HUNTER × HUNTER〜in origin〜 作:ハンター
ハンター試験。
それは、一年に一度だけハンター協会が主催として行われるハンターライセンス授与試験のことだ。
このハンター試験は、12月31日の大晦日に申し込みが締め切られ、翌年の1月7日から試験が行われるようになっており、試験の数・期間はその時の試験内容によって異なり、試験期間は1週間で終わることもあれば1ヶ月以上続く事例もあると言われている。
また、毎年試験には数百万人の受験者達が集まるが試験会場までの道中には様々な罠が仕掛けられており、試験会場に辿り着くことが出来る受験者は1万人に1人と言われ、試験自体も過酷なものばかりであり合格者が1人も出ないという年もあったのだった。
だが、それにも関わらず人々がハンター試験に挑む理由はハンターとは魅力的な職業だからだろう。
「ここが、本当に試験会場なのか?」
1人の青年が小さなメモ用紙を手に持ち、年季の入った小さな定食屋の前に立っていた。
この青年の名前はリュウジと言い、今年のハンター試験受験者の1人だ。
リュウジは何度もメモ用紙と目の前にある定食屋を見比べた後、ようやく定食屋の中に入って行った。
「いらっしゃい〜!! ご注文は何にします〜?」
「ステーキ定食を」
「.焼き方はどうします?」
「弱火でじっくりと」
「あいよ〜、まいどあり〜!! それじゃ、お客さん奥の部屋にどうぞ!!」
リュウジは若い女性の店員に案内されながら店の奥に設置されている部屋の中に入って行った。
奥の部屋に入ると、部屋の中心には巨大な鉄板が備え付けられているテーブルが設置されており、その上には既に焼かれているステーキや炊きたての白米が大盛りによそられている茶碗が置かれていた。
「それでは、ごゆっくり〜」
「取り敢えず、食べるか」
女性の店員はリュウジを奥の部屋に案内し終わると、リュウジにそう言ったあと、そのまま店の厨房の中へと戻って行った。
そして、部屋の中に1人残されたリュウジは既に焼かれているステーキを箸で取り、白米の上に乗せ、それを食べ始めた。
10分程度でステーキ定食を食べ終わったリュウジは、部屋の壁に掛けられている時計を眺めながらのんびりと試験会場に到着するのを待つことにした。
"チンッ"
リュウジがのんびりと試験会場に到着するのを待ち始めてから数分後。
試験会場である地下100階に到着したことを知らせる音が鳴り、案内板がピカピカと光り始めた。
そして、ゆっくりと扉が開くとリュウジは椅子から立ち上がり足を進めて行き、試験会場に足を踏み入れた。
「(へぇ〜、結構レベルが高い奴らが集まってるな.それに俺と同じ念能力者が2人もいる)」
「ようこそ、ハンター試験へ。これが貴方の番号札となります。番号札は必ず胸につけ、紛失しないようにお願い致します」
「あぁ、分かったよ」
「(俺の番号は399番か。結構ギリギリみたいだったな)」
試験会場に足を踏み入れたリュウジは既に集まっている受験者達を品定めをするように観察をし始めた。
ほとんどの受験者達はリュウジの視線に気が付きはしたが、それを直ぐに無視してそれぞれ持ち込んだ武器などの手入れを始めた。
しばらく、他の受験者達を観察していると緑色の容姿をした豆のような男性がリュウジに声を掛け、番号が書かれている丸い番号札を手渡した。
リュウジが受け取った番号札の数字は「399」と書かれており、リュウジは399人目の到達者ということが分かる。
「よおっ、どうやら新顔のようだね」
「アンタは?」
「あぁ、自己紹介がまだだったな。俺はトンパだ、よろしくな」
「俺はリュウジだ。よろしくなトンパ」
「あぁ、よろしくリュウジ。俺はハンター試験を35回も受けてるハンター試験のベテランだから分からないことがあったら何でも聞いてくれ」
「あぁ」
「それとこれは、お近付きのしるしだ。是非受け取ってくれ」
「あぁ、ありがとう」
リュウジは男性から番号札を受け取り、他の受験者達のように右胸に付け、ふらふらと周囲を歩いていると「16」と書かれている番号札をつけている男性に話し掛けられた。
男性は他の受験者達とは違いフレンドリーにリュウジに話し掛け、自己紹介をした。
リュウジに声を掛けた男性の名前はトンパと言い、過去ハンター試験を35回も受けている、ハンター試験のベテランだった。
