似合うわよ♪ね、マァム♪」

「え?え、ええ……そうね♪」

 レオナに突然そう言われてマァムはとりあえず頷く。

「で、でもマァムさんも今回は初参加でしたよね?……コレご存知だったんですか?」

「う、うん……この前たまたまパプニカに来た時にレオナから訊いたのよ……」

「ホラホラ♪せっかく二人の為にサイズも合わせたんだから来てみてよ♪きっと驚くわよ♪」

「え?」

「驚く?」

 レオナのその言葉にマァムとレオナは首を傾げていると他のマリンとエイミはもう既に着替え終わっていた。

「これ!ホントにあったかいわね!」

「そうでしょう?姉さん!」

「フフフ♪」

 パプニカ三賢者のマリンとエイミの会話にレオナも満足そうに頷いているとマァムとメルルもお互いに顔を見て頷き着替え始めた。

「わぁ〜!スゴイですねこの服!!?ミニスカートなのにあったかい!!」

「ホントだわ!これなら外でも安心ね!!」

 メルルとマァムも目を見張りながら満面の笑みを浮かべた。

「フフ♪それはね法術で編み込んだ生地にメラ系の魔法力を込めてるのよ♪ね、エイミ!」

「はい、去年は姫様や私たちも寒さとの戦いでしたから今年は寒さ対策をバッチリしておきました!」

「ありがとうございます!テランの寒さも堪えますけどパプニカも結構寒そうだったので助かりました〜」

 メルルが喜んでいるとマァムも思わずメルルに同調する。

「うん!本当に助かったわ!始めはこの寒空にミニスカートって訊いて戸惑ったけどこれなら不思議なくらい暖かいもの♪これでお腹も安心して……」

「え?お腹も?」

「えっ!?あ、ああー!!ほらほらお腹もちょっと空いてるからホラね……♪」 

 マァムは慌てて上着の短い裾を捲ってみせる。

「ああ、上着ならもう一枚羽織れるのもあるわよマァム♪」

「あ、ホントに……良かったわ♪」

(「危ない危ない……!ポップに言う前にみんなにバレちゃうところだったわ……」)

 と、マァムは一人で内心ドキドキしていたが勘の鋭いメルルはふと何かに気付いたようだった。

「じゃあ!みんな着替えたわね!それじゃあ大広間でそれぞれプレゼントの担当を決めるわよ!」

 

 そして……

 

 大広間ではまだ他の参加者が歓談していたがソコにゾロゾロとトナカイコスチューム軍団が登場して来た。

「おぉーーー!!来たぞ!!」

「今年も頑張ってーーー!!」

 パーティー参加者の歓声にやや照れながらトナカイ軍団が揃うとそこに更に一際大きなどよめきと歓声が飛んだ。

「おおーーーーなんと!!」

「キャーーーー可愛いーーー♪」

 と、そこに登場したのはレオナ率いる麗しきサンタコスチューム軍団だった。

「な……っ!な……っ!!なんだこれはーーーーーー!!!」

 美女ぞろいのサンタ軍団にポップの目の色が完全に変わった。

「しかもミニスカサンタ♪生きてて良かった!!た!たまらんっ!!」

 ポップはミニスカサンタに鼻血を垂らしながら興奮していると……

「ポップ君、興奮してるトコ悪いんだけど……」

「へ……?」

「うしろ、うしろ……」

 レオナが指差す自分の後ろを振り返ると……

「ポップ〜

  アンタって人は〜!!」

「げぇぇ……っ!!