そんな男はリュウジと互いに自己紹介を終えた後、更に親交を深めるためか服の下から1つの缶ジュースを取り出しリュウジに手渡した。
「さてと」
「ちょっと、それ飲まない方がいいわよ」
「ん?」
「そのジュースには超強力な下剤が入っているの。だから飲まないことを勧めるわ」
リュウジに缶ジュースを手渡したトンパは「また」と言い、リュウジの後から入って来た男性3人組の元に向かって歩いて行った。
リュウジはトンパの姿が見えなくなると、トンパから貰った缶ジュースの蓋を開けようとした。
すると、突然横から丸い黄色い帽子を被った女性が姿を現し「強力な下剤が入っている」と言い、缶ジュースの蓋を開けようとしたリュウジを静止した。
「あぁ、だから今そこら辺に捨てようと思っていたんだが」
「えっ、気付いてたの?」
「あぁ、明らかに俺を騙すと言うオーラが出ていたし。それ以前に、こんな張り詰めた空間でフレンドリーに話しかけて来る奴は100%の確率で怪しい奴だしな」
「た、確かに。考えてみたらそうよね」
「まぁ、でもわざわざ教えてくれてありがとな」
だが、リュウジは元々この缶ジュースの中には何かが混入されているということに気が付いており、人が居ない所に缶ジュースの中身を捨てようとしていたのだった。
一度も飲んだり、匂いを嗅いだりせずに中身に何かが混入されていることに気が付いているリュウジに対して、女性は驚きな表情をしながらそんな声をあげた。
しかし、リュウジは缶ジュースを貰う前から「こんな張り詰めた空間でフレンドリーに話しかけて来る奴は居ない」と思い、最初からトンパのことを怪しんでいたのだった。
「それにしても、何でアンタはわざわざ俺に忠告して来たんだ? もし、俺が本当にこの缶ジュースの中身のことに気付いていなかったら腹を壊してハンター試験を辞退していただろう。そうすれば、アンタもライバルが1人減ってハンターになる可能性が上がったかもしれないだろ?」
「確かにそうかもしれないけど、私アイツみたいな卑怯な手を使うのは嫌いなの。勝負するなら正々堂々と戦いたいたちだしね」
「あー、なるほどね。俺もアンタのその気持ちは分かるよ。えーと」
「私の名前はポンズよ。私もトンパ以上では無いけど、数回このハンター試験に挑戦しているわ。アナタは?」
「俺はリュウジだ。見てわかるとおりハンター試験は今年初めての挑戦だ、よろしく」
「えぇ、よろしくねリュウジ」
リュウジはトンパから貰った缶ジュースの中身を全て捨て終わると女性に何故自分に缶ジュースを飲まないように忠告してきたのかと尋ねた。
すると、女性は少し恥ずかしそうにそう答えた。
リュウジは女性の答えを聞き、女性の意見に全面的に同意した後、名前を聞いた。
リュウジと女性-ポンズはお互い自己紹介を交わしたのだった。
「それで、リュウジ1つ話があるんだけど」
「何だ、ポンズ?」
「今回のハンター試験、私と組んでくれない?」
「理由は?」
ポンズはリュウジとお互いに自己紹介を交わし終わったあと、少し気まずそうに1つの話を持ち出した。
ポンズが改めて持ち出した話の内容は、今回のハンター試験で自分と組んでくれないかというものだった。
このポンズの話を聞いたリュウジは特に表情を崩すこと無く、ポンズに何故自分と組もうとした理由を聞いた。
「理由は簡単よ。アナタがここに居る中で1番強いからよ」
「なるほど。それで俺がポンズと組むメリットはなんだ?」
「メリットは私の経験よ。私は5回このハンター試験に挑んだことがあるの、だから大抵のことは理解しているつもりよ」
「なるほど、経験か。確かにそれは役に立つのは間違いないな。分かった、ポンズと組むよ」
「ありがとう。それじゃ、これからよろしくねリュウジ」
「あぁ、よろしくポンズ」
ポンズがリュウジにそんな話を提案したのは、ただリュウジがこの中で1番強いというただ単純なものだった。
そんな理由を聞いたリュウジは直ぐにこの提案を断ること無く、今度は自分がポンズと組むメリットは何があるのかと聞いた。
するとポンズは特に悩む様子を見せること無く、自分と組むメリットは「経験」だと断言した。
だが、この「経験」というメリットはある意味リュウジとっては1番のメリットになるものだった。
リュウジは改めてポンズと組むことを承諾し、ポンズと固い握手を交わしたのだった。