   マ、マァム!!!ん?」

 マァムがそうして怒りの表情で拳を握りしめていると……

「マァム……お前……」

「え?な、なによぉ!」

 いつも通り握りしめた拳を振り降ろそうとしたその時ポップはマァムに近寄りその両の肩に手を置きながら真剣な顔を近付けると染み染み呟く。

「お前……ヤバい……やっぱり反則だわ……」

「は、反則って……だからなによ」

「お前が一番可愛い!!!」

「なっ!!何言ってんのよ!!ひ、人前で……っ!!!」

「やっぱりお前が一番だぁぁぁーーー!!!オレ生きててよかったぁぁぁぁーーーー!!!!」

 そう言ってポップは力いっぱいマァムを抱きしめた。

「ちょっとポップ!!離してよ!!!恥ずかしいでしょ!!」

「おーーー♪ご両人ーーー♪」

「アツアツね〜♪」

 参加者からも声援を贈られポップは照れながらも満面の笑顔で応えていた。

「もう……っバカね……」

「へへっ♪」

 しかしそう言いながらもマァムは笑顔でポップを見つめた。

「ハイハイ!ノロケの時間はそこまでにしてプレゼントの担当を決めまーす!」

 と、ここで呆れたレオナがそう声を上げるとポップとマァムはそそくさと居住まいを正した。

 その後サンタとトナカイでペアを組んでプレゼントの担当地域が割り振られ、それぞれが街に向かっていった。

 その道すがらメルルが密かにマァムの袖をクイクイと引っ張る。

「ん?どうたの?メルル……」

「あの……マァムさんもしかして……」

 メルルがマァムのお腹に目をやると……

「この不思議なコスチュームで充分暖かいですけどあまりムリなさらないで下さいね♪プレゼントも、もしよければ私とノヴァさんでマァムさんたちの分もお手伝いしますから♪」

 どうやらメルルだけはマァムのあるヒミツに気付いていたようで……

「メルルあなた……そうわかっちゃったのね……うん、ありがとうメルル♪あ、でもポップには……」

 そう言ってマァムは人差し指を小さく口の前で立てる仕草をみせる。

「あ、はい……わかりました♪でもおめでとうございますマァムさん♪」

 メルルはマァムの耳元でそっと囁くように言うと顔を離してマァムと笑顔を交わした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よしっ!じゃあ行くかマァム!!」

「うん!!」

 城の外に出てきた二人は気合いを込めてプレゼント入りの大袋を抱える。

「あ、そうだお前寒そうだから〜こうしよう♪」

「きゃっ!ポッ……!ポップ!?」

 そう言うとポップはマァムをお姫様抱っこで持ち上げる。

「ホラ、俺のトナカイモコモコでこうすれば暖かいだろ?」

「う、うん……でもコレ……」

 と、マァムはサンタコスチュームが本当は暖かいという話しをポップにしようと思ったが……モコモコのポップに抱かれたまま頬を染めてワザと黙っているコトにした。

「大丈夫?重くない?」

「大丈夫さ♪」

「絶対に落とさないでよ?」

「わかってるよ♪」

「ホントにホントよ!落としたら許さないから!!」

「わ〜かってるって!絶対に落とさねぇ!!横っ面をひっぱたく女神に誓うぜ♪」

「な、なによ……それ……」

 マァムは苦笑するとポップと笑顔を交わし合って彼の穏やかなトベルーラで子供たちのところにプレゼントを届けに行った。

 

「あーーーーダイ君!私もアレやりたいーーーーーー!!」

 ポップとマァムのお姫様抱っこトベルーラを見ていたレオナはダイに子供のようにねだる。

「わ、わかったよ〜レオナ姫様〜♪」

「フフフ♪フカフカで暖かいわ♪トナカイのダイ君♪」

「仕方ないなぁ〜レオナは〜♪」

 と、そう言いながらもダイも満更でもないない様子でレオナと笑顔を交わした。

 

「あ、あの……ノヴァさん……?」

「ん?どうしたんだい?」

「わ、私たちも……そのあの……トベルーラで……その……」

 メルルは真っ赤な顔をしてノヴァを上目遣いでみつめるとノヴァも彼女の意図を汲み取ったのかやはり顔を真っ赤にした。

「フフフ♪ノヴァさん顔が真っ赤♪鼻だけじゃなくて全部真っ赤なトナカイさんですね♪」

「メルルさんだって真っ赤な衣装と同じくらいの真っ赤な顔だよ♪」

 そう言って二人も笑顔を交わすとノヴァはメルルをお姫様抱っこで抱えて夜空に飛び立った。

 意外なカップル誕生である。

 

 また、アポロとマリンは互いに手慣れたモノで抜群のコンビネーションと的確な時間調整で着々と、しかし子供たちの笑顔を作ることも決して忘れずに完璧にミッションをこなしていた。

 そして……

「マリン……」

「なぁにアポロ?」

「このクリスマスパーティーが終わったら結婚しよう♪」

「ええ、そうね……って!

 ええーーーーーー!!!

 いまプロポーズーーーーー!!!!」

 

 更にヒュンケルとエイミはというと……

「次はあそこのウチだなエイミ」

「そうね♪」

「悪いな俺がトベルーラを使えれば良かったんだが……」

「え……っ!?ヒュンケルあなた……」

 エイミはヒュンケルが自分のためにそう言ってくれたことが嬉しかった……が……

「わ、私をお姫様抱っこしたいって思ったの?」

「ん?いや、その方が暖かいのかと……寒くなると動きも鈍るし効率も下がるだろう?」

「あーーーなるほど……ね……ハハハ……でも大丈夫よ♪今年はこのサンタコスチューム暖かいから……」

「そうなのか?去年と変わらないような見た目だが……」

「法術で編んだ生地に…メラ系の魔法力が……って……なんか虚しくなってきた……」

「どうしたエイミ……大丈夫か?」

 自分を気づかって覗き込むヒュンケルの顔にエイミは頬を染めると彼の腕を強引に引いて次のプレゼントの届け先に歩を進める。

「どうしたエイミ?」

「こうしてればトナカイに暖めて貰えるわ♪」

「ああ……そうか……そうだな……」

 

 そんなこんなでそれぞれがイチャイチャしながら子供たちにプレゼントを配り終えると城下町の広場に立てられた大きなモミの木の周りにサンタとトナカイが集まった。

「みんなお疲れ様!子供たちも喜んでたわね♪」

「うん!みんなキラキラした笑顔を見せてくれたわ♪本当にかわいかった♪」

「ええ、純粋な笑顔でしたね♪」

「あと、アポロにマリン……それとエイミも……流行り病の特効薬の配布作業本当にありがとう!おかげでパプニカにおける流行り病も治まってみんなが健やかなクリスマスを迎えられたわ♪」

「とんでもこざいません!クリスマスパーティー前に特効薬の配布をすることは姫様の発案でしたから!やはり姫様は偉大な君主です!!」

 アポロを筆頭にマリンとエイミも頷いている。

「ありがとう!でもそれを言うなら本当の英雄は彼ね♪ね、ポップ君!!」

「へ?俺?」

「特効薬をアバン先生から受け取ってパプニカに持ってきてくれたしその後の分配作業や子供たち用の特効薬の調合やら細々したことも全部やってくれたモノ!やっぱりポップ君はスゴイわね!」

 そのレオナの言葉に皆が笑顔で頷きマァムも誇らしい気持ちでポップを見つめていた。

「いやぁ〜まぁ調合やらはアバン先生から教わってなんとかな……でも流行り病が治まって本当に良かったぜ!ロモスでもどうやら収束したらしいぜ!な、マァム!」 

「ええ、今日のパーティーの前にロモスの王様からポップ宛にお手紙頂いてそこに書かれていたわ♪」

「そういえばリンガイアやテランそれにベンガーナでもアバン様が特効薬を配布されて流行り病が治まって来たんだよ!」

「やっぱりアバン先生はすごいなぁ〜♪」

 ダイがそう言うと皆がアバンの笑顔を浮かべて頷いた。

「さて、それじゃあそのアバン先生もフローラ様とパーティーを楽しんでるみたいだし……私たちも戻りましょーーー♪」

「レオナ!!ケーキ!!ケーキだよね♪」

「そうよダイ君♪プレゼント配ってたくさん動いたからみんなでたくさんケーキ食べましょーー♪」

 ケーキにはしゃぐダイを笑顔で引っ張るレオナが駆け出すとダイもその手を引かれながら笑顔で駆け出した。

 そして、皆が城に戻るのを見計らってポップはマァムの手を引く。

「え……ポップ?」

「マァム……ケーキはとりあえず後にして……ちょっとパーティー抜け出さねぇか?」

「え……う、うん……」

 ポップのその言葉に頬を染めるとマァムはコクンと頷いた。

 

「よっし!やっぱここなら誰もいねぇな」

 ポップはマァムの手を引いて、以前各国の王や要人が世界会議(サミット)を開いたパプニカの大礼拝堂のテラスにトベルーラで降り立った。

「ちょっと待っててくれな!このトナカイじゃさすがにカッコつかねぇからよ……」

 ポップはそう言ってトナカイコスチュームをいそいそと脱いだ。

 その間マァムはテラスから見えるパプニカの夜景や海、そして星空に目を細めていた。

「お待たせ……ここからの景色キレイだろ?」

「ポップ……知ってたの?」

 マァムは少しうっとりした表情のままポップに訊ねる。

「まぁな、ずっとここで……って決めてたんだ……」

「ここで決めてた?何を?」

 マァムがキョトンとしているとポップはゆっくりと膝をつき懐から小さな箱を取り出してその蓋をゆっくりと開きながら真剣な表情をマァムに向けて次の言葉を紡いだ。

「マァム……俺と結婚して下さい」

「ポップ……」

 マァムは思わず目を見開く。

 真っ直ぐな熱いポップの瞳が自分を見つめている。そしてその瞳には驚きと喜びと愛しさとあらゆる感情が渦巻いた自分の顔が映し出されている。

 一筋……涙が零れた……

「マァム……」

 ポップが……目の前の愛しいその人が自分を心配そうな顔で見つめている。自分を優しい瞳で見つめている。

「ポップ……私……私……」

 子供のようだとマァムも頭ではわかっていた……でもその瞳から零れ落ちる熱いモノは止めどなく流れてマァムは泣きじゃくりながらそれでも次の言葉に想いを込めて必死に愛しい彼に告げた。

「私……ポップ……私……ずっと……ずっと…あなたと一緒にいたいの……」

「マァム……」

「ポップ……大好きよ……

 ポップ……心から愛してる……」

 マァムはポップの胸に飛び込むと何度も彼の名前を呼んだ。

「ポップ……ポップ……」

「マァム……愛してるよマァム…」

 冬空の下……やがて二人は熱いキスを交わすと何度もお互いの名前を呼び合った。

 そのお互いへの愛情を深く深く確かめ合う様に……求め合う様に……

 

 煌めく星空の祝福の元で……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうしたの?アバン……」

 クリスマスパーティー会場のテラスで星空を眺めているアバンにフローラが訊ねる。

「ええ、素晴らしいパーティーですよね♪フローラ……」

「そうね♪各国の流行り病も治まったし……それに」

「それに?」

 アバンはフローラの顔を見て訊ねる。

「なんだか素敵なコトが起きる気がしない?」

「素敵なコト………ええ、そうですね……こんな夜はきっと……起こりますよ……素敵なコトが……」 

 アバンはそう言ってフローラの肩を優しく抱いた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ポップ……もしかしてこの指輪の宝石って……」

 熱いキスを交わした後にマァムはポップから贈られた指輪を彼に嵌めて貰った後、改めてまじまじとそれを見つめていると……

「やっぱり気付いたか?ああ輝聖石さ♪アバンのしるしと同じな……」

「じゃあ貴方がアバン先生のところに行ってたのはもしかして……」

「まぁな、アバン先生に指輪の作り方を教わってよ……最後に先生から俺たちだけに二つ目の輝聖石にをこうしてくれたんだ……俺たち二人に末永く幸せにってな……」

 ポップはその時のアバンの深い優しさの籠もった言葉と表情を思い浮かべながらマァムに告げた。

「アバン先生が私たちに……」

「ああ……」

「ありがとう……先生……幸せになります……」

 マァムはそう呟くと優しく目を細めてアバンからの深い思いを噛みしめる様にその指輪の輝きを見つめていた。

「ポップ……私からもプレゼントあるんだけど……」 

「え?プレゼント?」

 マァムは今ポップから贈られた指輪を優しく撫でながら唐突に彼に告げる。

「うん!コレ……」

 と言ってマァムは自分のサンタコスチュームの中から緑色と赤色の毛糸で編まれたマフラーを取り出した。

「お、おいおい!ドコに入れて来てるんだよ?」

 急に自分の服の中からプレゼントのマフラーを取り出すマァムにポップは苦笑する。

「だって見つからない様にするにはこうするしななかったんだもの……母さんのアイデアだけど貴方に手編みのマフラーをサプライズプレゼントしたかったの!」

「手編みの?お前が編んだのか!?」

「そうよ?ダメだった……?」

 

 ぶんぶんぶんぶん!!!

 

 やや不安気なマァムのその言葉にポップは首がもげんばかりに激しく左右に振る。

「嬉しいぜマァム!!お前の手編みなんてサイコーだよ!!!」

「ホントに!良かったぁぁ♪」

 そう言うとマァムはまたあの反則な笑顔を見せる。

「あ、それでねちょっと大っきいから……こうして……こう♪」

 するとマァムは自分の首にはマフラーの緑の部分そしてポップにはマフラーの赤い部分を巻いて再び笑顔を向けた。

「ね♪これなら二人共あったかいでしょ?」  

 そんなマァムの頬は赤く色付いていた。

「マァム……本当に俺、お前を好きになって良かった……」

「ポップ……」

 そうしてポップがもう一度マァムと唇を重ねようとすると……

「あ!待ってポップ!実は最後にもう一つ……あるんだけど……」

「ん?もう一つ?プレゼント?」

「うん……プレゼントと言えばプレゼントだけど……私と貴方にとっての空からのプレゼント……かな?」

「空から?なんだどういうコトだ?」

 首を傾げながら空を見るポップにマァムは優しく微笑むとその彼の手をそっと自分の最も暖かいところに添える。

「マァム……?」

「ここに……貴方と私の……大切な命を授かったわ……」

「え……?」

 マァムはその穏やかで柔らかい表情のまま再び涙を湛えてポップを見つめる。

「赤ちゃんが……出来たの……私とポップの……大切な赤ちゃん♪」

「え……本当に?本当なのか?」

「うんっ♪」

 笑顔でマァムはポップの言葉に頷くとポップのその優しい瞳にも熱い涙が湛えられていく。

 そして……

 

「やったぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」

「ポップっ!!!!?フフフ♪

  アハハハハーーーー♪」

 

 ポップは感激の余りマァムを抱きかかえて涙と満面の笑顔でくしゃくしゃになった顔を見せながら喜びの声を上げた。

 そしてマァムもそんなポップの喜ぶ姿に涙を溢れさせながら同じ笑顔で歓喜の笑い声を上げた。

 

 暖かい何処よりも暖かいその二人の空間がいつまでも幸せに満ち溢れた二人を優しく優しく包んでいた……。

 

 

            fin

 

 

 




 幸せ〜なお話を全力で書いてみました✨
 ポップとマァムメインの今作ではありますが、皆がそれぞれの幸せを味わって貰いたかったので徹底的に幸せを詰め込みました✨✌️ 
 寒い冬に暖かい話を書くとこんなにホッコリするんですね✨
 読んでいただけた皆さんにも暖かい幸せが訪れますように……

  ✨  Merry Christmas✨  
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。